第147回クオリティトークルポ
品質不正はなぜ起こるのか

 2025年7月4日、第147回クオリティトーク(東日本)が開催され、「品質不正はなぜ起こるのか-安全と機能だけでなく、安心と信頼性を提供するために」をテーマに、約60名の参加者による活発な議論が行われた。
 講師は、SOMPOリスクマネジメント(株)より古字 朗人 氏及び安藤 悟空 氏を講師に迎え、品質不正の要因とその防止策について、専門的な視点からの講演が開催された。
 論点は5つのテーマの品質不正の検証が行われたが、いずれにおいても参加者からの質問が相次ぎ、時間内に全ての質問に対応出来ないほど活発な意見交換となった。
 印象に強く残った事例としては、品質不正の抑止力としては、システムの自動化だけでは不十分であり、部門・関係者間の密なコミュニケーションが不可欠で、技術と人の連携が不可欠である事である。意図的な不正は表面化が困難であり、品質不正の異変を察知する能力が求められ、生産現場との信頼関係が品質不正の早期発見の鍵となることを再認識した。人員配置としても、同一業務に長期在籍することは潜在的なリスクを生む可能性もあり、定期的な人事異動の検討も必要であるが、固有技術継承のバランスを取ることが組織体制上の課題である。その固有技術の向上には継続的な教育が不可欠で、組織全体で倫理観を共有し、個人の行動改革に繋げる職場環境の整備が求められる奥深さも共感した。経営層の意識改革と内部通報制度の強化が重要で、現場との対話を重視した信頼関係を築くことが品質不正の抑制に直結していかなければならない。
 本トークでは、品質不正の構造的課題に対して参加者一同から多角的な視点から議論が行われ、各知見は経験談に富むものであり、今後の品質モラルに向き合う為の多くの学びを得る貴重な機会となった。

平社 健作(日本精工(株))

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