第144回クオリティトークルポ
DN7を活用したデータ駆動型品質管理とアジャイル改善の実践
2024年12月10日のクオリティトークでは、株式会社デンソーの吉野 睦 氏と今村 凌大 氏から、「DN7」の現在地をお聞きしました。
工場のIoT化の進展で、膨大な工程データが蓄積されています。株式会社デンソーが開発したDN7は、現場がこれらのビッグデータを品質管理に活用するためのデジタル版QC七つ道具です。2021年から使用開始、その後、インド、ベトナムで使用されています。2022年にはGitHubで無償公開され、世界中でダウンロードされているそうです。
今回は二つのDN7活用事例が紹介されました。一つ目は、スーパーマーケットのPOSデータで稼働率が低下する時間帯を特定し、顧客データ分析から効果的な販促施策を決めた事例でした。
二つ目は、ディーゼルサプライポンプの工程内不良の改善です。DN7で100万点を超える工程内データを分析した結果、短時間で原因を特定し改善、目標NG率を達成しました。従来の方法では原因特定まで1,500時間が見込まれましたが、20時間で目標達成できました。
迅速さの鍵は、OODAループとラテラルシンキングで対象を絞り込み、PDCAとロジカルシンキングで改善する、というアプローチにあるそうです。DN7での改善は、仮説をデータで検証するのではなくデータを見て仮説を発見する、グラフは「まとめる」のではなく「読み解く」もの、になります。
質疑応答では、技術者は1時間程度の研修で使い始める、センサーやFTA・FMEAの対象を選ぶのは経験や勘も大事、QCサークルで事例ができ始めている、など実用フェーズに関心が集まりました。
DN7は、プログラミングスキルがなくてもビッグデータを扱えるので、作業者の改善意欲を高め、QCサークルや未然防止活動などで活用されることが期待されています。QRコードと同じ理念で無償公開されている点も印象的でした。
※DN7(Digital Native Quality Control 7 Tools)の詳細は、Analysis Platform+DN7(https://sites.google.com/view/analysisplatform-dn7/)で検索
佐々木 聡美(プラクティカ・ソリューションズ)
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