第143回クオリティトークルポ
サービスエクセレンス規格をどう使うか
2024年10月22日(火)に第143回クオリティトークがオンラインで開催された。「サービスエクセレンス規格をどう使うか~マインドセット変革と現状分析(危機感の醸成・萌芽的ビジネス活動の特定)~」をテーマに、東京大学総括プロジェクト機構の水流聡子先生にご講演いただいた。
本トークでは、サービスエクセレンス規格の紹介だけでなく、サービスエクセレンスの初歩的な知識や日本型標準加速化モデルなどの解説があり、さまざまな内容が凝縮されていた。
サービスエクセレンスを一言で言い表すと、顧客の期待を超える強い感情である「カスタマーデライト」につながる卓越した顧客体験を実現する「エクセレントサービス」を一貫して提供するためには、「サービスエクセレンス」という組織能力を必要とする、ということである。顧客満足度だけでなく、カスタマーデライトを含めて考えていかないと、顧客ロイヤルティを生み出すことができず、中長期的な成功に結びつかないということである。カスタマーデライトの議論にて狩野モデルの魅力的品質が引用されているが、議論の根底にあるのは「おもてなし文化」に代表される日本が長年培ってきた考え方である。そのように考えると、欧米の企業より日本の企業が積極的にサービスエクセレンス規格に取り組むべきではないかと感じた。
また、組織を変革するためのアプローチでは、ジョン・P・コッターの変革の8段階プロセスに基づいて説明された。組織能力を構築するためには、マインドセットを変革することを必要とするが、最初に危機感の醸成からはじまる。変革主導チームを築き、ビジョンと戦略を生み出し、短期的な成果を実現する。その成果を活かして、さらなる変革を推進する。以上の段階を順に進めることが重要である。
サービス業に限らず、さまざまな産業界の方々がサービスエクセレンスに関心をもって本トークに参加していたことには大変驚かされた。
佐々木 一仁(インフォコム(株))
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