第140回クオリティトークルポ
トヨタ流DXを支える心理的安全性と仕事のスピードアップを実現する2つのカタ

 仕事帰りの高崎線はいつもより賑やかだったが、私はある本に夢中になっていた。「トヨタ流DXを支える心理的安全性と仕事のスピードアップを実現する2つのカタ」。私は幸運にも第140回クオリティトーク(4月26日)で、本作著者の藤原慎太郎先生とトヨタ自動車デジタル変革推進室の島田悟さんの講演を拝聴する機会を得た。
 DXにはなぜ心理的安全性が重要なのか、大変興味深い内容だった。
 トークの前半では、島田悟さんが「トヨタらしい」デジタル化の定義と、その土台である心理的安全性の推進事例を紹介してくださった。大変革の時代を生きるトヨタの使命である「幸せの量産」、そのDNAである「産業報国」、トヨタのデジタルジャーニーには「トヨタらしさ」が貫かれていた。その基盤となるのが心理的安全性をはじめとする職場風土や働き方だ。変化が激しい現代では、「アジャイルな働き方」、「話やすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」といった心理的安全性の要素が必要不可欠だ。「心安ショートムービー」や「心安ドロップス」など、ユニークで印象的な取り組みも紹介された。さらに「お道具箱」の無償公開には、まさに「産業報国」の精神が表れていると感じた。
 後半では、藤原慎太郎先生が「2つのカタ」を紹介してくださった。“そもそも目的ってなんだったっけ”という問いかけは、私もよく使っていたが、受け手を不安にさせるよりも“知恵比べ”の方が勝っていたことに気づかされた。「ものの言いカタ」を変えないといけないと認識した。また、「仕事の進めカタ」では、仕事を上手に進めるための考え方や手順、それらを見える化した思考ツールが多数紹介された。早速、著書を熟読して「アンケート設計のポイント」をチームで実践した。“アンケート結果の活用イメージ”を十分に膨らませた上で設計に着手したことにより、質の高いアンケートが設計でき、かつチームのコミュニケーションも円滑に行えた。これからは、チームでオリジナルの「カタ」作成にも挑戦しようと思う。

呉 天旭((株)資生堂)

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