第139回クオリティトークルポ
統計解析アプリを使って少し楽に行う信頼性データ解析

 2024年2月27日(火)に第139回クオリティトーク(東日本)がオンライン開催された。「統計解析アプリを使って少し楽に行う信頼性データ解析」をテーマに遠藤幸一先生(電気通信大学)にご講演をいただいた。
 信頼性データとは、故障や寿命に関するデータのことであり、その単位は「時間」であることが多い。こういった信頼性データを解析する代表的な方法にワイブル解析がある。ワイブル解析を行うことによって、初期故障、偶発故障、摩耗故障など故障の型を判定したり、平均寿命を推定したり、ある時間における信頼度や故障確率を予測したりすることができる。このように多くの有用な情報が得られるワイブル解析ではあるが、伝統的には「ワイブル確率紙」にデータをプロットして行う方法が採用されてきた。現在でもワイブル確率紙を使っている方は多いと思うが、パソコン全盛となった今はエクセルなどでワイブル解析を実施している方が増えてきていると推察する。しかし、ワイブル確率紙やエクセルを使った解析では、ワイブルプロットに直線を当てはめようとしたときに、「直線が折れ曲がる」とか「頭(こうべ)を垂れる曲線になった」ようなときに、その後の対応に苦慮することがある。そのような場面でさらに解析の歩を進めてくれるのが統計解析ソフトウエアである。今回のトークでは、主にSAS社のJMPという統計解析ソフトウエアを使った事例が紹介された。もちろんの解析の裏側にある原理は勉強して知っていなければならないのだが、同ソフトウエアを使って高度な解析を(少し楽に?)行えることは誠に魅力的である。ソフトウエアの操作も直感的で簡単に行える印象を受けた。信頼性の技術者にとっては非常に有用なツールになると思われる。興味を持たれた方は、講師らが執筆した書籍:JMPによる信頼性工学、日本規格協会(2022)を参照されたい。
 講演後の質疑応答や意見交換も活発に行われ、大変に有意義な講演会であった。

越水 重臣(東京都立産業技術大学院大学)

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