第129回クオリティトークルポ
生産管理と品質管理

 2022年7月8日(金)の夕暮れ時に第129回クオリティトークがリモートで開催されました。今回は玉川大学経済学部の木内正光准教授をお招きして、首記のタイトルで講演していただきました。
 はじめに、生産管理方式のこれまでの移り変わりについて歴史を易しく紐解いていただきました。フォード生産方式に代表される大量生産時代に生産管理で最も大切な指標である標準時間の概念が導入されています。続いて多品種生産時代に入り、部品の共通化、ジョブショップ、シングル段取りなどの様々な工夫が施されるとともに、MRPやERPに代表されるように計画系で早くからデジタル化がなされています。そして、昨今の多品種+短納期生産時代になり、新製品の投入や設計変更などの何らかの変化が品質管理を難しくしています。
 続いて、製品設計から生産に至るライフサイクルの中で生産管理と品質管理の関わり方について紹介いただきました。品質は設計段階で作り込むことが大切で、品質機能展開や品質工学に代表される技術が広く活用されています。一方、生産管理は設計が完了する辺りから本格的に検討されることが多いようです。
 生産管理と品質管理のそれぞれの分野で発展してきて、双方に役立つ見える化技術として、製品工程分析と特性要因図を挙げられていました。製品工程分析を描いて、製品の完成からさかのぼって眺めることで、不良を後工程に流さないことの大切さがわかります。また、特性要因図を描くことで、製品の品質だけではなく、生産のボトルネック工程を把握できます。
 質疑応答では、KPIについて議論が白熱しました。生産管理では納期遵守率が大切なKPIです。しかし、在庫を持てば納期を守れてしまうため、一筋縄では解決できない課題が潜んでいるようです。
 最後に、受講者アンケートの結果、過半数が自宅から参加されているようで、品質管理に携わる我々のライフスタイルの変化を感じました。

小野 眞(日立金属(株))

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