会長就任にあたって
中央大学 教授 中條武志
この度会長(第42年度)に就任するにあたりご挨拶申し上げます。
日本の企業・組織は、ニーズの多様化、発展途上国の躍進、金融市場の影響、社会システムの複雑化など多くの課題に直面しています。品質管理は、顧客ニーズに合った製品・サービスの提供と自組織のシーズ(技術・人など)の活用・革新によって新たな顧客価値を創造することをねらいに、変化に対応できる組織をつくりあげる方法論です。変化の激しい現在では、従来にも増してその実践が強く求められています。
他方、品質管理の実践には、顧客・社会の潜在ニーズがわからない、複数の部門・組織の連携が求められる、全員が標準通り行動する必要があるなど、本質的な難しさがあります。従来からも、これらの難しさを克服するための方法論の研究開発と実践が継続的に行われてきました。現在われわれが利用できる原則・仕組み・手法などは数え上げたらきりがありません。
しかし、日本の企業・組織が直面している課題と利用できる方法論を比べてみると、まだまだ、不足している部分が多くあります。
このような中、品質管理学会としては、品質管理のための新たな方法の研究開発と実践、これらを支えることのできる、品質管理に関する深い知識と熱い情熱をもった専門家の育成に力を入れていくことが大切と考えます。このため、第Ⅲ期中期計画では、「Qの確保」「Qの展開」「Qの創造」の3つの重点研究開発・実践領域と、専門家の育成に焦点を当てた「共通」領域を定めています。
日本品質管理学会の状況は決して容易ではありませんが、その社会的な使命・役割を果たすべく、第Ⅲ期中期計画の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。会員をはじめ、関連各位のより一層の参画とお力添えをお願い申し上げます。