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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2015年8月 No.342

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■トピックス:会員アンケートのお願い
■私の提言:“何となく”の見える化と官能評価
・PDF版はこちらをクリックしてください →news342.pdf

トピックス
会員アンケートのお願い

広報委員会委員長 兼子 毅

 日本品質管理学会理事会では大久保会長、末岡・椿両副会長のもと、2020年に向けた長期計画を立案すべく、長期計画検討ワーキング・グループを立ち上げ、今後の学会のあるべき姿について議論を重ねてきました。約半年にわたり集中的に会合を持ち、2020年における学会のあるべき姿を実現するためのアクションプラン原案が完成しました。このアクションプランを実行に移すためには、日本品質管理学会「だけ」では不可能で、関係する組織や企業などとの幅広い連携や調整が必要となります。現在精力的に関係各所との調整が行われています。

2千数百名 VS 28万人
 長期計画検討の中で、学会の広報体制に関しても議論がありました。学会の正会員数は現在2千数百名、賛助会員企業・組織は約160ですが、たとえば本学会が認定している品質管理検定(QC検定)では累積合格者が28万人に届こうとしています。少なくとも、業務で「品質」や「品質管理」を重要だと考え、それらに関する知識の評価を欲している人たちの人数に対して、学会に参加している人はわずか数%に過ぎないということになります。さらに、製品やサービスの「質」を受け取る顧客まで考えると、学会のカバレッジは極めて小さいと言わざるを得ません。
 このような議論の中で、本学会はもっと「非会員」への広報を充実させていくべきではないか、という話になってきました。学会のメンバーに対しては、いままでも、このような講演会やシンポジウムを開催します、など、学会の行っている活動に即した広報が行われています。しかしながら非会員の場合、学会の行事参加などに興味を持っていただける場合もあるのでしょうが、多くの場合は「品質」や「品質管理」、あるいは「品質管理活動の推進」などに関する悩みや疑問、最新の動向などに興味があるのではないでしょうか。それらのいくつかは、学会での活動から最新の情報が得られる場合もあります。たとえば日本科学技術連盟や日本規格協会など、品質管理と深いかかわりのある他法人、他団体から得られるかもしれません。

Webアンケートのお願い(拡散希望)
 そこで会員の皆様にアンケートのお願いです。「品質」や「品質管理」、あるいは「品質管理活動の推進」などに携わっている方として、常日頃、どのような情報を得たいとお考えでしょうか。本来であれば、広く「非会員」も含めてアンケートを実施したいところですが、まずは会員の皆様にお願いいたします。2015年8月20日ごろに、学会のメールニュースにて「アンケートのお願い」を送付いたします。当該メールニュースにURLを記載してありますので、クリックしていただき、アンケートにご回答いただきますようお願いいたします。メールニュースの配信は基本的には本学会の会員や行事参加者ですが、アンケートにはどなたでもお答えいただけます。メールニュースを受け取りましたら、同僚の方や取引先の方などにご転送いただけると幸いです。このアンケート結果の集計をもとに、現在の学会Webページのリニューアル、及び、「品質」にかかわるポータルサイトとなるべく改善を続けていきたいと考えています。

品質や品質管理にかかわる人たちのための会
 日本品質管理学会という名称は、もともと「日本(における)品質管理学(樹立を目指す人たちの)会」であったはずなのに、いつの間にか「学会」という言葉が独り歩きし、何となく近寄りがたいイメージを持たれてしまっていると思います。学会の英語名称は「Society」ですが、共通の目的や利害を持つ個人が自分の意志で参加する会、というような意味です。私たちは、品質や品質管理にかかわる人たちを、何らかの形で緩やかに組織化していく必要性や重要性を感じています。今回のアンケートは、そのきっかけとなるものです。ぜひとも多くの方のご協力をお願いします。


私の提言
“何となく”の見える化と官能評価

 
金沢工業大学感動デザイン工学研究所 神宮 英夫

 官能評価(sensory evaluation)は、原材料の受け入れ検査と製品の出荷検査として、品質管理の一部を担ってきた。さらに、センサー開発や工程の縮減など、その役割は多岐にわたっている。最近では、ものづくりの源流部分におけるコンセプトの特定など、大きく活用範囲が広がっている。
 しかし、基本的には言葉を介して評価が行われるため、特に源流部分での活用に際しては限界がある。言語化できる側面しか、官能評価では明らかにすることができない。したがって、他社との差別化を図って、新たなものづくりの手がかりを得ることはなかなか難しい。
 製品の使用者は、常に品質要素を意識して言語化できているわけではない。“何となく”その良さを感じて、購入したり、企業イメージを形成したりしている。この“何となく”が見える化できて、品質要素に繋げることができれば、他社とは違うものづくりの可能性が出てくる。
 言葉のような顕在的な側面ではなく、この“何となく”は、本人も気がつかない潜在的な側面の影響を受けている。この潜在性を見える化するために、従来は、生理機能や脳機能の測定が行われてきた。しかし、測定に際しての身体的拘束や高価な機器など、多くの問題を含んでいる。はたして、限定された状況で測定された生理・脳機能測定の結果が、信頼できるものとなっているのであろうか。
 もしも、言葉を介した官能評価結果の解析や評価実験状況を工夫することで、“何となく”の見える化ができ、品質に繋げることができれば、官能評価の可能性がさらに大きく広がることになる。
 このような考えのもとで、官能評価結果をグラフィカルモデリングでの解析からキー品質を特定して、ローストビーフのリニューアルや若者向けのカップ酒の開発を行ってきた。また、味の記憶実験を工夫して、「記憶に残るサイダー」の開発、さらに、共分散構造分析を使用して、化粧品の高級感を解明して、品質提案を行ってきた。
 今後も、“何となく”の見える化によって、他とは違う製品開発の可能性を追求していきたい。

 


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