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JSQCニューズ 2015年 2月 No.338

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■トピックス:英文電子ジャーナルTotal Quality Science発刊
■私の提言:ISO9001の改訂を機に、QMSの有効活用を改めて考える
・PDF版はこちらをクリックしてください →news338.pdf

トピックス
英文電子ジャーナルTotal Quality Science発刊

筑波大学 山田 秀

1.発刊のねらいと掲載プラットフォーム
 2015年に日本品質管理学会から、英文電子ジャーナル「Total Quality Science」を発刊する。この英文電子ジャーナルでは、Asian Network for Quality(ANQ)の年次総会(congress)における優れた研究発表をもとに、加筆、修正、審査を経たものを、論文として掲載する。品質管理に関する理論、実践例などの積極的な海外発信の機会となることを期待している。
 本誌は、独立行政法人科学技術振興機構(Japan Science and Technology Information Agency)が提供している総合電子ジャーナルプラットフォームであるJ-STAGEに掲載する。このプラットフォームには、様々な分野の国内の和文誌、英文誌が掲載されている。2014年12月現在、和文、英文合わせて1800を超える雑誌が掲載されている。Total Quality Science誌の表紙は下のとおりである。

2.ANQ総会との連携
 
ANQ年次総会は、2002年から開催されていて、JSQCから毎年40〜50件程度の発表がされている。これらの発表には、有益な論文が多数含まれている。それらは、会議参加者にCD-ROMとして配布されるにとどまっており、国際発信の上で大きな損失である。そこで2013年9月に、科学研究費国際情報発信強化(B)に、「総合的品質管理の理論・実践に関する学術的論文の電子ジャーナルによる発信」という課題で採択された。発刊の初期費用は、この科学研究費に支えていただいている。

3.Total Quality Scienceへの掲載と発行予定
 従来のANQでの発表申し込み、審査手続きは次の(1)から(5)である。
(1) ANQ総会発表申込み。A4で2ページまでの要旨を提出
  (2) 要旨の審査による順位付け
  (3) 審査通過者(口頭、ポスター)によるフルペーパー提出
  (4) フルペーパーの審査による順位づけ
  (5) 優秀賞の表彰
 Total Quality Scienceへの掲載に向け、(6)から(10)を追加している。
  (6) フルペーパー評価上位者に投稿の呼びかけ
  (7) 著者による改訂稿の提出
  (8) 複数の審査者による改訂稿の審査
  (9) 著者による審査意見に基づく改訂
  (10) 十分な対応ができたものを掲載
 従来の(1)から(5)で上位に評価された発表の中で、発表時の討論などをもとに投稿された論文に対し、(6)から(10)で複数の査読者による審査を実施し、掲載を決定する。
 Total Quality Scienceの第1巻は、2015年4月頃に発刊予定である。これは、2014年8月にシンガポールで開催されたANQ総会での研究発表に対し、(6)から(10)を導入している。
 また2015年に台北で開催されるANQ総会からは、上記の(1)から(10)について電子投稿管理システム
 http://www.jsqc.org/q/news/events/index.html#h270922
 により論文の受付け、審査をする。電子投稿管理システムは2015年2月9日から運用開始予定である。ANQ Congress2015 Taipei での発表申込みは、このシステムからのみ受け付ける。
 品質管理の理論と実践の国際発信を促進するべく、積極的な発表申込み、投稿をお待ちしています。

私の提言
ISO9001の改訂を機に、QMSの有効活用を改めて考える

 
(独)製品評価技術基盤機構 認定センター 客員調査員 住本 守

 ISO9001が本年秋に改訂される見通しです。今回の改訂の特徴は、マネジメントシステム規格に共通の上部構造及びテキストをベースにしていることです。このため、従来のISO9001では省略されていた考慮事項が要求事項として、例えば、箇条4の「組織の状況」で、品質マネジメントシステム(QMS)の組織の能力に影響する内部及び外部の課題を明確にし、箇条6の「品質マネジメントシステムに関する計画」でこれらの課題を考慮するなど、明確に表現されています。要求事項の内容が大きく変わった訳ではないので、認証維持にしか興味のない組織にとっては、何が変わったか判り難くなっており、「大きく変わった」いや「変わっていない」と意見が分かれている所です。一方、品質パフォーマンスを向上するためにQMSを構築した組織では、QMSの有効活用を今回改定の明確なメッセージと受け止め、組織が自身で構築するQMSの目的を再確認し、構築したQMSをお飾りではなく、実際の業務プロセスに確実に展開することにより有効活用を促進する好機と捉えています。
 ISO9001は、顧客満足を促進するためのフレームワーク(What)を提供しており、提示されたフレームワークの下でどのような活動を行うか(How)については規定していません。ISO 9001の有効活用を真剣に考えるならば、どのような活動を展開するかを問う必要があります。ISO9001と違ってTQMは、組織がその企業形態や経営環境に適したQMSを実践するための方法論を示しています。TQMの活動要素である方針管理、日常管理、プロセス保証などは、QMSの基盤の構築に不可欠な内容を網羅しており、ISO9001に基づき構築されたQMSの有効活用を改めて考える際には、これらTQMの活動要素を取り入れるのが最適と思います。特に、よく耳にするQMSを構築しても、重要な部分が曖昧であったり、決められた通り仕事が行われなかったりすることで問題が多発する組織では、日常管理の徹底が重要です。具体的にどうするかは2013年5月に制定したJSQC Std 32-001「日常管理の指針」を参考にすることをお勧めします。


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