平成26年11月20日、21日の2日間にわたり、第20回品質機能展開シンポジウムが旧日科技連本部(千駄ヶ谷)にて開催された。20日に行われたチュートリアルセッションには約50名の参加者、21日のシンポジウムには120名の参加があった。品質管理の中でもかなり限定された分野のシンポジウムであるにもかかわらず、実に多くの参加者があったことからQFDに対する関心の高さをうかがうことができる。
20日のチュートリアルは城西大学の木内正光氏による「QFD早わかり」と玉川大学の大藤正氏による「QFDの今までとこれから」というテーマで講演が行われた。前者は初学者にとって理解が難しいと思われる事項についてQFDの原理・原則を用いながら平易な解説が行われ、後者はQFDの歴史を踏まえながらQFDの考え方および今後のQFDに求められる事項が解説され、参加者はシンポジウムに向けての知識共有を行うことができた。
21日のシンポジウムは表に示すように1件の特別講演と6件の講演が行われた。近年では非常に珍しくQFD実践事例の報告が中心であり、多くの参加者が関心を抱いたのではないかと考えている。6件の事例講演を聞いての私見であるが、全ての事例がQFDと他の管理技法を融合させながら問題解決を図っていることが共通していた。例えばQFDと多変量解析または実験計画法を融合させながら開発の知見を得る報告、非常に少ないメンバーでQFDに取り組む際の工夫に関する報告、VOC解析にテキストマイニングを用いてQFDと結合するアプローチ、QFDとTRIZおよび品質工学を活用した製品開発、データベース情報を利用しながらのQFDの検証方法、さらには信頼性手法とQFDの組み合わせによる品質確保の事例など、多岐にわたる事例が紹介された。
QFDは二元表を用いながら開発情報を整理する方法論であると端的に表現できるが、情報を整理しただけでは問題および課題に対する解決策を得ることは難しい。つまり、他のツールを併用することが必要となるが、今回のシンポジウムではQFDが様々なツールと結合可能であることが示されており、ますますQFDの可能性を見出すことが可能であった。
最後に、本年9月に開催されたQFDの国際シンポジウム(トルコ・イスタンブール)も第20回の節目を迎えており、今回の国内シンポジウムも偶然に20回目の開催であった。記念すべきシンポジウムが盛大に行われたことに喜びを感じると共に、企画委員の方々やシンポジウムの運営を行った事務局に感謝を申し上げたい。