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JSQCニューズ 2014年 5月 No.332

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■トピックス:JISマーク表示制度の現状と課題
■私の提言:諏訪のものづくりの文脈と教育特区に学ぶ
・PDF版はこちらをクリックしてください →news332.pdf

トピックス
JISマーク表示制度の現状と課題

経済産業省産業技術環境局基準認証ユニットJISマーク認証業務室室長補佐 佐野 浩一

 JISマーク表示制度は、昭和24年の工業標準化法制定以来、60年以上の歴史をもち、我が国の鉱工業製品の品質向上に多大な貢献を果たしてきました。国の規制改革等に伴う民間活力の一層の活用とグローバル化の進展に伴う適合性評価制度の国際整合化といった観点から、JISマークのデザインを含む抜本的な制度改正が行われ、平成17年10月1日よりJISマーク表示制度が生まれ変わり、3年の旧JISマーク表示制度の経過措置が終了して5年が経過しました。現行JISマーク表示制度も総認証件数が9000件弱の安定した水準で推移しており(図1参照)、国内外で幅広く活用されています。今後ともJISマーク制度を我が国の製品認証制度の重要な柱として維持、発展させていくためにはその信頼性確保と普及が重要です。
 信頼性確保のためには、JISマーク認証事業者自身の品質管理体制の維持・向上への取り組みはもちろんですが、これを認証する登録認証機関の審査業務等が適確・厳密に実施され表示違反等が生じないよう管理・監督することが大切です(図2参照)。
 普及面については、主に事業者を対象としてJISマーク制度のあらましや制度運営の現状を理解していただくため全国11箇所でセミナーを開催し、また、一般の方を対象に子ども霞が関見学デーでJISマークの紹介をしています。さらに、国の調達基準へのJISマーク活用を促進する観点からグリーン購入法の調達基準へのJIS活用を精力的に働きかけるなどの取り組みを実施しているところです(JISを活用している品目は全267品目中76品目(活用率28%)、公共工事分野での活用率は相対的に高い(36%)。図3参照)。今後は、最新のJIS整備状況を踏まえつつ調達基準へのJIS活用の可能性を検証し、JISの活用が適当と判断された場合には、具体的な基準改定案を作成して提案を行うなど引き続き取り組みたいと考えています。
 基準認証政策全体の動きについては、我が国産業競争力強化の観点から、我が国製造業に強みがある高機能材料や製品などの分野で、高機能化JISの整備に向けて取り組みが進められているところです。今後、建築免震用積層ゴム、コンクリート混合用高機能繊維などの各種高機能材料、高品質LED照明などが検討され整備される予定です。JISマーク制度についても、こうした新たなJIS整備の成果が適確に市場で展開されるようユーザーにわかりやすく伝える表示方法などの検討も含め制度運営に努めてまいりたいと考えています。

 
図1 認証契約件数の推移
図1 認証契約件数の推移
図3.グリーン購入法特定調達基準におけるJISの活用状況
図3.グリーン購入法特定調達基準におけるJISの活用状況
     
図2 制度の信頼性の確保の仕組み
図2 制度の信頼性の確保の仕組み
   

私の提言
諏訪のものづくりの文脈と教育特区に学ぶ

 
諏訪東京理科大学 経営情報学部 奥原 正夫

 私が勤めます諏訪東京理科大学は茅野市にあります。諏訪は岡谷市、諏訪市、下諏訪町が諏訪湖を囲むように、八ヶ岳西麓には茅野市、富士見町、原村が広がる人口20万人程度の圏域です。八ヶ岳西麓は旧石器時代から縄文時代にかけてものづくりが盛んで人口も相当数居たようです。これは八ヶ岳や霧ヶ峰周辺で産出された黒曜石が非常に良質であり、東日本内で流通し生活が潤っていたことによるもので、遠くは三内丸山遺跡から霧ヶ峰産の黒曜石を使った石器が出土しているとのことです。
 時代が下がって、江戸時代から生糸の製造が行われていましたが、明治に入ると殖産興業としての製糸業が盛んになり、官営の富岡製糸場に負けじと岡谷の製糸家が洋式器械製糸技術を導入し諏訪湖周辺に製糸工場を広げ、昭和初期の全盛期には生糸の全国生産量の25%を占め、外貨の半分を獲得していたようです。人絹の普及や第二次世界大戦によって製糸業は規模が縮小してしまいましたが、大戦中に多くの工場が諏訪湖周辺に疎開し、終戦後も多くの疎開工場が残って精密工業の礎となり、諏訪は東洋のスイスと呼ばれる精密工業の一大集積地となりました。
 諏訪市では、平成15年から地域密着型キャリア教育としてものづくり教育を進めています。20年度には教育特区を受け、「相手意識に立つものづくり科」を正式な授業科目として市内全小中学校に導入しています。この教科は、お客様の立場に立ったものづくりの気持ちを基礎として、商品開発の実際や、協力会社での見学や実習を通してものづくりへの興味や関心を高め、基本的な技能習得も狙いとしています。さらには「相手意識に立つ」ことで人を大切にする心や、ものづくりの歴史を学ぶことによる郷土を愛する心の醸成も狙いとしています。
 これからの日本の製造業が抱える大きな問題として少子高齢化に伴う生産人口の減少が考えられます。これに対応するためか、政府は技能労働者を受け入れる外国人技能実習制度の滞在期間を延長する考えを持っているようですが、重要なのは労働力の量ではなく、質ではないかと考えます。諏訪の取組のように早い時期から「ものづくり」の意義や文化を教えることが時間はかかりますが質の高い労働力の用意につながるのではないでしょうか。


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