JSQC 一般社団法人日本品質管理学会
HOMEENGLISH 入会案内 お知らせ 記録・報告 定期刊行物 論文・記事募集 関連情報 リンク コミュニケーション・メーリングリスト
学会誌「品質」
JSQCニューズ
Copyright (c); 2001 JSQC

JSQCニューズ 2013年 3月 No.323

ニューズ・トピックスの一覧へ戻る
■トピックス:職域会員の新設のお知らせ
■私の提言:質の時制(Tense of Quality)
・PDF版はこちらをクリックしてください →news323.pdf

トピックス
職域会員の新設のお知らせ

会員サービス委員会 委員長 渡辺 喜道

 当学会の目的は、品質管理に関する研究開発と実践、会員相互間および内外関連機関との連絡提携の場を提供することで、品質管理に関する新たな方法論の開発と深い知識と高い実践力を持った専門家の育成を図り、もって産業・社会の発展に寄与することとされています。これをさらに推し進めるために、第42回通常総会において、新しい会員区分である「職域会員」を設けることが認められました。この会員制度を活用することにより、これを利用する組織が、当学会の持つ有益な品質管理の手法やアジア諸国の品質管理情報などを継続的に活用していくことが可能となります。

 企業・組織の会員資格として、従来は「正会員」(個人による参画)と「賛助会員」(組織による参画)の2種類の会員区分を設けておりました。
 新設された「職域会員」は、組織の職位(品質担当副社長、品質保証部長、TQM推進室長、品質管理課長、品質グループリーダーなど)として、日本品質管理学会に参画することを認めた会員区分です。おそらく、このような制度を認めている学会は、他にはないと思います。実務との密接な連携が重要で、専門家の育成を短期間に行うことが難しい品質管理分野ならではの会員区分と考えております。是非、正会員・賛助会員に加えて、この会員区分をご活用いただき、グローバルな事業競争を生き残るため、組織の中で求められる品質管理専門家の継続的な育成や事故を未然に防止する体制構築にお役立てください。
 職域会員は、団体(大学等の研究・教育機関を除く)の品質管理に関係ある職域に携わる方で「個人が特定できる職名(品質保証部長など)」の方を対象にしています。代議員・役員の被選挙権がない以外は正会員と同等な権利を有します。また、年度内に2回まで会員名・資格の変更ができます。
 費用は、入会金1,000円、年度会費10,000円です。正会員から職域会員になるには、2,000円の差額会費を納めることにより、年度の途中でも資格の変更が可能です。

 職域会員のメリットをまとめると以下となります。
企業・組織の会計処理として会費を収めることができる。
参画メンバーの交代手続きが簡単にできる。
実務との密接な連携を図ることができる。
職位就任と連動して最新の品質管理の知見が向上する。
職位としての継続的な品質手法の獲得や向上が維持される。
組織として、グローバルな品質手法や規制情報などを獲得できる。
 次に、職域会員の活用事例を紹介します。
1) 品質管理に関する業務を担当する人が、業務に必要な専門知識を身につけることができるよう、品質管理部門の主要な職位の人を職域会員とする。
2) 全社的な品質管理活動を牽引できる高い専門能力を持った人を育成するためにその候補となる人を正会員にするとともに、それぞれの部門において品質管理を実践する上で主要な職位にある人を職域会員とすることで、全社的な推進体制を構築する。
3) 品質管理部門の主要な職位の人を職域会員としておき、社会的責務として学会の役員・代議員を引き受ける場合には正会員になる(代わりに当該職位の次期候補者などを職域会員にする)。
4) 学会のシンポジウム・研究発表会等に必要に応じて参加できるよう賛助会員となっているが、特定の職位の人を職域会員としても登録し、継続的に専門知識を身につけ、研究発表や論文投稿ができるようにする。

以上、新しい会員区分である職域会員の概要について、紹介しました。日本品質管理学会に継続的に参画いただくためのひとつの手段として、職域会員の活用をご検討ください

 


私の提言
質の時制(Tense of Quality)

目白大学 経営学研究科 教授 高橋 武則

 質には3つの時制(過去、現在、未来)があります。「検査」はすでに作られたもの(過去の質)を良品・不良品に分けているだけで質を作り込んではいません。「管理」(工程管理)はいま作っているもの(現在の質)なので質を作り込んでいます。しかし、現場がどんなに頑張っても達成できる質には限界があります。何故なら質は基本的に設計の良し悪しに依存するからです。そして、設計とはこれから作るもの(未来の質)の仕様を決定することです。
 日本の品質管理の力点は、これまでの歴史において検査→管理(工程管理)→設計と進んで来ました。これはQC(品質管理)からQM(質経営)への歴史的な流れでもあります。
 未来の質を考える場合には「設計」の他にあと2つのものがあります。それらは「技術開発」と「企画」です。ただし、技術開発は固有技術の守備範囲ですので、QMにとっては技術開発との連携・整合と企画が重要となります。顧客要求から入るNeeds型では企画→技術開発→設計となり、技術開発が先行するSeeds型では技術開発→企画→設計となります。したがって未来の質に属するものはその順番で近未来、中未来、遠未来の3つに分類できます。
 QCの時代は検査に始まり工程管理が進み、過去の質と現在の質がかなり充実しました。これからのQMの時代においては、設計と技術開発との連携・整合と企画が重要になると思われます。
 未来の質といっても、その基盤は現在の質(工程管理)にあります。これらをしっかり固めておかないと、設計のために行った実験のデータがお粗末になり、それに基づく設計自体を誤ることになります。それは、早くは設計が試作で再現しない形で現れ、そこを何とか繕っても、その後の量産で品質保証をすることが困難になります。
 現在の質は未来の質に依って立ちますが、その未来の質は現在の質を基盤としているわけです。これまでの品質管理(現在の質と過去の質)を確実に実行し、そのうえで設計および企画・技術開発(未来の質)との総合的連携を意欲的に取り組むことがこれからの課題と考えます。若い人の研究に期待するとともに、私自身も何とか頑張って研究を続けていきたいと思います。


このページの最上部へニューズ・トピックスの一覧へ戻る

--------The Japanese Society for Quality Control--