昨今起きている企業の品質問題を振り返ると、幅広い分野で‘品質問題’や‘安全・安心を脅かす問題’など、日本の「Qの確保」の基盤が揺ぎつつあるのではないか。
「Qの確保」のためには、ものづくりの現場で、今、何が起こっているのか、現地・現物で確認し、ものづくり現場で役に立つ活動を、産と学で実行ある形で展開することが重要と考える。
このため、中部支部では、2007年度より「実践的Qの確保」をスローガンに掲げて、支部活動を展開している。
この活動の基盤は研究会活動にある。ものづくり現場で役に立つ「仕掛け」や「仕組み」を‘産’と‘学’で研究するためである。
■中部支部の研究会活動と研究発表会
現場に起きている問題提起から、産と学で解決策を、それぞれの研究会で議論し、その成果を研究発表している。
(1)産学連携現地現物研究会 |
◇ |
開発・設計の分野を主体に、企業と大学の先生が一体となり、‘品質確保の新しい手法’や‘活用できる方法論’の確立を研究。 |
(2)東海地区若手研究会 |
(3)北陸地区若手研究会 |
◇ |
東海と北陸、それぞれの企業人と大学研究者が共同で現場の課題を研究し、解決策を追及している。 |
(4)中部医療の質管理研究会 |
◇ |
病院現場の問題を研究し、シンポジウムで研究発表をするとともに、講演などを併催している。 |
これらの研究会では、下部に部会を設けて活動している研究会もあるが、いずれも1回/2〜3ヵ月の頻度で研究会を開催している。
これらの成果については、毎年3、8月の北陸地区研究発表会と8月の中部支部研究発表会などで、学会員以外にも参加を呼びかけ、発表している。
また名古屋工業大学、金沢工業大学では、産学連携製造中核人材育成として、企業のシニア人材活用、ものづくり職場での実践などを取り入れた教育プログラムを用い、社会人と学生が一緒になった実践的工学教育も盛んである。
■シンポジウムの開催
近年のシンポジウムでは、「実践的Qの確保」に繋がるパネル討論を企画してきた。具体的には、‘未然防止の実践活動’‘品質工学との融合’‘源流からの未然防止’など毎年テーマを選んで展開している。
昨今の中部地区の企業環境は、中々閉塞感から抜け出すことができない状況が続いている。支部では、このような環境を踏まえ、より魅力ある活動を展開することが、正会員や賛助会員の増加にも繋がり、学会がより活発化すると考える。このため、昨年より支部テーマを『新たな時代を見据えた、新たな成長力の確保』と置き、学会員以外にも魅力あるテーマを選び、講演会やシンポジウムの開催を通じ、会員以外の人にも学会の魅力を伝えている。
■講演会の開催
毎年1回、支部の方針に沿ったテーマで展開している。昨年から、昨今の企業環境を捉えて、‘企業の持続的成長に向けた品質経営’に関するテーマで講演を企画している。
■事業所見学会の開催
毎年2〜3回、アンケートの見学希望会社を主体に、中部地区の特色ある活動を展開している企業を選び、開催している。
■幹事研修会の開催
これらの活動を展開するため、中部支部では、毎年、22名の幹事を産・学から選出し、幹事会を毎月開催し、行事や研究会の企画・展開を図っている。また幹事のレベルアップのために、2回/年、幹事研修会を実施している。
以上が、中部支部の活動概要であるが、今後とも、産と学の連携により、現場で抱えている問題を掘り起こし、‘SQCの活用’や‘仕組み・仕掛け’の議論を深め、具体的な解決策を発信すると共に、中部支部が品質管理を通じ、社会に貢献できればと考える。