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JSQCニューズ 2011年 2月 No.306

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■トピックス:第1回科学技術教育フォーラムを終えて
■私の提言:QMS再設計のすすめ
・PDF版はこちらをクリックしてください →news306.pdf

■ トピックス
第1回科学技術教育フォーラムを終えて

JSQC TQE委員会委員長 渡辺 美智子

 昨年の12月27日(月)、本学会主催の第1回科学技術教育フォーラムが、日本統計学会、応用統計学会、統計数理研究所の共催と文部科学省、経済産業省をはじめ日本学術会議等の多数の後援・協賛を得て開催された。

 開催直前に毎日新聞で本フォーラムを企画した日本品質管理学会TQE委員会の活動が紹介されたこともあり、会場の成城大学ホールには、朝早くから、関東一円の学校教師をはじめ、科学技術教育に関わる行政官、統計・数学に関する大学関係者、多数の企業の方に加え、教科書出版社、報道関係者など、予想を上回る150名余りが参加し、今回のテーマ「科学技術立国を支える問題解決教育」への関心の高さを伺わせた。
 最初に、鈴木和幸会長より、1)科学技術立国を担う将来の人材育成は、産官学で取り組むべき喫緊の課題であること、2)1980 年代に世界に注目された日本の技術競争力大躍進の背後にあった、統計的問題解決法は、今日、課題解決とイノベーション創造のための21世紀型ソフトスキルとして、海外で企業教育のみならず学校教育の場で早期より体系的に教育され成果を上げていること、3)わが国の産業界が戦後一貫して実践してきた「統計的ものの見方」、とりわけ、統計的発想の基になる“数字”を見る目を学校教育の中で体系的に育成することが求められていること、4)そのため、新学習指導要領で統計教育が必修化されるのを機に、モノづくりの基盤である問題解決の捉え方、考え方とその力の育成方法を産官学の教育関係者および学校現場の教師と共有し、産業界の統計的問題解決教育の実践をこれまで指導してきた当学会が中心となって欧米に負けない教育体系の創造に寄与していくこと、が開催挨拶とともに述べられた。
 その後、午前の部の講演として、今回の指導要領改訂に関わられた文部科学省教科調査官の長尾篤志氏から、統計の内容が必修化された背景と知識習得だけではなく活動を主体とした統計教育が数学科でこれから望まれていることなどが説明された。次に、国立教育政策研究所総括研究官の小倉康氏からは、科学教育の立場からみた統計的推理力育成の必要性と海外での体系化されたカリキュラムや教材例・評価の視点が紹介され、日本の理科教育では現在、この領域が明示的に取り扱われていないことが大きな課題となっていることが指摘された。
  フォーラム午後の部は、TQE委員会メンバーである国立教育政策研究所総括研究官の西村圭一氏の、OECDのPISA調査結果に基づく国際的にみた日本の位置付けと世界の動向、問題解決型教育の必要性と具体的な方策と課題に関する講演から始まり、その後、産業界で行われている「の」の字テスト、紙ヘリコプター実験などを通した問題解決教材の意図と教育的アプローチの視点に関しての本学会前副会長の椿広計教授の講演、創造性と論理性に富む生徒の育成を目指した「アイデア創造の方法に統計的問題解決法の融合」を実現した具体的な教授法に関する神田範明教授の講演、統計的問題解決の企業での実践例に関する日野自動車の瀧沢幸男氏の講演、品質管理七つ道具を使った学校向けQCストーリー教材に関する鈴木和幸会長の講演と続き、最後は、講演者全員によるフロアーも交えてのパネル討論で締めくくられた。
 講演以外にも、昼食時には、文科省、総務省、関連学会、報道関係者とTQEメンバーによるランチミーティングが開かれ、相互の問題意識の確認と次の指導要領改訂に向け、どのような協力体制が望まれているのかなどについての意見交換がなされた。また、フォーラム終了後、企業関係の参加者から、学校教育支援活動への協力の申し出があるなど、今後に続く手ごたえを感じる一日となった。
  産学官およびマスメディアが協働して、科学技術・統計を含む広義の数学の教育振興を進める動きは、STEM(Science,Technology, Engineering and Mathematics)の枠組みで米国などはホワイトハウス主導で行われている。TQE委員会の活動はその最初の一歩である。なお、フォーラムの全体記録やTQE委員会の活動記録は、学会HPのTQE委員会のページに詳細が掲載されているので、是非参照していただきたい。



■私の提言
QMS再設計のすすめ

テクノファ 平林 良人

 「QMS(ISO9001)構築の効果が出ていない」と感じている組織が増えているようである。これにはいろいろな要因が絡んでいると思われる。ある講習会で「本業が忙しくてISOをやっていられない」という声を聞いた。思わず耳を疑ったが、本末転倒なこの嘆きは多くの組織の実態を表しているようである。
 「どのようにすればQMSの効果が出るのか」への答えは、ずばり「効果が出るQMSを構築する」ことに尽きる。何か禅問答のようであるが、QMSは活用する人の「ニーズと期待」に合致すれば必ず効果が出るものである。
 筆者の調査によるとトップマネジメントのQMSに対するニーズと期待は「顧客価値創造の向上」であり、ミドルマネジメントのニーズと期待は「計画通りの業務推進」であった。また、一般従業員のニーズと期待は「仕事が楽になる」ことであった。
 QMSというシステムの中に浸かっている組織全員は、QMSからインセンティブを得ることができるならば、必ずや有効にQMSを活用し、その結果QMSは組織にとって不可欠なものになる。その成果として、組織のプロセスとその結果(提供する製品/サービス)は良好なパフォーマンスを示すことになるであろう。
 ISO9001:2008「序文 0.1一般」には次の記述がある。
「組織における品質マネジメントシステムの設計及び実施は、次の事項によって影響を受ける。
a)組織環境、組織環境の変化など
b)多様なニーズ
c)固有の目標
d)提供する製品
e)用いるプロセス
f)規模及び組織構造」

 現在QMSの効果が出ていないと思う組織は、早急にQMSを再設計すべきである。QMSの再設計は、組織全員の「ニーズと期待」を吟味し、インプット事項に採用することによって従来よりも効果の上がるシステムを構築できる。 特に次の2ステップを推奨する。

(1)QMSへの「ニーズと期待」を調査する。
(2)得られた「ニーズと期待」からQMSへのインプット事項を明確にする。


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