プリウスというクルマ
まだハイブリッドという言葉が一般的ではなかった1993年、21世紀のクルマに何が求められるのかを探る中、初代プリウスの開発が本格化しました。以降、自動車を取り巻く環境は想像をはるかに超えるスピードで変化し、「環境問題」を筆頭に「化石燃料の安定供給」や「都市部のクルマ離れ」等、深刻な課題に直面しています。このような変化の中にあって、プリウスはその環境・燃費性能の高さ、ハイブリッド技術の信頼性で、世界中から絶大な支持をいただき、全世界累計販売台数も120万台を超えることができました。それはまた、プリウスが従来のクルマの価値感である「排気量」「サイズ」「装備の豪華さ」などからいち早く脱却し、「環境に配慮する心地よさ」という新しい価値を提示できた結果でもあります。
3代目プリウスの役割
世の中にハイブリッド車が次々と登場する中、「トヨタ=ハイブリッド」というクルマづくりへの高い評価をより確固たるものとすること。それこそが、3代目プリウスに課せられた大きな使命です。また現時点、トヨタのエントリーハイブリッドモデルとして、より幅広いお客様にプリウスを選んでいただき、トヨタのハイブリッド車を楽しんでいただきたいと考えています。
目指したもの
そのために、プリウスの持つ価値と魅力をさらに高めるべく、すべてにわたる進化を図りました。初代、2代目プリウスが築いてきた「圧倒的ハイブリッド性能」「先進的スタイリング」「時代の先端を行く装備群」。先代の持つこれらの性能・機能を継承しつついっそうの磨きをかけ、さらに車内の広さや使い勝手、運転する楽しみといった「クルマ本来の基本性能」をも向上させることで、プリウスという先駆のハイブリッド車を、ここに大きく飛躍させました。
ハイブリッドシナジードライブの進化・熟成
「圧倒的なハイブリッド性能」と「走る楽しさ」のより高いレベルでの両立を目指し、ハイブリッドシステム全体の90%以上を新開発しました。システムの高効率化に加え、パワーコントロールユニットは、自動車への適用は世界初の直冷方式というパワートランジスタ冷却構造を開発し、約40%の小型化を実現しました。またモーターは、大きな駆動力を発生するリダクションギヤと集中巻線の採用で小型・高出力化を図りました。電池もセル以外はすべて新設計とし、電池システムのコンパクト化をすることでラゲージスペースを約30L拡大しました。これにより、システム全体で約20%の軽量化を実現しています。
エンジンについては、排気量を1.5Lから1.8Lへアップし、性能を上げるとともにエンジンの回転数を下げ、燃費を向上させました。その他にも必要な時に必要な量だけ冷却水を循環させる電動ウォーターポンプをトヨタ初として開発。またExhaust Gas Recirculationシステムも採用し排気ガスの一部を吸気経路に再循環させることでエンジンの燃焼効率を向上させています。
ハイブリッドシステム以外にもデザインアイデア段階からミリ単位で要件をアイデアに織込み、世界トップレベルの空気抵抗係数Cd0.25を実現しました。
このように、進化したハイブリッドシステムと車両全体でのエネルギー効率向上との相乗効果により、ガソリン乗用車世界トップとなる燃費性能38.0km/Lと2.4L車並の動力性能を実現することができました。
クルマの未来を感じていただく
「先駆け」というラテン語由来の名前を冠するプリウスは、将来一般化されるであろう新技術をいち早く開発し、未来的かつ画期的な装備や機能として具現化するというチャレンジに満ちたクルマです。3代目プリウスにおいても世界初となる「タッチトレーサーディスプレイ」や「リモートエアコンシステム」など数々の新装備を開発しました。その名にふさわしく、これからのハイブリッド車の新たな指標となり、さらに多くの方々にお乗りいただける一台となることを確信しています。