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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2007 6月 No.277

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■トピックス:『SQuBOK®ガイド』策定プロジェクトのご紹介
■私の提言:今こそ日本品質管理学会から社会への情報発信を
・PDF版はこちらをクリックしてください →news277.pdf

■ トピックス
  
『ソフトウェアの品質に関する知識体系のガイド−SQuBOK®ガイド』策定プロジェクトのご紹介

SQuBOK®策定部会リーダ(日本アイ・ビー・エム(株)) 岡崎 靖子


 (社)日本品質管理学会・ソフトウェア部会のSQuBOK®(スクボック)研究会は、(財)日本科学技術連盟・SPC委員会と共同で、SQuBOK®策定部会として『ソフトウェアの品質に関する知識体系のガイド(SQuBOK®ガイド:Guide to the Software Quality Body of Knowledge)』を策定しております。このSQuBOK®ガイドの策定についてご紹介致します。

 2005春に飯塚悦功先生(東京大学教授)を委員長とする(財)日本科学技術連盟・SPCステアリング委員会において、ソフトウェアの品質に関する技術全般に対し客観的・網羅的な知識ベースを付与し、現場で品質管理をしている人が読み解けるソフトウェア品質に関する知識体系の必要性が議論され、予備的検討が行われました。そして、ソフトウェアの品質に関する知識体系構造のドラフトと第1版正式版策定までのマイルストーン、および完成後は公表する方針であることが草案として示されました。この草案を受けて同年9月にSQuBOK®策定部会を組織し、SQuBOK®ガイドの策定を開始致しました。現在、当部会には27名の企業の品質に関わる担当者と大学関係者がおり、ボランティアでSQuBOK®ガイドを策定しております。また、大場充先生(広島市立大学)、松尾谷徹先生(デバッグ工学研究所、法政大学)、保田勝通先生(つくば国際大学)(50音順)に顧問として助言をいただいております。
  我々のSQuBOK®ガイド策定の目的は次の5つです。
●品質保証に携わる方の育成に役立つものにする
●ソフトウェア品質に関する日本の暗黙知を形式知化する
●ソフトウェア品質に関する最新のテーマを整理し、体系化する
●ソフトウェア品質技術の認知度向上を図る
●ソフトウェア品質保証プロセスを確立したい組織の助けとなる。
  SQuBOK®ガイドは、わが国のソフトウェア品質界が蓄積してきた有用な“知識”の構造的可視化をめざし、公表されている国内の良い事例も含めることを基本とし、(1)カテゴリ(2)サブカテゴリ(3)知識領域(4)副知識領域(5)トピックスの5層で知識を整理しております。最上位のカテゴリ層は『ソフトウェア品質の基本概念』、『ソフトウェア品質マネジメント』、『ソフトウェア品質技術』の3つに大別し、最初の『ソフトウェア品質の基本概念』カテゴリでは、品質の概念をはじめとする、ソフトウェア品質に関する基本的な概念や考え方を分類しております。次の『ソフトウェア品質マネジメント』カテゴリでは、品質をマネージするためのアクティビティ(諸活動)を分類、最後の『ソフトウェア品質技術』カテゴリでは、メトリクス、および、要求分析から運用・保守の技法に至るまでの具体的な手法を分類しております。SQuBOK®ガイド全体では、約250のソフトウェアの品質に関するテーマを扱っており、各々に簡単な解説文を付与しております。また、国内で入手しやすい和書をできるだけ参照文献・関連文献として紹介するように努めました。
 当部会では2006年4月に一旦成果を第1版α版としてまとめ、有識者の方々にレビューしていただきました。そして、頂戴したコメントを反映しつつ、α版で積み残した内容も盛り込んでβ版を策定しました。なお、SQuBOK®ガイドを短期間で確実に形としていくために、この版はソフトウェア品質のマネジメントや評価に関するものを主に扱い、設計やコーディングなどの作りこみに関するものは次版以降で順次追加していく予定です。
  現在このβ版を一般公開するための最終準備をしているところです。公開の折には、皆様のご指導・ご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。当プロジェクトは第114回シンポジウム(7月3日)でもご紹介をする予定です。詳細は(社)日本品質管理学会のホームページをご覧下さい。

※SQuBOK®は(財)日本科学技術連盟の登録商標です。


■私の提言
  今こそ日本品質管理学会から社会への情報発信を

(財)日本科学技術連盟 小大塚 一郎

 昨年後半ごろから日本企業にも漸く復活の兆しが見えはじめ、明るさが出てきたことは非常に喜ばしいことである。しかしながら、この数年来頻発してきている重大な品質問題は依然として減少していないのが現状である。品質管理活動を普及、推進している日科技連、日本規格協会も同様であるが、世界の品質のリーダーシップをとっているといわれている日本企業がこのような品質問題を起こしているにも拘らず、日本品質管理学会に対して、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等の報道機関から微に入り細に入った取材が少ないのはちょっと寂しい感じがしないでもないのは私ばかりではないと思う。
  2001年には当時の狩野会長がNHKの朝の番組「おはよう日本」に出演し品質危機への提言をされ、当時としては画期的であったが、それも5分間ぐらいであった。
 私の所属する日科技連も昔から“品質管理”という責任の重い事業をしながら、「日科技連は広報活動、営業活動が手薄だ」といわれて久しい。これまで、日科技連の事業については、「その道(品質管理関係者)の人だけ知っていてくれればそれでいい。黒子に徹する」という感じであまりその気になってこなかったのも事実だ。しかし、今はそうはいかなくなった。
 やはり、ここは産学協同、連携を目指している日本品質管理学会が登場して品質管理の基本的見解について情報発信することが最も効果的と思う。まさに昨年から導入した中期計画のQの確保の展開ではないだろうか。それが当学会の役割と思う。そのためには、前にも述べたように新聞、テレビなど報道機関にもっと積極的な広報活動をしてアピールしていった方が好結果を生むのではないかと思う。
 BRICsのうち、少なくともブラジル、インドにおいてはわが国の企業人や一般の人よりもはるかに“TQM”という言葉とその重要性を理解している(最近のブラジルでは定かではないが、少なくともTQCと呼ばれた時代の1980年代後半から90年代初期はそうであった)。デミング賞の挑戦企業を始め、海外の企業が「日本製品に倣え」といっているのに、当の日本人に品質管理の理解をしてもらっていないのは寂しいかぎりである。是非、報道機関を通じて品質管理学会の認知度を高めていけるよう努力していきたいものである。 


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