2005年12月に始まったQC検定。当初は日本規格協会が主催し、これを日本品質管理学会が認定する形でスタートしましたが、第2回目からは日本科学技術連盟も主催者に加わり、日本の品質管理を代表する団体がまさに一丸となって制度の普及にあたっており、この3月には第3回目も実施されました。
全級の受験者数は初回の約3,600名から約10,000名、9,360名と推移しています。3回目は多少減少しましたが、試験間隔が縮まったことが主な原因と思われます。
各級の受験者割合は、
1級5%⇒6%⇒6%、2級23%⇒29%⇒27%、3級41%⇒43%⇒48%、4級32%⇒22%⇒19%と推移しています。品質管理の専門家を対象としている1級の比率に変化が無いのに対して、3級、4級は大きく変化しています。これは初回の試験では確実な級を受験しようとする意識が働いたことと、4級は公式テキストが準備されて受け易かったことが要因と思われます。また、3級の受験者層が一番多いことから、3回目には約5割が受験する結果となりました。
合格率は、初回から2回目ではすべての級でかなり大きく下がりましたが、2〜3回目は特殊要因のあった1級*を除けば、ほぼ同じ合格率となっています。ちなみに第3回の合格率は、1級17%、2級62%、3級72%、4級88%でした。
QC検定は1級〜4級に分かれていますが、その中でも特に普及に力を入れているのが4級、3級です。
昨今、労働形態の多様化が急速に進み、派遣社員に代表される短期雇用社員などの比率が大きくなっていますが、ほとんどの企業ではこれら短期雇用社員に対しては教育を実施しておらず、そのため現場において色々な問題が発生しています。 しかし、企業が短期雇用社員に求めるレベルの知識を習得するのはさほど困難ではなく、簡単なテキスト等を活用して基本的な知識・スキルを独自に学べるレベルと言えます。QC検定としてはこのような人々に品質管理を学んでもらい、その証として4級に合格するという仕組みにより、現場の底上げにつなげたいと考えています。
さらに、大学生や高専生、高校生にも品質管理を学んでもらうことで、将来の社会人の品質意識向上を図ることを考えています。開始当初より工業高校関係に働きかけた結果、昨年7月に工業高校生対象のジュニアマイスター制度の対象資格に位置づけられ、工業高校生の受験が増加しつつあります。
これまでのところ、企業が受験費用を負担していると思われる受験者が8割程度あります。社員教育の一環としてQC検定を活用して頂いていることになりますが、これもQC検定の狙った目的の一つです。
既に数十社において、社内の資格制度にQC検定を取り入れて頂いたり、社内資格と同等のものに位置づけて頂いたりしています。また、ある企業では工場の品質管理体制のレベルを示したり工場間を比較する一つの指標として、「○級が何人、◎級が何人」という形での使用を検討されたりしています。
今後も公益性の高い制度として、透明性、公平性を十分に確保しつつ運営して参りますので、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
*1級は第2回の際に、品質管理士制度を停止するにあたり、QC検定を受験した品質管理士が160名余りあり、その合格率が高かったため、全体の合格率が25%程度となったが、これらの方を除いた合格率は第3回目と同様であった。