(財)日本科学技術連盟主催第83回品質管理シンポジウムが、
11月30日〜12月2日にかけて、紅葉で染まった箱根・小涌園で過去2番目に多い170名の参加を得て開催された。
特別講演1:今後の日本企業が目指す方向性とその課題
奥田 碩氏 ((社)日本経済団体連合会 名誉会長)
世界の動向を例示しながらグローバルな活動の重要性を強調されると共に、
日本人の心のあり方として武士道精神に学ぶべきことと、和の力を最大化するよう説かれた。
さらに、品質を大切にした経営に言及され、トップ自らが現地現物で品質の状況を確認することを強調された。
基調講演:信頼こそ企業価値の原点〜CSRとサーバントリーダーシップの視点から〜
池田守男氏((株)資生堂 相談役)
「モノから心の重視へ」「グローバルとローカルのバランス、調和を目指す」
「近江商人の三方良しという精神に学ぶ、サーバントリーダーシップ」「多様性の尊重と互恵の精神」
など多くのご示唆をいただいた。
講演1:「レクサスブランド」強化の取り組みについて
吉田 健氏(トヨタ自動車(株) 常務役員)
2005年から国内に投入したレクサスブランドについて、ブランドとはお客様との約束として一度約束したことは守る、
ブランドづくりは人づくりであるなど、具体的行動を示しながらご紹介をいただいた。
講演2:コーセルにおけるブランド力(質)向上のための経営
町野利道氏(コーセル(株) 代表取締役社長)
品質至上を核に社会の信頼に応えるため、TQMを中心に据え他の経営手法との関わりを明快にしたうえで、
全社でのプロセス管理の徹底を行うなど、多くの具体事例をご紹介いただいた。
講演3:優しさは心の創造〜モノ作りの心が伝わる“IBIZA”の顧客満足〜
吉田 茂氏((株)イビサ 取締役会長)
お客様が第一、お客様との長いお付き合いを徹底して実践した結果が、
驚異的な購入履歴に結びついているということに驚嘆。さらに、経営品質賞挑戦を通して仕組み化を進めることで
人財育成にもつなげるなどの工夫をご紹介いただいた。
特別講演2:ブランドづくりと人づくり
井巻久一氏(マツダ(株)代表取締役会長 兼 社長(CEO))
歴代の外国人経営トップとの交流を通して、協業には双方に苦労が伴うがそれを乗り越えることで
深い信頼が生まれることを先ずご紹介いただいた。最後には座右の銘とされている「無心ならば大道に帰り着く」
という言葉で講演を終わられた。
2日間にわたった講演終了後は、7つのグループに分かれて夜遅くまでグループ討論を進め、最終日に発表を行った。
ミニ講演:TQMとブランドマネジメント 加藤雄一郎氏(名古屋工業大学助教授)
ブランドマネジメントの専門家としての視点から、TQM活動とブランドマネジメントの融合について熱く語られた。
ブランドとは、顧客との長期的な約束であること。哲学に裏打ちされた組織が、
総合力を持って真の差別化を志向すべきと唱え、TQM活動関係者にも多くの共感を呼んだ。
総合討論の後、主担当組織委員の日野自動車(株)蛇川忠暉会長から、今回のシンポジウムを通して、
いずれの講演も経営は「人間」が主役であることを強く主張されていたこと、我々の「人間性」をTQM経営の課題として
各人が各社に持ち帰り、広く行動に反映させるようまとめがあった。
次回は、2007年5月31日〜6月2日「魅力と安全性・信頼性の実現に向けた新製品開発と品質保証」をテーマに開催が予定されている。是非ご予定おきいただきたい。