今年度は、本学会設立35周年にあたる。
本学会では、これまでに15、20、25、30周年に記念事業を行ってきた。
35周年の記念事業に関しては、事業を実施するか否かを含めて、その内容について34年度の理事会から検討を行ってきた。
その結果、大がかりな記念式典は実施しないこととしたが、貴重な資料である「專本品質管理学会のあゆみ」については、
電子化して継続することにした。
5年ごとの記念事業では、記念事業のための予算を積み立て、主に記念式典やあゆみの作成に使用してきた。
30周年においては、寄付金を集めて品質管理推進功労賞や奨学金制度の立ち上げを行っている。
15周年が最初の記念事業であるが、15年というのは学会が会員数や予算の面で安定してきた段階であり、
社団法人となって10年が経過した時期でもあったので、記念事業を行うにふさわしい時期であったといえるであろう。
あるいは、はじめて記念事業を行える余裕ができたのかもしれない。また、20周年、30周年は10年ごとの節目であり、
25周年は四半世紀という意味合いで、それぞれ記念事業を行う意義がある。では、35周年、45周年、55周年はどうであろうか。
もちろん5年ごとの節目であるが、それほどの重みはないであろう。
また、記念式典の開催やあゆみの発刊には少なからぬ経費がかかる。
それよりも、学会員に対して有益な事業に対して予算を使うべきではないか。
このような議論から、34年度理事会では、今後は10年ごとの節目では記念事業を実施し、
45周年、55周年などでは実施しないという方針を決めた。
これまでの記念事業で、必ず実施したのが記念式典の開催とあゆみの発刊である。
あゆみには、毎回研究・技術のあゆみとして、品質誌や研究発表会で発表された論文のリスト、各賞の受賞者リストを、
歴史として本学会周辺の出来事および社会情勢についての年表を掲載している。論文リストは、
研究者にとって文献データベースとして有用であり、年表は本学会発展の歴史を記録するために貴重である。
5年後の40周年に作成してもよいが、2、3年で交代する理事が運営している状況では、
これらの記録をあらためて10年ごとに洗い出すのは大変である。そこで、研究・技術のあゆみと年表については、
今年度に作成することになった。
5年ごとの記念事業は、経費の面から問題があると述べたが、実は記念事業の経費のうち、
あゆみの発刊がかなりの部分を占める。また、紙媒体で記録を残していくことは、保管も容易でなくメンテナンスもやりにくい。
そこで、紙媒体の冊子による発行はやめて、JSQCホームページにあゆみのページを作成して掲載することにした。
こうすれば、5年ごとではなく毎年更新していくことが可能であるし、会員が検索する際にも容易となる。当然、経費削減にもなる。
内容はこれまでのあゆみを踏襲し、研究・技術のあゆみでは品質誌掲載内容要約、研究会活動報告、
研究発表会・シンポジウム発表テーマ一覧、受賞者リストを、年表にはJSQC、海外のQC関連の動向、
QC関係団体・学会の動向、社会情勢を掲載する予定である。会員の方々には、貴重なデータベースとして活用いただき、
掲載内容等についてご意見をいただければ幸いである。
あゆみを電子化することで、今後は紙媒体の冊子は発刊しない予定である。
一部の会員の方々には、IT環境が十分でなく紙媒体も必要では、という意見もあったが、
既に名簿をCD-ROMで発行しており、その際にも大きな混乱はなかった。
名簿の際の経費削減効果もかなり大きいものがあり、長期にわたってJSQCの会費を据え置くことができているのは、
このような経費削減によるところが大きいということを、会員の方々にはご理解いただきたい。
なお、今回の削減分の使途は現理事会にお任せしているが、品質管理推進功労賞や奨学金など、
記念事業を契機に開始された制度を維持するために活用するのが、予算の主旨からも合っているのではと考えている。