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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2006 9月 No.271

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■トピックス:(社)日本品質管理学会設立35周年記念Webあゆみ
■私の提言:改めて“品質第一”の風土づくりを!− 人財育成と技術・KHの伝承がキー −
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■ トピックス
  (社)日本品質管理学会設立35周年記念Webあゆみ

早稲田大学理工学部 JSQC35周年WGリーダー 棟近 雅彦

 今年度は、本学会設立35周年にあたる。 本学会では、これまでに15、20、25、30周年に記念事業を行ってきた。 35周年の記念事業に関しては、事業を実施するか否かを含めて、その内容について34年度の理事会から検討を行ってきた。 その結果、大がかりな記念式典は実施しないこととしたが、貴重な資料である「專本品質管理学会のあゆみ」については、 電子化して継続することにした。

 5年ごとの記念事業では、記念事業のための予算を積み立て、主に記念式典やあゆみの作成に使用してきた。 30周年においては、寄付金を集めて品質管理推進功労賞や奨学金制度の立ち上げを行っている。

 15周年が最初の記念事業であるが、15年というのは学会が会員数や予算の面で安定してきた段階であり、 社団法人となって10年が経過した時期でもあったので、記念事業を行うにふさわしい時期であったといえるであろう。 あるいは、はじめて記念事業を行える余裕ができたのかもしれない。また、20周年、30周年は10年ごとの節目であり、 25周年は四半世紀という意味合いで、それぞれ記念事業を行う意義がある。では、35周年、45周年、55周年はどうであろうか。 もちろん5年ごとの節目であるが、それほどの重みはないであろう。 また、記念式典の開催やあゆみの発刊には少なからぬ経費がかかる。 それよりも、学会員に対して有益な事業に対して予算を使うべきではないか。 このような議論から、34年度理事会では、今後は10年ごとの節目では記念事業を実施し、 45周年、55周年などでは実施しないという方針を決めた。

 これまでの記念事業で、必ず実施したのが記念式典の開催とあゆみの発刊である。 あゆみには、毎回研究・技術のあゆみとして、品質誌や研究発表会で発表された論文のリスト、各賞の受賞者リストを、 歴史として本学会周辺の出来事および社会情勢についての年表を掲載している。論文リストは、 研究者にとって文献データベースとして有用であり、年表は本学会発展の歴史を記録するために貴重である。 5年後の40周年に作成してもよいが、2、3年で交代する理事が運営している状況では、 これらの記録をあらためて10年ごとに洗い出すのは大変である。そこで、研究・技術のあゆみと年表については、 今年度に作成することになった。

 5年ごとの記念事業は、経費の面から問題があると述べたが、実は記念事業の経費のうち、 あゆみの発刊がかなりの部分を占める。また、紙媒体で記録を残していくことは、保管も容易でなくメンテナンスもやりにくい。 そこで、紙媒体の冊子による発行はやめて、JSQCホームページにあゆみのページを作成して掲載することにした。 こうすれば、5年ごとではなく毎年更新していくことが可能であるし、会員が検索する際にも容易となる。当然、経費削減にもなる。

 内容はこれまでのあゆみを踏襲し、研究・技術のあゆみでは品質誌掲載内容要約、研究会活動報告、 研究発表会・シンポジウム発表テーマ一覧、受賞者リストを、年表にはJSQC、海外のQC関連の動向、 QC関係団体・学会の動向、社会情勢を掲載する予定である。会員の方々には、貴重なデータベースとして活用いただき、 掲載内容等についてご意見をいただければ幸いである。

 あゆみを電子化することで、今後は紙媒体の冊子は発刊しない予定である。 一部の会員の方々には、IT環境が十分でなく紙媒体も必要では、という意見もあったが、 既に名簿をCD-ROMで発行しており、その際にも大きな混乱はなかった。 名簿の際の経費削減効果もかなり大きいものがあり、長期にわたってJSQCの会費を据え置くことができているのは、 このような経費削減によるところが大きいということを、会員の方々にはご理解いただきたい。 なお、今回の削減分の使途は現理事会にお任せしているが、品質管理推進功労賞や奨学金など、 記念事業を契機に開始された制度を維持するために活用するのが、予算の主旨からも合っているのではと考えている。


■ 私の提言 改めて“品質第一”の風土づくりを!
− 人財育成と技術・KHの伝承がキー −

富士ゼロックス梶@釜谷 佳男

 バブル崩壊後低迷してきた経済界もようやく景気回復の兆しが見えてきた。 一方で品質問題や安全問題などで毎日のようにマスコミをにぎわしている。 このようなリコールに結びつくような品質問題、安全問題の背景には  '90年代の効率追及、生産性の向上の弊害が今現れてきているような気がしてならない。 すなわち人財育成や、失敗から学んだことの蓄積・利用の徹底が追従できていないことが要因と考えている。

 '80年代において日本製品の品質が世界一となり、安価(適正な価格)で、入手できるようになった。 その背景には現場に密着した日本的品質管理活動があり、これが“made in JAPAN”の強みだった。 その当時の日本は、トップから第一線の人たちが品質第一を徹底し、品質向上を目指してきた。 培ったK-Hや失敗事例からのナレッジは先輩から後輩へ、標準書や規準書、ナレッジデータベースへ反映され、 積極的に再活用されていたように思う。欧米諸国のトップ、品質関係者がこぞって日本のメーカーにベンチマーキングとして 勉強しにきたころでもある。

 今日、商品は、高性能・多機能化し、製品/部品の標準化の進展や製品開発も高度にシステム化が進み、 開発・生産のプロセスもIT技術の利用により効率化が進み、非常に短い期間/サイクルで商品が開発され、 競争激化の市場の要求にこたえている。しかし、昨今の品質問題や、安全問題を見ると、発売時期を死守せんがために 開発プロセス、生産プロセス、全社システムとして、結果として“品質第一”の優先順位が下がっているような気がしてならない。 わたしは、昨今の品質問題・安全問題は、「Qの確保」という基本的事項の“たが”が緩んできている結果と考える。

 あらためて「Qの確保」のために必要なことは、人財の継続的育成と失敗事例の再活用を確実にす る仕掛け/仕組みの両輪だと考える。又、これらを継続的に進化させるのは、真の“品質第一”の風土作りだと思う。 さらには、開発・生産が国際分業化しても品質保証が機能する仕掛け/仕組みを、効率化と両立させる必要がある。 継続的人財育成と商品開発/生産の仕組みの中に生かせるナレッジマネジメントシステムの構築と運用ができた組織が勝ち組 として残れることになるだろう。


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