JSQC 社団法人日本品質管理学会
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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2006 6月 No.269

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■トピックス:横断型基幹科学技術研究団体連合の取り組みと日本品質管理学会
■私の提言:品質管理(QC)検定制度を活用し、日本の現場力向上を!
・PDF版はこちらをクリックしてください →news269.pdf

■ トピックス
  横断型基幹科学技術研究団体連合の取り組みと日本品質管理学会

理事・東京工業大学大学院 長田 洋

機能を重視した横型科学技術の研鑽を推進する横断型基幹科学技術研究団体連合が2003年に設立されてから、日本品質管理学会は積極的に参画してきた。顧客ニーズの多様化や環境・安全面での意識の高まりに対応し、さらなる活発な交流活動を期待したい。

 日本の製造業の発展を支えてきた「モノづくり」は、現在、多様な顧客ニーズに対応する品質創造、循環型社会を形成する地球環境の保全、社会安全性の確保などさまざまな課題の解決が迫られている。このため、従来の電子技術、機械技術のように自然科学に基礎を置いたいわば縦型科学技術のみならず、品質管理、設計学、シミュレーション、ヒューマンインターフェース、感性工学など、機能を重視した横型科学技術の必要性が高まっている。

 このような背景から横型科学技術を専門とする学会を束ね、協力して上述のような産業界、社会の課題を解決するために横断型基幹科学技術研究団体連合(略称:横幹連合)が2003年4月に設立された(会長:吉川弘之元東大総長)。いわば学会の連合(メタ学会)である。その後、横幹連合は2005年に特定非営利活動法人(NPO法人)に認証され、活動の幅を広げている。

 横幹連合が推進する横型科学技術の特徴は縦型と異なり、単独の製品と直接リンクしていない点であり、「コト」を生み出す科学技術である。このコトつくりには品質事故防止、社会安全システムの確立に見られるように工学以外に社会学、経営学などの社会科学や心理学などの人文科学などからのアプローチも必要になっている。横幹連合は文系の学会も参加し、計43の学会(参加者延べ6万5千人)からなる文理融合型の連合体である。

 わが品質管理学会も横幹連合の設立当初から積極的に参画・貢献し、現在は筆者が理事として参加している。筑波大学・椿教授らによる研究プロジェクト「シミュレーションとSQC」が本連合の協力を得て、品質管理学会所属の研究者以外に横幹連合の他学会の研究者も参加し、共創を推進して大きな成果を上げている。

 また、横幹連合では2年に1回、参加学会の研究者が参加する横幹連合コンファレンスを開催していく予定である。第1回は昨年11月下旬に長野で盛大に開催され、2日間にわたる多くの研究発表と同時に「コトつくり長野宣言」を発表した。並行してコトつくり、横断型科学技術の重要性を総合科学技術会議に提案し、その内容は第3期科学技術基本計画にも反映された。

横幹連合は学術団体が構成メンバーであるが、産業界との交流を活発にし横断型科学技術を産業活動に生かすために「横幹技術協議会」が2004年5月に設立された(会長:桑原洋日立マクセル会長)。

横幹連合は上記のコンファレンス以外にさまざまなシンポジウムやフォーラムを開催し、多くの参加者を得て、最先端の学術、産業上の成果の発表と活発な討論がなされている。最近では「安全安心システム実現への挑戦」をテーマにしたシンポジウムが好評であった。

また、このような事業に加え、地の活用ワークショップ、知の統合委員会など調査研究事業も行っており、横幹連合はまさに横断型科学技術の知的生産・普及の「場」を提供している。

経営に貢献する品質システム、顧客価値の創造、品質事故の防止技術、環境や安全を確保するための社会技術など20年前に比べ、品質管理の対象領域も広がっており、その研究や推進の方法にもイノベーションが求められている。このために、本学会は研究や行事開催などにおいて参加あるいは共催などにより横幹連合を積極的に活用し、発展を図ることを提案する。


■ 品質管理(QC)検定制度を活用し、日本の現場力向上を!

財団法人 日本規格協会 飯塚 敏之
『この度、品質管理学会は、恣本規格協会(以下、規格協会)との共同事業として、品質管理検定制度を開始することにしました。』棟近 前庶務委員長は、2005年5月のJSQCニューズNo.260号トピックスで、本学会が認定したQC検定をこう紹介した。

日本のものづくり現場(産業界)は、近年、品質事故/品質トラブルの顕在化、現場力の低下等に悩まされ、人材育成/技術伝承の重要性等が従来になく強く再認識されている。

日本初のQC検定試験は、このような時期に、JSQC認定/規格協会主催で第1回(2005年12月4日)が実施され、全国で約4,000名の方が受験し、たいへん大きな反響があった。この検定の特徴は、QCに関する知識レベルを“全国同一の基準”で客観的に評価できることで、人事計画/教育計画/採用等での活用が可能である。

第2回(2006年9月3日)からは、主催者に恣本科学技術連盟(以下、日科技連)が加わることになった。「品質管理の総本山」といわれる日科技連が共同運営に参画していただいたことは、たいへん意義のあることで、関係者のご尽力に感謝申し上げる。さらに、多くの関係団体・企業等からも「協賛」をいただいており、幅広い支援の下で本制度が健全に普及していくベースが整いつつある。

現在、本学会では、桜井会長の下で「中期計画(Qの確保/Qの展開/Qの創造)」を策定中であるが、この中で「主催者との連携により、検定制度の定着化/受験者増」がうたわれており、今後、具体的な実行計画が検討される予定 ―例えば検定1級合格者による研究活動の実施、1級の上を意識した活動など― である。この制度はまだスタートしたばかりで、さらに普及/定着させていく上では周辺環境の整備が重要であり、合格者に対するインセンティブ、活躍/活動の場の設定等の取組み、また、対象者をサービス業にも拡大するような試験のあり方の検討も必要である。

第2回は、さらに受験者増が見込まれるため開催地も増やされており、本学会会員を含む、ものづくりに携わる多くの方々が、この検定制度をうまく活用していただき、結果として、日本の現場力向上が図られることを期待している。

(出願期間:6/1(木)−7/7(金) URL:http://www.jsa.or.jp)


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