私は、この2年間、学会誌編集委員会委員長として、指導的立場で活躍中の委員と特集論文執筆者に恵まれて任務を遂行できたことを感謝しています。本委員会では、品質立国日本実現を希求し、それぞれ、品質管理学会の高橋朗前会長と飯塚悦功現会長が提唱した「質創造」と「Q-Japan構想」を核に展開して、『Q-Japan構想』、『ナレジマネジメントの工学的アプローチ』、『産業競争力と国際標準化戦略』、『顧客価値の創造と品質経営』、『海外に学ぶ日本のTQMの課題』、『ものづくりにおける技術の伝承と人材育成』、『医療質安全』、『持続的競争優位を実現する「ものづくりマネジメント技術」』を学会誌『品質』の特集として企画して参りました。会員の皆様方が、特集記事を読み、業務に生かして下さっているものと期待しています。
品質立国日本実現は、日本の経済発展と福祉向上には不可欠であり、品質管理関係者の使命であります。その使命を効果的に遂行するための理論と実践の研究、および啓発と交流の促進を役割とする品質管理学会の基本的課題は、多くの専門家を育み輩出するとともに、役立つ情報を発信することであると思います。
品質管理の専門家輩出のためには、学会誌への論文掲載が増え、もっと多くの人が積極的に論文投稿するようにして、博士号を取得できる状況を創出する必要があります。研究と実務に役立つ情報を発信するためには、会員のニーズを充足する査読論文と特集論文が多く、内容の充実した役に立つ品質誌にしていく必要があります。
また、品質立国日本実現に向けた役割に関与する者はすべて潜在的顧客であるとし、顧客価値の視座から顧客を創造していくのが品質管理学会の社会的使命であります。現在、学会は使命遂行のために行事など積極的な活動を展開していますが、学会誌の特集、研究会・部会の成果、学会主催セミナーのテキストなどを再編集した品質管理学会叢書発刊が計画されています。全国の書店を通じて多くの読者を獲得することを期待しています。叢書は厳しい市場評価にさらされるので、学会活動に適切な緊張感を醸成すると推察します。
しかし、品質管理に対する基本認識が欠如する大学人、企業人および政治家・官僚が多く存在しているのが現実であります。品質管理界にも革新が必要であると感じ、微力ながら行動していく所存であります。