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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2005 5月 No.261

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■トピックス:ICQ ’05−Tokyo「課題」と「場」の提供
■私の提言:若手支援のプログラムを活用しよう
・PDF版はこちらをクリックしてください →news261.pdf

■ トピックス
  ICQ ’05−Tokyo「課題」と「場」の提供

品質国際会議実行委員会 委員長・前田建設工業(株)
取締役名誉会長 前田 又兵衞
品質の進化への「場の提供」である。

来る9月13日から16日にかけて、東京にてICQ(品質国際会議)’05−Tokyoが開催される。1969年に東京で実施した会議を第1回として、今回は第13回目を迎えた。会議は、3年毎に米国・欧州との持ち回りで行われ、日本では9年ぶりの開催になる。世界の品質に関するエキスパートと経済界の代表者が一堂に集う絶好の機会を最大に活かすべく、組織を挙げて、全力を傾け準備を進めている。

会議のプログラムは、品質国際会議組織委員会の奥田碩名誉委員長による開会の辞に始まり、中山成彬文部科学大臣より御挨拶を賜る予定である。基調講演では、Dr. A. V. Feigenbaum氏、東京理科大学の狩野紀昭教授、特別講演では、トヨタ自動車鰍フ豊田章一郎名誉会長、サムスン電子のY. W. Lee副会長が名を連ねる。続いて、コマツの坂根正弘取締役社長など世界各国の経営者によるトップマネジメントセッションも予定され、さらには30カ国以上の国々から180件以上の論文発表が申し込まれている。

会議のテーマは,“Quality Evolution-Way to Sustainable Growth-”であり、バリューチェイン、資源の管理、手法活用、実践例、品質管理マネジメントといった側面から品質の進化を模索する。一方、会議開催前の2日間は、品質管理の著名な講師による理論の講義に、一流企業での成功事例を組み合わせたセミナーも織り込まれている。将に、この会議は世界各国との情報共有の場であり、未来への持続的成長に向けた課題を浮き彫りにする機会と捉えたい。また、万国博覧会「愛・地球博」と同時期に開催することにより、国際的な友好と親善を促進することもねらいとしている。

同時に、ICQ ’05−Tokyoを日本再生への重要な契機に位置付けたい。優秀なる技術・技能を持つ日本。“Made in Japan”を代名詞として超優良品質を誇りに世界を席巻した日本であるが、未だ重大事故が途絶えない。

1980年7月、NBCで制作された番組『If Japan can, why can’t we』が、NHKより日本で放映された。「日本にできて、何故アメリカが」という内容であり、QCサークル活動を始め地に付いた日本の品質管理が紹介されていたが、久しぶりに見たビデオを恥ずかしくて正視すら出来なかった。番組の最後にNHKのアナウンサーが、「5年後、10年後に日本が同様の番組を作らなければいいが。」と述べた状況が、正夢となってしまった。

決して米国を、外国を礼賛・称賛するのではない。謙虚に他国を学ぶ姿勢、繁栄に驕ることなく素早き対応で戦略を常に工夫する姿勢に学ぶべき点がある。1980年代の米国再生委員会は、謙虚に日本を研究し、理解し計画を立て、そして米国流に咀嚼し、着実に実行したのである。

今こそ、会議に集う世界のトップレベルの事例に学び、グローバルな視点を研鑽せねばならない。そして、アウトプットとして課題を提供することで、各々が企業に、職場に、現場に帰り、経営層、管理者、現場の全てが高き目標に一体となって挑戦し、共に考え、改善に、改革に、汗をかくことこそ、新たなる価値を創造する土壌になると確信している。そして、日本が競争力再生に向けて、品質管理を真摯に、一丸となり、且つ全力を挙げて取り組んでいる姿勢を世界に発信したい。

ICQ ’05−Tokyo は、品質の進化に向けた「課題」と「場」を共有するべく、世界各国から1,000人が集うことを目標にしている。価値と情報を分かち合うために、一人でも多くの方々の御参加を賜り、来る9月に会場である新宿京王プラザホテルに集うことを心より期待し、お願いを申し上げたい。なお、詳細情報は、日科技連ホームページ(http://www.juse.or.jp/)にアクセスされたい。

■ 私の提言
  若手支援のプログラムを活用しよう

早稲田大学理工学術院 教授 棟近 雅彦 JSQC庶務担当理事
去る4月17日に、JSQCインカレゼミ(インターカレッジゼミナール)のキックオフミーティングが行われた。学生中心の若手研究者数十名と、JSQC理事会からは飯塚会長と庶務委員長の筆者が出席した。インカレゼミで行う活動はこれから徐々に決定されていくが、交流会、研究内容への指摘・アドバイス、最新動向などの情報提供、企業と大学の共同研究支援などが提示されている。品質管理に関わる研究を行っているいろいろな大学の学生が集い、お互いに刺激を与える場である。

JSQCが支援するこのような若手の交流会としては、毎年夏に行ってきたヤングサマーセミナーがあった。このセミナーではかなり活発な議論が行われ有意義な会合であるが、年に1回の合宿形式のものであり、「もっと頻度を増やして定常的な活動にできないか」という飯塚会長の提案を受けて、インカレゼミが発足することになった。

上述の活動は、品質管理界の将来を担う若手の育成・活性化を支援するプログラムである。若手の人材不足は、JSQCおよび品質管理界にとって深刻な問題である。これからのJSQC、品質管理界を支える優秀な若手を育てることが、筆者を含めた教育者の重要な責務であり課題である。

JSQCとしては、若手が積極的に学会に参画し、研究活動を活性化するための支援プログラムをいくつか用意している。学生は年会費を安くした準会員として入会でき、準会員は研究発表会、懇親会の参加費が安く設定されている。ヤングサマーセミナー、インカレゼミでは経済的に支援を行っている。また、研究支援のための研究費助成制度もある。研究費助成制度は、申請のあった中から毎年5名に対して各10万円の研究費を支給するものである。

これからもJSQCとして支援プログラムを充実していかなければならないが、問題はこのような支援プログラムを知らない人が多いということである。学生自身もそうであるが、指導教員にもあまり知られていない。ホームページ、メールニュース、JSQCニューズなどで適宜広報しているので、特に大学の教員である会員の方々は、これらの支援プログラムを学生に知らせていただき、若手育成の一助として活用していただくことをお願いしたい。


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