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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2004 12月 No.257

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■トピックス:ISO9001の次のステップ ─ 日本品質奨励賞 ─
■私の提言:品質の測定も重視しよう
・PDF版はこちらをクリックしてください →news257.pdf

■ トピックス
  ISO9001の次のステップ ─ 日本品質奨励賞 ─

日本品質管理学会 広報委員長 山崎 正彦
ISOの審査登録をした組織が、4万件に迫ろうとしている。しかも、年々増加傾向にある。驚くべきことである。しかし、既に審査登録を終えた企業や組織の中には、ISOの次のステップをどうするかを考えている企業も見受けられる。今年度の品質管理学会の方針で「Q-JAPAN」が示され、強い製品競争力で日本の再生を図っていく構想が打ち出された。この実現に向かって、全社的品質管理活動を推進するのもひとつの方法である。そこで、ISOに取り組んだ企業が次のステップで比較的取り組みやすい「日本品質奨励賞」を紹介する。

1.日本品質奨励賞とは
日本品質奨励賞は日本科学技術連盟が創立50周年を契機に、日本企業の競争力強化、品質経営の推進支援を目的として、2000年に設立され、今年で5年を迎える。受賞会社は既に21社を数える。

本賞はTQM奨励賞と品質技術革新賞に分かれており、企業がそのいずれかを選択し、受審する(図1)。これまでにTQM奨励賞は17社が受賞しており、うち14社がISO9000の審査登録を実施している。


図1

2.ISOとTQMの関連
日本品質奨励賞のうち、TQM奨励賞はISOの範囲(図2の斜線の部分)を更に品質マネジメントシステム、運用(活用)、パフォーマンスの各軸の方向へ成長させていく過程に位置しており、デミング賞との中間に位置するイメージとなっている。


図2

3.TQM奨励賞の枠組み
TQM奨励賞は「しくみが存在する」だけではなく、実際に「活動」し、その活動から得られる「成果」に対して評価される。
1)TPM、ISOで製造会社としてのシステム構築が成され、システムの舵取りであるマネジメントが必要な時期にTQM奨励賞のチャレンジとなり、タイミングがよかった。
 (2001年度 ミツクラテックス (株))
2)医療関係の業務を担当しているが、受賞への取り組みで最も大きな効果は、重要課題の明確化であった。当社の進むべき方向を再確認する良い機会となった。
 (2002年度 (株)クロス・ロード)
3)親会社(サンデン)がデミング賞を受賞し、全サンデングループでTQMを推進しており、当社は「人材の育成」にポイントを絞って受審した。
 (2003年度 (株)三和)

4.TQM奨励賞受賞会社の声
TQM奨励賞は「しくみが存在する」だけではなく、実際に「活動」し、その活動から得られる「成果」に対して評価される。

5.「日本品質奨励賞」の問合せ先
日本品質奨励賞委員会事務局 TEL:03-5378-1215  URL:http://www.juse.or.jp


■ 私の提言
  品質の測定も重視しよう

東京理科大学理工学部 尾島 善一
日本品質管理学会の会員の皆さんは品質に関心を持ち、品質管理や品質保証の重要性を強く認識していることと思います。品質を管理する場合でも、品質を保証する場合でも、まず品質を測ることが前提になります。

品質を測るには、その品質を的確に表す品質特性の選択と、選択された品質特性の測定に関する問題が解決されていなければなりません。

一般に、測定結果には関心が高いのですが、測定方法には無関心になる傾向があるようです。テレビ番組の視聴率や、景気の動向を示す指数、入学試験の得点、顧客満足度調査の結果、各種のアンケート調査の結果など、どれについても、結果には関心を示す人が多いですが、これらがどのようにして測られているかを知っている人は少ないと思われます。無関心の結果、その種の計測では、本来の計測の目的に合致しているかよりも、コスト・手間が掛からないことが優先されがちです。

測定結果の要求品質は、その測定結果を誰が何のために用いるかという目的に従って決まります。その目的に適合する対象が選ばれているかという問題はサンプリングの問題として議論されなければなりません。顧客の使用状況の調査を本社周辺の顧客について調べたのでは使用地域による影響を無視してしまいます。ついコストや手間を考えて簡単に済ませようとすると、近場で間に合わせたくなるものです。測定方法の選択も同様で、対象とする品質を良く表現する特性よりも、手軽に測定できる特性を選んでしまう傾向は無視できません。

選択された品質特性の測定に関しては、測定の精度の問題を検討する必要があります。ここでも本来の目的を見失って、コスト優先になることや、逆に測定そのものが目的になって過剰に良い精度を追求することがあります。

データに基づく管理は、品質管理の特長の一つです。この“データ”は単なる数値という意味ではありません。客観的な事実を反映したデータであることに意味・価値があるのです。そのために、計測の品質向上は重視されなければならない課題です。

計測の品質向上は、品質に理解と関心を持つ人々が、測定の方法や測定の状況に興味を示すことによって、促進されるのです。


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