第9回を迎える品質機能展開国際シンポジウムが、昨年12月に米国フロリダ州オーランドで開催された。2日間にわたるシンポジウム参加者は約50名、一般論文発表は20件であった。
12カ国におよぶ国際色の豊かな論文発表者による様々な分野へのQFDの適用に関連する発表があり、盛況であった。
2003年12月12、13の両日、米国フロリダ州オーランドにて、第9回品質機能展開国際シンポジウムが開催された。気温は摂氏20度弱であり、フロリダにしては肌寒く感じられた時期の開催であった。シンポジウム参加者は約50人であり、日本からの出席者は赤尾洋二先生ご夫妻の他、5人であった。論文発表者は米国、カナダ、メキシコ、日本、スイス、トルコ、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、オランダ、オーストリア、シンガポールの12ヶ国にわたり、国際色豊かであった。シンポジウムでは、2件の基調講演と20件の一般論文発表があった。また、会議開催中に、1994年に著された赤尾洋二先生の本「QFD」(英語版)へのサイン会があり、多くのQFDに魅了された参加者らが購入し、コメント付きのサインをもらっていた。
最初の基調講演は、Business Systems SolutionsのGregory H. Watson氏による講演で、生産ライン管理を容易にするためのDFSS(Design for Six Sigma)とQFDの融合に関する提案であった。もうひとつの基調講演は赤尾洋二先生による講演で、QFDを利用した、利用者の潜在的ニーズ(暗黙知)を顕在化する方法に関しての提案であった。
一般発表論文は20件とやや少なかったが、様々な分野へのQFDの適用に関連する発表があり、盛況であった。論文発表におけるQFD適用分野は、自動車部品の欠陥防止、コンカレントエンジニアリング、コンクリート建築、家電製品の開発、軍事製品の開発、行政システム、人材雇用システム、知識管理、情報技術への応用、無駄のない製造、サービス産業、シックスシグマへの統合、戦略立案などであった。全体的にDFSS関連の発表が多かった。また、QFDの理論的考察やQFDの普及のためのオンライン教育やQFDソフトウェアなどの論文もあり、QFDの裾の広さを感じた。
また、QFDの貢献に対して授与される赤尾賞の今年の受賞者はGeneral MotorsのHarold Ross氏と玉川大学の直井知与氏に贈呈された。授賞式は2日目の昼に行われ、受賞者からはQFDの適用によって効果的な仕事ができるようになったことやQFDとの関わりの経緯などの秘話の紹介があり、受賞の喜びに包まれていた。
次回の第10回シンポジウムは、2004年11月18日〜19日にメキシコ国Nuevo Leon市Monterreyで開催される予定である。論文投稿締切日は2004年5月11日で、投稿先はabstracts@qfdlat.comである。