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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2004 2月 No.250

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■トピックス:The 9th International Symposium on QFD
■私の提言:モノづくりの現場で想う事
・PDF版はこちらをクリックしてください →news250.pdf

■ トピックス
  The 9th International Symposium on QFD

山梨大学 助教授 渡辺 喜道
第9回を迎える品質機能展開国際シンポジウムが、昨年12月に米国フロリダ州オーランドで開催された。2日間にわたるシンポジウム参加者は約50名、一般論文発表は20件であった。

12カ国におよぶ国際色の豊かな論文発表者による様々な分野へのQFDの適用に関連する発表があり、盛況であった。

2003年12月12、13の両日、米国フロリダ州オーランドにて、第9回品質機能展開国際シンポジウムが開催された。気温は摂氏20度弱であり、フロリダにしては肌寒く感じられた時期の開催であった。シンポジウム参加者は約50人であり、日本からの出席者は赤尾洋二先生ご夫妻の他、5人であった。論文発表者は米国、カナダ、メキシコ、日本、スイス、トルコ、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、オランダ、オーストリア、シンガポールの12ヶ国にわたり、国際色豊かであった。シンポジウムでは、2件の基調講演と20件の一般論文発表があった。また、会議開催中に、1994年に著された赤尾洋二先生の本「QFD」(英語版)へのサイン会があり、多くのQFDに魅了された参加者らが購入し、コメント付きのサインをもらっていた。

最初の基調講演は、Business Systems SolutionsのGregory H. Watson氏による講演で、生産ライン管理を容易にするためのDFSS(Design for Six Sigma)とQFDの融合に関する提案であった。もうひとつの基調講演は赤尾洋二先生による講演で、QFDを利用した、利用者の潜在的ニーズ(暗黙知)を顕在化する方法に関しての提案であった。

一般発表論文は20件とやや少なかったが、様々な分野へのQFDの適用に関連する発表があり、盛況であった。論文発表におけるQFD適用分野は、自動車部品の欠陥防止、コンカレントエンジニアリング、コンクリート建築、家電製品の開発、軍事製品の開発、行政システム、人材雇用システム、知識管理、情報技術への応用、無駄のない製造、サービス産業、シックスシグマへの統合、戦略立案などであった。全体的にDFSS関連の発表が多かった。また、QFDの理論的考察やQFDの普及のためのオンライン教育やQFDソフトウェアなどの論文もあり、QFDの裾の広さを感じた。

また、QFDの貢献に対して授与される赤尾賞の今年の受賞者はGeneral MotorsのHarold Ross氏と玉川大学の直井知与氏に贈呈された。授賞式は2日目の昼に行われ、受賞者からはQFDの適用によって効果的な仕事ができるようになったことやQFDとの関わりの経緯などの秘話の紹介があり、受賞の喜びに包まれていた。

次回の第10回シンポジウムは、2004年11月18日〜19日にメキシコ国Nuevo Leon市Monterreyで開催される予定である。論文投稿締切日は2004年5月11日で、投稿先はabstracts@qfdlat.comである。


■ 私の提言
  モノづくりの現場で想う事

日本ガイシ株式会社 大野 正直
中国に生産拠点をという記事が当り前の様に新聞に掲載され、又ユニクロ製品に代表される様に中国で作られた製品の質が使い勝手を含めて格段に良くなっている現実を見るにつけ、つくづく「これから日本は何を基本に進むべきなのか」と思い巡らす事が多くなりました。こんな事を頭に浮かべながら、製造現場を巡り、働いてみえる人達を観察してみますと、昔と少々違った事が見受けられます。弊社に特有な事かもしれませんが、二・三時間の間にその現場に入ってこられる方は管理者のみ。それぞれの工程毎マニュアルは完備されており、作業者の方はそれをきちんと守りモノづくりがなされている。モノづくりの現場には必ず技術課題が潜在し、且つ人が作るのですから、必ずつくりの中でゆらぎが存在するはず。技術者が出来れば定期的に製造現場に足を運ぶべきなのですが、何故か此頃少なくなってきております。モノづくりに課題がある内は足繁く現場に通い一喜一憂した技術者が、解決した後は新たな開発に追われ滅多に製造現場に足を運ぶ事はない。結果として、モノづくりの品質ゆらぎに鈍感になってきているのではと危惧しております。

しかしこの原因の元は我々の生産技術に曖昧な所を認めてしまっている所にありそうです。従ってモノづくりの基本に立ち返り機能を最大限に活かすあるべき姿は何か、且つつくる人たちが理解し易いプロセスは何かを見直し始めています。更に系の変化を伴う工程の観える化及び具体的説明付け等の仕組みを効果的に付加すべく解析に取りかかっております。この様な動きの延長にモノづくりの現場が技術課題を議論する場としてしっかり定着する事が大切であると認識して活動しております。こんな雰囲気の中、若い人たちが話し合う場作りに日本復活を期待して努力して行きたいと考え現場を巡回しております。


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