第77回QCS(品質管理シンポジウム、テーマ:挑戦と創造〜グローバル化のもとでの新たなるTQMを求め〜)が11月27日〜29日、箱根・小涌園で130名の参加者を集め、(財)日本科学技術連盟の主催で開催された。今回の主担当組織委員は狩野紀昭氏(東京理科大学教授)で、特別講演、基調講演、発表、グループ討論、総合討論で構成されている。(下図参照)以下、大会で論じられた概要を記す。
1.新たなるTQMで何を実施するか(What)
グローバル化の波が押し寄せ、環境変化が激しくなり“変化から課題への展開”が重要となる。昨今では、日本企業ではコスト削減の課題が大きく、製造工程を海外へシフトする企業が多いが人件費だけでなく変動費まで含めたコストでは競争力があり、日本での生産に力を入れている企業も多い。これから企業の活動ポイントは
@「ダントツ商品の企画」
A「世の中のスピードに対応できるTQMの構築」
と思われる。
2.どのように進めるか(How)
商品づくりにはQ(品質)、C(コスト)、D(日程、数量)の同時達成が重要となり中でも、とりわけQが重要となる。このため、C,Dとのトレード・オフの関係にあるが、これを克服するキーは「技術」であり、“コア技術の強化”が重要となる。
更に、QCDを同時達成するために“うまいやり方7ヶ条”の紹介や(第4班)、TQMの効果的推進ツールとして“サイマルエンジニアリング”、“QのみでなくC,DへのFMEA”、“TQM+TPM+TPSの融合”“シックスシグマ”などの手法が提案された。(第5班、松本氏)
3.まとめ
グローバル化のもとでの新たなるTQMのポイントは、
@現場に基づく経営
A情報の開示(かくさない)
B永続的に改善に挑戦
更に
Cスピード
が要求される。
「最も強い者が生きるのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。唯一生き残るのは変化できるものである」−リチャード・ダーウィン−
これらの、強靭なる企業を造るには「企業体質の改善はTQMしかない」という経営陣の強い継続的リーダーシップが必要であることを本シンポジウムを通じて、改めて考えさせられた。
(次回 第78回QCS 平成16年6月3〜5日 テーマ:質創造)
第77回 QCSの構成 →
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