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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2002 12月 No.241

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■トピックス「第16回アジア品質管理シンポジウム(16AQS)開催!!」
■私の提言「ビジネスプロセスの変化に適応した管理技術の提供」
・PDF版はこちらをクリックしてください →news241.pdf

■ トピックス
  第16回アジア品質管理シンポジウム(16AQS)開催!!

16AQS組織委員長 飯塚 悦功
同プログラム委員長 鈴木 和幸
2002年11月15日・16日に、東京(東高円寺日科技連)にてJSQC主催の第16回アジア品質管理シンポジウム(16AQS) が開催されました。ANQ設立の記念すべき大会として、ANQメンバーであるアジアの10組織の他Sweden、Peru からの参加をあわせ海外から68名、国内から99名の計167名の品質管理の専門家が参加しました。

15日のOpening Session にて、JSQCの橋会長の基調講演に引き続き、平沼経済産業大臣からの祝辞、そして次の9組織の代表から、アジアの各地域での品質の飛躍的な躍進状況、そしてANQ設立によるさらなる経済発展への豊富と期待が述べられました;

China Association for Quality (CAQ)
Chinese Society for Quality (Chinese Taipei)(CSQ (Chinese Taipei))
Hong Kong Society for Quality (HKSQ),
Indian Society for Quality (ISQ-India),
Indonesian Quality Management Association (IQMA)
Iranian Society for Quality (ISQ-Iran)
Korean Society for Quality Management (KSQM),
The Standards and Quality Association of Thailand (SQAT)
Directorate for Standards and Quality (STAMEQ), Vietnam
また、田口玄一先生の2時間半にわたる ロバストデザインを中心とした「田口メソッド」の チュートリアル講演は、氏の哲学を伺うことができました。

16日は、トヨタ自動車(株)内藤氏による特別講演が初めになされ、トヨタ生産方式の変遷とそのITとの融合を通して、ものづくりの原点、特にその考え方、精神構造、行動様式を学ぶことができました。

引き続き、研究発表としてInvited Session(9件)・Oral Session(39件)・Poster Session(12件)がなされました。これらの研究発表は、いずれもアジアにおけるTQM活動の実践、最新の動き、手法と理論、そしてマネジメントの質の高さを実感できる内容であり、かつタイムリーなテーマが数多くみられました。Proceedingにおさめられた論文は計511ページにわたり、平均8.5ページとなる力作そろいです。

また、人があふれんばかりの懇親会とそれに引き続くSIG(Special Interest Group)により、アジアにおけるTQM専門家の各分野ごとの活発な議論を通し、友好を計ることができました。

さらに、高層ビル建設現場への見学へは約50名の参加がありました。本会議を通して、アジアの和が計られ、さらなる質の向上へつながることを確信した会議でした。

そもそも今回のAQSはこれまでの3組織(KSQM、CSQ、JSQC)による持ち回り型、合同学会という性格から、広くアジアからの論文発表を求めるアジア地域における一大品質大会を志向したものですが、第1回目としては「成功」と評価してよいと思います。今後、このコンセプトを踏襲して、論文の質を上げること、発表数・参加者数を増やすこと、時代の要請への感受性を研ぎ澄ましたメッセージを発信することなどが課題になりますが、よいキックオフができたと思っています。

16AQSを直接・間接に、技術的・精神的・財政的に支援しまた貢献して下さった多くの関係者の使命感と献身に感銘するとともに、言葉ではとても言い尽くせない感謝の意を少しでもお伝えしたいと存じます。とくに当初から企画の内容のわりに少数で過酷な負荷がかかることを覚悟の上で多大な業務をこなしてくれた国際委員会委員(16AQS組織委員)、プログラム委員会委員の働きは、どのような賞賛をしてもそれに恥じることはないことをご報告しておきます。さらに、16AQSにおいて、精神的に余裕を持てた理由の一つに寄付金があることをご報告しておきます。絶対に赤字になることのない原資を持ち、様々の再生的決断の場面において、迅速かつ果敢に諸施策を決めることができたのは、AQS・国際活動支援の寄付金でありました。

今後は、北京で開催予定の次回AQSへの技術的・財政的支援、及び別に報告のあるANQ議長組織としてのJSQCの体制が課題となります。

以上

■ 私の提言  ビジネスプロセスの変化に適応した管理技術の提供

日本電気(株) 品質推進部長 坂 康夫
最近、「品質危機」と言って現状の品質管理を憂いておられる発言を聞く機会がある。社会問題にもなった事故を取り上げて、品質管理をチャンとやっておれば起こらなかったのではないかと説かれており、90年代のようにTQCを蘇せることが必要だとも言われている。これを否定するものではないが、産業構造の変化、ビジネスプロセスの変化およびその問題の本質を理解して置く必要がある。

品質管理部門の言い分を聞いてみると、人がいない、時間がない、業務を評価されないとの不満が聞こえる。この背景には、厳しい経営環境の中で、経営者は株主を意識して、目先の収益重視、株価重視に走り、売上が伸びないところを費用削減でリストラが実行されている。そこには、質重視、顧客価値創造などの、長期的視野に立った考え方は少ないように見える。リストラによる人員削減の対象になるのは先ずスタッフであり、その対象は品質スタッフも例外ではない。

一方、ビジネスプロセスも凄いスピードで変化している。「世界の工場、中国」と言われるように、コスト削減を狙いとした中国EMS企業への生産委託、中国からの部材調達が大きく伸長している。また、新しいSIerと言うビジネスモデルも出てきて、オープン調達のビジネスが盛んになってきた。

最近では、F社のHDD問題が話題になっているが、これは一社の品質保証のミスではなく、品質チェーンの問題だと言われている。従来は部材から完成品までを自社または系列会社で担当していた「垂直統合生産方式」であったのが、得意なプロセスを担当して高い生産効率をあげる「水平分業生産方式」に変わった時に、モノ作りに必要な情報共有が途絶えたことも、大きな原因の一つと言われている。この様な環境変化の中で、製造現場を持たなくなった品質管理屋、製造現場を知らない技術者が対応方法を分からず、結果として事故処理のみに追われてしまっている。

今、必要なことは、品質管理活用のフィールドが凄いスピードで変化していることを知ることであり、彼らの要求にあった管理技術と教育の機会を提供することだと考えている。


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