T.はじめに
独立行政法人製品評価技術基盤機構適合性評価センターにおいては、従来より運営しておりましたJCSS、JNLAに加え、平成14年4月1日付け施行改正計量法に基づくMLAPの開始やその他の認定ニーズに対応し、産学官からの公共的要請に応え、民間が十分対応できない場合にスムーズにかつ迅速に対応する体制を整えることが公的認定機関の義務であるとの考えのもとに、効率的・合理的な認定機関運営のため組織を統合・強化し、平成14年4月1日に認定センター(IAJapan:International Accreditation Japan)を発足させました。
U.運営体制
試験所・校正認定機関の国際基準であるISO/IECガイド58に基づき、関係法令や内部管理規定・細則の下、品質マニュアルを頂点とする文書体制を整備しています。
このうち、各認定プログラムにおける認定の一般要求事項、申請等の手引き、トレーサビリティ方針、技術的適用文書、指針文書類はホームページ等で公表しています。特に、新規プログラム関係の公表文書については、準備が整い次第、順次公表しております。
V.IAJapanが運営する認定プログラムと新たな認定プログラム
現在、IAJapanが運営している認定プログラムは下表のとおりで、基本的に試験所・校正機関の認定国際基準であるISO/IEC17025に基づくものです。
認定機関 |
認定プログラム |
認定プログラムサブカテゴリ |
ILAC・APLACの国際MRAの対象 |
認定基準 |
IAJapan |
MLAP(エムラップ) 計量法特定計量証明事業者認定制度 |
MRA対象外 |
関係告示 |
JCSS(ジェイシーエスエス) 計量法校正事業者認定制度 |
MRA対象内 |
ISO/IEC 17025 |
JNLA(ジェイエヌエルエー) 工業標準化法試験事業者認定制度 |
ISO/IEC 17025 |
ASNITE (アズナイト) 製品評価技術基盤機構認定制度 |
国家計量標準研究所(NMI) |
ISO/IEC 17025 (ISO/IECGuide34) |
(JCSS、RM又はNMI以外の)校正機関 |
ISO/IEC 17025 |
(JNLA以外の)試験所 |
ISO/IEC 17025 |
ITセキュリティ評価機関 |
ISO/IEC 17025 |
標準物質(RM)生産者 |
MRAの検討中 |
ISO/IECGuide34 +ISO/IEC 17025 |
このうち、新たな認定プログラムの概要についてご紹介します。
1.MLAP
改正計量法の施行により、平成14年4月1日より認定の申請を開始しました。 認定区分は、@大気中のダイオキシン類の濃度の計量証明の事業、A水中又は土壌中のダイオキシン類の濃度の計量証明の事業、です。
2.ASNITE
平成14年4月1日現在、ASNITEでは4種類のサブプログラムを用意しました。
(1) |
標準物質(RM)生産者の認定
国家標準物質の供給体制整備に資するため、その生産者等についてISO/IEC Guide34:1996を利用した認定を行うものです。
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(2) |
国家計量標準研究所(NMI)認定
国家計量標準研究所のISO/IEC 17025:1999等への適合性の評価又は認定を行います。NMI間の国際相互承認(グローバルMRA)の相互評価(peer review)に関連し、NMIの要請に対応して評価、認定を行うものです。
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(3) |
ASNITE校正(JCSS、RM又はNMI以外の校正事業者認定)
例えば日本の国家標準がないため外国の国家標準等にトレーサビリティをつなぐ際に他の方法が利用できない場合、この範囲についてASNITEで校正事業者の認定を行います。
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(4) |
ASNITE試験
@ |
ASNITE試験(JNLA以外の試験所認定)
JNLAの既認定試験事業者に対し、認定試験事業者の便宜を図りJNLAを補完する観点から、必要な試験業務に関する認定を行います。
|
A |
ASNITE試験IT
ITセキュリティ評価機関の認定を行います。ITセキュリティ評価機関の認定は、試験内容は特殊ですがASNITE試験の一部です。
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|
W.各認定プログラムの認定実績について
既に認定事業者が存在する認定プログラムの平成14年7月1日現在の認定実績(認定事業者数)は次のとおりです。
表2 各認定プログラムの認定実績
認定プログラム |
JCSS |
JNLA |
ASNITE-Test |
MLAP |
認定事業者数 |
95 |
75 |
9 |
5 |
X.さらに詳しい内容については
独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センターのホームページを是非ご覧ください。
URL:http://www.nite.go.jp/asse/iajapan/
産業界・学界・官界が、協力して社会に貢献することが強く求められている。私自身、産業界での体験を経て学界に入ったことがあり「理論と実践」を如何に融合するかを課題に取り組んできたが十分な成果をあげ得ていないのは残念なことである。
進んだ実践、例えばJIT(トヨタ生産方式)、TQC(全員参加の品質管理)、TPM(全員参加の生産保全)や原価企画を含むコストマネジメントなどは、日本が生んだ世界に誇るべき管理技術であった。しかし、その理論化と普遍化が不十分で成果を全世界に速く・十分効果的に普及させたかには、疑問が残っている。
正しい理論は、・進んだ実践を理論化し普遍化することと、・ビジョン(夢)を理論として示し、その“夢”を出来る限り害が少ないように実現し成果につなげる、ことを可能にする。
例えば、ディジュリスタンダード(理論)としてのISO9000、14000は制度の良し悪しはあっても、現時点ではマネジメントシステムの国際化に果たした役割は大きい。良い点を伸ばすため、ベストプラクティスを示すなどして標準化だけに止まらないでオンリーワン“夢”への道を拓くようにし、人類共通の財産に育てあげる必要がある。
いずれにしても、品質管理面でも実践を知った理論家、理論をベースにした実践家が重要であることに変わりはない。そのためには、産学官で働く専門家の横断的連携や横断的労働市場確立が重要である。そのためには、IT技術をフル活用し、学会活動を効率化し、大学・大学院の教育・研究を充実し、産学官の相互交流を活発化すべきである。また、チーム活動で細分化されすぎた専門性を補完したり、知的財産権を尊重し、技術者の評価・表彰制度の充実、職業紹介などの諸施策を講ずる必要がある。学会としては、狩野会長が進められている会員拡大の努力と基本的会員サービスの充実等を地道に実践しつづけなければならない。そうするなかで「理論と実践の融合」がはかられることを確信する。