JSQC 社団法人日本品質管理学会
HOMEENGLISH 入会案内 お知らせ 記録・報告 定期刊行物 論文・記事募集 関連情報 リンク コミュニケーション・メーリングリスト
学会誌「品質」
JSQCニューズ
Copyright (c); 2001 JSQC

JSQCニューズ 2002 2月 No.234

ニューズ・トピックスの一覧へ戻る
■トピックス「ISO9000:2000審査研究会の活動」
■私の提言「現場の問題解決のための情報発信源として」
■我が社の最新技術「NECの環境配慮型パソコン」
・PDF版はこちらをクリックしてください →news234.pdf

■ トピックス
  ISO9000:2000審査研究会の活動

(有)福丸マネジメントテクノ 代表取締役 福丸 典芳
ISO9000審査研究会主査
ISO9000の審査のあり方と審査員の力量についての研究会の活動状況を報告します。

1.研究会設置の目的

ISO9000:2000が2000年12月に発行され、この規格に基づいて審査が行われることになりました。しかし、この規格では、1994年版に比べプロセス重視の規格構成となったこと及び品質マネジメントシステムの有効性評価を行うことが要求事項となったため、これらに対応するために審査員の力量を向上させる必要があります。また、規格の要求事項が、一般化されたことにより、審査員の力量が従来よりも高度なレベルでなければ判断が下せないような場面が多くなると思われます。このような事態を打開するため、審査員はどのような力量を持って審査にあたるべきかについて、品質管理学会として一定の方向性を示すべく、学識経験者、審査登録機関、審査研修機関からなる専門家による研究会を2000年12月に開始しました。最終のアウトプットは、審査にあたって必要な審査員のガイドラインを策定することとしています。

2.検討状況

検討にあたっては、月一回の割合で研究会を開催することとしました。第1回は問題点の抽出のためのフリーディスカッション、第2回は第1回の議論を踏まえ審査技術、審査知識及び個人の特性を検討課題とすることを決定、第3回、第4回は検討課題について各人の発表、第5回から第12回では、議論を効率的に行うため、2グループで議論することとし、WG1は審査技術の有効性とプロセスの見方、WG2は審査員の知識のうちQC手法と専門性について議論を行ってきました。

WG1では、製造会社、物流会社、ホテル業、注文住宅設計・施工会社、介護ビジネスに関するプロセスについて検討するとともに、業種によらないプロセス毎の監査のポイントとして、文書管理及び記録の管理、責任、権限及びコミュニケーション、マネジメントレビュー、資源の提供、教育・訓練、インフラストラクチャ−提供のプロセス、作業環境の明確化と運営管理のプロセス、監視・測定に関するガイドライン及び品質マネジメントシステムの有効性を評価するためのガイドライン、一方、WG2では、審査チームに求められる専門知識としての業種別の専門知識の必要度、及び審査員個人に要求される品質管理の知識についてのガイドラインを作成する予定です。

なお、途中経過として昨年の日本品質管理学会の年次大会で2件の発表を行いました。

このように2002年1月現在まで12回の審議を重ね現在最終段階になっています。今後は、検討した結果を取りまとめるとともに、議論の不足している項目についてさらに検討する予定です。

3.ガイドラインの内容

ガイドラインについては、・品質マネジメントシステムの有効性、・審査技術、・審査チームの専門知識、・審査員に要求される品質管理の知識に関するものを作成する予定であり、ガイドライン発行の時期は、2002年第三四半期を予定しています。

4.今後の予定

ISO9000に関する審査員及びコンサルタントの方々が学会員に多数参加されていますので、これらの方々へのサービス向上のために、2002年6月に本研究会の成果についてのシンポジウムを開催する予定です。多数参加をお願いします。

■ 私の提言  現場の問題解決のための情報発信源として

松下電子部品(株) 田部 信雄
経営者にとって品質は当たり前、日夜売上増加、コスト削減に奔走し叱咤激励する。しかし一端品質問題が起これば品質部門を攻める。そこに従事するものは何でワシらばかり責められるのかと不満が募る。

おまけに人事評価も多職能に比し低く、昇進、昇格も遅れ気味。これらが続くとQCだけはやりたくないとの思いが強くなる。一寸極端な表現をしたが、こんな光景を何度となく見たり相談を受けたりした。

その都度品質管理業務推進は難しい面があるが、企業の根幹をやっているので必ず役立つから頑張れと励ましてきた。

このような光景はTQM活動をよく推進している企業でも多かれ少なかれ現場第1線で見られるのではないか。

そのような中で現場第1線で毎日泥臭い改善活動・維持活動をやっている若い人達に対してQC学会入会を勧めても“メリットがないから入会しない"という。

確かに私自身も常日頃そう感じている面もあるのでそれ以上薦めることが出来ない。

QC学会を現場第1線からみて魅力的なものに変身するにはどうすべきか、会長が発信されている“会員の会員による会員のためのJSQC"を目指してゆくにはどう変革したらよいか今1度素直に考えてみる必要がある。

学会といえども現場から遊離してしまえば単なる学問で大学や一部の人の同好会になる。

最近現場の問題解決にすぐ固有技術的に対策を打つ傾向がますます強くなり、管理技術的対策が弱くなっていると感じている。

品質管理は実学であり、それをリードする学会としてはQCに関する先端的な研究発表・交流の場など本来的な活動と共に

  • 現場の課題を取り上げ管理技術的に解決するための研究・交流する場
  • 現場の課題解決の駆け込み寺的な運営・サービス
など強化する必要があると考える。

特に・の研究成果は“品質誌"で公開し会員外にも配布すればもっと学会の存在感が増し、魅力的なものになると確信する。

今日本は最大の危機に瀕している。QC面から何が出来るか、学会全体で課題事項をあげ本部支部での独自の計画以外に共同課題として取り上げ新しい形態の研究会やシンポジウムを企画し企業にPRしてはどうだろうか。

現場を直視し、現場と目線をあわせた活動をもっと強化して物づくり日本の復権にQC学界がリーダーシップをとりたいものである。


■ わが社の最新技術  NECの環境配慮型パソコン

NECカスタムテクニカ(株)
総務部 環境管理グループ
エキスパート 佐藤 保治
1. はじめに

環境問題は、人類にとって重要な課題となっている。当社は、環境との調和を経営における最重要課題の一つとして位置付け、早い段階から地球環境にやさしい製品の開発を推進してきた。ここでは、NECのパソコンにおける環境に配慮した素材技術やエコマーク商品について紹介する。

2. 低環境負荷素材の採用

NECのパソコンは、環境負荷の少ない新しい素材を早い段階から積極的に採用してきた(表1 低環境負荷素材の採用履歴)。


表1 低環境負荷素材の採用履歴

1998年に、ハロゲン化合物やリン化合物を含まない新しいタイプの難燃プラスチック「エコポリカ」を開発し、パソコン筐体の素材の一つとして採用を開始している。また、循環型社会形成の観点から、再生プラスチックの使用も平行して行っている。1999年には、鉛フリーはんだによる実装技術を確立し、世界で初めて同技術をモバイルノートのマザーボード等の部品実装に採用した。現在までにデスクトップパソコンを含め、10数機種を鉛フリーはんだで商品化している。さらに、マグネシウム合金、アルミニウム合金、六価クロムレス鋼鈑、水系塗料などの採用も推進している。

3. 環境ラベルへの対応

商品の環境配慮を総合的に表す指標の一つとして環境ラベルがある。国内の環境ラベルは、図1に示す通り、TypeT、TypeUおよび TypeVの3種類がある。NECは、1998年に独自の環境ラベル「エコシンボル」を制度化し運用している。このラベルの基本条件は、NECが定めた環境配慮基準を満足すること、先進性があること、および透明性が確保されていることである。2000年11月には、ノートブック(A4ノート、モバイルノート)および14.1型LCDモニターで、PCエコマークの第一号認定を取得した。引き続きデスクトップ(ボックスレス型、スーパースリムタワー型)への展開やLCDモニター(15型、15.4型、17型)での拡大を行い、全カテゴリーで取得している。PCエコマークは、2000年9月に日本環境協会により制定されたもので、パソコンの環境基準としては国内初の第三者認証基準であり、広範囲にわたる環境配慮を要求する国内で最も厳しい基準の一つである。また、JEITAが業界の自主統一基準として制定し、2001年10月から運用を開始したのでPCグリーンラベルへも全商品が対応している。(図1 国内の環境ラベル)


図1 国内の環境ラベル

4. エコマーク認定商品の特徴

写真1は、NECパソコンのエコマーク認定商品である。モバイルノートでは、再生プラスチック、エコポリカ、マグネシウム合金および鉛フリーはんだを採用している。ボックスレス型は、本体部と液晶ディスプレイ部を一体化したもので、1998年に商品化した省スペース性の高い商品であり、現在も形を変えることなく販売している。この商品では、再生プラスチック、六価クロムレス鋼板および鉛フリーはんだを採用している。LCDモニターに関しては、早い段階から環境配慮型を目標に開発に取り組んできた。低環境負荷素材としては、エコポリカ、再生プラスチック、六価クロムレス鋼板、水系塗料などをいち早く採用し、現在もこの考えを継続している。(写真1 PCエコマーク認定商品)


写真1 PCエコマーク認定商品
  • 各種環境ラベルの対象商品の検索は、以下をご覧ください。
    http://www.nec.co.jp/eco/ja/personal/
  • エコマーク商品の契約団体は、NECカスタムテクニカです。

5.おわりに

以上、当社の活動をパソコンでの環境配慮を例に紹介した。今後も「エコシンボル」制度に基づく活動をはじめとして、より環境に優しい商品・サービスを提供したいと考えている。


このページの最上部へニューズ・トピックスの一覧へ戻る

--------The Japanese Society for Quality Control--