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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2001 11月 No.232

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■トピックス「医療制度改革のゆくえ医療サービスの質の向上と効率化」
■私の提言「情報発信者集団育成のための方策」
・PDF版はこちらをクリックしてください →news232.pdf

■ トピックス
  医療制度改革のゆくえ医療サービスの質の向上と効率化

練馬総合病院 理事長 飯田修平
平成13年9月19日、東京都芝のABCホールにおいて、第7回医療経済研究機構シンポジウム「医療制度改革のゆくえ 医療サービスの質の向上と効率化」が行われた(NHK教育テレビ放映)。

筆者は、総合的質経営の重要性を強調した。その発言要旨を紹介する。

I 患者の視点に立った医療サービスとは何か

患者中心も、医療者中心もない。同じパートナーとして考えている。

医療不信が強いが、患者も医療側も、立て前を言っている限り解決しない。相互の考え方や状況を伝え、相互に分かり合うことが必要である。東京都病院協会倫理委員会(筆者が委員長)で医療側からの意思表明として「私たちの病院の目標」を制定し公表した。倫理綱領・行動指針である。当院の倫理委員会が中心となって検討した。

II 医療提供体制のあり方

医療提供体制の要点は医療連携である。医療連携とは医療の継続性の確保を言う。医療連携が必要な理由は、専門分化により、機能分担が進んだからである。したがって、チーム医療が必要である。その実現には、標準化と情報の共有が必要である

医療提供体制を論ずるに当たり、どの範囲に関して論ずるのかを明らかにしなければ混乱する。範囲を以下の3段階に分けて考える(図1)。

A:組織としての病院内の連携、すなわち、チーム医療である。
B:地域の医療機関の連携、すなわち、病病連携・病診連携である。
C:地域の連携、すなわち、生活・行政等の社会活動としてである。

医療サービスの効率化病院には、多くの専門職種、多くの部署がある。縦割り、横割りの壁が厚い。標準化と情報の共有が困難である。したがって、従来の組織構築を超えた、縦横斜めの3次元の連携が必要である。これを横断的組織運営理論と呼ぶ(図2)。チーム医療である。

これを達成するには、継続的質向上が必要である(図3)。産業界の品質管理の経験を学んで、医療の質向上活動(MQI:Medical Quality Improvement)をおこなっている。総合的質経営(Total Quality Management:TQM)である。立て前ではなく、本音で経営を考えたときに、到達する段階である。

■ 私の提言  情報発信者集団育成のための方策

中央大学 教授 中條 武志
本学会は今年で創立30周年を迎え、会員数も3,000名の大台を回復した。しかし、品質管理に関する学術の研究奨励を目的とする団体としてその機能を十分果たしていると言えるであろうか。例えば、機関誌「品質」の論文の投稿数は平均すると約20件/年であり、会員数約2,000名の日本経営工学会の論文掲載数約60件/年に比較すると1/3にも満たない。日本経営工学会をベンチマークに実質の会員数を計算すると600名にも満たない弱小学会ということになる。

この原因は様々であろうが、学会として情報発信者集団を育てるための方策を十分取ってこなかったことも一因になっていると考える。以下、この点を改善するためのいくつか具体的な方策を提案してみたい。

(1) 会員名簿に各人の専門分野を記載するなど、会員の専門性を明確にし、それぞれの分野における相互交流をより活性化する工夫をする必要がある。これは、新しい会員や会員となろうと考えている人にとって特に重要となる。
(2) 研究会に関する内規を見ると「研究会は…しなければならない」という制約ばかりで「研究会は…できる」という記述は皆無である。これでは従来の慣習を打ち破るような新しい形態の研究会は生まれない。予算やメンバー数を含めてもっと大幅な権限を研究会に委譲するよう内規を改定する必要がある。
(3) 研究発表会については発表者のことを考えた運営を行う必要がある。講演やチュートリアルと発表を同じ時間帯にするのは、発表者に多くの人に研究内容を聞いてもらえる場を提供する目的からすれば本末転倒である。また、研究発表会を相互啓発の場として捉えるのなら、テーマが同じだからとか聞く人の移動を少なくするためにという理由で同一組織・機関の発表を一つのセッションにするのも避けるのがよい。
(4) 現在は、品質誌や研究会の報告書などは会員外に配布・販売できない。しかし、これらは学会から外部に向けた情報発信の媒体として重要な役割を果たすべきものである。品質誌については国立情報学研究所の電子図書館を通じて会員外が利用できるようになる計画が進んでいるが、研究会の報告書等についても会員外に対して配布・販売できるしくみを考える必要がある。


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