日本品質協議会

『品質オールジャパン連合:JAQの発足に向けて』連載記事

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連載記事その4『企業の持続的成長を実現する“信頼”「品質」×「信頼」=経営革新を推進』中村 正己 氏(JMA)

2021年06月01日 『品質オールジャパン連合:JAQの発足に向けて』連載記事, トピックス, JAQ活動行事

企業の持続的成長を実現する“信頼”
「品質」×「信頼」=経営革新を推進

一般社団法人 日本能率協会
会長 中村 正己 氏

■1 日本能率協会の活動  ~ 企業・組織の「経営革新」を推進

 日本能率協会(JMA)は、1942年に創立された「経営革新の推進機関」です。協会名の由来である「能率」は現代にも継承される、マネジメントの基本となる言葉です。人の「能力」、設備の「性能」、材料の「機能」をそれぞれ活かしきることを追求するマネジメントが科学的管理法の本質であるとされ、「能率」という言葉が生まれました。JMAの歴史を振り返りながら、今までの活動の一部をご紹介していきます。
 JMAは、創立当初より工場管理の改善の技術である「生産技術」に深くかかわっています。「IE」や「TPM」の普及を通して、日本の産業化を促進してきたこれらの活動はJMAの設立意義にも直結しており、現在でも重要なものとなっています。
 また、1960年代半ばからは、「ZD(ゼロディフェクト)運動」に代表される小集団活動も推進してきました。当初は、製造現場を中心に支援していましたが、その後、このZD運動は、サービス産業にも広がっていきました。産業界における小集団活動の普及の一翼を担ってきたと考えています。
 1980年代半ばからは、その時々の経営課題を的確に捉えた「提言活動」を行ってきました。1989年には企業活動においてサービスの比重が高くなってきたことをうけ、「サービス品質・生産性革新の提言」を発表。CSを組織的に創り続ける「CS経営(お客様満足経営)」の普及につなげています。
 現在は、今までの活動を発展させた、「人材育成・組織開発」「ものづくり支援」「産業振興」「ISO審査・第三者認証」の4事業を柱として、よりよい社会の実現に向け企業・組織の「経営革新」を推進する、さまざまな活動を展開しています。

■2 サービス品質の実現 ~ 標準化からプロセスの作り込みが効果的

 JMAは、製造業だけでなく幅広くさまざまな業界を対象に、「品質」に関わる活動を行ってきました。ここでは「サービス品質・生産性革新の提言」でも取り上げているサービス品質について、一つの考え方をご紹介します。
 サービス品質とは、簡単に言うと、顧客の「事前期待」と「実績評価」の相対関係です。「事前期待」とはサービスを利用しようと思う顧客の暗黙の期待で、そのサービスの利用した結果に対する顧客の評価が「実績評価」となります。この2つの関係でサービス品質が決まるといえるでしょう。以下に米国のマーケティング・サイエンス研究所が調査結果をまとめた図表をご紹介します。

(「サービスの品質とは何か」19p 日本能率協会マネジメントセンター 2004年刊)
  • ・「実績評価」が「事前期待」より高ければ “聞きしにまさる” と高い評価を受け、リピート客をとりやすく、
  • ・「実績評価」が「事前期待」より低ければ “何だ、これは” と、その顧客を失いやすく、
  • ・「実績評価」が「事前期待」と差がなければ、ふつうのサービスを受けたとして、印象に残りにくい、ということです。

 続いて、サービス品質の実現について触れていきますが、最初にサービスの最強のセールスは、顧客の「事前期待」を超えるサービス活動(=「ユニーク・サービス」)そのものであることを強調しておきます。
 その上で、実際に何をすればいいかというと、まずは「どんな顧客のために働くのか」の定義をはっきりさせておくことです。これが漠然としていると事前期待がうまくつかめず、知らず知らずのうちに、失望して離れていく顧客をつくりかねません。「事前期待」をサービス供給側が独断と偏見によって決めることは避けるべきでしょう。
 また、「ユニーク・サービス」をうまくやっていても、片方で顧客がマイナスと考える、「事前期待」裏切りサービス(=「マイナス・サービス」)があると、前者の効果は打ち消され、全体ではマイナスに受け止められかねません。
 そこで、サービス品質における最優先事項は「マイナス・サービス」を、まずゼロにすることです。そしてほぼ達成されたら、次に「ユニーク・サービス」を設計して関係者を教育し、通常のサービスの上に積んでいくことになります。
 サービス品質の実現にあたっては、無形を有形化することも重要です。無形部のうち、有形化できる部分があるか検討して形のあるものにしていきますが、これは「プロセス」が大切だという製造業と同じ発想によるものです。
 この「プロセス」の質を左右する重要な要素の一つが、「標準化」の機能です。製造業と同様に「標準化」によってプロセスを作り込むことは、サービス品質の差別化につながっていくのです。

■3 ISO審査で「品質コンプライアンス」の確認を重視 ~ 企業の持続的な成長を支援

 JMAの活動の中には、「品質」の普及に大きく関わるものがあります。その一つが、私自身が上級経営管理者を兼任しているISO審査機関である審査登録センター(JMAQA)の審査活動です。
 審査では、審査員がお客様組織にうかがい、「品質」への対応状況を確認させていただきます。一連の審査活動においては、「品質」に関しても「コンプライアンス」を重視して審査することを重点方針としています。お客様組織が、持続的な成長を続けるには、顧客の「信頼」を獲得し続けることが不可欠であり、そのためには法令や自社、お客様ならびに社会のルールの順守が最優先事項であるからです。
 「コンプライアンス」を含めてお客様組織を幅広く確認するISO審査活動は、結果としてJMA自身が社会からの「信頼」を得ることにもつながっていると考えています。

■4 JAQへの期待 ~ 社会全般から「信頼」「必要」とされる組織基盤が必要

 日本品質協議会(JAQ)の設立趣旨を実現するためには、日本における「品質」に関する窓口役を担い、効果的な活動の展開が求められていると言えるのではないでしょうか。そのためには産業界を含め、広く社会全般から「信頼」され、「必要」とされるような組織基盤を持つことが効果的だと考えます。
 JAQには今後も、我が国において「品質」の重要性を広く理解してもらうための役割を担う機関として、活発な活動に期待しています。JMAもJAQの一メンバーとして、「品質」をテーマに「経営革新」を推進する活動を展開していきます。