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『品質オールジャパン連合:JAQの発足に向けて』連載記事

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連載記事その3『日本の強み・特徴を生かした標準化の国際戦略』揖斐 敏夫 氏(JSA)

2021年05月18日 『品質オールジャパン連合:JAQの発足に向けて』連載記事, トピックス, JAQ活動行事

「日本の強み・特徴を生かした標準化の国際戦略」

一般財団法人 日本規格協会
理事長 揖斐 敏夫 氏

 私ども日本規格協会(JSA)は、JAQ連携協議会の参加組織の一つとして、志を同じくする皆様と「クォリテイの進化により社会の発展に貢献する」という本質的な価値観を共有し、品質管理、品質経営の普及・啓発に取り組んでおります。

 さて、ISO9001が役に立ないという声が聞かれます。現に、わが国では、ISO9001の認証を受ける企業が年々減少し、品質不祥事も頻繁に起こることから、品質管理への関心が低くなってきているのではないかと心配する向きもあります。

 確かに、ISOのマネジメントシステム規格は、規格の性質上、使い難いという一面があり、上手く役立てられていない、あるいは使いこなせていないケースが少なくありません。しかし、IoT、AI、Big data技術を活用するConnected Industries、Industry4.0などが実現する近未来の社会では、グローバルで適切な品質経営を実現するために,ISO 9001をはじめとする国際マネジメントシステム規格は、不可欠なツールとなります。

 わが国には、方針管理、日常管理、小集団改善活動(QCサークル)、統計的手法、品質管理教育など、優れた品質管理の仕組みやツールがあり、クォリテイ向上に成果を上げてきました。これらの仕組みやツールは、日本品質管理学会(JSQC)規格として制定され、既にその一部は、日本産業規格(JIS)として制定されています。

 また、JSAでは、国際規格ISO/IECや国家規格JISでは対応できないような多様な規格開発ニーズをもつ企業、団体、政府関係機関、学会などの皆様から、標準化の相談や依頼を受けて、迅速に規格として取りまとめ発行する、JSA独自の新しい規格制度(JSA規格)を2017年に創設しました。品質管理、品質経営に関しては、次のとおり、従業員満足やエクセレントサービスに関するJSA規格を開発、発行しました。

◇JSA-S1001:2019
 ヒューマンリソース マネジメント-従業員満足-組織における行動規範のための指針
 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1001%3A2019

◇JSA-S1002:2019
 エクセレントサービスのための規格開発の指針
 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1002%3A2019

 現在も多くの企業が導入しているISO9001に基づく基本品質の取り組みに加えて、日本の優れた品質管理の仕組み、ツール(方針管理、日常管理、小集団改善活動(QCサークル)、統計的手法、品質管理教育など)とともに、従業員満足やエクセレントサービスなどの考え方を上手く組み合わせることにより、ISO9001は、より使いやすく実用性の高いものになり、品質管理、品質経営の効果的、効率的な向上が期待できます。

 さらに言えば、アフターコロナ/ニューノーマル/デジタル革命に対応した仕組み、ツールを探求し、標準化(JIS、ISO、JSA規格)できれば、新たな時代に対応した品質管理、品質経営のフレームワークが構築できるのではないかと考えます。

 国際社会の観点では、例えば、中国は、品質管理のレベルアップに国策として取り組んでおり、「中国標準2035」という国家計画を進めています。IoT、AI、Big data、サービスなどの新しい分野を中心に、技術基準、ビジネスルールといった標準化のニーズが高まる中、わが国は日本の強みであるクォリテイと標準化を両輪で進める努力をしなければ、標準化の国際戦略において後手に回る恐れがあります。

 私どもJSAは、わが国の国際競争力強化の観点から、JAQの活動にご賛同いただく皆様のご支援とご協力を得ながら、規格化/標準化を通じて、ジャパン・クォリティの向上に貢献してまいります。