一般社団法人 日本品質管理学会
第48年度 自 2018年 10月 1日
至 2019年  9月30日
事業報告

1.概 況(会長:棟近 雅彦)

 日本品質管理学会(以下,JSQC)は,品質管理の一層の発展と学理の探究を目指して1970年に設立されました.まもなく,設立50周年を迎えます.この間,産学官の研究者,実務家が集う場を提供し,品質管理の発展に一定の成果を上げてきました.一方,産業界における品質管理の位置づけや学界で学会が果たすべき役割は,大きく変革しつつあります.
 この動きに対応するために,本学会は,第45年度から第50年度までの中長期計画に従って,改革を進行中です.この中長期計画は“QSHIN2020”と名付けられています.QSHIN2020では,以下が目標になっています.

 (1)救真2020: Japanese Association for Qualityの創設
 (2)究深2020:先進型マネジメント理論・技術の吸収と研究開発推進
 (3)求新2020:QMの必要な分野への展開
 (4)急進2020:本部・支部活動の重点化

 第47年度においては,3つの最重点活動を定め,これらの目標を達成するためのいくつかの新たな活動を開始し,組織改革も進めることができました.これらの新たな取り組みを軌道に乗せることが,第48年度の大きな役割です.また,QSHIN2020も折り返し点を過ぎましたので,目標や施策の見直しも必要と考えています.さらに,博士課程進学者・若手研究者が大きく減少している,英語論文しか業績として評価されない,といった問題に学界は直面しているのですが,これらは学界だけでなく,学会の存続にも関わる大きな問題です.これに対して,本学会で対応すべきことも考える必要があります.
 以上のことを考慮して,第47年度の最重点活動を継承して改革を軌道に乗せるとともに,50周年に向けての活動を加え,下記の4つの課題を第48年度の最重点活動として活動してまいりました.下表にその総括を示します.

最重点活動 主な実施事項 今後の課題
1.JSQCの強みの育成
・基盤戦略としての品質経営
 品質不祥事の再発防止のために,活動の継続的な推進と経営層への訴求を行う.
・品質不祥事対応WGを立ち上げ,各界および本会への提言を発信.年次大会で報告. ・提言の実行.
・革新戦略としての品質経営新部会(生産革新部会,サービスエクセレンス部会)の活性化を図る.また,既存部会(医療の質・安全,管理技術,ソフトウェア)の改革も進め,普遍的なツール,方法論の開発・普及を行う. ・生産革新部会・サービスエクセレント部会が知識共有会を6回開催.QMS部会を再編し,新たに管理技術部会の活動を開始. ・新部会のさらなる活性化.
普遍的なツール,方法論の開発・普及.
・標準化推進
 JSQC規格の普及,新規格開発を進める.また,サービスの標準化推進をサービスQ研究会を中心に進める.
・「新製品・新サービス開発管理の指針」を制定.規格講習会の開催.
・サービスのQ計画研究会で「サービス標準開発のための原則・用語と開発指針」を作成.
・規格の普及・啓発.JIS化,英文化の推進.
2.クオリティに関する横串機能
・JAQ設立に向けた準備
JAQ連携協議会を継続的に開催し,連携ネットワークの拡大を図る.また,品質月間でのJAQイベントを企画する.
・JAQ連携協議会を定期開催.品質工学会が新規加入.品質月間テキストの発刊.HPの立ち上げ準備. ・JAQの活性化.品質月間行事への参画.
・HPの立ち上げ.
3.JSQCのガバナンス強化
・公益法人化
 公益法人化に向けての課題を引き続き検討する.
・定款の一部改定,ガバナンスの強化,会計業務の効率化,寄付金収集スキームの検討 ・寄付金収集スキームの確立.
・公益化に向けての課題解決.
・組織体制の整備
大幅な組織改革の評価を行い,必要な見直しを行う.
・公益法人化と平行して事務局体制の見直しと新会員システムの立ち上げ. ・事務局体制の確立.必要な見直し.
・事業の推進
 会員のニーズを先取りした事業企画を推進する.特に第48年度は,東日本・西日本支部の活性化を図る.
・講演会2回,シンポジウム1回,規格講習会4回等の事業を実施.西日本で事業所見学会と規格講習会を各1回開催(詳細は事業・広報参照) ・事業のさらなる活性化.東日本・西日本支部の活性化.
・本会ジャーナルの見直し
品質誌,TQS(Total Quality Science)誌のあり方について検討する.
・学会誌/論文誌の在り方検討WGを立ち上げ,検討開始.年次大会で中間報告. ・引き続きWGで検討し,改革案を創案・実施.
4.50周年に向けて
・50周年記念事業
 WGを立ち上げて検討を始める.
・課題等の検討を開始 ・WGを立ち上げ,事業を推進.
・ANQ Congressの開催
 2021年以降に,ANQ Congressの日本での開催が予定されている.その準備を開始する.
・タイ,バンコクで行われる17th ANQ Congressの際に理事会を開催.日本から5名が出席.日本開催は2024年の予定.
・IKA Gold Medalに坂根正弘氏を推薦し,受賞.
・2024年のCongressに向けて準備を開始.
・IKA Silver Medalの候補者を推薦.
・学会名称変更の検討
 変更するかどうかを含め,学会名称変更について,会員の方々から意見を伺う.
・アンケートの実施.年次大会で結果を報告. ・アンケート結果を参考に,理事会で検討.
・電子ジャーナル化
 品質誌,要旨集等の電子ジャーナル化について検討する.
・課題等の検討を開始. ・WGを立ち上げ,具体策を検討.

2.総合企画委員会(委員長:棟近 雅彦)

 JSA・JUSE・JMA・JSQCを構成員とする JAQ連携協議会を2か月に1回の頻度で定期的に開催し,JAQの理念,行うべき活動,連携ネットワークの範囲等について,引き続き議論をしてまいりました.具体的には,顧客価値創造を主題とするテキストを刊行するとともに,品質月間での講演を企画,準備しました.また,連携に資するテーマである「国際標準化」では,JSQC規格のJIS化,JIS規格のISO化に向けた検討を行いました.そして,日本唯一の総合的な「品質」ポータルを立ち上げるべく,準備を進めました.JAQ連携協議会の構成員として品質工学会(RQES)が新たに参画されることになり,連携範囲の拡大に努めました.
 さらに,期中に「学会誌/論文誌あり方検討WG」と「品質不祥事対応WG」を立ち上げて検討を進めました.前者のWGでは,TQS誌をIF(インパクトファクター)が取れる雑誌に変革するためのロードマップ(工程表)を策定しました.後者では『「品質立国日本再生」に向けての提言』を取り纏め,HPに掲示しました.

3.庶務委員会(委員長:金子 雅明)

 「公益化」においては,公益法人への移行を前提として,定款の一部改定を行うとともに,ガバナンスの強化,及び会計業務の効率化を進めました.さらに,財務基盤の強化を目的として寄付金収集スキームの検討を進めました.
 会員サービスの充実では,JSQCフェロー認定候補者をピックアップし,11名を認定しました.また,学会名称変更については,正会員・賛助会員向けWebアンケートの検討と実施を行い,会員からの回答を集計しました.

【会員サービス】(委員長:永井 義満)
 会員数(第48年度末)(括弧内 第47年度末 2018年9月末比)は,第48年度末,名誉会員23名(1名減),正会員1824名(55名減),準会員84名(18名増),職域会員50名(6名増),賛助会員142社184口(4口減),賛助職域会員7名(3名増),公共会員18口(1口増)となっています.
 前年度に引き続き「JSQC認定上級品質技術者」および「JSQC認定品質技術者」に関して認定証を発行し,同制度の認知度を高める取り組みを行いました.またQC検定1級および2級の合格者に対しては学会年会費が割引となるキャンペーンを行いました.

第47年度末 第48年度末
名誉会員: 24名 名誉会員: 23名
正 会 員: 1,879名 正 会 員: 1,824名
準 会 員: 66名 準 会 員: 84名
職域会員: 44名 職域会員: 50名
賛助会員: 142社188口 賛助会員: 142社184口
賛助職域会員: 4名 賛助職域会員: 7名
公共会員: 17口 公共会員: 18口

4.活動委員会(事業を含む)(委員長:棟近 雅彦)

【研究開発】(委員長:鈴木 秀男)
 研究開発委員会では,以下の活動を行いました.
@例年通り,各研究会の活動予算を審議し,各研究会に配分しました.
A研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を実施しました.品質誌に「部会研究活動報告」,「研究活動報告」という欄を設け,継続的に発表しました.

【学会誌編集】(委員長:伊藤 誠)
 第48年度も例年どおり,年4冊の学会誌『品質』を発刊しました.
 内容としましては,事業委員会,研究開発委員会と密接に連携し,研究会報告や部会報告を中心に掲載してきました.この編集方針の変更は,新中期計画に記載されている学会誌再編成の指針に従うものです.ただし,学会誌を学会員にとって魅力的なものにするために,チュートリアルセッションやクオリティトークの講演内容,学会主催の講演会での講演内容を収録するなどしました.さらに,支部の活動についても,できるだけ紹介していくように努めました.
 おおむね計画通りに刊行できたものと考えています.

【事業・広報】(委員長:斉藤 忠)
 第48年度の活動計画としては,本部行事として,以下の計画を掲げました.第48年度は東日本支部,西日本支部が開設2年目から,東日本は昨年に引き続き東北地区で事業所見学会と規格講習会を各1回,西日本も中国地区で事業所見学会と規格講習会を各1回開催し第48年度も東日本と西日本の合同で事業を進めて参りました.また,部会については昨年から新たな部会として新設された生産革新部会向けに,IoTに関する行事を昨年に引き続き開催し,同じく昨年から新設されたサービスエクセレンス部会向けにファストフードの人材教育拠点の現場の見学なども実施しました.また,今年度は,講演会や見学会の実施の際,QCサークル関係者とコラボ事業も開催できました.昨年に引き続き,従来,関東,中部,関西での開催に偏っていた行事を各地で開催することで,より学会員の満足度向上に寄与させる活動を進めてまいりました.

表.第48年度事業計画と実績

  年次大会 研究発表会 講演会 シンポジウム
(各研究会より)
JSQC規格
講習会
事業所
見学会
Qトーク
48年度計画 1 1 1 2 6 4 6
48年度実績 1 1 2 1 4 8 5
計画差異 0 0 +1 △1 △2 +4 △1

 広報活動については,学会ホームページのリニューアルについて,庶務委員会を中心に検討が進んでおります.また,昨年に引き続き,事業活動の早期の学会員の方々への情報提供として,学会ホームページの行事一覧の中に,「速報掲載」をアップし学会員の皆さまへ情報の提供を図ってまいりました.

【JSQC選書】(委員長:飯塚 悦功)
 品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として,品質マネジメントに関わる,基本的考え方,マネジメントシステム,手法・技法,推進・運用,さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました.
 同委員会を2回開催し,発行書籍候補の列挙,短期(1年程度)的な発行計画(主題,著者,発行時期など)を審議し決定しました.決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い,下記の書籍の発行,及び発行に向けた準備を進めました(出版社:日本規格協会).

 ・『企業の持続的発展を支える人材育成』(村川賢司)2019年1月
 ・『商品企画七つ道具』(丸山一彦)2019年10月
 ・『戦略としてのクオリティマネジメント(仮)』(小原好一)2019年11月予定

4-1.東日本支部(支部長:棟近 雅彦)

 関東エリアのコミュニティ強化を目指して,活動委員会(事業・広報)が中心となりクオリティトーク,事業所見学会を企画・開催しました.
 また,昨年度に引き続き東北エリアのコミュニティ強化策として,事業所見学会,JSQC規格講習会を企画・開催しました.

4-2.中部支部(支部長:仁科 健)
(1) 研究会活動
1)東海地区 若手研究会[主査:松田眞一](計画6回/実績6回)
*産業界から実務上の問題点(困り事,関心事など),SQCに関連した話題,大学院や学部の学生の研究などを持ち寄り議論しました.検討内容の完成度が高いものは研究発表会において発表を行いました.
2)北陸地区 若手研究会[主査:中野 真](計画1回/実績2回)
*産学連携による進化と改善の発信を目指します.
*研究発表会:2月24日,出席者:17名,発表件数:9件 
*講演会:5月11日,出席者:9名 講師:越野 亮氏[石川県工業高等専門学校],伊藤 数子氏[NPO法人STAND]
3)中部医療の質管理研究会[主査:岩砂智丈/学側代表:國澤英雄](計画5回/実績3回)
*活動テーマ「医療の質向上に関する活動の推進」
*シンポジウム:12月9日,出席者:53名 定例会(研究会): 2回実施(奇数月開催)
4)中部支部産学連携研究会[主査:川村大伸](計画6回/実績7回・うち企業見学会1回)
*産学から持ち寄ったテーマを基に5つのテーマを登録し,主担当を決め,学と産が双方向に情報発信を行います.研究成果は国内外の発表会で公表.
(2) 研究発表会(第120回)
*日 程 :8月28日13:00〜18:25(場所:名古屋工業大学)
*参加者:53名
*発表内容 :発表件数15件
(産業界8件,学術界6件,産学協同1件/若手研(東海)4件,産学連携研1件)
(3) シンポジウム(第167回)
*日 程 :7月16日13:15〜17:00 (場所:名古屋工業大学 4号館ホール) 
*参加者:89名
*テーマ:異常の発見,その感度や対応力を高めるために
 ・基調講演 仁科 健 氏[JSQC中部支部長/愛知工業大学]
 ・事例講演 古橋 智久 氏[東海旅客鉄道株式会社]
 ・事例講演 溝口 浩二 氏[日本製鉄株式会社]
 ・事例講演 土屋 満智子 氏[丸善石油化学株式会社]
 ・パネル討論会 パネルリーダー 仁科氏/パネラー 古橋氏,溝口氏,土屋氏
(4) 講演会(第136回ミニ講演会)
*日 程 :8月21日18:00〜19:45(場所:日本規格協会 名古屋支部) 
*参加者:18名
*テーマ:鉄道の安全とヒューマンファクター研究
*講演者:河合 篤氏 [西日本旅客鉄道株式会社]
(5) 事業所見学会
*第1回(第410回):プライムツリー赤池(愛知県日進市)[日程:2月27日 参加者:22名]
 ・テーマ『大型商業施設のサービスの質向上』
*第2回(第412回):安城自動車学校(愛知県安城市)[日程:6月24日 参加者:13名]
 ・テーマ『地域に寄り添ったおもてなし経営の実践』
(6) 幹事研修会 
*第1回 5月8日:勉強会
 ・テーマ『医療に質管理を導入する上での医師から見た疑問点』 
 ・講 師: 安田 あゆ子氏[藤田医科大学病院]
 ・幹事・代議員および 参加希望者 計31名参加
*第2回 8月23日:北陸地区見学会
 ・見学先:こまつの杜/航空自衛隊小松基地 
 ・幹事・代議員・事務局 計18名参加
(7) 役員会
*第1回 2018年12月20日 日本規格協会 名古屋支部 セミナーホール 
*第2回 2019年 9月27日 日本規格協会 名古屋支部 セミナーホール 

4-3.関西支部(支部長:鱠谷 佳和)
(1) 事業所見学会
第411回 6月25日(火):叶島織物セルコン 市原事業所[参加者30名]
 「叶島織物セルコンにおける伝統技術継承とモノづくりの取組み」
→ 伝統技術の継承および高品質で価値あるモノづくりにおける品質管理についてご紹介いただきました.
第413回 9月 6日(金):独立行政法人造幣局 本局[参加者35名]
 「造幣局における最先端技術の貨幣製造と改善の取組み」
→ 最先端技術を駆使した貨幣製造工程や造幣局の事業・歴史から貴重な貨幣などを展示している造幣博物館の見学と事業を支える根源となる人づくり・組織づくり・モノづくりを目的とした改善活動の取組みについてご紹介いただきました.
(2) 講演会
第135回 6月14日(金)13:05〜17:00:大阪大学中之島センター[参加者71名]
 「モノづくり企業におけるAI・IoT技術の活用と将来展望」
講演@: 「製造業におけるデータサイエンスの役割」
 竹村 彰通 氏(滋賀大学 データサイエンス学部長)
講演A: 「機械学習がモノづくりにもたらす変革あるいは原点回帰」
 伊地知 晋平 氏(Data Robot Japan株式会社 データサイエンティスト)
→ モノづくりにおけるAI・IoT技術の活用と将来展望と題して,学術的な側面と企業支援の側面からご講演いただきました.伊地知氏の講演の後半には,半導体製造工場のデータを用いてDataRobotのデモを見せていただきました.総合質疑では,予定時間いっぱいまで活発な議論が行われ,大変有意義な講演会となりました.
(3) シンポジウム
第168回 9月11日(水)13:15〜16:50:大阪大学中之島センター[参加者 45名]
「顧客価値向上に必要な人材を育てるためのアイデア」
講演@:
「【良いモノづくりですね】って言って頂ける業務改革が行える従業員育成を目指して
〜パナソニック・IS社でのモノづくり改善育成のご紹介〜」
清水 貴宏 氏(パナソニック インダストリアルソリューションズ社 モノづくり・品質強化センター 品質イノベーション部 SQC強化担当主幹)
講演A:
「関西電力における業務変革と人材育成の同時達成教育プログラム
〜「実務スタッフコース」のご紹介」
 飛田  聡 氏(関西電力 経営企画室 CSR・品質推進グループ チーフマネジャー)
パネルディスカッション: 司  会: 太田 雅晴 氏(大阪学院大学 経営学部 教授)
  メンバー: 荒木 孝治 氏(関西大学 商学部 教授)
    清水 貴宏 氏(講演者)
    飛田  聡 氏(講演者)
→ パナソニック梶C関西電力鰍フ両社で取り組まれている人財育成の仕組みや事例を講演いただいた後,「顧客価値向上に必要な人材を育てるためのアイデア」をテーマにパネル討論を行いました.アンケート結果は上々でした.
(4) 研究発表会
第121回 9月20日(金)10:30〜16:30:大阪大学中之島センター[参加者38名]
特別講演: 「『データマネジメント夜明け前』を題材に学ぶ」
吉田 道弘 氏(岡山大学病院 新医療研究開発センター データサイエンス部 統計解析室 教授)
→ 発表件数は12件(研究11件,事例1件).優秀発表賞の表彰を行いました.
(5) 研究活動報告
1) 実用的統計手法研究会
「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」「統計的方法論を実用普及する際のツール(教育教材等)開発・提案を行うこと」を実施しました.
2) ダイナミックロバストマネジメント研究会
 これまで研究してきた「科学的先手管理七つ道具(SE7)」と2015年改訂されたISO MS の品質,環境規格の特長,意図とを俯瞰的に融合して組織の文化へのマッチング,コミュニケーションを明確にし,従来,企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係,ヒューマンエラー,モノづくりのレベルアップ策等に関して,品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし,ダイナミックな問題解決アプローチを体系化しています.
(6) QCサロン
第118回 10月23日(火)稲葉 太一 氏(神戸大学)[参加者28名]
 「管理図の異常判定ルールの確率計算 −付録の8ルールを,より厳密にしよう−」
第119回 2月 6日(水)服部 和則 氏(潟Rンテック)[参加者28名]
 「コンテック小牧事業所におけるIoT導入の活動について」
第120回 4月11日(木)西野 真弥 氏(滑竝闢d機製作所)[参加者40名]
 「IT技術を用いた自動検査装置の開発事例」
第121回 6月 5日(水)萬矢 修一 氏(鰍fSユアサ)[参加者30名]
 「鰍fSユアサ産業電池生産本部におけるITの導入事例」
第122回 8月22日(木)江上 豊彦 氏(潟mーリツ)[参加者30名]
 「IoTを用いた給湯機器の保全対策」
第123回 10月15日(火)青木 雄一 氏(エスペック梶j(予定)
 「輸送環境ストレスに対する信頼性管理とIoT導入」
(7) 合同役員会
2018年10月23日(火),12月6日(木),2019年2月6日(水),4月11日(木),6月5日(水),8月22日(木),10月15日(火)

4-4.西日本支部(支部長:長坂 康史)

 西日本支部の活動として,事業委員会と連携し,JSQC規格講習会を1回及び事業所見学会を1回,実施しました.
(1) 第417回事業所見学会 参加者数:12名
日 程: 2019年7月2日(火)13:30〜15:00
見学先: 株式会社日立製作所 鉄道ビジネスユニット 笠戸事業所(山口県下松市)
テーマ: 日立グループが持つ革新的な技術を学ぶ −つくるときから環境に配慮−
(2) JSQC規格「方針管理の指針」講習会  参加者数17名
日 程: 2019年7月3日(水)13:15〜16:45
会 場: 広島工業大学 広島校舎(広島県広島市)
内 容: JSQC規格「方針管理の指針」講習会

4-5.生産革新部会(部会長:浅羽 登志也52名:サービスエクセレンス部会と合同開催)

 社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を計6回(@〜E)開催しました.

  @ デジタルがもたらす事業構造変革〜個客価値の視点から考える取引モデルと市場の変革
  A データ資本とサービスプラットフォーム〜データの戦略について考える
  B 品質を切り口にインターネットの思想・仕組みを語る
  C 夢の技術!?「ブロックチェーン」最前線
  D 品質としてのサイバーセキュリティ〜IoTサプライチェーンの課題
  E CASEという自動車業界に多大な影響を与える環境変化の中で,いかに生き残っていくか

4-5-1.信頼性・安全性計画研究会(主査:岡部 康平 16名)

 第四期の4年目であり,昨年度より,世間を騒がした製造業の不正問題について,委員の独自調査結果に基づき,研究会で検討した成果を再発防止のための点検表(チェックリスト)として取りまとめました.それらを会誌で連載形式により発表し,その活用を提言しました.また,第三期より注目してきた次期社会インフラ全般が備えるべき,品質およびその管理の根本的課題を掘り下げ,未然防止への展開を検討しました.
(1) 信頼性・安全性作りこみ技術
 製品安全における未然防止の実効性向上を目的に,ネットワークを介して製品等の状態を常時監視することで,信頼性・安全性を管理するIT技術等の動向を調査しました.自動車の制御装置の発展に伴う車検制度改正に着目し,信頼性・安全性の管理技術を把握するとともに,その運用上の課題把握にも取り組みました.自動車版のブラックボックスの有効性や妥当性についての第三者的評価などを議論しました.今後も,製品が市場に普及した後の,安全性を維持・管理する手法・技術について調査・検討を進めます.
(2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
 前年度に引き続き,新規発展分野の社会インフラにおける安全設計から管理体制にいたる品質管理の現状と動向を調査し,それらインフラの今後の展開について検討しました.自動車の自動運転技術やドローンの運送システムにおける安全管理について,専門家に研究会で話題提供して頂くことで,それら管理の特徴や現状を把握しました.自動車の安全運転支援システムに対する管理体制を把握するとともに,車検制度の位置付けや役割について整理し,自動運転車の使用者管理責任や製造業者の製造物責任について議論しました.ドローンの運送システムでは,安全管理の規格化なども議論しました.
 品質管理を重視する組織文化の樹立と継承については,前年度より継続的に議論してきた製造業者の不正問題に対して,不正防止・改善を自発的に促すための本研究会提言案を一部発表しました.コンプライアンスの定義や解釈を議論するとともに,内部通報制度や品質管理体制,第三者による監視の枠組みなどを,企業の品質管理担当者や経営者らが,自ら自己採点して評価できるように,チェックリスク形式での確認項目,改善項目を10箇条程度にまとめました.再発防止の観点でまとめたチェクリストを第1弾とし,その後,未然防止の観点からも検討したチェックリストを会誌で連載することにしました.
(3) 研究成果のとりまとめと情報発信
 第四期のこれまでの成果を総括しつつ,不正問題に対する提言案を取りまとめ,各委員のそれぞれの立場から,不正問題への提言を会誌の連載で情報発信しました.引き続き連載を進めるとともに,個別の提言案を総括する計画をたて,その結果も連載する予定に組み込みました.当初の注目分野であるドローンの専門家が委員に加わり,今回の成果である提言案を,新規産業分野へ活用するための枠組みや今後の展開についても積極に検討しました.それらも連載に加える見込みです.

4-5-2.テクノメトリックス研究会(主査:青木 敏 10名)

 テクノメトリックス研究会では,「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」のために,手法,考え方,事例などについて幅広い視点から研究してきました.研究会はおおむね3ヶ月に1度の開催で,メンバーが上記の手法,考え方,事例などについて紹介し,メンバー間での議論により研究成果を練り上げていきました.議論したテーマは,3水準配列の代数的構成,SN比のベイズ推定,EMアルゴリズムによる重畳再生過程,応答曲面法,部品探索法,多変量時空間データの解析法,計算代数手法,魅力的・当り前品質の構造,など多岐にわたっています.また,JSQC研究発表会や品質誌をはじめとするさまざまな学術雑誌をとおして,研究成果を報告しました.

4-5-3.製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会(主査:小野田 崇 18名)

 今年度の本研究会は,前年度と同様に,約2ヶ月に1回程度のペースで計7回開催しました.
 今年度は,各研究会メンバーが機械学習を体験し,機械学習の特徴や注意点を実感することを本研究会の目的としました.この目的の下,今年度の研究会では,主査が提供した2種類のデータ(数値データ,画像データ)に対し,各研究会メンバーがサポートベクターマシン(SVM)やランダムフォレスト,ニューラルネットワーク等の機械学習を中心とした統計手法で分析を行った結果を報告し,それに基づいて討議を行いました.
 本研究会の成果報告として,第119回研究発表会(2019/5/25)で本研究会の活動報告を行いました.また今後,第49回年次大会研究発表会(2019/11/23),第122回研究発表会(2020/5予定)でも本研究会の活動報告を行う予定です.

4-5-4.商品開発プロセス研究会(主査:椿 広計 31名)

 本研究会は新たに設立された,品質工学会との共同の研究会である.今年度は全体の研究会を5回開催した.そのうちの最初の3回で,新商品開発に実際に活用されている汎用技術,管理技術を整理した後に,商品開発プロセスの上流から下流までの3つに関心を絞り込み,WGを設立した.

 WG1 顧客価値創造の上流工程プロセスの開発
 WG2 創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの研究
 WG3 損失関数の新事業プロセス評価への適用研究

 今春以降,すべてのWGが春以降に活動を開始している.中間段階でも両学会会員からの意見を積極的に収集していくように計画していて,まずは第49回年次大会研究発表会で企画セッションを設けて,本研究会の活動を報告する.

4-6.サービスエクセレンス部会(部会長:水流 聡子 52名:生産革新部会と合同開催)

 社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を計6回(@〜E)開催しました.

  @ デジタルがもたらす事業構造変革〜個客価値の視点から考える取引モデルと市場の変革
  A データ資本とサービスプラットフォーム〜データの戦略について考える
  B 品質を切り口にインターネットの思想・仕組みを語る
  C 夢の技術!?「ブロックチェーン」最前線
  D 品質としてのサイバーセキュリティ〜IoTサプライチェーンの課題
  E CASEという自動車業界に多大な影響を与える環境変化の中で,いかに生き残っていくか

4-6-1.サービスのQ計画研究会(主査:水流 聡子 17名)

 2016年に本画研究会が設置されてから,3年間で計20回の研究会を開催し,その成果である「サービス標準開発のための原則・用語と,開発指針」は,日本品質管理学会・サービス学会・日本規格協会が支援して設置された「サービス標準化委員会(規格ユーザとしての民間事業者・関連省庁・経団連・学会により構成)」に提案・議論・改善を繰り返し,2018年3月末の当該委員会において,委員長預かりとなりました.
 並行してJIS法改正の中で,民間規格の開発とJIS化の速度向上のための対応がなされました.民間規格開発能力のある組織として承認された日本規格協会は,JSA規格(JSA-S)として保冷宅配の国内民間規格を開発しました.その後,上記の「サービス標準開発のための原則・用語と,開発指針」のJSA-S化に向けた検討を行う分科会が設置され,2019年6月に「JSA-S 1002:2019 エクセレントサービスのための規格開発の指針 Guide for the development of service standards aiming excellent service」となりました.
 この間にJIS法改正のための準備がすすみ,日本工業標準(JIS)から日本産業標準(JIS)へと法改正が行われ,JISが鉱工業製品だけでなく,サービスを取り扱うこととなりました.また,ISOでは,ISO/TC312 Service in Excellence が立ちあがり,「WG2エクセレントサービスの設計」のコンビナーを日本がとることとなりました.

4-7.医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 129名)

 今年度の研究活動は,QMS-H研究会との共同研究,医療の質マネジメントシステム監査研究会(略称:医療QMS監査研究会)および医療経営の総合的「質」研究会の3研究会で,医療の質マネジメントの方法論に関する研究を進めてまいりました.
(1) QMS-H研究会との共同研究
 今年度は,業務改善指標,文書管理,中間管理職教育を重点テーマとして研究を進めました.例年開催している最終成果報告シンポジウムを,2019年3月2日に早稲田大学で開催しました.テーマは,「各職種が考える“QMS 導入・推進時の課題と工夫”」で,100名以上の方が参加し,活発な議論が行われました.2019年度の中間成果報告会は,2019年9月に国立病院機構仙台医療センターで行いました.研究発表も,本学会はもちろん,医療の質・安全学会,ANQ,QMOD等で,部会員の研究発表を行いました.
(2) 医療QMS監査研究会
 今年度は,ISO 9001:2015の特徴を分析し,それをふまえた医療のQMSへの活用方法について研究を進めました.特に,2015年版で新たに加わった要求事項について,審査の視点と確認事項を明らかにしました.2018年11月には,年次大会研究発表会で中間報告を行いました.
(3) 医療経営の総合的「質」研究会
 医療事故調査等の活動と医療のTQM七つ道具,医療機関のTQM普及に関しては,研究会メンバーが厚労省,全日本病院協会等への会合に参加し,啓発に努めました.メンバの1名は厚労省補助事業である医療の質向上のための体制整備事業の一環である医療の質向上のための協議会(日本医療機能評価機構)委員となり,医療施設における標準的な臨床指標の策定に従事しました.また,定期的な研究会での議論とともに,特性要因図,業務フロー図,RCA,FMEAに関する講習会を開催しました.医療アラームに関しては引き続き,生態情報モニタ,ナースコール関連事故の根本原因を分析し,過去検討してきた内容の製本化に向けて出版者を選定中です.なお,電子カルテ,特にEHRの標準化に向けて,米国で導入検討されているFHIRについてもその意義と課題を検討しました.さらに,企業のホームページ等を活用した質保証・改善の広報システムを検討しました.
(4) 医療の質マネジメント基礎講座
 アウトリーチ活動の一環として開催している「医療の質マネジメント基礎講座」を,今年度から早稲田大学との共催で開催しました.2019年5月から8月にかけて実施し,昨年度同様延べ約570名の方が受講しました.全14回を受講され,医療安全管理者の要件を満たした方が約20名と,例年に比べ大変多くなりました.

4-8.ソフトウェア部会(部会長:兼子 毅 76名)

 第48年度は以下のことを行いました.
・ソフトウェア部会会合の定期的開催(一ヶ月に1回程度)
 ソフトウェアの品質管理を考えるうえで,品質管理の方法論や適用手法などの違いという観点から,どのようにソフトウェアを分類することができるのかに関する議論を深めました.その結果,大きく三つに分類することが妥当であるとの結論に至りました.
・メーリングリストやSNSを利用した情報交換及び情報発信
 部会メンバー間の情報交換をメーリングリストで行うとともに,SNSを利用した情報発信を行いました.
・ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援
 昨年度同様,他団体との連携を行い,各種行事の後援などを行いました.

4-9.管理技術部会(部会長:金子 雅明)

 本部会下に従来の「QMS有効活用及び審査研究会(以下,QMS部会)」を位置付け,7つのWGで活動してきましたが,2019年4月に部会長・副部会長・幹事,及び各WGリーダー/メンバーによる全体会合を開催し,今後の部会の在り方を議論しました.その結果,4つのWGに集約しました.また,10月に第2回目の全体会合も開催しました.各WGの目的と活動報告は以下の通りです.
WG1:品質マネジメントの改善・発展・活用の道〜中小企業の QMS モデルの研究〜
 本WGメンバーは旧QMS有効活用及び審査研究会WG6のメンバーを主体に,新たに3名のメンバーが加わり研究活動を行っています.中小企業が直面している課題整理の一環として,品質あるいは品質をトリガーとした報道,QMSの周辺を含めて幅広い討論をしてきました.部会長より研究テーマの焦点を絞るため「アンケート」を取ればとの助言がありました.品質管理に関するセミナー講師の依頼が某公共団体よりあり(受講者は中小企業経営者等,8月にセミナー実施),受講者に対してアンケートを行い現在アンケートの解析中です.
WG2:持続的成功のQMSの研究(ISO9004の研究)
 目的は,従来のQMSにとらわれない,組織を持続的に成功させる仕組みを研究します.これまで活動として,4〜5月にISO9004:2018規格の研究を行い,要点を抽出しました.6〜8月に人材作りのための仕組み作り研究を行い,11月の年次大会・研究発表会にてその研究成果を発表予定です.
WG3:有効な審査のためのツール・技法の研究
 メンバー8名で活動を開始しました.研究目的は,ISO 9001:2015年度版の箇条4(組織の状況)及び箇条6.1(リスク及び機会への取り組み)に着目した審査技法及びツールの開発です.6月の研究会では,箇条4と6.1の規格の意図について考え方を整理し,メンバーで共有しました.8月の研究会では「組織がこの要求事項をどの程度システムとして構築するべきなのか」,更に「認証審査員はどのような視点に着目して審査に臨むか」について課題を出し合い,議論をスタートしたところです.
WG4: 経営に寄与するQMSの本質の研究
 第48年度期中から新たにWGを立上げ,QMSを経営に寄与させるための方法について研究を開始しました.近年,QMSの有効性及びパフォーマンス改善に物足りなさを感じている組織が多いと思われますが,TQMはそれらを実現するための方法論を提供しており,その指針がJSQC規格として発行されています.今年度は3回の会合を開催しており,まずは「日常管理,方針管理の手引きの作成」を目標として活動中です.

5.標準委員会(委員長:平林 良人)

(1) 新しいJSQC規格を発行しました.
2019年5月20日,JSQC-Std 22-001:2019「新製品・新サービス開発管理の指針」を制定しました.
(2) JSQC英訳規格(日常管理,方針管理)のJIS化を支援しました.
日本規格協会が進めている英語JIS規格への展開を推進してきました.
(3) 既発行のJSQC規格の定期見直しをしました.
JSQC Std32-001(E) 日常管理の指針(英語版)2019年見直しは,[継続]に決定しました.
(4) JSQC規格の普及活動を継続して推進しました.
事業委員会とのコラボレーションにより,各地で学会規格の講習会を開催しました.
・2019年1月 JSQC規格「品質管理教育の指針」東京
・2019年7月 JSQC規格「方針管理の指針」広島
・2019年9月 JSQC規格「方針管理の指針」仙台
(5) 「企業における品質保証のあるべき姿」を理事会に提言しました.
その結果,学会長からメンバーに,現状の考察と今後の在り方についての提言書の取りまとめが委嘱され,その作業実施チーム(名称:品質不祥事対応WG)が結成されました.
・浅羽(学会副会長)
・古谷(理事)
・斉藤(理事,事業・広報委員会委員長,標準委員会委員)
・永原(標準委員会委員)
・平林(理事,標準委員会委員長):リーダー
5月20日の理事会において,下記2種類の提言文書に対する理事各位からコメントをいただくことになり,いただいたコメントを処理して7月の理事会で次の2つの提言書が承認されました.
・「品質立国日本再生」に向けての各界への提言
・品質不祥事対応WGから日本品質管理学会への提言

6.学術委員会(委員長:渡辺 喜道)

 6-1.論文誌編集,表彰(学術)小委員会
 【論文誌編集】(委員長:渡辺 喜道)
論文誌編集委員会では以下の活動を行いました.
(1)  ほぼ,毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました.論文誌編集委員会の責任に基づき,査読意見を参考にしながら,編集委員会が掲載の可否を判断してきました.また,「著者責任」を基本とし,新規性・価値のある主張を含む論文については掲載する方向で進めました.
(2)  タイのバンコクで開催されるANQ Congress 2019にあたり,国際交流委員会の委託を受けて,以下の活動を行いました.
1) JSQCから提出された全てのアブストラクト(全56本)に対する審査
2) フルペーパーに対するBest Paper Awardの審査
(3)  投稿論文審査のスピード化も引き続きめざした結果,大幅に遅れるものはなくなっています.さらに迅速に審査が進むように,次年度以降も管理を徹底いたします.
(4)  国際交流委員会と連携して,ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行を行いました.第48年度はVol.4 No.1,Vol.4 No.2,Vol.4 No.3を発行しました.論文数は年間16報と,目標を上回る数を掲載できています.
(5)  第48年度は,昨年度に引き続き論文掲載料の検討をいたしました.論文掲載には相当なコストがかかるため,学会の財政状況を鑑みますと,論文掲載料の徴収は避けらない状況です.会員の理解を得つつ,引き続き検討を続けます.
(6)  学会誌編集委員会と連携して,品質誌の電子ジャーナル化(J-Stageでの発行)を検討しました.詳細につきましては,引き続き検討を続けます.
(7)  研究発表会の活性化を目的として創設された優秀発表賞制度を継続しました.
(8)  表1に過去5年間(第44年度〜第48年度)の月別投稿論文数を,表2に過去5年(第43年度〜第47年度)の投稿区分別採択数を示します.第48年度は審査中のものがありますので,採択数は第43年度から第47年度を示しました.一度却下されたものが再投稿される場合もありますので,単純に採択率を計算することはできませんが,おおむね4割程度が採択されています.
 

表1 過去5年間の月別論文投稿数

  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
第44年度 2 1 2 5 0 0 1 2 1 0 1 1 16
第45年度 0 0 1 2 1 3 0 1 0 1 0 1 10
第46年度 1 4 1 1 1 3 2 0 1 3 0 2 19
第47年度 0 2 1 2 0 1 1 4 1 0 1 2 15
第48年度 3 1 2 1 1 3 1 2 2 1 1 2 20

 

表2 過去5年間の投稿区分別採択数

  第43年度 第44年度 第45度 第46年度 第47年度 採択率
  投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択
30 5 16 9 10 3 19 7 15 7 34.44
報文 14 3 5 1 3 1 3 2 3 2 32.14
技術ノート 2 0 1 1 0 0 1 0 3 1 28.57
調査研究論文 2 1 2 2 3 0 2 0 1 1 40.00
応用研究論文 4 1 5 4 2 0 6 1 5 1 31.82
投稿論説 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00
研究速報論文 - - - - - - - - 1 0 0.00
クオリティレポート 4 0 3 1 0 1 7 5 2 2 56.25
QCサロン 0 0 0 0 1 1 0 0 1 0 50.00
レター 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00

【研究助成特別】(委員長:川村 大伸)
 本事業は学会創立30周年記念事業として第31年度より開始されたものです.助成金額は1件5万円で5件以内.対象者は,日本品質管理学会の正会員もしくは準会員,申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者,留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者です.本年度は13名の応募があり,研究助成選考内規に則り5名を選考しました.

6-2.国際交流,学会間交流小委員会(委員長:佐野 雅隆)
 【国際交流】
第48年度の国際委員会では,以下の事業を実施しました.
(1)  ANQ 2019への参加
 タイのバンコクにて,2019年10月21-25日に,ANQ(Asian Network for Quality)総会が開催されます.タイのSQATが主催し,Dr. Panisuan ANQ会長のもと,ホテル(The Berkeley Hotel Pratunam)が,会場および推奨宿泊ホテルとなりました.Abstractの登録件数では,全体で約260件であり,JSQCからは発表約60件です.これは,ANQ参加組織中,第二位の発表件数の予定です.クレジットカードでの登録費支払いにトラブルがありましたが,SQATとの連携により,現地での支払いについても認めていただきました.ANQという国際会議での発表の場を若手に提供できていることで,以前に比べると若手の発表の質が向上してきており,また徐々に研究者・大学教員の発表も増えてきています.JSQCにとってANQは人材育成・研究業績向上のためのひとつの有用な「場」となっているように思われます.
(2)  ANQの安定的発展のための調整
 2019年の春には東京で,ANQ理事会が開催されました.JSQCとしてANQの発展に積極的に関与しています.財務委員会,ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会),Ishikawa Kano Award委員会に委員を派遣しています.財務委員会では,JSQCが委員長を務めております.
(3)  英文電子ジャーナルの刊行
 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の4年目の刊行が完了し,TQSへの投稿に対する期待もあり,ANQ発表件数は安定しています.
(4)  海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討しています.

【学会間交流】(委員長:佐野 雅隆・松浦 峻)
(1) FMES
 第48年度も引き続き,FMES代表者会議,FMES/JABEE委員会,FMESシンポジウムに参画し,経営工学関連学会との交流,JABEEの審査活動,FMESシンポジウム等の活動に,中核団体として協力してまいりました.FMESシンポジウム・学会会長・副会長懇談会は,2019年3月にOR学会の研究発表会・シンポジウムと合同で開催されました.FMES代表者会議は,2019年5月に開催され,委員会活動,シンポジウム等の活動報告,2019年度の活動計画等について討議しました.次年度からの事務局担当はOR学会になるため,JSQCからの引継ぎを行いました.

(2)横幹連合関係(委員長:椿 広計)
1)横幹連合2018年度(2018年4月〜2019年3月)については,JSQC理事会推薦者2名が連合役員を務めました(監事:末岡 徹,理事:椿 広計).末岡監事は,任期満了のため,2019年4月総会で退任しました.
2)横幹連合2019年度(2019年4月〜2020年3月)は,2019年4月に開催された横幹連合総会で,椿連合理事が,副会長に選任されると共に,連合理事会で事業・企画委員会委員長に指名されました.また,木野泰伸(筑波大学)が,役員選考委員会推薦でJSQC会員として新理事に就任しました.
3)2018年10月に電気通信大学で開催された横幹連合第9回コンファレンスの会長懇談会に棟近雅彦会長が出席しました.また,JSQC会員が企画セッション立上げに協力し,2つのセッション「品質・信頼性・安全性への未然防止体系の新展開」(オーガナイザー:鈴木和幸,電気通信大学),「品質工学(タグチメソッド)と統計科学」(椿広計,統計センター)で9件の講演を行いました.この一部のプロシーディング6件はJ-STAGEに公開されていますのでご参照ください
(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/oukan/list/-char/ja).
4)横幹連合第9回コンファレンス「コトつくり至宝発掘の試行」セッションにJSQC理事会から「QCサークル活動(小集団改善活動)」をコトつくり至宝に推薦し,光藤義郎,小原好一,椿広計が予稿を提出しました.4学会から5つの至宝候補が提出され,こと審査の結果全候補が,コトつくりコレクション2018年度選出内容として公開されました.詳細は,https://www.trafst.jp/archive/kototukuri.htmlをご覧ください.今後,コトつくりコレクションの数が増加した段階で,至宝登録審査が行われるとのことです.
5)雑誌「横幹」編集委員会より,第9回コンファレンス上記2つの企画セッションを第13巻第2号の特集「品質・信頼性・安全性に関わる横幹的体系」としたいとの依頼を受け,6本の論説,解説からなる特集の企画を行い,投稿論説・解説の校閲を受けました.

7.安全・安心社会技術連携特別委員会(委員長:伊藤 誠)

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム研究部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップを,2019年6月に実施しました.また,自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力しています.特にISO 39001の普及をめざし,ISO TC241/WG 4 marketing committeeに参画しています.
 
8.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会(委員長:鈴木 和幸)

 問題解決教育を通して,自己啓発・相互啓発が為され,一人ひとりの潜在的能力を引き出し,自らが主体性を持って行動し,人に優しく,社会に貢献し,人間的成長を図るべく,本委員会として下記の活動を行いました.
(1) これまでの10年間に渡る活動が認められ,TQE委員会が,(一社)日本統計学会統計教育賞を受賞いたしました.統計教育賞は品質管理分野としては,「日本科学技術連盟品質管理ベーシックコース」,「日本規格協会,日本科学技術連盟品質管理検定」,「前川恒久氏」についで4度目の受賞となります.
(2) 文部科学省中央教育審議会・教育課程部会・数学ならびに情報ワーキンググループの両者に対し,2016,2017,2018,2019年度に本委員会の委員が参画し,問題解決教育の必要性・統計教育の充実などの意見表明を行い,新高等学校学習指導要領の円滑な実施に向けて貢献しました.
(3) 2019年3月23日に電気通信大学(東京・調布市)で第8回科学技術教育フォーラムを文部科学省・総務省・日本科学技術連盟・日本規格協会・諸学会などの協賛を基に開催しました.「新学習指導要領の円滑な実施に向けて」をテーマに開催し,新学習指導要領の重要な改訂点と実践への示唆を中心とした講演及びパネルディスカッションを行いました.
(4) 産よりの小中高の問題解決教育への支援の可能性,および小中高からの産学による問題解決教育への支援の必要性の現状把握のためのアンケート調査を実施し,結果の速報を(3)の第8回科学技術教育フォーラムにて公開し,今後の方策について共有しました.
(5) 統計グラフコンクール日本品質管理学会賞受賞作品を選定し,2019年11月19日に開催される第69回全国統計大会の中で第67回統計グラフ全国コンクールの優秀作品に日本品質管理学会賞を授与します.
(6) 品質Vo.48, No.1 ならびに同Vol.49. No.1の2回に渡り,“データ駆動社会と新学習指導要領”をテーマに特集を組み,データサイエンス教育の体系化と新学習指導要領の目的をはじめとする6編の寄稿を行いました.
(7) 2019年8月5日に富山県滑川市立早月中学校で開催された富山県統計教育研究会兼東海・北陸ブロック統計教育指導者講習会「統計教育講習会」にて,前川委員が“折り紙を用いたデータの採り方”「データを採れば問題が統計る(とける)」を指導しました.
(8) 2019年に(独)統計センターにおいて公開された教育用標準データセット(SSDSE)を 活用し,QC的問題解決法の流れを習得できるような教材を開発しました.開発教材は,日本統計協会発行の月刊「統計」に連載するとともに,(独)統計センターのホームページ内に順次公開されます.