一般社団法人 日本品質管理学会
第46年度 自 2016年(平成28年)10月 1日
至 2017年(平成29年) 9月30日
事業報告

1.概 況(会長:椿 広計)

 本年度は,第45年度に引き続き,第44年度に策定された新長期計画QのShinka,「真価」,「新化」,「深化」,「進化」を実現するための活動を展開しました.第47年度以降JAQ(Japan Association for Quality)創設後の学会活動の重点化を進めるために,品質管理活動に資する研究開発と展開を主たる目的とする部会活動・地域問題解決と交流を主たる目的とする支部活動・更に品質活動に資する標準策定活動に整理することとし,2017年5月に臨時総会を開催し今後の運営に必要な規定類の整備も行いました.
(1) 救真2020
 大久保第44年度会長が2015年6月に提言されたAll Japanの品質活動を代表し,支援する緩やかな連携組織,JAQの創設に向けて,第45年度に日本科学技術連盟,日本規格協会,日本品質管理学会の3団体合意方針を基に,第46年度も引き続き3者調整委員会での議論を進めました.3者調整委員会は,2017年3月よりJSQC会長経験者にコアとなる発起人の依頼作業を行い,名誉発起人(豊田章一郎,久米均), 代表発起人(前田 又兵衞,狩野紀昭,坂根正弘,大久保尚武)とする体制を固めました.小原副会長を中心に発起人やメンバーに呼びかけるリーフレット案の策定が行われました.2017年10月からは支援団体を中心に発起人への呼びかけ活動を開始しました.現在,設立後の事務局運営経費問題などについて議論するとともに,小原次期会長を中心に産業界でのJAQ形成合意を目指す活動が,日本科学技術連盟品質経営懇話会で開始されたところです.
 しかしながら,学会の正会員数は,他の国内学会の多くと同様,減少傾向が続いていることは深刻に考えています.以下に述べる学会の組織改革方針は,学会のサービス向上というよりは,学会コア活動に会員が参加できる環境を強化するというものですが,JAQ創生による日本のQM活動支援環境強化とともに,他学会との連携も強化し,長期的に学会活性化に取り組んでいるところです.
(2) 究深2020
  IoT,Industry 4.0,Big Data,AIなど,ビッグデータに基づく産業改革に如何に対応するかについてデータ系・品質系学術団体との研究連携活動を強化しつつあります.既に,人工知能学会会員に入会いただき,ビッグデータ対応に関する公募型研究会「製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会」を立ち上げ主査を引き受けていただきました.JSQCが設立に協力し,客員教員も派遣した滋賀大学データサイエンス学部設立記念式典には学会長が参加しました.(一社)品質工学会(共同研究会立ち上げ企画),(一社)日本統計学会(2017年3月日本統計学会春季大会におけるJSQCテクノメトリックス研究会企画セッション開催),統計関連学会連合(2017年9月統計関連学会連合大会でJSQC企画セッション開催)との研究活動連携を強化しているところです.
(3) 求新2020
 品質管理の新たな分野を切り開くために,第45年度にサービス学会と協働で「サービスのQ計画研究会」を立ち上げましたが,この研究会は日本品質管理学会,サービス学会,日本規格協会と共にサービス標準委員会の基幹組織となりました.サービスのQ計画研究会を中心に,2017年9月には,サービス学会共催で第161回JSQCシンポジウム「製造業のサービス化」を開催するとともに2017年11月にはオールジャパン体制での第2回サービス標準化フォーラムを上記3者共催で実施します.日本品質管理学会一学会で解決できない新たな課題をFMES,横幹連合などとともに議論してゆくために,2016年11月には横幹連合コンファレンスで,サービス学会との共同企画セッション,FMESとの共同企画セッションなどを立ち上げ,第5期科学技術イノベーション計画で提起されたSociety 5.0に対するJSQCとしての意見表明も行いました.
 また,新中期計画で新たに取り組むこととなった自治体行政などの品質管理研究創成に関しては,サービスのQ計画研究会への川崎市の参画以外に,2017年9月に総務省行政評価局より依頼を受けて,総務省が全国自治体に対して初めて実施するEBPM(Evidence Based Policy Making)研修において,「データに基づく問題解決(120分)を日本品質管理学会が取り組むこととなりました.2017年11月以降,要望の有った10管区の研修にJSQC会員を講師として派遣することとなり,2017年10月に必要な共通教材案開発を行いました.
(4) 急進2020
 第45年度活動方針に即して下記のような検討を実施しました.  
1) 支部設立準備と規定整備
 JAQ設立を睨み,日本科学技術連盟,日本規格協会などの教育・啓発活動とバッティングしないために,学会の支部活動をコミュニケーションの場とともに産業界へのソリューション提供の場と位置付け,このための規定整備を行い,東日本支部(本部一部事業の移行)・西日本支部設立を決めました.
2) 本部事業の研究開発への重点化
 本部研究開発・広報活動を有機的に統合するために,研究開発委員会・事業委員会・学会誌編集委員会・広報委員会の一体運営を開始し,学会誌を部会・研究会活動・事業活動を会員に伝える場とする新たな編集方針での発行に切り替えました.学会の研究活動は部会活動で行うための規定改訂を実施し,第47年度から適用されます.職域部会名称,現行の計画研究会・公募研究会をどの部会に所属させるかについても小原副会長を中心に検討を進めました.第47年度以降,職域会員は自動的に関連部会に1つ参画できることについても広報いたしました.臨時総会で承認された委員会規定などについても第47年度事業に関わるレビューを進め,標準委員会の位置づけ,小委員会の呼称などについての修正を総会で行うこととしました.
3) 個人正会員のQ力量の見える化
 学会正会員の中で,優れた業績・力量を持つ方をFellowとすることができる規定を山田理事を中心に整備しました.また,長年学会で活躍された会員の会費減免措置としての,シニア会員制度,永世シニア会員制度を設立するとともに,中部支部からの要請に基づき賛助会員1口につき1名の職域会員を登録できる制度を検討し,第47年度からの実施を可能とする定款等の改定を行いました.これについては会員に対して広報いたしました.
4) 公益法人化準備
 学会のステータス向上(経営系学会の動向),JAQの将来的公益法人化方針,産業界などの寄付の減税化等に資するために,第47年度に学会を公益法人化する方針を固め,それに伴う準備作業を小原副会長を中心に進めました.
5) 他学会との連携
 FMES,横断型基幹科学技術研究団体連合,サービス学会,品質工学会,日本統計学会,応用統計学会,統計関連学会連合などとの連携を強化すべく,企画セッション・共催事業,研究会企画などを進めました.
6) ネットワーク会議の開始
 学会運営に関わる会議について,兼子前理事の尽力で,学会本部と支部,理事・委員などの所在地とをインターネットでつなぎ理事会を実施することを開始しました.

2.総合企画委員会(委員長:椿 広計)

 概況で示した,学会中期方針に関わる組織・活動の見直しに関する議論を行い,第47年度からの施行に必要な関連規定の改訂を規定委員会に発議し,理事会・臨時総会の承認を得ました.
救真)JAQ設立のために行われた3者調整会議(9回)の報告を逐次受けて,JAQ設立宣言の推敲,JAQの初期活動方針案などについて議論を行いました.
究深)学会の活動,研究開発活動,標準活動,事業活動,学会誌編集活動,広報活動を統合した学会活動委員会を試行的に総合企画委員会開催時に実施しつつ,規定改正を行いました.学会員を,部会に設置する研究会に属し,何らかの活動を行える可能性を高くする体制に変革するための規定を策定しました.
急進)学会員は,本部と支部に,職域会員は部会にも所属する47年度以降の体制を前提に,学会活動の重点化方針を検討し,職域2部会(製造業系,非製造業系),東日本支部・西日本支部の設置を決めました.優れた業績のある会員のFellowへの推薦制度を設立するとともに,長年学会に参画された会員に対して会費減免措置を検討し,シニア会員制度を設立しました.また,学会外への広報体制の確立についても議論いたしました.

3.事業委員会(委員長:鈴木 知道)

 第46年度事業は,年次大会,研究発表会各1回,シンポジウム1回,講習会1回,事業所見学会4回,クオリティトーク5回の事業を開催しました.
 支部行事は基本的に各支部の主体性にお任せしており,地域の会員のニーズを反映した行事を企画していただき,各々好評価をいただいております.  
 今年度も多数の会員に参加いただき,心より御礼申し上げます.次年度以降もよろしくお願いします.以下簡単に,主な本部行事の状況を説明いたします.
(1) 年次大会,研究発表会
 第46回年次大会を,昨年11月26日,名古屋工業大学にて開催し,研究発表39件,参加者147名でした.前日の事業所見学会を,三菱重工株式会社MRJ 小牧南工場及び株式会社メイドー三好工場で開催しました.(参加者計41名)
 第113回研究発表会を,本年5月27日に日本科学技術連盟東高円寺ビルにおいて開催し,一般発表35 件,参加者126名でした.
チュートリアルは,デミング賞委員会の活動との連携を図るという方針のもと,受賞企業の代表者と日経品質管理文献賞受賞者による講演をお願いし,75名の参加者を得ることができました.研究発表会では優秀発表賞を試行し,受賞者には懇親会にて賞状が椿会長より直接手渡されました.
・チュートリアルセッション
「品質・安全問題と信頼」 筑波大学 教授 伊藤 誠 氏
「ビジョン達成に向けた独自のTQM推進」 トヨタ自動車九州(株)常務取締役 米岡 俊郎 氏
(2) シンポジウム
 現在注目されているテーマについて専門家をお招きし,シンポジウムを開催しました.パネル討論会では熱心な討議が行われました.
・第161回シンポジウム(参加者56名)
日  程: 平成29年9月29日(会場:日本科学技術連盟東高円寺ビル)
テーマ: 『製造業のサービス化』
(3) 講習会
 標準委員会主導で作成されたJSQC規格について講習会を実施し,好評を得ました.
・JSQC規格33-001:「方針管理の指針」講習会(参加者58名)
日  程: 平成28年12月8日(会場:日本科学技術連盟東高円寺ビル)
(4) 事業所見学会
 次の4回の事業所見学会を開催し,いずれも優れた活動を展開する事業所を見せていただき,参加者から高い評価をいただきました.
・第390回 ANAグループ安全教育センター(10月26日開催,参加者19名)
 テーマ ANAグループの「安全」の取り組み
・第391回 花王株式会社 すみだ事業場(1月18日開催,参加者20名)
 テーマ 花王における品質保証活動の取り組み −よきモノづくりの核心−
・第394回 日産車体株式会社 湘南工場(4月20日開催,参加者25名)
 テーマ 日産車体株式会社の品質への取り組み(参加者30名)
・第397回 コニカミノルタ株式会社 丸の内オフィス(8月22日開催,参加者16名)
 テーマ 「働き方変革」
(5)クオリティトーク
 20〜30人の少人数の参加者がくつろいだサロン的雰囲気で一流講師の講演を聞き,活発なディスカッションの場を提供する本部独自のユニークで贅沢な行事です.本年度も,以下の多彩なゲストとテーマで5回開催し,好評をいただきました.100回目の記念クオリティトークは規模を拡大し実施され,5名もの歴代会長にご登壇いただきました.
・第100回 前田又兵衞氏,狩野紀昭氏,飯塚悦功氏,大沼邦彦氏,大久保尚武氏
歴代会長 大いに語る!「これからの・・・」 (10月22日開催,参加者50名)
・第101回 株式会社IIJイノベーションインスティテュート取締役 浅羽 登志也 氏
 テーマ:IoTの基本的考え方と今後の方向性 (2月3日開催,参加者22名)
・第102回 日産自動車株式会社フェロー 久村 春芳 氏
 テーマ:自動運転社会実現への道 (4月17日開催,参加者23名)
・第103回 GD3コンサルティング代表 吉村 達彦 氏 (6月15日開催,参加者21名)
 テーマ:発見力−トヨタで学んだ“発見”をGD3問題解決プロセスに展開−
・第104回 東北大学教授 大林 茂 氏
 テーマ:多目的設計探査 (8月25日開催,参加者20名)

4.中部支部(支部長:佐々木 眞一)

(1) 研究会活動
  1) 東海地区 若手研究会[名古屋工業大学;仁科教授 主催]   (計画6回/実績6回)
   *SQCに関連する問題提起と解決方法を議論し,実践的な「問題解決力の向上」につなげる
  2) 北陸地区 若手研究会[金沢工業大学;中野講師 主宰]研究発表会(計画1回/実績1回)
   *研究発表会:(第1回)2月26日,発表件数7件
  3) 中部医療の質管理研究会[中部学院大学;國澤教授 主宰 医療側;松波総合病院 松波院長](計画6回/実績6回)
   *各部会(看護・薬剤・事務)を主管とし,テーマに基づいた活動を展開[奇数月開催]
  4) 中部支部産学連携研究会[名古屋工業大学;仁科教授 主催](計画6回/実績3回)
   *品質情報に係る環境変化とそれへの対応 
(2) 研究発表会(第114回)
 *日  程:8月30日13:00〜17:45(場所:名古屋工業大学)  
 *参加者:84名
 *発表内容 :発表件数 14件 産業界:6件 学術界:6件 医療界:1件 産学協同:1件)
(3) シンポジウム(第162回)
 *日  程:7月31日13:00〜17:00(場所:名古屋工業大学 4号館ホール)  
 *参加者:150名
 *テーマ :IoT時代の「つながる工場」における生産性向上と品質管理
       〜生産システムの流れを理解し,どのようにIoTを活用するのか〜
  ・基調講演   東京理科大学   准教授 工学博士 日比野 浩典 氏  
  ・事例講演   株式会社日立製作所  工学博士 野中 洋一 氏  
  ・パネル討論会   司会;名古屋工業大学 教授 工学博士 仁科 健 氏
パネラー;日比野 氏,野中 氏,森 氏 および会場参加者
     
(4) 講演会(第130回講演会(6月2日)開催中止の為,ミニ講演会を開催)
 *日  程:9月1日18:00〜19:30(場所:日本規格協会 名古屋支部),  
 *参加者:26名
 *テーマ :『高品質と開発期間半減は両立できる』
(5) 事業所見学会
 *第1回(第392回):大垣共立銀行株式会社(名古屋)[日程:2月14日 参加者:20 名]
 *テーマ:『サービスの神髄』
 *第2回(第396回):三菱重工業株式会社 名古屋誘導推進システム製作所[日程:7月12日 参加者:40名]
 *テーマ:『防衛・宇宙製品の製造工程における「技能伝承」』
(6) 幹事研修会 
 *第1回 3月22日; 行事企画や運営に関する情報共有と標準化を図るための研修会を実施.
 *第2回 5月12日; 北陸電力株式会社 志賀原子力発電所訪問 幹事の品質管理技術の向上を目指し,北陸地区の品質管理について特徴的に取組まれている企業を訪問する.
 *幹事/役員20名参加  
(7) 役員会
 *第1回 H28年12月6日 トヨタミッドランドスクエア 38階 3804会議室
 *第2回 H29年9月28日 トヨタミッドランドスクエア 39階 会議室
(8) その他
 *協賛行事: 第14回日本OR学会中部支部シンポジウム[日程;9月16日 場所;愛知県立大学サテライトキャンパス]

5.関西支部(支部長:亀田 毅)

(1) 事業所見学会
第393回 2月7日(火):潟Cトーキ 寝屋川工場[参加者 25名]
 「潟Cトーキにおける生産性向上および品質改善の取組み」
品質道場や安全道場,生産工程の見学に加え,3H管理活動,生産性向上の取り組み事例を紹介いただくなど,丁寧な対応で大変充実した見学会となった.
第395回 5月12日(金):叶_戸酒心館[参加者 27名]
 「日本の伝統的ものづくりと近代化による高品質の実現」
伝統と先進性を組み合わせた取り組み,品質に関する考え方などを紹介いただき,大変充実した見学会であった.
(2) 講演会
第131回7月20日(木)13:15〜16:55(会場:大阪大学中之島センター)[参加者 38 名]
「新製品開発を巡るグローバルレギュレーションに関わる我が国企業の課題 
−市場品質・設計品質追求における最先端事情−」
講演@:「F1レギュレーションと技術の変遷」
 田中 尋真 氏(元 竃{田技術研究所 HRD Sakura 第4ブロック 開発推進セクション)
講演A: 「食品新素材の開発と国内外のレギュレーション対応 −私たちの経験から−」
 栗木 隆 氏(江崎グリコ 取締役 常務執行役員 研究部門統括 兼 健康科学研究所長)
F1のレギュレーションで考慮される5つの要素とその対応方法,組織マネジメント,食品新素材の開発から海外展開における各国のレギュレーションの差異,食品に対するレ ギュレーションの厳しさと認可までの取り組み等を実際の事例をもとにわかりやすく講演いただき,アンケート結果も上々であった.
(3) シンポジウム
第163回 6月20日(火)13:15〜17:00(会場:大阪大学中之島センター)[参加者 73名]
「現場に役立つビッグデータ活用方法」
講演@:「なぜ企業はデータ分析を活用できないのか? 〜IoTを活用した業務改革を成功させるポイント〜」
 河本  薫 氏(大阪ガス 情報通信部 ビジネスアナリシスセンター 所長)
講演A:「サービス業におけるビッグデータの活用 −サービス工学による労働生産性の向上−」
 新村  猛 氏(がんこフードサービス梶@取締役副社長)
パネルディスカッション:
   司  会:猪原 正守 氏(大阪電気通信大学 情報通信工学部 教授)
   メンバー: 河本  薫 氏(講演者), 新村  猛 氏(講演者)
ビジネスに役立つ分析課題の発掘や現場に分析結果を使わせるための留意点とその具体的な実践例,サービス業の生産性向上を目的としたサービス工学の導入から改善結果,顧客サービスの教育手法の開発など,実践例を交え,わかりやすく講演いただいた後,「現場に役立つビッグデータ活用方法」をテーマにパネル討論を行った.アンケート結果は上々であった.
(4) 研究発表会
第115回 9月15日(金)(会場:大阪大学中之島センター)[参加者51名]
特別講演:「滋賀大学で始まったデータサイエンティストの組織的育成」竹村 彰通 氏  (滋賀大学 データサイエンス学部長)
 発表件数は14件(研究9件,事例5件).最優秀発表賞,優秀発表賞,及び学生を対象とした優秀発表の表彰を行った.
(5) 研究活動報告
1) 実用的統計手法研究会
   「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」「統計的方法論を実用普及する際のツール(教育教材等)開発・提案を行うこと」を行った.
2) ダイナミックロバストマネジメント研究会
   これまで研究してきた「科学的先手管理七つ道具(SE7)」と2015年改訂されたISO MS の品質,環境規格の特長,意図とを俯瞰的に融合して組織の文化へのマッチング,コミュニケーションを明確にし,従来,企業経営に有効なMSとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係、ヒューマンエラー,モノづくりのレベルアップ策等に関して,品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし,ダイナミックな問題解決アプローチを体系化している.
(6) QCサロン
第109回 10月 5日(水)太田 茂雄 氏(ローム梶j[参加者51名]
「継続的な品質教育体制の強化による品質風土の向上」
第110回 2月 8日(水)猪原 正守 氏(大阪電気通信大学)[参加者51名]
「部課長 スタッフのための生産性向上と問題解決における考え方」
第111回 4月13日(木)杉谷 浩成 氏(住友電気工業梶j[参加者30名]
「東南アジアにおけるローカル人材育成について −品質教育事例を通じて−」
第112回 6月 7日(水)熊田 あゆみ 氏(積水化学工業梶j[参加者40名]
「積水化学グループにおけるモノづくり教育研修体系の再構築と推進」
第113回 8月24日(木)泉 茂伸 氏(大金空調上海有限公司)[参加者33名]
「ダイキン工業中国現地法人における人を機軸におく品質人材育成の取組み」
(7) 合同役員会 2016年12月15日(木),2017年2月8日(水),4月13日(木), 6月7日(水),8月24日(木),10月4日(水)

6.論文誌編集委員会(委員長:黒木 学)

 論文誌編集委員会では以下の活動を行いました.
(1) ほぼ,毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました.論文誌編集委員会の責任に基づき,査読意見を参考にしながら,編集委員会が掲載の可否を判断してきました.また,「著者責任」を基本とし,新規性・価値のある主張を含む論文については掲載する方向で進めました.
(2) ネパールのカトマンズで開催されたANQ Congress 2017にあたり,国際委員会の委託を受けて,以下の活動を行いました.
1) JSQCから提出された全てのアブストラクト(全50本)に対する審査
2)フルペーパー(20本)に対するBest Paper Awardの審査
(3) 投稿論文審査のスピード化も引き続きめざした結果,大幅に遅れるものはなくなっています.さらに迅速に審査が進むように,次年度以降も管理を徹底いたします.
(4) 国際委員会と連携して,ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行を行いました.46年度はVol.3を発行しました.論文数は年間8報と,概ね目標通りの数を掲載できています.
(5) 46年度は,昨年度に引き続き論文掲載料の検討をいたしました.論文掲載には相当なコストがかかるため,学会の財政状況を鑑みますと,論文掲載料の徴収は避けらない状況です.会員の理解を得つつ,引き続き検討を続けます.
(6) 学会誌編集委員会と連携して,品質誌の電子ジャーナル化(J-Stageでの発行)を検討しました.詳細につきましては,引き続き検討を続けます.
(7) 表1に過去5年間(42年度〜46年度)の月別投稿論文数を,表2に過去5年(41年度〜45年度)の投稿区分別採択数を示します.46年度は審査中のものがありますので,採択数は41年度から45年度を示しました.一度却下されたものが再投稿される場合もありますので,単純に採択率を計算することはできませんが,おおむね4割程度が採択されています.
 

表1 過去5年間の月別論文投稿数

  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
42年度 2 2 1 1 2 1 1 3 5 3 1 1 23
43年度 0 1 3 3 1 4 4 5 4 1 2 2 30
44年度 2 1 2 5 0 0 1 2 1 0 1 1 16
45年度 0 0 1 2 1 3 0 1 0 1 0 1 10
46年度 1 4 1 1 1 3 2 0 1 3 0 2 19

 

表2 過去5年間の投稿区分別採択数

  41年度 42年度 43年度 44度 45年度 41-45年度
  投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 採択率
24 10 23 10 30 5 16 9 10 3 35.92
報文 11 7 8 4 14 3 5 1 3 1 39.02
技術ノート 6 0 2 3 2 0 1 1 0 0 36.36
調査研究論文 1 0 4 0 2 1 2 2 3 0 25.00
応用研究論文 3 1 3 2 4 1 5 4 2 0 47.06
投稿論説 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0.00
クオリティレポート 3 2 6 1 4 0 3 1 0 1 31.25
QCサロン 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 100.00
レター 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00

7.学会誌編集委員会(委員長:永田 靖)

 第46年度も例年どおり,年4冊の学会誌『品質』を発刊しました.
 第46年度は,これまでの学会誌の編集方針を変更し,事業委員会,研究開発委員会と密接に連携し,研究会報告や部会報告を中心に掲載してきました.この編集方針の変更は,新中期計画に記載されている学会誌再編成の指針に従うものです.ただし,学会誌を学会員にとって魅力的なものにするために,チュートリアルセッションやクオリティトークの講演内容を収録したり,学会主催の講演会での講演内容を収録したりしてきました.さらに,中部支部,関西支部の活動についても,紹介していくように努めました.そして,JSQC規格の解説を連載してきました.  
 こういった方針での学会誌の編集は,今年が最初でしたので,原稿数や納期など,見通しのつきにくいこともありましたが,おおむね計画とおりに刊行できたものと考えています.

8.広報委員会(委員長:前川 恒久)

 会員増加の期待に反して,接触機会の激減,団塊の世代の大量退職に伴う学会員の減少も影響し,関係者の期待を他所に会員減少に歯止めがかからないのが実情です.「広く学会の存在あるいは活動を知らしめる」本来の広報活動の必要性が高まっており,学会誌「品質」あるいはWeb版JSQCニューズのような学会員向けの内向的な情報発信とは異なり,世の中で益々求められる対社会向け,学会員外の皆様に対する広報活動,世の中の常識とされる迅速な情報収集・発信を行うことが喫緊の課題と考えます.
 第46年度にはサービス学会関連行事やTQE特別委員会関連の行事など協力要請を頂いた行事に関して22本の略報制作を行い,情報発信を行いました.

第46年度における略法制作・発信数

  項目 第46年度
1 理事会&総会 10
2 TQE特別委員会 2
3 ワークショップ 1
4 シンポジウム 1
5 カンファレンス 1
6 フォーラム 2
7 講演会 3
8 講習会 1
9 表彰式 1
    22


9.会員サービス委員会(委員長:河村 敏彦)

 会員数(括弧内昨年度末比)は,現在,名誉会員23名(1名減),正会員1940名(103名減),職域会員44名(6名増),準会員57名(増減無し),賛助会員145者191口(7社6口減),公共会員17口(増減無し)となっています.
 会員数増加に向けて,第46年度は正会員に年齢および在籍年数に基づき,正会員(永世シニア),正会員(シニア)の区分を新たに設けました.
正会員(永世シニア):
・年会費無料
・JSQC会員として30年以上活動するとともに年齢80歳以上
・有資格者の申請に基づき承認(年度単位で更新)
・電子媒体で発行する学会誌,ニューズなどが入手可能
・行事参加の権利,選挙権,被選挙権は正会員(一般)と同じ
正会員(シニア):
・年会費2000円
・JSQC会員として20年以上活動するとともに年齢70歳以上
・有資格者の申請に基づき承認(年度単位で更新)
・電子媒体で発行する学会誌,ニューズなどが入手可能
・行事参加の権利,選挙権,被選挙権は正会員(一般)と同じ
・学会規則第105支部規程
・学会規則第110資格認定規程

 前年度に引き続き「JSQC認定上級品質技術者」および「JSQC認定品質技術者」に関して認定証を発行し, 同制度の認知度を高める取り組みを行いました.またQC検定1級および2級の合格者に対しては学会年会費が割引となるキャンペーンを行いました.

10.規定委員会(委員長:藤本 眞男)

 第46年度は,昨年度に引き続き学会活動の拡大と財政基盤の確立を図るため,関係する委員会と協力して,日本品質管理学会定款の改定を行った.主な改定趣旨は,学会活動を地域支援,職域的活動,研究活動に重点化するため並びに,経験ある会員の長期的参加を促進するための変更を行いました.それらに関連する学会規則6件の改定を下記の通り行いました.
・学会規則第101代議員・役員候補選挙規程
・学会規則第102部会・委員会規程
・学会規則第103諸規則等管理規程
・学会規則第104会員規程
・学会規則第105支部規程
・学会規則第110資格認定規程
また,関連する内規の新規制定2件と改定5件を下記の通り行いました.
・(新規制定)学会規則第211-3(一社)日本品質管理学会 東(西)日本支部内規
・(新規制定)学会規則第246日本品質管理学会優秀発表賞内規
・学会規則第201資格審査内規
・学会規則第202正規会員準会員資格審査基準
・学会規則第204研究会内規
・学会規則第225部会内規
・学会規則第239品質管理学会規格管理内規

11.研究開発委員会(委員長:安井 清一)

研究開発委員会では,以下の活動を行いました.
  1. @例年通り,各研究会の活動予算を審議し,各研究会に配分しました.
  2. A計画研究会「テクノメトリックス研究会」において主査の任期満了のため,黒木学氏から青木敏氏への交代を審議しました.当委員会において満場一致で可決,理事会においても承認されました.
  3. B今年度は公募研究会の新規設置申請が1件ありました.当委員会において新規設置審議を行い,満場一致で可決,理事会においても承認されました.研究会名は「製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会であり,第47期から活動が開始されます.
  4. C計画研究会「信頼性・安全性計画研究会」における委員(メンバー)1名の追加を審議しました.満場一致で可決,理事会においても承認されました.
  5. D第45年度に計画した研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を実施し,品質No. 2(4月発行)に信頼性・安全性計画研究会の記事が掲載されました.

 各研究会の具体的な活動内容は以下の通りです.
(1) テクノメトリックス研究会(主査:黒木 学 12名)
 テクノメトリックス研究会では,「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」のために,手法,考え方,事例などについて幅広い視点から研究してきました.研究会はおおむね3ヶ月に1度の開催で,メンバーが上記の手法,考え方,事例などについて紹介し,メンバー間での議論により研究成果を練り上げていきました.議論したテーマは因果推論,クラスター分析,罰則付き回帰,小地域推定,総合評価指標など多岐にわたっています.また,JSQC研究発表会や品質誌をはじめとするさまざまな学術雑誌をとおして,研究成果を報告しました.
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会(主査:永井 庸次 18名)
  医療事故調査等の活動と医療のTQM七つ道具,医療機関のTQM普及に関しては,
全日本病院協会の医療の質向上委員会に参加  一部委員(飯田,永井)
厚労省研究会に参加  飯田委員
医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する研究会
医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会
定期的に研究会でも議題に取り上げ検討しました.
特性要因図に関する講演会を2回開催しました
業務フロー図に関する講習会を3回開催しました.
ECRIの電子カルテ導入事故チェックリストを翻訳中です.
医療アラームに関する検討では,
生体情報モニタに関する講演会を1回開催しました.
生体情報モニタに関して,その現状と具体的な改善策とその成果に関して,今年度中に具体的成果を出します.
特に本年度は,生体情報モニタの品質特性に関して,品質機能展開を具体的にベンダと医療機関,品質管理専門家とともに実施していきます.
   
(3) 信頼性・安全性計画研究会(主査:岡部 康平 15名)
 第四期の2年目であり,第3期より注目してきた老朽化の安全性問題に関連して,社会インフラ全般が備えるべき品質およびその管理の観点より,安全性問題の根本的課題を掘り下げ,未然防止への展開を検討しました.専門家による講演や,委員の研究・調査発表をベースに討議を行いました.
  1) 信頼性・安全性作りこみ技術
 製品安全における未然防止を目指し,ネットワークを介して製品等の状態を監視することで,信頼性・安全性を管理する技術に注目しました.モニタリング情報の有効活用として,長寿命設計と過剰品質との関係,ビックデータへの期待,モニタリングセンサの不確実性の影響,などを多角的に議論しました.その一方で,リコール制度の効果に注目して,自動車をはじめとする信頼性・安全性の設計・管理技術における喫緊の課題を整理するとともに,その原因の把握にも取り組みました.製品が市場に普及した後の,実際の使用環境を想定する手法・技術について,今後,より詳しく調査を進めます.
  2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
 前年度に引き続き,老朽化の安全性問題に着目し,新規発展分野の社会インフラにおける安全設計から管理体制にいたる品質管理の現状と動向を調査し,それらインフラの今後の展開について検討しました.自動車の自動運転技術やドローンの次世代運送システムにおける安全管理問題を鉄道運送管理などの既存の技術・体制と照らして検討し,新規社会インフラにおける安全面での独自性を把握しました.また,新規社会インフラの事業展開として,PPP/PFIによる官民連携制度の動向調査も実施しました.
 レジリエンスな組織,事業継続の実現については,第三期で提起した「社会品質という新たな概念の観点から議論を進めました.また,自動車のリコールの変遷やガラパゴス化など,グローバル化と技術深化・特化の在り方について,経営の観点からも広く議論しました.そして,事業継続の礎として,安全性管理においても,現状維持だけでなく,さらなる発展を促すための事業形態が欠かせないとの観点から,安全性自体が利潤となり投資の対象となるような,安全性の魅力的品質について,具体的に議論することにも取り組みました.
  3) 研究成果のとりまとめと情報発信
 第四期の2年目であり,第四期における主題の検討と成果の達成目標を討議しました.そして,新規発展分野における社会インフラの専門家と連携して成果をまとめられるように取り組みました.主題の検討課題は各委員で分担し,寄稿として一度情報発信しました.それぞれの検討課題の総括を現在も行なっており,その成果の取りまとめ,及び,公表の方法について検討を行なっています.
   
(4) サービスのQ計画研究会(主査:水流 聡子 17名)
 「サービス標準化スキームの学術活動を通して,サービスの「科学化」と「標準化への橋渡し」を行う.具体的アウトプットとして,@サービス規格の基本理念・原則 (A-Standard),A個別サービス規格開発のための指針及びサービス関連用語 (B-Standard)を開発します.今年度は以下の活動を行いました.
  1) 月1回の定例研究会の開催
 サービスのQ計画研究会では,JSQCとサービス学会との共同研究体制で研究を展開しています.日本品質管理学会・サービス学会のサービスにかかる主要研究者に加え,国際標準化関係者・主要国内認証組織関係者・自治体関係者・企業関係者に参画していただき,毎月1度の研究会を開催し,@サービス規格の基本理念・原則(A-Standard),A個別サービス規格開発のための指針及びサービス関連用語 (B-Standard)の検討を行ってきました.@とAのワーキンググループは,それぞれにワーキング活動を実施して,月一度の研究会に検討結果を提出し,検討するという活動を繰り返してきました.
  2) サービス標準化委員会へのA規格・B規格の開発方針の提案
   数省庁・企業・学術組織に所属する約20名の委員からなる,「サービス標準化委員会」の第1回委員会(2017年4月)に,サービス規格の基本理念・原則 (A-Standard)・個別サービス規格開発のための指針及びサービス関連用語 (B-Standard),それぞれの開発方針・方法論を提案しました.
  3) 第1回サービス標準化フォーラムの実施
  2016年10月14日,経団連会館において,第1回サービス標準化フォーラム「Best Practiceに学ぶサービス品質 ―エクセレンス・サービスの再現可能性を高め多様性と共存する標準化―」を開催しました.250名収容の会場は満席となり,サービス標準化に関する活発な意見交換・情報交換が行われました.
  4) JSQCの事業「製造業のサービス化」シンポジウム
 9月29日に,「製造業のサービス化」というテーマで,シンポジウムを実施しました.

12.国際委員会(委員長:水流 聡子)

 第46年度の国際委員会では,以下の事業を実施しました.
(1) ANQ 2017への参加
 ネパールのカトマンズにて,2017年9月20・21日に,ANQ(Asian Network for Quality)総会が開催されました.ANQ理事国入会を希望するネパールのNQPCNが主催し,インドのISQが開催・運営のサポートをする形式で,Jan Janardan Ghimire 会長のもと,ホテル(Soaltee Crowne Plaza)が,会場および推奨宿泊ホテルとなりました.参加総数は約300名(大会前日の理事会情報),JSQCからは発表約50件,参加者総数約60名と,ANQ参加組織中,最大の発表件数と参加者でした.ANQという国際会議での発表の場を若手に提供できていることで,以前に比べると若手の発表の質が向上してきており,また徐々に研究者・大学教員の発表も増えてきています.JSQCにとってANQは人材育成・研究業績向上のためのひとつの有用な「場」となっているように思われました.
(2) ANQの安定的発展のための調整
 2017年の春にはソウル,秋にはカトマンズで,ANQ理事会が開催されました.JSQCとしてANQの発展に積極的に関与しています.財務委員会,ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会),Ishikawa Kano Award委員会,に委員を派遣しています.財務委員会では,JSQCが委員長を務めております.
(3) 英文電子ジャーナルの刊行
 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の3年目の刊行が完了し,TQSへの投稿に対する期待もあり,ANQ発表件数は増加し続けています.
(4) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討しています.

13.標準委員会(委員長:安藤 之裕)

(1) JSQC規格を制定しました.
  1. @品質管理教育の指針」が審議委員会の承認まで到達しました.
  2. A「方針管理の指針」(E):2017年9月に制定されました.
(2) 新しいJSQC規格の制定を推進しています.
 「新製品開発管理の指針」2018年の完成を目標に,原案作成を推進しています.
(3) JSQC規格のJIS化を推進しています.
  1. @「プロセス保証の指針」のJIS化について,JIS原案を作成し審議中となりました.
  2. AJIS Q9023の定期見直しに合わせた改正を念頭に,「方針管理の指針」のJIS原案を作成し審議中となりました.
(4) JSQC規格の見直しをしました.
 「品質管理用語」の定期見直しをおこない,パブリックコメントを募集段階となりました.
(5) JSQC規格の普及活動を継続して推進してきました.
  1. @事業委員会等と連携し,規格の定期開催を計画し,第一回として2016年12月8日に「方針管理の指針」に関する講習会を実施いたしました.
  2. A日科技連のセミナーにおいて,「方針管理の指針」「日常管理の指針」がテキストとして採用されました.
  3. BANQ 2017, ならびにIAQ 2017にて,英語版「方針管理の指針」(E)の広報を行いました.

14.FMES関連,横幹連合関連(兼子 毅,関 庸一)

  46年度も引き続き,FMES代表者会議,FMES/JABEE委員会,FMESシンポジウムに参画し,経営工学関連学会との交流,JABEEの審査活動,FMESシンポジウム等の活動に,中核団体として協力してきました.FMES代表者会議は,2017年4月26日に開催され,主にFMESの今後の活動について議論しました.第32回FMESシンポジウムは日本信頼性学会を中心に企画され,2016年11月24日に開催されました.

15.研究助成特別委員会(委員長:仁科 健)

 本事業は学会創立30周年記念事業として第31年度より開始されたものです.助成金額は1件5万円で4件以内.対象者は,日本品質管理学会の正会員もしくは準会員,申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者,留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者です.本年度は8名の応募があり,研究助成選考マニュアルに則り4名を選考しました.

16. 安全・安心社会技術連携特別委員会(委員長:伊藤 誠)

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム研究部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップを,2017年12月下旬実施に向けて準備を行いました.また,自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力 しています.特にISO 39001の普及をめざし,ISO TC241/WG 4 marketing committeeに参画しています.

17.JSQC選書特別委員会(委員長:飯塚 悦功)

  品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として,品質マネジメントに関わる,基本的考え方,マネジメントシステム,手法・技法,推進・運用,さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました.
  同委員会を2回開催し,発行書籍候補の列挙,短期(1年程度)的な発行計画(主題,著者,発行時期など)を審議し決定しました.決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い,下記の書籍を発行いたしました(出版社:日本規格協会).
・『新QC七つ道具』(猪原正守著) 2016年10月
・『サービス品質の保証』(金子憲治著) 2016年12月
・『品質機能展開(QFD)の基礎と活用』(永井一志著) 2017年9月

18.TQE(問題解決力向上のための初等中等統計教育)特別委員会(委員長:鈴木 和幸)

(1) 平成29年3月に募集のあった小学校・中学校の次期学習指導要領改定案へのパブリックコメントを行い,学習指導要領案への賛同,ならびに当委員会よりの教材提供,教員養成・免許状更新への協力を惜しまないことを示しました.
(2) 文部科学省中央教育審議会・教育課程部会・数学ならびに情報ワーキンググループの両者に対し,平成28,29年度に委員が参画し,問題解決教育の必要性・統計教育の充実などの意見表明を行い,次期指導要領に取り込む審議とりまとめに反映されつつあります.
(3) 平成29年3月25日に電気通信大学(東京・調布市)で第6回科学技術教育フォーラムを文部科学省・総務省・日本科学技術連盟・日本規格協会・諸学会などの協賛を基に開催しました.
 「社会との共創による新教育課程の実現」をテーマに開催し,次期学習指導要領の重要な改訂点と実践への示唆を中心とした講演及びパネルディスカッションを行いました.今回は7割近くが小中高等学校や大学等教育関係者が占め,実践的な内容に白熱の4時間半となりました.
(4) 平成29年8月4日に統計数理研究所で開催された第63回全国統計教育研究会(東京大会)にて,全国統計教育研究会からの要請に応え,前川委員が品質管理基礎講座“折り紙を用いたデータの採り方”「データを採れば問題が統計る」を指導しました.
(5) 統計グラフコンクール日本品質管理学会賞受賞作品を選定し,平成29年11月13日に開催される第67回全国統計大会の中で第65回統計グラフ全国コンクールの優秀作品に日本品質管理学会賞を授与します.

19.部会

(1) ソフトウェア部会(部会長:長坂 康史 78名)
  第46年度は以下のことを行いました.
ソフトウェア部会の集まりを一ヶ月に1回開催し,ソフトウェア技術者の教育プログラムとして,特に,要件定義の文書に関わる 議論を行いました.
 高い品質のソフトウェア開発を目指すため,ソフトウェア技術者の教育プログラムについて議論する中で,文章の表現についての議論を広げ,要件定義に関わる文章の表現に関する議論を集中的に行いました.
メーリングリストやSNSを利用した情報交換及び情報発信を行いました.
 部会メンバー間の情報交換をメーリングリストで行うとともに,SNSを利用した情報発信を行いました.
ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援しました.
 昨年度同様,他団体との連携を行い,各種行事の後援などを行いました.

(2) QMS有効活用及び審査研究部会(部会長:福丸 典芳 130名)
  部会メンバーに対してメルマガ(11月,2月,6月,7月)を発行し,情報提供を行いました.また,次の7つのワーキンググループで研究活動を実施しました.
WG1:要求事項の本質的適用
 ISO 9001をベースとし他の規格やガイドラインも含め,要求事項を本質的に適用することを工学的アプローチから考察し,学術的提言について研究を行いました.
WG2:改正ISO 9001の意図及び審査員の力量の研究
 前年度及び今年度検討した結果を基に,2017年2月にQMS部会WG2研究報告書を作成しました.
WG3:ISOに振り回されるな〜2015移行では組織用語を活かそう〜
 JSQC第110回研究発表会(2016/5/28)の発表論文に関する追加研究及び他の数社との実践研究を継続しました.
WG4:QMS自己適合宣言の研究
 前年度及び今年度検討した結果を基に,2017年3月にQMS部会WG4研究報告書を作成しました.新規テーマ「QMSリスクマネジメントツールの開発」についての研究を開始しました.
WG5:外部委託管理の研究
 「アウトソーシングの品質改善」 (特殊工程:溶接/熱処理/表面処理/コーティングなど)組織と外部委託の相互関係の品質管理に対するポイントについて原稿作成を開始しました.
WG6:ISO 9001:2015対応の中小企業向けQMSモデルの研究
 ISO 9001:2015を中小企業に活かすにはどのようにすればよいかを研究し,報告書作成に着手しました.
WG7:「ISO9001とTQMのシナジー効果」によるQMS能力支援向上支援のための審査・内部監査技術の開発」の研究
 これまでに研究した「QMSレベル評価表」を基に,次回の審査で「どのキープロセスのどこに着眼すべきかに関する申し送り方法」について「ISO規格とTQMのシナジー効果」を期待した組織にその有効性が見えるような審査・内部監査技術を研究しました.

(3) 医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 131名)
 今年度の研究活動としては,QMS-H研究会と共同しながら,医療の質マネジメントシステム等について研究してまいりました.例年開催している最終成果報告シンポジウムを,2017年3月5日に早稲田大学で開催しました.テーマは,「組織で保証する医療の質 QMSアプローチ」で,100名以上の方が参加し,活発な議論が行われました.研究発表も,本学会はもちろん,医療の質・安全学会,日本医療・病院管理学会,ANQ,QMOD,等で,部会員の研究発表を行っています.2017年7月には,この研究の成果として「医療安全と業務改善を成功させる病院の文書管理実践マニュアル」をメディカ出版より出版いたしました.なお,PCAPS(患者状態適応型パス)研究グループは,日本臨床知識学会へと発展いたしました.
 新たな研究会として,「医療の質マネジメントシステム監査研究会(略称:医療QMS監査研究会)」を立ち上げました.2017年1月から4回の会合を持ち,ISO 9001:2015の解釈等について議論を行っています. 
 アウトリーチ活動の一環として開催している「医療の質マネジメント基礎講座」を,今年度も目白大学メディカル研修センターとの共催で開催しました.2017年5月から8月にかけて実施し,受講生の数は,昨年度より50名ほど減少しましたが,延べ約580名の方が受講しました.講師会も開催し,来年度に向けての改善を行いました. 
 部会員数については,現在131名であり,横ばいでした.今年度はやめる方と入会される方が同数でした.新たな研究会の立ち上げ等が入会者増に貢献したと思われます.今後も入会者が増えるよう,部会活動の活性化を図ります.