一般社団法人 日本品質管理学会
第44年度 自 2014年(平成26年)10月 1日
至 2015年(平成27年) 9月30日
事業報告

1.概 況(会長:大久保 尚武)

 本年度は新長期計画の初年として、基本方針「日本品質管理学会SHINKA!」を掲げ、「真価」「深化」「新化」「進化」という4つのSHINKA活動に着手しました。この新長期計画は、総合企画委員会および長期計画検討会を新設し検討を重ねて、6月の第100回品質管理シンポジウム(日科技連主催)にて発表しました。活動の主な成果と課題は以下の通りです。
(1) 真価 (Future value)
 日本の成長に貢献する品質管理の発展と普及のために、All Japanの品質活動の統合を目指したアンブレラ組織「JAQ(Japan Association for Quality)」創設を起案しました。構想実現のため、一般財団法人日本科学技術連盟、一般財団法人日本規格協会との三者間で調整作業を開始し、3年後の創設を目指しています。
 会員数の確保については、会員サービス委員会、合同委員会が中心となって取り組みました。しかし、会員や会員候補となる企業への個別の働き掛け、退会者への慰留にも関わらず、企業の経費削減および品質管理担当者の世代交代のため会員数は漸減しています。経費については、テレビ会議による交通費の削減や、品質誌への広告の掲載などを行い、一定の成果が出てきています。このような実質的な経費削減、収益拡大を継続していくとともに、学会の真の価値向上に向けて引き続き取り組んでいます。
(2) 進化 (Evolutionary value)
 産業界の課題解決および研究開発が、学会の本質的なコア活動と捉え、そのような組織体制に移行するように方向付けしました。特に、若手研究者の育成および実践能力向上、品質誌の研究開発成果の掲載など、進めています。
(3) 深化 (Deepened value)
 研究会・部会・特別委員会が一同に介する第3回研究開発ワークショップ(研究開発委員会主催)を行い、今後の研究活動の方向性について議論しました。そこで研究成果と課題を共有化しました。
(4) 新化 (New value)
 品質管理の新たな成長分野を切り拓くために、2016〜2020年 科学技術イノベーション戦略の根幹である「第5期 科学技術基本計画(中間取り纏め案)」に対して、内閣府(原山優子議員等)に、品質管理の重要性への理解を促し、最終案への盛り込みを請願しました。
 また、ビッグデータ時代の到来に伴う統計学部・学科の人気の高まりにより、データサイエンス教育の充実が不可欠な状況となってきました。学会として、新たな学部新設(滋賀大学データサイエンス学部)の嘆願を行うなど、新しい時代の要請に応えています。

2.総合企画委員会(委員長:大久保 尚武)

 本年度は、長期計画策定のために長期計画検討会を新設し、3つのワーキンググループ(WG)活動の推進、および総合企画委員会において各WG提案の審議・方向付けを行いました。主な成果と課題は以下の通りです。
(1) 長期計画WG
 社会の期待・ニーズの把握、価値共創・提供、品質関連組織・人の橋渡し等、長期計画の立案を目的に活動しました。その成果として、JAQ創設、支部職域会員および組織への価値提供、Qの方法論の浸透、品質管理分野別専門家認証、品質誌の分離・改革、品質社会問題に対する公式発言、先端的管理技術の吸収と研究開発、英文誌のインパクト向上、サービス産業へのQM研究など、具体的な政策が導き出せました。
(2) 広報WG
 学会の具体的活動・成果の見える化と、社会・会員へのPRを目的に活動しました。その成果として、プレスリリースメディアのリストアップ、プレスリリースフォーマット作成、WEBページに関するアンケート調査などの活動を行いました。
(3) 基盤安定WG
 適切な会員数確保と効率的・効果的な事業活動を目的に活動しました。その成果として、品質関連イベント時のパンフレット配布、学会パンフレット見直しなどの活動を行いました。しかし、会員の漸減傾向に歯止めはかからず、今後も組織的で粘り強い取組みを継続していきます。

3.事業委員会(委員長:綾野 克俊)

 第44年度事業は、当学会第2年度会長の故石川 馨先生の生誕100年に当たり、学会の記念行事として元会長 狩野紀昭氏の講演会を含み、本部(年次大会、研究発表会各1回、講演会1回、シンポジウム2回、講習会1回、事業所見学会3回、クオリティトーク5回)、中部支部(研究発表会、シンポジウム、講演会各1回、事業所見学会2回)、関西支部(研究発表会、シンポジウム、講演会各1回、事業所見学会2回、QCサロン5回)の事業を開催しました。
 標準委員会から「JSQC規格31-001:日常管理の規格」が発行されましたので、その講習会を開催しました。
 本部で企画した石川 馨先生 生誕100年記念講演会の2回目は、講演者の体調不良のため、急遽、延期を余儀なくされ、45年度行事として行うことになりました。支部行事は各支部の主体性にお任せしており、地域の会員のニーズを反映した行事を企画していただき、各々好評価をいただいております。
 今年度も多数の会員に参加いただき、心より御礼申し上げます。次年度以降もよろしくお願いします。以下簡単に 主な本部行事の状況を説明いたします。
(1) 年次大会、研究発表会
 第44回年次大会は、昨年11月29日、東京都市大学にて開催し、研究発表55件、参加者220名でした。今回、関東での年次大会としては初めての試みとして、前日11月28日に日産自動車(追浜工場)で事業所見学会を開催し、参加者31名でした。
 第107回研究発表会は、本年5月30日に日本科学技術連盟東高円寺ビルにおいて開催し、一般発表40 件、参加者137名でした。チュートリアルは、デミング賞委員会の活動との連携を図るという方針のもと、デミング賞受賞企業を含む2件の講演を企画し、66名の参加者を得ることができました。
 チュートリアルA:MTシステムはどのように使われているか
元富士ゼロックス梶@立林 和夫 氏
 チュートリアルB:セキソーにおけるTQM活動の推進
潟Zキソー 社長 林 新一 氏
(2) 講演会
 講演会は、前年度に引き続き前述のように故石川 馨先生の生誕100年記念行事として、愛弟子である狩野紀昭氏の講演を企画しました。参加人数は115名と大盛況でした。
・第122回講演会
  日  程: 7月27日13:00〜17:00 (会場:日本科学技術連盟東高円寺ビル)
  テーマ: 石川 馨先生 生誕100年記念 『これからのTQMと品質保証』
(3) シンポジウム
 以下の2回を開催しました。参加人数は合計146名でした。
・第152回シンポジウム(参加者数58名)
  日  程: 3月26日10:00〜17:05(会場:日本科学技術連盟東高円寺ビル)
  テーマ: 『未来の品質管理に光をもたらすものは 徹底討論「SQC VS ビッグデータ」』
・第154回シンポジウム(参加者数88名)
  日  程: 7月31日10:00〜17:00(会場:日本科学技術連盟東高円寺ビル)
  テーマ: 『日本企業の海外進出とマザー工場の果たすべき役割・意味』
(4) 事業所見学会
 関東での年次大会初の同時開催見学会1か所を合わせ、合計5回の事業所見学会を企画・予定しましたが、1か所、一般見学と同等の見学会しか提供していただけないことが判明したため中止し、次の4か所について実施しました。いずれも優れた活動を展開する事業所を見せていただき、参加者から高い評価をいただきました。
  ・第44回年次大会 日産自動車追浜工場(参加者 31名) [11月28日]
  ・第1回(第376回) KYB椛竃ヘ事業所(参加者 12名)[11月 8日]
  ・第2回(第379回) コーセー 狭山工場(参加者 22名)[ 3月17日]
  ・第3回(第381回) 本田技研工業 埼玉製作所寄居工場(参加者35名)[5月18日]
(5) クオリティトーク
 20〜30人の少人数の参加者がくつろいだサロン的雰囲気で一流講師の講演を聞き、活発なディスカッションの場を提供する本部独自のユニークで贅沢な行事です。これまでのJSQC選書の著者から、一般図書の著者に拡大し、図書の即売会・サイン会も開催することにしています。本年度も、以下のゲストとテーマで5回開催し、好評をいただきました。
  ・第1回(第91回): 原子力安全推進協会 倉田 聡氏 [10月29日](参加者17名)
『安全文化』
  ・第2回(第92回): 渇涛。メソッド 遠藤 勇氏 [1月28日](参加者17名)
『更なる品質向上のための「行為保証」』
  ・第3回(第93回): 元JUKI梶A文化学園大学 光藤 義郎氏
『TQM推進の悩み、よろず相談承ります』  [3月10日] (参加者12名)
  ・第4回(第94回): 中央大学 中條 武志氏 [6月24日] (参加者 20名)
『TQM(総合的品質管理)の標準化』
  ・第5回(第95回): アイディエーション・ジャパン 上村 輝之氏[8月26日(参加者11名)
『技術者のイノベーション能力を高める思考テクニック I-TRIZ』

4.中部支部(支部長:井川 正治)

(1) 研究会活動
1) 東海地区 若手研究会[名古屋工業大学;仁科教授 主催]   (計画6回/実績6回)
  *Qの確保のための問題提起と解決方法について議論し、実践につなげる
2) 北陸地区 若手研究会[金沢工業大学;石井教授 主催]研究発表会  (計画2回/実績2回)
  *研究発表会;(第1回)2月28日、発表件数8件、(第2回)10月3日(10件発表予定)
3) 中部医療の質管理研究会[中部学院大学;國澤教授 主催
    医療側;岐阜赤十字病院 中村院長](計画6回/実績6回)
  *各部会(看護・薬剤・事務)を主管とし、テーマに基づいた活動を展開[奇数月開催]
*中部医療の質管理研究会シンポジウム[日程;2015年12月13日(日) 長良川国際会議場 中部支部後援]
4) 産学連携現地現物研究会[早稲田大学;永田教授 主催 学側;仁科教授
    産側;渡邉顧問](計画4回/実績4回)
  *書籍「開発・設計に必要な統計的品質管理 トヨタグループの実践事例を中心に」にまとめ発行(11月を予定)
(2) 研究発表会(第108回)
  *日 程: 8月26日10:30〜18:10(場所:名古屋工業大学)、*参加者:67名
  *発表内容 ;発表件数 11件 (産業界:6件 学術界:4件  産学協同:1件)
(3) シンポジウム(第155回)
  *日 程: 7月16日12:45〜17:00 (場所:刈谷市総合文化センター アイリス)
  *参加者 147名
  *テーマ: 『おもてなし経営企業から学ぶ、お客様の期待を超える商品・サービスの創造』〜新たな顧客価値を提供し続ける良い組織、人材、風土とは何か。それを実現するために我々は何をすべきかについて講演者と会場参加者で共有する〜
 
  ・基調講演   リバーオフィス代表 ジャーナリスト  瀬戸川 礼子 氏
  ・事例講演   活タ城自動車学校 代表取締役    
石坂産業梶@     代表取締役     
石原 慧子 氏
石坂 典子 氏
  ・パネル討論会   司会;瀬戸川 氏、  パネラー; 講演者および会場参加者
(4) 講演会(第123回)
 
  *日 程: 5月29日13:00〜16:30(場所:名古屋国際センター 別棟ホール)
  *参加者: 171名
  *テーマ; 『ホントは役立つ問題解決法』〜問題解決のステップは広く知られているが、実際の問題解決に活用するポイントを国内外での事例紹介織り交ぜながら聴講される方にご理解・納得していただく。
(5) 事業所見学会
  第1回(第378回):浜松ホトニクス[日程:2月26日 参加者:29名]
*テーマ;『現場が主役のものづくり』
  第2回(第382回):日本特殊陶業株式会社 [日程:7月22日 参加者:22名]
*テーマ;『ものづくりは人づくり』
(6) 幹事研修会
 
第1回 2月11日; 講演「ものづくり心理学の可能性」 金沢工業大学 神宮教授
*幹事16名参加
 
第2回 8月 7日; 小松ウォール工業竃K問 幹事の品質管理技術の向上を目指し、北陸地区の品質管理について特徴的に取組まれている企業を訪問する。
*幹事13名参加
(7) 役員会(いずれもミッドランドスクエアー 豊田クラブ 特別会議室)
第1回 H26年11月17日, 第2回 9月23日
(8) その他
協賛行事: 第12回日本OR学会中部支部シンポジウム 
[日程;9月19日 場所;愛知県立大学サテライトキャンパス]

5.関西支部(支部長:近藤 賢)

(1) 事業所見学会
第377回11月12日(水)Peach Aviation滑ヨ西国際空港 建設棟(本社)及び第2ターミナル[参加者 23名]
「関西発の航空イノベーション Peachの挑戦 〜「低価格」と「高品質」の実現に向けて〜」
 制限区域での見学など、丁寧な対応で見学会を受入れていただき、大変充実した見学会となった。アンケート結果も大変好評であった。
第380回3月24日(火)潟jチレイフーズ 関西工場[参加者 30名]
「ニチレイフーズのこだわり 〜食の安全・安心への取り組み〜」
 30名を超える申し込みがありキャンセル待ち(13名)になったが、受け入れの関係上(安全・衛生)お断りすることになった。食品工場に対する関心の高さが表れていた。
(2) 講演会
第124回5月21日(木)13:15〜16:55(会場:大阪大学中之島センター)[参加者56名]
テーマ: 「イノベーションの起点となる「行動観察」と「ビッグデータ」」
 
講演@ 「現場起点のイノベーション手法、「行動観察」とは」
小野  泰 氏(大阪ガス行動観察研究所 事業本部 エグゼクティブリサーチャー)
講演A 「新製品の市場への早期投入を支えるアナリティクス」
宮森  誠 氏(椛コ田製作所 モノづくり技術統括部 モノづくり強化推進部 生産革新2課 シニアマネージャ)
 「行動観察」のビジネスへの活用方法、具体的なビッグデータの活用とQCDの作り込み、データを活用する上で成功のキーワードとなる目的志向、数値化、組織体制、人材育成の取り組みなど、実例を交え、わかりやすく講演いただき、アンケート結果も上々であった。
(3) シンポジウム
第156回 9月9日(水)13:00〜17:30(会場:中央電気倶楽部)[参加者53名]
テーマ: 「グローバル化の中で我が国企業に求められる人づくり」
 
講演@ 「コマツ中国生産工場“小松山推有限公司”のデミング賞受賞までの取り組みについて」
佐藤 真人 氏(鰹ャ松製作所 コマツウェイ総合研修センタ 所長)
講演A 「3Mで学んだイノベーションの設計図」
大久保 孝俊 氏(スリーエム ジャパン チーフ・プロセス・オフィサー(CPO))
パネル討論 「グローバル化の中で我が国企業に求められる人づくり」」
司    会 太田 雅晴 氏(大阪市立大学大学院 経営学研究科 教授)
メンバー 佐藤 真人 氏、大久保 孝俊 氏
 日本の先進的企業と海外の先進的企業におけるグローバル体制の在り方(現地法人体制の作り方、人づくり、事業展開)、従業員教育の在り方、経営理念と日常管理、グローバル体制下の品質保証の4つの視点から、実例を交え、わかりやすく講演いただいた。
(4) 研究発表会
第109回 9月18日(金)(会場:大阪大学中之島センター)[参加者31名]
 発表件数は18件(研究10件、事例8件)。最優秀発表賞、優秀発表賞及び学生を対象とした優秀発表の表彰を行った。
(5) 研究活動報告
1) 統計的品質情報解析研究会
「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」を行った。
2) 科学的先手管理アプローチ研究部会
マネジメントの課題を階層別に取り上げ、日本品質管理学会が培ってきた数々のQC(信頼性、IE、OR等を含む)技術をベースにし、科学的な先手管理、源流管理へのアプローチを体系化している。
3) 品質管理教育教材開発研究会
学生が、モノづくりやそれを支える品質管理に対して興味が持てるように、学校・企業の教育分野で使える品質管理教育の教材を開発し、教育の仕方やマニュアルも併せて提案した。
(6) QCサロン
第100回 2月19日(木)大杉 幸久 氏(NGK人財開発梶j[参加者38名]
「「気づき研修」による問題解決能力の向上」
第101回 4月 9日(木)近藤  賢 氏(積水化学工業梶j[参加者25名]
「積水化学グループのモノづくり革新SHINKA 〜モノづくりは人づくり〜」
第102回 6月11日(木)細谷 克也 氏(虚i質管理総合研究所)[参加者32名]
「TQMで経営改革 −先達に学ぶ−」
第103回 8月6日(木)濱口 勝重 氏(椛コ田製作所)[参加者38名]
「紙グライダーを用いたQC教育」
第104回10月15日(木)常木 美幸 氏(サンデンホールディングス梶j(予定)
「「挑戦と改革の企業文化の醸成を目指す」〜表彰制度改革の取組み〜」
(7) 合同役員会
2014年10月15日(水)、12月18日(木)、2015年2月19日(木)、4月9日(木)、6月11日(木)、8月6日(木)

6.論文誌編集委員会(委員長:鈴木 知道)

 論文誌編集委員会では以下の活動を行いました。
(1) ほぼ、毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました。論文誌編集委員会の責任に基づき、査読意見を参考にしながら、編集委員会が掲載の可否を判断してきました。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については掲載する方向で進めました。
(2) 台湾の台北で開催されたANQ Congress 2015にあたり、国際委員会の委託を受けて、以下の活動を行いました.
1) JSQCから提出された全てのアブストラクト(全45本)に対する審査
2) フルペーパー(全43本)に対するBest Paper Awardの審査
(3) 投稿論文審査のスピード化も引き続きめざした結果,大幅に遅れるものはなくなっています。さらに迅速に審査が進むように、次年度以降も管理を徹底いたします。
(4) 国際委員会と連携して、ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行の準備活動を行いました。44年度は創刊号のVol.1 No.1とVol.1 No.2を発行しました。
(5) 44年度は、昨年度に引き続き論文掲載料の検討をいたしました。論文掲載には相当なコストがかかるため、学会の財政状況を鑑みますと、論文掲載料の徴収は避けらない状況です。会員の理解を得つつ、引き続き検討を続けます。
(6) 表1に過去5年間(40年度〜44年度)の月別投稿論文数を、表2に過去5年(39年度〜43年度)の投稿区分別採択数を示します。44年度は審査中のものがありますので、採択数は39年度から43年度を示しました。一度却下されたものが再投稿される場合もありますので、単純に採択率を計算することはできませんが、おおむね4割程度が採択されています。
 

表1 過去5年間の月別論文投稿数

  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
40年度 1 2 2 4 2 2 2 1 1 2 2 3 24
41年度 1 8 2 3 0 1 2 0 4 0 1 1 23
42年度 2 2 1 1 2 1 1 3 5 3 1 1 23
43年度 0 1 3 3 1 4 4 5 4 1 2 2 30
44年度 2 1 2 5 0 0 1 2 1 0 1 1 16

 

表2 過去5年間の投稿区分別採択数

  39年度 40年度 41年度 42年度 43年度 採択率
  投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択
23 11 24 11 24 10 23 10 30 5 0.38
報文 9 6 16 9 11 7 8 4 14 3 0.50
技術ノート 2 2 3 0 6 0 2 3 2 0 0.33
調査研究論文 6 1 2 0 1 0 4 0 2 1 0.13
応用研究論文 5 1 2 2 3 1 3 2 4 1 0.41
投稿論説 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0.00
クオリティレポート 1 1 1 0 3 2 6 1 4 0 0.27
QCサロン 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -
レター 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -

7.学会誌編集委員会(委員長:立林 和夫)

 第44年も例年どおり、 年4冊の学会誌『品質』を発行しました。特集企画は昨年度までの中期計画「学会誌での各研究会報告の充実」にもとづき、年4回の特集企画のうち2回(No.1とNo.4)を研究会報告に充て、以下のように構成しました。特集企画のうち2回(No.2とNo.3)は、品質管理の新分野の開拓を意識したものとしました。
  Vol.45, No.1(2015年1月発行): 『海外進出企業の品質管理教育の実施上の課題と今後の方向性』
  Vol.45, No.2(2015年4月発行): 『農業における品質管理』
  Vol.45, No.3(2015年7月発行): 『日本ならではのおもてなし商品・サービス』
  Vol.45, No.4(2015年10月発行): 『安全・安心のための管理技術と社会環境』
 連載企画は従来からの:『事業の高付加価値化・・・』をNo.2で終了し、新連載『経営トップ:私のTQM事始め』を開始しました。
 その他、印刷費用削減のために特集記事の掲載頁数の削減等の努力をしました。

8.広報委員会(委員長:兼子 毅)

(1) 総合企画委員会・広報WGと連携し、学会の具体的活動・成果の可視化、及び社会や会員への広報を目的に活動しました。
(2) 社会向け広報を充実させるため、プレスリリース先リストの整備、及びプレスリリース用の専用レターヘッドを作成しました。
(3) Webサイトへのアクセス数増大を目指し、全会員向けにアンケートを実施しました。

9.会員サービス委員会(委員長:中島 健一)

 会員数(括弧内昨年度末比)は、現在、名誉会員24名(1名減)、正会員2141名(108名減)、職域会員28名(7名増)、準会員55名(12名減)、賛助会員155社200口(2社6口減)、公共会員18口(3口減)となっています。
 会員数増強に向け、第44年度において主に以下の取り組みを行いました。
(1) 職域会員の普及
 職域会員は企業に所属する方に適用する会員資格で、職場の職域に対して会員の資格を提供する制度として新設され、会員数は順調に増加してきました。今期も職域会員制度をさらに宣伝し、昨年度より職域会員数を増やすことができました。今後は、さらに職域会員増加につながる活動を実施する予定です。
(2) 正会員(特に中堅・若手会員)数増加へむけた対策
 中堅・若手会員増強を含めた入会案内パンフレットの企画案を作成し、関係する委員会との検討を行いました。今後は、広報委員会とともにさらに検討を行い、パンフレットを完成させる予定です。
(3) QC検定と連動した資格制度の定着化
 QC検定合格者が社会的地位を誇れる資格制度としての「JSQC認定上級品質技術者」及び「JSQC認定品質技術者」に関する認定を行いました。今後さらに同制度の認知度を高める取り組みを検討する予定です。

10.規定委員会(委員長:古川 静男)

 第44年度も引き続き学会活動の拡大と財政基盤の確立を図るため、関係する委員会と協力して、1件の内規改訂を行いました。
  ・学会規則第203 選挙管理事務内規
 平成24年10月に改定された本内規中にある“指示された数”という表現が曖昧なため、追記修正を行い改定しました。

11.研究開発委員会(委員長:安井 清一)

 以下に示す各研究会の統括、および、研究開発ワークショップを実施しました。
 研究開発ワークショップは、学会の研究活動の活性化を狙いとし、研究会・部会・特別委員会の代表者が本年度の活動を報告し、研究活動成果や問題点の共有化、学会としての研究活動の方向性を議論しました。本年度も昨年度と同様、本部直轄の研究会等のみならず、中部支部・関西支部で活動している研究会も参加し、本学会全体の活動状況を俯瞰しました。なお、遠方から参加する代表者の旅費負担について本委員会から理事会に発議し承認されたため、適格性を審査した上で支出しました。
 各研究会の活動内容は以下のとおりです。計画研究会であるサービス産業における顧客価値創造研究会におきまして、研究成果が一通りまとまったため、本研究会解散について本委員会内で検討し、理事会にて審議の結果、解散が承認されました。本年度をもって閉会します。また,計画研究会であるテクノメトリックス研究会、信頼性・安全性研究会におけるメンバーの入退会の審議を行い、いずれも承認されました。テクノメトリックス研究会のメンバーが大きく入れ替わり、若手・中堅中心となったことを特筆します。

(1) テクノメトリックス研究会(主査:黒木 学 20名)
   テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」のために、手法、考え方、事例などについて幅広い視点から研究しています。研究会はおおむね3ヶ月に1度の開催で、メンバーが上記の手法、考え方、事例などについて紹介し、メンバー間での議論により研究成果を練り上げています。議論したテーマは因果推論とタグチメソッドを中心として、多岐にわたっています。これらの成果は、研究発表会や品質誌などで報告されています。
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会(主査:永井 庸次 18名)
  医療事故調査等の活動に関しては、
全日本病院協会の医療の質向上委員会に参加  一部委員(飯田、永井)
厚労省研究会に参加  飯田委員
  医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する研究会
  医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会
定期的に研究会でも議題に取り上げ検討しました。
全日本病院協会から「医療事故調査の指針」第2版を出版しました。
特性要因図に関する講演会を開催(2015年8月2日)
医療ITと安全に関しては、
ECRIの電子カルテ導入事故チェックリストの翻訳について検討しました。
医療アラームに関する検討では、
生体情報モニタに関する講演会を開催 (2015年7月28日)
生体情報モニタへの4施設アンケート調査実施
(練馬総合病院、河北総合病院、花と森の東京病院、ひたちなか総合病院)
生体情報モニタの2施設モニタシステム改善
取り組み(練馬総合病院、ひたちなか総合病院)
今後、2003年以降改訂のない「医療機器使用者のための警報装置(アラーム)ガイドライン」を改訂を検討中です。
ECRIのアラーム安全ハンドブック・ワークブックの翻訳について検討しました。
   
(3) 信頼性・安全性計画研究会(主査:田中 健次 18名)
 第三期の最終年であり、昨年まで注目してきた社会インフラの問題などに関し、いくつかの視点からさらに問題を掘り下げ、クリアにしてきました。それらは、専門家による講演や、委員の研究発表をベースに討議を行ってきたものです。
  1) 信頼性・安全性作りこみ技術
 製品安全における未然防止を目指し、モニタリング情報の有効活用に着目して、ライフサイクル全体のモデル化などを議論しました。
  2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
 昨年に引き続き、老朽化の安全性問題に着目し、橋梁などの社会インフラにおける 設計と維持管理の乖離の問題などを明らかにし、センシング技術による期待などを検討しました。
 レジリエンスな組織、事業継続の実現については、この観点からのリスク評価の方法、安全の定義にまで遡り、さらにリスクを考える時の基準値の決め方の問題にも注目しました。そして認証や規格における問題も検討いたしました。
  3) 研究成果のとりまとめと情報発信
 第三期の最終年であり、3年間の成果をまとめ、年次大会研究発表会にて発表するべく準備を進めました。
   
(4) サービス産業における顧客価値創造研究会(主査:石川 朋雄 10名)
 本年度は昨年度に引き続き、サービス産業において価値創造ができるかの実証研究を行いました。サービス産業(家電メーカーにおけるトータルサービス)B社との共同研究を進め、家電を購入する過程、使用中のサービス提案を、前回の顧客から支持を得た有望な仮説案をコンジョイント分析に当てはめ、顧客が最も支持するサービス案を立案しました。この結果は2015年5月の研究発表会において発表いたしました。実証研究が2件終わり、商品企画七つ道具を用いたサービス産業での適応が実証されたため、発足当時からのまとめを行い、本年度をもって終了いたしました。
   
(5) グローバル品質教育研究会(主査:立林 和夫 11名)
 グローバル品質管理研究会(GQE)は、第44年度に以下3項目の検討を行いました。
1) 企業規模・業種・進出地域による品質管理教育実施上の困難の違いの追加調査の必要性検討
2) 海外拠点での品質管理教育の標準カリキュラム・教育内容の詳細の検討
3) 海外拠点での品質管理教育に要する費用・工数削減のための『戦略的企業間連携』のコンセプトの詳細化
 実際の活動では上記(3)『戦略的企業間連携』の検討を優先し、上記(1)は追加調査の必要性を検討するに程度に留めました。上記(2)『カリキュラム・教育内容の詳細の明確化』は、国内も含めて『品質管理教育カリキュラム・教育内容の標準化』として、標準化委員会に引き継がれることとなりました。
 上記(3)の戦略的企業間連携の具体化を終了し、当研究会の全活動を2015年品質管理月間テキストNo.411『グローバル人材教育の実態と課題』としてまとめました。
 当研究会の当初の目標は2015年度までの活動で達成したため、計画研究会としての当研究会をクローズすることを提案しました。

12.国際委員会(委員長:水流 聡子)

 第44年度の国際委員会は、主に以下の事業を実施しました。
(1) ANQ(Asian Network for Quality)2015年台北大会への協力
 2015年9月23日から24日に、台北にてANQ2015総会が開催されました。これはANQ理事組織である台湾のCSQが主催しました。Technical Program Committee委員長と連絡を取りながら、JSQCからのサポート・協力を行いました。日本からの参加者についても、ANQでのリーダーシップを発揮できるよう、引き続き多くの参加者を募り、その結果として43件の発表が行われ、51名の参加がありました(発表件数/参加者数、いずれもANQ参加国の中ではトップでした)。ANQ2015 Best Paper Awardには、JSQCから5名が表彰され、最多でした.
(2) ANQの安定的発展のための調整
 2015年4月に、アルマティ(カザフスタン)で第26回ANQ理事会が開催されました。
また(1)のANQ総会と合わせ、第27回ANQ理事会が予定されました。JSQCとしてANQの発展に積極的に関与しています。ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会)、Ishikawa Kano Award委員会、ARE-QP(Asian Recognition for Excellence in Quality Practice)にも委員を派遣し、良い方向に導けるよう議論をリードしました。
 また、財務委員会ではJSQCが委員長を務めています。ANQの参加組織も着実に増加し、アジア以外の組織も参加する情勢にあり、その中でリーダーシップを発揮しています。
(3) 英文電子ジャーナルの刊行
 JSQCからの国際発信力を強化するべく、英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の刊行がなされました。これは、ANQで発表された論文のうち、JSQC論文誌編集委員会が審査して上位と判定された論文を対象に、さらに査読者を割り当て審査を実施し、掲載可と判断された論文を発行するプロセスとなっています。この英語論文誌への期待が大きいことは、昨年のANQ発表数36件に対し、今年は43件と大幅に増加していることから示唆されます。JSQCの学術的知見を国際的に発信し、国際的な寄与度を高めていく計画です。これに関連し、若手研究者を国際委員会の委員として増やす予定です。
(4) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討しました。
 その結果、ANQ関係団体と交流し良い関係を作りはじめました。ANQ Board Meeting は、その関係作りにも有用と思われます。

13.標準委員会(委員長:住本 守)

(1) JSQC規格の制定:
1) 「小集団改善活動の指針」を制定いたしました。
2) 「プロセス保証の指針」の原案を作成し、パブリックコメントを終了いたしました。2015年12月の制定を目標に、コメント対応を含めその後の制定業務を推進しています。
3) 「公的統計指針のプロセス−指針と要求事項」のパブリックコメント募集中です。10月26日のパブリックコメント終了を待って、2016年初旬の制定を目標に、その後の制定業務を推進いたします。
4) 2016年1月の完成を目標に、「方針管理の指針」の原案作成を推進しています。
(2) JSQC規格のJIS化:
1) 「日常管理の指針」のJIS化原案作成を終了し、JISC審議のため日本規格協会に最終案を提出いたしました。
2) ISOへのNWIP提案は先延ばしいたしました。「日常管理の指針」のJIS化の完了と、ISO 9001の改訂の終了を待って、ISOガイド規格としての提案NWIP)を再度検討いたします。
(3) JSQC規格の普及活動:
1) ANQで紹介するなど、英訳「日常管理の指針」の海外活用の展開を図りました。
2) 「小集団改善活動の指針」の制定を受け、事業委員会等と連携し、8月18日に「小集団改善活動の指針」の講習会を開催しました。参加者は37名、うち26名からアンケートの回答が寄せられ、25名から「目的は十分に達した」或いは「目的はほぼ達した」の回答でした。

14.FMES関連、横幹連合関連(伊藤 誠)

 44年度も引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等の活動に、中核団体として協力してきました。FMES代表者会議は、2015年6月に開催され、主にJABEEの今後について議論しました。また、FMES事務局は、2015年1月からJSQCが担当することになっていましたが、諸般の事情で、引継ぎが遅延しています。
 横幹連合に関しては、これまでの活動を継続し、特に積極的な参画には至りませんでした。

15.研究助成特別委員会(委員長:國澤 英雄)

 本事業は学会創立30周年記念事業として第31年度より開始されたものです。助成金額は1件5万円で4件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者です。今年度の応募者は4人で、審査の結果4人を選出いたしました。

16.QC相談室特別委員会(委員長:橋本 紀子)

 第44年度も、学会ホームページ上で、相談室の運営を行いました。
 今年度も、以前に生じた「あらし」の問題は生じませんでした。昨年度は長期間質問がなされない時期があり低調な利用状況でしたが、今年度はコンスタントに質問が投稿されました(質問項目は検査、統計教育、QC検定)。活発な返信のやりとりが行われた結果、3年ぶりに参照数の合計が1000回を越える年度となりました。

17.安全・安心社会技術連携特別委員会(委員長:伊藤 誠)

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム研究部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップを、2015年12月25日実施に向けて準備を行いました。また、自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力しています。特にISO 39001の普及をめざし、ISO TC241/WG 4 marketing committeeに参画しています。

18.JSQC選書特別委員会(委員長:飯塚 悦功)

 品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました。
 同委員会を2回開催し、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題、著者、発行時期など)を審議し決定しました。決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い、結果的には、2014年12月中旬に第12弾として、(第24巻)『自工程完結―品質は工程で造りこむ―』を発行しました(出版社:日本規格協会)。

19.TQE(問題解決力向上のための初等中等統計教育)特別委員会(委員長:鈴木 和幸)

 初等中等統計教育が“生きる力”をはぐくむ教育となるべく、過去6年間の活動を継承し、以下の取組みを行いました。
(1) 新学習指導要領における問題解決教育の充実を期するために、学校現場での具体的な教育教材事例の開発に努めました。特に、生徒が主体となり、楽しく、短時間の授業コマ数にて学習しうる教材「マスコットキャラクターのかわいらしさ作例」を新たに作成しました。
(2) 教員の方々への教育用教材事例に基づくワークショップ「第4回科学技術教育フォーラム」を計画し、2015年3月28日(土)東京学芸大学にて開催いたしました。
(3) 42年度に提案した学校教育におけるプロセスの学びの重要性と初等中等教育スキームの啓蒙・普及に努めました。具体的には、2015年1月 総務省統計局主催「統計教育指導者講習会」、8月:日本数学教育学会第97回全国大会講習会(高等学校の部)、9月:石川県教育センター教科等指導研修「数学的活動を充実させる授業づくり」での講義のほか、7月:さいたま市立白幡中学校での出前講義、8月:富山県統計教育講習会で小中学校の先生方への出張講演を行いました。
(4) 初等中等統計教育における「生きる力」育成への活動支援として、40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、応募件数の増加と、その質の向上に努めました。10月2日(金)に全国最終審査、11月19日(木)の第65回全国統計大会にて日本品質管理学会賞の表彰が予定されています。
(5) 品質誌(2015) Vol.45, No.4 に「初等中等教育における問題解決力育成へ向けて」なる特集を組み、これまでの6年間の本委員会の果たしてきた役割と活動の総括を行い、今後を論じました。

20.部会

(1) ソフトウェア部会(部会長:長坂 康史 75名)
 第44年度は以下のことを行いました。
 暗黙知の形式知化を行いました。
 これまで行ってきた知識集はこれまでのソフトウェア開発で経験したトラブルの解決方法などを抽象化したものです。これに対して、第44年度は品質の高いソフトウェアの開発に対する暗黙知の形式知化に関して議論を行いました。
 ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援しました。
 昨年度同様、他団体との連携を行い、各種行事の後援などを行いました。
   
(2) QMS有効活用及び審査研究部会(部会長:福丸 典芳 146名)
 7つのワーキンググループで研究活動を実施しました。
  WG1: 審査の視点での改正ISO 9001の研究
ISO/DIS 9001を組織の視点で検討し、組織がどの様に取り組むのが望ましいかについて研究を行いました。
  WG2: 改正ISO9001の意図及び審査員の力量の研究
ISO/DIS の要求事項の意図及び力量を明確にし、その結果を他のWGへのインプットとし、活用を図りました。
  WG3: ISO9001:2015 移行への実践研究《組織が如何に省エネで改訂9001に移行するか?》
ISO/DIS の要求事項を分析し、組織目線の実践ポイントを作成し、企業との共同研究(2社)を実施しました。
  WG4: 会社を強くする「効果的なQMS診断アプローチ」の研究
自己適合宣言チェックリストを作成し、JISQ17050-1に基づく自己適合宣言の試行を1社実施しました。
  WG5: 外部委託管理の指針研究
外部委託管理の機能を研究し、企業の事例分析を行い、指針(案)を作成しました。
  WG6: ISO9001(2015年版)対応
中小企業向けQMSモデルの研究、標準QMSの研究を行いました。
  WG7: 有効性の高いマネジメントシステムに向上させるための審査技術の基本研究
ISO9001:2015年版に適応できる審査技術の基本がどうあるべきかを研究しました。
   
(3) 医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 140名)
 今年度の研究活動としては、従来から引き続き、PCAPS(患者状態適応型パス)研究グループ、およびQMS-H研究会と共同しながら、PCAPS、医療の質マネジメントシステム等について研究してまいりました。
 これらの研究成果の公開の一環として、2015年2月28日、3月1日に、患者状態適応型パスの研究班、QMS-H研究会との共催で、「医療への質マネジメントアプローチ」と題するシンポジウムを開催しました。大変多くの方が参加し、活発な議論が行われました。研究発表も、JSQCはもちろん、医療の質・安全学会、日本医療・病院管理学会、ANQ、QMOD、等で、部会員の研究発表を行っています。2015年6月には、QMS-H研究会の8年間の活動成果をまとめた「組織で保証する医療の質 QMSアプローチ」を(株)学研メディカル秀潤社より出版いたしました。また、2015年11月には、同書が日経品質管理文献賞を受賞することになりました。
 アウトリーチ活動の一環として開催している「医療の質マネジメント基礎講座」を、今年度も2015年5月から8月にかけて実施いたしました。受講生の数は、昨年度とほぼ同様で延べ約550名でした。しかし、1昨年から見ると減少傾向にあり、受講生もQMS-H研究会参加病院の方の割合が高いことから、より広く医療関係者に広報を行う必要があります。そこで、来年度からは医療系の大学と連携して開催することを計画しています。
 部会員数については、現在140名であり、減少傾向が続いています。基礎講座を受講するために会員になる方がこれまで多かったことから、医療界への学会への広報が重要と考え、基礎講座の内容に関連する学会発表を行ってまいりました。また、上述したように、医療系の大学と連携することにより、医療関係者への広報を積極的に展開する予定です。