社団法人日本品質管理学会
第37年度 自 2007年(平成19年)10月 1日
至 2008年(平成20年) 9月30日事業報告
1.概 況(会長:圓川 隆夫) 内外の著しい環境変化の中、産学連携の再構築をベースとした品質立国日本を推進し、ひいては日本の国際競争力向上に貢献していくことを運営の基本としてきました。
特に37年度は、「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」、「共通領域」の4本柱を核とした第1期中期計画の最終年度として、4本柱の諸活動の確実な実施による計画実現に努力して参りました。中でも「Qの確保」については、新製品開発のスピード化の要請、技術の高度化、IT活用に係る問題、安全・安心のためのリスクマネジメントの重要性の高まり、といった環境変化に対応した品質管理のあり方や品質工学との融合手法開発等を、研究会や部会活動に加えて産学連携プロジェクトを推進し、その成果を学会の諸事業や刊行物を通して、学会員そして社会への発信をしてまいりました。
また第1期中期計画の進捗状況のチェックとフォローの活動を実施するとともに、学会のあるべき姿の具体的方向性を確保するものとして中期計画を策定することの有効性を確認いたしました。そして第1期中期計画の実施結果と、これに満足度調査に基づく会員からいただいた意見を踏まえることによって、基本的には第1期中期計画のフレームワークを継承した38年度から40年度までの第2期中期計画を策定いたしました。
これに加えて、今年末以降にはじまる公益法人の改革に向けて、学会としてのあり方や諸規定の再整備、さらには中期計画にも掲げている品質関連団体と当学会との役割分担を明確にしかつ連携を深めるための確認書の締結等を行ってきました。
定常的な活動に加えて、中期計画に関連した具体的な活動は次の通りです。
(1) 「Qの確保」の施策では、36年度に最初に立ち上げた2つの産学連携プロジェクトに加えて、4つのプロジェクトが日本科学技術連盟における「次世代TQM」プロジェクトと協働で、新たな時代の要請に基づくテーマに沿った活動を開始、あるいは準備を進めているところです。またシンポジウム開催等を通してこれまでの成果の発信も、精力的に行われています。 (2) 「Qの展開」の観点からは、安全・安心社会の実現のために不可欠な社会的技術として、医療の研究会・部会活動に加えて、政府委員会と連動した原子力関係のワークショップを3月、9月に実施しました。またサービス産業への展開については、経済産業省の品質(生産性)向上委員会にも委員として参加しています。 (3) 「Qの創造」では、「サービス産業における顧客価値創造」研究会に加えて、次の中期計画の核となるべき施策のあり方について検討を行いました。 (4) 「共通領域:学会発信度」では、今期新たに計画ローリングにより加えられた「品質保証ガイドブック」発刊については、多くの学会員のご協力により来年11月発刊に向けて精力的な編集作業が行われています。またJSQC選書については、その第1弾4冊が本年9月に発刊され、今後半年ごとの複数冊の刊行が予定されています。
「共通領域:学会員の質量の拡大度」では、個人会員数の維持に向けては、まだ微減傾向の歯止めは出来ていませんが、賛助会員数の増加目標は達成されています。さらにQC検定の受験者数については、年間3万人を越える勢いであり、企業での組織的な検定制度の活用も多く見られるにようになり、会員の増加や、Qの底辺拡大に大きく寄与するものと期待されます。
「共通領域:国際連携」では10月バンコクで開催のANQへ多くの会員が参加したとともに、来年9月の東京開催に向けて大会委員会を組織して準備を進めています。その他、「品質関連との連携」では、日本科学技術連盟、日本規格協会との連携の確認書締結に加えて、経済同友会やものづくり協議会等との連携を図るべき情報収集・交換等の活動も行っているところです。
2.総合企画委員会(委員長:圓川 隆夫) 36年度と同様に中期計画の進捗状況のフォローと、37年度は第1期中期計画の3年目、最終年度に当たることから、目標実現のための施策の積み増し等を検討して参りました。
また第1期中期計画の目標達成状況や、中期計画による学会運営のあり方や問題点の反省をふまえ、さらに学会を取り巻く環境変化も見据えながら、第2期中期計画の策定をいたしました。
第2期中期計画立案に当たっては、1) 第1期中期計画の予実績確認、2)学会員の学会への満足度調査結果及び要望事項の確認、3)向こう3年間の大きな行事/学会を取り巻く環境変化などの確認(学会40周年、ANQ東京大会の開催、公益法人改革対応)、とより高パフォーマンスな学会活動に向けた観点から、行いました。その結果、基本的には第1期中期計画の4本柱を継承、その高パフォーマンス化を図るものとし、若干の項目の見直しと追加を行ったものとなりました。
3.事業委員会(委員長:大藤 正) 第37年度事業は本部(年次大会、研究発表会、ヤングサマーセミナー各1回、シンポジウム3回、事業所見学会4回、クオリティパブ4回)、中部支部(研究発表会、シンポジウム各1回、講演会1回、事業所見学会2回)、関西支部(研究発表会1回、シンポジウム2回、講演会1回、事業所見学会4回)と順調に開催され、実績を上げております。支部行事は基本的に各支部の主体性にお任せしており、地域の会員のニーズを反映した行事を企画していただき、各々好評をいただいております。本部事業も幅広いニーズに対応したタイムリーな企画を目標に実施して参りました。
昨年10月2日の第99回講演会から本年9月24日の第335回事業所見学会(花王ミュージアム)まで全14回にわたり多数の会員に参加いただき、心より御礼申し上げます。以下簡単に主な行事の状況を説明いたします。 特に学会行事の真骨頂である研究発表会、年次大会は会員諸氏の熱意により大変な活況を呈しております。
(1) 年次大会、研究発表会
第37回年次大会は昨年10月26日、名古屋市の名古屋工業大学にて開催し、研究発表50件、のべ198名の参加者がありました。発表件数が非常に多く、活発な大会となりました。第86回研究発表会は本年5月31日〜6月1日に日本科学技術連盟東高円寺ビルにおいて昨年同様2日間で開催、一般発表で51件もの熱気溢れる発表があり、またチュートリアルも2件講演があり、参加者も255名と盛況でした。今後運営方法について更に改善を進めますが、概ね満足の評価をいただいております。(2) シンポジウム
以下の4回を開催、いずれも日本を代表する各界の識者の講演・発表と討論があり、好評をいただきました。
参加人数はいずれも100名前後と、昨年度の課題を克服したと思います。
2007年12月25日 第118回「質マネジメントシステムと第三者審査の質向上」 (日本科学技術連盟東高円寺ビル)2008年3月29日 第119回「環境設計とグリーン調達」 (日本科学技術連盟東高円寺ビル)008年6月21日 第123回「管理間接職場における小集団改善活動の進め方」 (日本科学技術連盟東高円寺ビル)2008年9月5日 第124回「信頼性・安全性の確保と未然防止」 (日本科学技術連盟本部)(3) 講演会
時宜を得た企画での実施を調整し、以下の講演会を開催しました。
2007年10月2日 第99回「間近に迫る内部統制報告制度」(日本科学技術連盟本部)(4) 事業所見学会
以下の3回を開催、いずれも個性的で優れたTQM活動を展開する事業所を見せていただき、参加者から高い評価をいただきました。
2008年3月11日 第330回 ヤクルト本社富士裾野工場
2008年5月30日 第332回 ブリヂストン東京工場「ブリヂストンにおける品質活動の取り組み」
2008年9月24日 第335回 花王墨田事業所「花王における品質保証活動の取組み」(5) クオリティパブ
ほぼ隔月に開催し、20〜30人の少人数の参加者がくつろいだサロン的雰囲気で一流講師の講演を聞き、活発なディスカッションの場を提供する本部独自のユニークで贅沢な行事です。37年度も各界から以下の多彩なゲストとテーマで4回開催し、好評をいただきました。
2007年11月13日 第58回 田中守氏(JR東海総合技術本部技術企画部担当部長) 「東海道・山陽新型新幹線「N700」の開発について」 2008年 1月25日 第59回 島森清孝氏(江崎グリコ蒲竕ル事業本部冷菓開発企画部部長) 「成熟市場における商品開発事例―カロリーコントロールアイス―」 2008年 3月24日 第60回 折戸晴雄氏(玉川大学経営学部観光経営学科教授) 「旅行商品の企画」 2008年 5月16日 第61回 圓川隆夫氏(日本品質管理学会会長・東京工業大学大学院教授) 「品質・安全・安心とわが国固有文化」
4.中部支部(支部長:渡邉 浩之)
(1) 講演会(5月28日;10:20〜17:10、刈谷シャインズ;参加者208名)
テーマ:「Qの確保」につながる品質のつくりこみと未然防止の思考方法講演会内容
*講演(1)『これからのモノ創りへの想い』 関東自動車工業梶@取締役副社長 服部 哲夫 氏 *講演(2)『失敗学と創造学』 東京大学大学院工学系研究科 特任教授 濱口 哲也 氏 *講演(3)『品質・安全性の確保と未然防止』 電気通信大学・電気通信学部 教授 鈴木 和幸 氏 (2) 研究発表会(8月27日;10:30〜19:00、名古屋工業大学;参加者107名)
統一テーマ:「Qの確保」につながる問題解決手法とその実践
発表内容(16件)
*産業界−11件 (少数データのもとでのばらつき推定、転動疲労寿命予測、品質工学の取り組みなど) *学術界−4件 (CAEとSQCの融合、超回帰最適化、中国自動車会社の従業員意識研究など) *産学連携−1件 (ロバスト化と適合のためのパラメータデザイン) (3) シンポジウム(9月9日;10:30〜17:35、中部電力ホール;参加者152名)
講演とパネル討論会の内容
テーマ:「Qの確保」につながる問題解決ストーリーについて −Robust設計のための新たな視点、SQC、CAEと品質工学の融合−
*特別講演「CAEと品質工学による開発・設計の効率化」 アイテックインターナショナル取締役社長 井上清和 氏
*産学連携現地現物研究会活動報告; リーダー・アイシン精機;藤江専務取締役、 研究会事務局;清水 *パネル討論会と講演(リーダー・永田靖氏・パネラー;三石明生氏、仁科健氏、 水野隆文氏、小杉敬彦氏)
講演(1)「イントロダクション(SQCと品質工学)」 早稲田大学創造理工学部 教授 永田 靖 氏 講演(2)「Robust設計のための新しい視点−品質工学からの考察−」
東北エプソン 監査役 三石明生 氏 講演(3)「CAEにおけるSQCの有効活用」
名古屋工業大学おもひ領域 教授 仁科 健 氏 講演(4)「未然防止のための自工程完結〜SQC・品質工学などの活用」 東海理化 専務取締役 水野隆文 氏 講演(5)「トヨタにおけるSQCの有効活用と品質工学への取り組み」 トヨタ自動車 主査 小杉敬彦 氏 (4) 事業所見学会
第1回事業所見学会(5月22日、JR東海・浜松工場;参加者29名) *テーマ; 「新幹線のメンテナンスにおける品質管理」 第2回事業所見学会(8月22日、カゴメ富士見工場;参加者39名) *テーマ; 「カゴメの品質保証(安全・安心)について;原材料の管理、常にお客様に目を向けて」 (5) 幹事研修会(8月22日〜23日、カゴメ事業所見学会から移動;参加者幹事14名)
*「産学連携活動の実践事例」について、諏訪東京理科大学経営情報学部・奥原正夫准教授と卒業生2名の方の事例講演を行っていただいた後、産学連携の進め方について議論を行いました。(6) 研究会活動報告(研究会活動から研究発表会のテーマを出せるように活動)
1)名古屋地区若手研究会(名古屋工業大学;仁科教授、南山大学;松田教授、6回開催) 2)北陸地区若手研究会(金沢工業大学;石井教授、2回開催) 3)産学連携現地現物研究会(早稲田大学;永田教授、アイシン精機;藤江専務取締役、5回開催) 4)中部医療の質管理研究会(朝日大学;國澤教授、関中央病院;齋藤院長、2回開催)
5.関西支部(支部長:細谷 克也)
(1) 事業所見学会
第329回2月29日(金)カルビー湖南梶i湖南市) [参加者 27名]
「身障者雇用と人材育成への取組み」「身障者雇用」、「人材育成」の話題を中心として、食品関連トップ企業における「モノづくりと人づくり」について説明を伺い、衛生的な加工工場内を見学し、現場討論を実施しました。 第331回5月16日(金)関西セキスイ工業鰹Z宅カンパニー(奈良市) [参加者 12名]
「CS品質の追求、お客様の声をいかしたモノづくり、家づくり」ユニット工法による工業化住宅において、工業化生産による技術と品質管理、CS品質を目指した活動とモノづくりを伺い、現場討論を実施しました。 第334回7月23日(水)松下電器産業梶@MHA社冷蔵庫BU(草津市) [参加者 34名]
「冷蔵庫の開発〜生産におけるエコ/省エネへの取組み」グローバル企業である松下電器産業鰍ノおける「環境にやさしい商品の開発」と「モノづくり現場でのエコ/省エネ」への取組み事例を見学し、事業所における取組みに加えて、企業としてのエコ/省エネに対する取組みについて説明を伺い、企業が抱える課題について現場討論を実施しました。 第336回9月2日(火)関西電力 南港火力発電所(大阪市住之江区)[参加者19名]
「関西電力 南港火力発電所における環境負荷の低減の取り組み」電気の製造現場である関西電力鞄港火力発電所を見学し、電力の安定供給を担う発電設備、運転監視設備ならびに排煙脱炭装置(研究設備)の実態について説明を伺い、関西電力グループにおける環境問題への取り組みについて現場討論しました。
(2) 講演会
第103回5月9日(金)中央電気倶楽部 [参加者 128名]
「品質力・組織力向上に向けて(リーダーの役割)」
講演(1)『クオリティ経営−リーダーの役割−』 岡部 弘 氏(潟fンソー相談役)
講演(2)『現場を強くする実践的MOTスーパーシックスシグマOG(大阪ガス)WAY』 永田 秀昭 氏(大阪ガス梶@常務取締役) (3) シンポジウム
第120回4月7日(月)大阪国際会議場 [参加者 92名] 「製品経年劣化事故に対する消費者保護のあり方」
消費者、メーカー、行政、学識者の立場からそれぞれの課題と、解決策・取り組みの提案をお話しいただきました。講演者 : (1)製品評価技術基盤機構 生活・福祉技術センター 製品安全企画課課長 長田 敏 氏 (2)財団法人日本消費者協会 広報部部長 三浦 佳子 氏 (3)中央大学 理工学部 経営システム工学科 教授 宮村 鐵夫氏 (4)日立アプライアンス株式会社 品質保証センタ センタ長 巻島 文夫 氏
パネル討論(全講演者) 第122回9月9日(火)天満研修センター[参加者 45名] 「食の安全確保と品質管理 ―食に関する事故や取組から学ぶこと―」 学識者、行政、流通業のそれぞれの視点から、食の安全・品質を守るための考え方と具体的取り組みを講演いただきました。
基調講演: 「食の安全はTQMによって保証される」 近畿大学 農学部 教授 米虫 節夫氏 講演(1): 農林水産省 近畿農政局 消費・安全部 消費生活課長 関 将弘氏 講演(2): 滑p野品質管理研究所 代表取締役 角野 久史氏 講演(3): イオン梶@品質管理部長 仲谷 正員氏 パネル討論(全講演者) (4) 研究発表会
第88回 9月19日(金) 中央電気倶楽部
「研究セッション」と「事例セッション」の2つのセッションを設け、口頭発表者とその共同研究者を対象として、研究発表会優秀発表賞と最優秀発表賞を創設しました
特別講演: 上坂 浩之 氏(日本イーライリリー梶jに、データマネジメントに関する話題について講演いただきました。 (5) QCサロン
第64回 12月14日(金) [参加者 28名] 「前田建設ファンタジー営業部の成分と効能
− B toB企業の広報→職場力の向上へ −」 岩坂 照之 氏第65回 2月21日(木) [参加者 31名] 「新JIS制度に関わる話題」 大岡 忠芳 氏 第66回 4月18日(金) [参加者 20名] 「西堀榮三郎先生に関する話題− ヤルン・カン登頂時のエピソード− (アマチュア無線通信)」 荒川 泰蔵 氏 第67回 6月19日(木) [参加者 24名] 「変えることへの挑戦!全社に拡がる「和の力」SHARP"R-CATS"活動」 高木 美作恵 氏 第68回 8月22日(金) [参加者 25名] 「南極での3つのモチベーション(スコット、アムンゼン、白瀬)」 武田 和忠 氏
(6) 合同役員会 2007年12月14日(金)、2008年 2月21日(木)、4月18日(金)、6月19日(木)、8月22日(金)
6.論文誌編集委員会(委員長: 棟近 雅彦) 論文誌編集委員会では以下の活動を行いました。
(1) 前年度方針を引き継ぎ、毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました。論文誌編集委員会の責任に基づき、査読意見を参考にしながら、編集委員会が主体的に掲載の可否を判断してきました。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載の方向で進めました。 (2) 6thANQの論文発表の奨励支援に関して、国際委員会の委託を受け、以下の活動を行いました。
1)6thANQへJSQCから提出された全てのアブストラクト(全44本)に対する審査
2)若手への参加奨励金の適用対象者の選定
3)若手のフルペーパーに対するBest Paper Award with Encouragement審査(3) 投稿論文審査のスピード化も引き続きめざしましたが、十分な改善結果は得られていません。次年度以降に新たな対策を実施する必要があります。 (4) 表1に過去5年間(33年度〜37年度)の月別投稿論文数を、表2に過去5年の投稿区分別採択数を示します。37年度は審査中のものがありますので、採択数は32年度から36年度を示しました。一度却下されたものが再投稿される場合もありますので、単純に採択率を計算することはできませんが、おおむね4割程度が採択されています。
表1 過去5年間の月別論文投稿数
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
計
32年度
0
0
0
3
2
3
2
0
1
1
3
5
20
33年度
2
1
4
1
3
5
2
5
0
1
3
2
29
34年度
1
3
2
3
1
1
3
1
0
3
1
4
23
35年度
3
1
3
3
2
1
3
1
6
2
1
1
27
36年度
4
1
1
1
4
3
4
4
8
1
4
2
37
37年度 1 1 3 1 2 0 6 5 3 - 2 3 27表2 過去5年間の投稿区分別採択数
32年度 33年度 34年度 35年度 36年度 5年間合計採択率 投稿数 採 択 投稿数 採 択 投稿数 採 択 投稿数 採 択 投稿数 採 択 投稿数 採 択 20 11 29 11 23 9 27 8 37 13 136 520.382 報文 5 2 10 6 6 1 11 3 17 4 49 160.327 技術ノート 2 1 3 2 4 1 3 2 5 2 17 80.471 調査研究論文 4 3 6 2 2 1 7 1 2 1 21 80.381 応用研究論文 6 3 4 0 4 1 3 0 4 3 21 70.333 投稿論説 2 1 4 1 2 0 2 1 6 1 16 40.250 クオリティレポート 1 1 2 0 5 5 1 1 3 2 12 90.750 QCサロン
7.学会誌編集委員会(委員長:瀧沢 幸男)
第37年度の学会誌編集委員会は委員長が交代したものの第36年度の構成メンバーに引継ぎをお願いし、ほぼ同じメンバーで進めて参りました。前年度までの編集指針/運営指針を踏襲しつつ、Vol.37-4からVol.38-3までの特集企画を1回/2ヶ月のペースで継続的に検討して参りました。
本年度、品質誌に掲載されたテーマは以下の通りです。前年度から踏襲する編集指針/運営指針は次のとおりです。
Vol.37-4(2007年10月発行): ブランド基点のTQM Vol.38-1(2008年1月発行): シミュレーションにおけるSQCの貢献 Vol.38-2(2008年4月発行) : ソフトウェア開発プロセスにおける「偶然変動」と「系統的変動」の認識とその活用 Vol.38-3(2008年7月発行): 組織力・職場力・現場力
<編集指針>
3000名の会員の声を反映させる/質(Quality)にこだわる/論文誌も含め他誌との差別化を図る/会員増に繋がるような魅力化を図る/世界の専門誌と比較しても存在感があるものを目指す
<運営指針>
タブーを作らない/ユニークさを歓迎する/過去の慣習に囚われない/ワンパターンに陥らない/多種多様な考え方を尊重する/編集委員の主張を明確に示す/変化の見える化/失敗を恐れず批判批評は大いに歓迎する/開かれた委員会運営を目指す/全員参加で一人二役以上/相互扶助
一方、先に実施した会員アンケートの調査結果については、関心の高い分野を明らかにして学会誌「品質」誌の特集テーマに順次繰り広げる予定です。
例) ・実務に役立つSQCの再普及 → 特集テーマに反映 ・中小企業の品質向上 → 特集テーマに反映を検討
8.広報委員会(委員長:根岸 達夫)
今期の広報委員会は1)JSQCニューズの内容の充実、2)中期計画の実行、の二点について活動を行いました。
1)に関しては広報委員会マニュアル、JSQCニューズ要領等を再度レヴューし、本稿の目的を再確認しました。結論として理事会や委員会、部会での取組みや活動を会員に積極的に紹介する記事にすることとし、具体的には品質の確保、展開、創造をテーマとし、@.『新版 品質保証ガイドブック』の企画、A.広報委員会の活動、B.中部、関西支部の活動状況を掲載しました。部会活動については38年度に発行するニューズで掲載の予定です。また当委員会の基本的な役割に、a)Web掲載情報の管理、b)報道機関を利用した学会活動の学会外への広報活動、を加えることを明確にしました。
2)に関しては“学会の社会認知度の向上”に対して、「ホームページへのアクセス数の増大」のため、品質誌「特集にあたって」のWebへの掲載を実施しました。「メディア取り上げ度の向上」では学会活動をメディアを通して世の中に紹介するための施策として5月に開催された研究発表会/チュートリアルセッションの開催案内を日経新聞、日刊工業新聞に送付し新聞紙面上への掲載を依頼しました。
9.会員サービス委員会(委員長:釜谷 佳男)
(1) 本学会会員数は2008年9月末現在、名誉会員31名、正会員2,828名、準会員87名、賛助会員企業178社、205口、公共会員23団体、23口となりました。多くの学会が会員数を減らす中、本学会の活発な部会活動/学会行事、さらには学会関係者の熱心な勧誘活動等を行いましたが、本学会も個人会員の減少傾向に歯止めがかかりませんでした。また、賛助会員企業については新規加入会員があったものの、景気の不透明感の影響を受け3社の減少となりました。
(2) 中期計画で掲げた、40歳台以下の会員比率目標40%に対しては、構造的変化はなく35%台を維持するにとどまりました。昨年度から始めたQC検定合格者への入会案内を送付するなど、若手会員増強策は今後に期待がもたれます。
一方、賛助会員口数は、目標の200口を確保することが出来ました。
10.規定委員会(委員長:橋本 進)
本年度は、以下の「内規」1件を改訂し、理事会での審議・承認を経て施行しました。
(1)学会規則219「品質管理推進功労賞内規」/2007.12.4改定
この内規は、学会規則108「表彰規程」第2条に定める、品質管理推進功労賞に係る授賞資格並びに選考・表彰等について明確にしたものであり、今回の改訂は受賞資格として「所属組織に貢献」から「地域・社会においての貢献」も加えて、37年度候補者の推薦募集から適用しました。
さらに、研究助成特別委員会及び会員サービス委員会と連携し、以下のマニュアルを制定及び改正し、理事会に報告のうえ施行しました。
(1)学会規則326「研究助成選考マニュアル」/2008.2.22制定
(2)学会規則318「会員サービス委員会運営マニュアル」/2008.5.15改定
11.研究開発委員会(委員長:椿 美智子) 中期計画の「Qの創造」の計画に基づき設置された「サービス産業における顧客価値創造研究会」により、今後の研究の土台となるサービス産業に対する調査が幅広くなされ、調査結果に基づく学会発表がなされました。
また、中期計画で力を入れている現在の問題に真に効果のある手法・利用技術の開発に関連して発足していた「信頼性・安全性計画研究会」(「Qの確保」)も成果を継続して上げており、横幹連合コンファレンスで発表を行う予定です。
現在、4件の計画研究会、2件の公募研究会が活動を行なっていますが、研究会全体としては、37年度学会発表が7件なされ、学会誌においても、3件の研究会報告が掲載され、研究成果が継続的に会員にタイムリーに公開されることが定着しつつあります。
また、37年度は、Webを一新し、学会員だけでなく、非学会員にもわかり易く、魅力ある研究会の説明を載せることによって、社会に品質管理学会の研究をアピールできるように工夫しました。
(1) テクノメトリックス研究会(主査:中西 寛子 17名)・研究概要
テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」をスローガンとし、品質管理に役立つ手法、考え方を幅広く探索しています。おおむね3ヶ月に1度の開催ですが、各メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行いました。・研究発表
はじめに、近年、研究会の主テーマとして取り上げています「MTシステム」と「因果ダイアグラム」の2テーマに関する発表例を列挙します。
ここにあげた内容以外にも多数の発表がなされました。このように品質管理手法の数理的基礎や実際の応用に関するテーマを取り上げる一方で、統計理論一般についても議論を行いました。これらの議論を元に研究をさらに進めたものの一部は、SQC研究発表会や品質誌の投稿論文などで発表されています。
1.MTシステムに関する研究 「T法(RT法)について」
「離散と連続変量が混在する場合の距離とMTシステム」2.因果ダイアグラムに関する研究 「因果ダイアグラムの矢線の向きの推定について」
「未観測交絡因子が存在する場合の総合効果の識別可能条件について」
「パスダイアグラムにおける直接効果と間接効果に関する統計的検定」また、品質管理に関するその他の内容については以下のような発表がありました。 「Pistone-Wynn流の実験計画」
「統計的工程管理再考」
「統計的工程管理からみたチューニングとメンテナンス」 (2) 医療経営の総合的「質」研究会(主査:永井 庸次 18名)36年度の研究活動を継続し、37年度では以下のテーマに取り組みました。
2007年 10月(80回) :11月からの新体制(主査:永井庸次、副査:飯田修平)と新メンバー(村上美好、小平祐造)確認及び今後の研究会の進め方について 11月(81回) :「病院PFIの課題と展望」 ・・・・・・槙委員 12月(82回) :JUKI(株)大田原工場見学と講演
「生き延びるために何をなすべきか」・・JUKI(株)山岡工場長(外部)
2008年 1月(83回) :「業務フロー作成に関する意義」・・・・・永井委員 2月(84回) :「民間2病院における病院建築・移転における課題」・・・・飯田委員、永井委員 3月(85回) :「業務工程図と医療情報システムについて」・・・・・永井委員 4月(86回) :「医療分野のためのTQM七つ道具(M7)について(第3報)」・・・・・光藤委員
「6病院調査結果を踏まえた「医療七つ道具(仮称)」選定の試み」・・・・・佐伯委員5月(87回) :「医療分野のためのTQM七つ道具(M7)について(第3報)」
「6病院調査結果を踏まえた「医療七つ道具(仮称)」選定の試み」
・・・・・池田、田村、槙、赤尾、佐伯、飯田、光藤、中條 各委員5月(88回) :「医療の七つ道具」について、各委員のブレーンストーミング 6月(89回) :「医療の七つ道具としてのRCAについて」・・・・・飯田委員
「医療の七つ道具としてのフローチャート(業務工程図)について」・・・・・永井委員7月(90回) :「医療の七つ道具としてのFMEAについて」・・・・・飯田委員
「医療の七つ道具としてのQFDについて」・・・・・赤尾委員
上記の議論を踏まえて、以下を実施しました。 A) 研究会メンバーが全日本病院協会主催の「医療安全管理者養成講座」において、講師を務めました。 B) 委員2名が新版 品質保証ガイドブックにおいて、医療分野の項を執筆しました。 C) 「医療の七つ道具」(仮称)について、12月テキスト完成を目指して、各委員が分担分野を執筆中です。 (3) 信頼性・安全性計画研究会(主査:鈴木 和幸 12名)本研究会は、トラブル発生の背後にある技術的要因、マネジメント要因、組織的要因に関し、信頼性・安全性のつくりこみに関する技術的方法、組織・管理運営方法、および組織風土を対象とし、これらのあるべき姿を検討します。37年度は、研究会としてのこれまでの成果をまとめ、07/春、07/秋、2回の学会研究発表会にて、経過説明をさせて戴き、08/秋: シンポジウムを開催し、下記の報告ならびに討議を行いました。詳細はJSQC第124回シンポジウム「信頼性・安全性の確保と未然防止」要旨集(2008.9.5開催)をご覧下さい。
[1]
「信頼性・安全性の確保への提言−全体マップおよび品質保証の再考察−」 [2]「根本原因分析の勧め
−未然防止の視点から組織のマネジメントを見直す−」 [3]「未然防止への管理職の役割と品質管理教育」 [4]「信頼性・安全性確保のための顧客と企業の情報共有」 [5]
「リコーにおける「製品安全性」のつくりこみと管理活動
−リスクマネジメントの中心的な対象として−」 [6]「コマツにおける信頼性・安全性確保活動」 (4) 管理図実践研究会(主査:安藤 之裕 18名)本研究会は、第37回年次大会研究発表会に4件の報告ができましたが、それらをベースとして、その第二年度の活動として、特に、生産形態にあった管理図の開発について注力し、メンバーの実際工程の事例を持ちよって、具体的なケーススタディを中心に研究を進めてまいりました。
具体的には、
などがあります。また、その過程で、現場管理に使えるためのソフトウェアの必要性についての議論を経てそのスケルトンについてもまとめることができました。
1. 多品種少量生産の管理方法 2. プラスチック成型工程の最適条件設定とその工程管理方法の開発 3. 正規分布しない特性についての管理方法の開発 4. 長期間調整で悩み続けてきた工程の改善とその管理方法の開発 5. 基本に帰る愚直な管理の重要さとその効用の認識について (5) 管理・間接職場における小集団改善活動研究会(主査:中條 武志 17名)36年度に引き続いて研究会を継続し、調査・分析した、様々な企業の管理間接職場における小集団プロセス改善活動の推進事例をもとに、ガイドライン「管理・間接職場における小集団プロセス改善活動の進め方」をまとめました。また、2008年6月に第123回シンポジウム「管理間接職場における小集団改善活動の進め方−JSQCガイドラインの提案−」を開催し、ガイドラインの概要を紹介するとともに、参加者から多くの貴重なご意見をいただきました。頂いたご意見をもとに改訂したガイドラインについては、会員が容易に入手・活用できるように出版を計画しています。本研究を通して得られたモデルの適用の場は広く、管理間接部門における品質管理のより効果的な実践、引いては企業・組織の持続的発展に大きく貢献できると考えています。 (6) サービス産業における顧客価値創造研究会(主査:神田 範明 15名)当研究会は学会中期計画における「Qの創造」をサービス産業において展開すべく設置された計画研究会で、2007年1月に発足し活動を開始しました。サービス産業における実践的な顧客価値創造のシステムを提案しTQM的方法論の優位性をサービス産業に浸透して、製造業を含めた全産業でのQの創造を可能ならしめるのが目標です。
本年度は前年度に引き続きサービス関連の基礎的文献の集中輪読を実施(月2冊紹介、全15冊)しメンバーの共通認識と知識の深化に努めました。それを踏まえて、学会予算により「サービス産業における顧客価値創造の実態調査」を実施、サービス産業従事者15,430名から抽出した683名に対してWeb上での綿密な調査を行いました。非常に豊富な情報を入手できましたので、本年5月の第86回研究発表会にて2件の報告を行いました。現在更なる分析を実施中です。また、筑波大鈴木秀男研究室からの事例報告(2件)、メンバー企業からの社内事例の報告(東京海上日動火災、東武鉄道など)を継続し、鋭意実践レベルでのモデル探求に努力しております。
12.国際委員会(委員長:安藤 之裕)
第37年度の国際委員会は、第36年度の活動を継承拡大し、主に以下の事業を実施しました。
(1) 第6回ANQ(Asian Network for Quality)大会の共催、支援、および積極的参加
2008年10月にタイ国で開催される予定の第6回ANQ大会の主催機関であるSQATと、ANQ Chair Organization であるKSQMの要求に応じた大会実施の支援、およびJSQCからの積極的な参加者の勧誘をしました。その結果、2008年8月31日現在で昨年のほぼ5割り増しの43件の論文発表を予定し、50名以上の参加予定者を見込んでいます。更に、狩野紀昭元会長ならびに飯塚悦功元会長の基調講演や、インターネットを用いた特別セッションを企画しているなど、多大な貢献を果たす予定です。また、論文誌編集委員会の全面的なご協力により、若手研究者に対する最優秀論文賞の仕組みも堅持し発展させることができました。(2) 第7回ANQ(Asian Network for Quality)東京大会の開催準備開始
2009年9月15日-17日には、ANQ大会を、東京・早稲田大学理工学部キャンパスに招致して主催することになりました。その大会の成功を期して既に本年度から、国際委員会の委員を大幅に増員して、準備を始めています。(3) ANQの基盤確立のための調整
2008年4月に東京において実施された、ANQ Board meetingにホストとして出席するなど、ANQ Chair Organization であるKorean Society for Quality Management(KSQM)の運営について、会計機能をはじめとして、多大なサポートを実施しています。
(4) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について検討しはじめました。特に、ANQ関係団体と交流し良い関係を作りはじめました。更に、ANQ関係団体以外に対しても若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討中です。
13.標準委員会(委員長:永原 賢造) 当委員会のミッションを見直す中で、当学会の骨格のアウトプットを広く標準と捉えて発信していくことに関与していくことを確認しました。
その結果、学会定款の「学術・産業発展への貢献」として、品質保証ハンドブックや品質管理便覧のような品質関連の骨格となる考え、体系や標準に直接的に関与する必要性があるとの提案を行い、品質保証ハンドブックの特別委員会による編纂へとつなげ、当委員会からも積極的に支援してきました。
また、品質管理に関連する用語について、多くの定義や解説がされたりしていますが、領域の拡大や時代変遷として変化しているものがあり、TQMに関連する用語についてしっかりとした解説と定義に関しての要望があがってきていました。これらに対応するべくISO、JIS、および多くの主要関連図書を横並べして解説し、当委員会の定義を加えて発信の準備をしてきています。会員各位にパブリックコメントをいただき、学会選書として第1弾(約80語)の発刊を予定しています。
14.FMES関連(圓川 隆夫) FMESには、JABEE関連の業務を行うFMES/JABEE委員会と、シンポジウムを開催するための実行委員会、そしてその両委員会を統括するFMES代表者会議があり、いずれも当学会から委員を派遣するとともに、今年度も本学会がFMES事務局を務めました。第24回となるFMESシンポジウムは、「安全・安心・リスクと企業経営」というタイトルで7月に開催されました。
学術会議との関連では、FMES関連学会から選出されている連携会員が所属する総合工学部会WGとの連携による活動を推進しています。
15.Web特別委員会(委員長:山本 渉) 学会のウェブサイト(http://www.jsqc.org/)の更新作業を外部の業者に委託して、事務局から提供される情報が迅速に反映されるようになりました。今後しばらくはこの体制で、ウェブサイトを更新していただく方針を決めています。
また、Web特別委員会はインターネット利用の企画・導入が主なミッションですが、しばらくは現在の体制に大きな変更は予定していないことを確認し、当委員会は今年度で終了することになりました。これまでご協力頂いた皆様、有り難うございました。
所管の業務のうち、主な業務であるウェブとメーリングリストの利用については広報委員会に移管させていただくことになっています。
16.研究助成特別委員会(委員長:松田 眞一) 昨年定めた研究助成選考ガイドラインをマニュアル化し、審査体制を確立しました。委員は5年勤めた者が3名おり、交渉の結果2名を交代して6名に依頼し、例年通り委員長と含めて7名での審査体制となりました。
研究助成の募集に対して応募は4名ありました。審査委員の研究室からの申請者はいませんでした。また、留学生からの応募もありませんでした。定数に達しなかったため、追加応募を行うのかどうかについてまず委員の間で議論し、行わないことで合意しました。そのため、4名のままで審査を行い、結果をまとめました。研究助成に値しない応募は除外する規定がありますが、4名の中に該当者はいませんでした。以上のような状況で結局定数を下回る4名の研究助成が決定しました。
17.QC相談室特別委員会(委員長:岩崎 日出男) 第33年度事業計画(2003年10月)より、品質管理学会のウェブページにて品質相談室を開設しています。この間、2005年12月より2006年9月までの10ヶ月間はWeb上の不適切な書き込みが発生し、一時的に相談室をクローズしておりましたが、ID(jsqc)とパスワード(qjapan)の入力を必要とするシステムへの改良の結果、その後の問題は発生しておりません。新しいシステムでは、延べ参照者数(トピックを見た人の延べ人数)がログとして表示され、相談室の利用者がどのようなトピックに関心を持っているかといった有益な情報を得ることができるようになりました。システムのセキュリティーを優先した結果、Web上での相談件数は少し減少していますが、相談内容や各回答者の質とスピードは期待通りの実績を残しています。相談内容は、品質管理の推進方法、規格の決め方、サンプリング方法、管理図の種類と使い方、データのばらつきに対する推定方法、抜取検査などに関する質問が寄せられています。
18.原子力安全特別委員会(委員長:中條 武志) 原子力安全の分野においては、様々な事故や不祥事を契機に品質保証システムが導入されました。しかし、現場の実態を見ると必ずしも有効に機能しているとは言えず、原子力分野の特性に合った新しい品質保証の在り方が模索されています。このような社会の動向に学会として組織的に対応するために、原子力安全特別委員会を設けました。原子力安全・保安院の後援を受け、日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム部会/社会・環境部会)等と共催で「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を2008年3月と9月の2回開催しました(テーマは「人的要因」と「情報の共有」)。また、原子力安全基盤機構や社会安全研究所が中心となって進めている「原子力安全に関する技術マップ・人材マップ」の作成、「事業者の根本原因分析実施内容を規制当局が評価するガイドライン」やJEAC 4111の附属書「根本原因分析のガイド」の作成へ参画し、支援を行いました。
19.JSQC選書特別委員会(委員長:飯塚 悦功) 品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました。
同委員会を3回開催し、本事業の趣旨の確認、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題,著者,発行時期など)を審議し決定しました。結果的に、計画に従って、2008年9月上旬には、最初の4冊『Q-Japan』、『日常管理の基本と実践』、『質を第一とする人材育成』及び『トラブル未然防止のための知識の構造化』を同時に発行しました(出版社:日本規格協会)。
20.品質保証ガイドブック特別委員会(委員長:中條 武志) 1974年に石川馨・朝香鐵一両博士によって編集・出版された「品質保証ガイドブック」(日科技連出版社)は、品質管理に携わる者が、品質保証の方法論を学ぶ上で重要な役割を果たしてきました。30年を経てもその考え方・方法論は示唆に富むものが多く、貴重な書籍となっています。しかし、経営環境が変わるとともに、品質管理の適用分野が広がる中、今の時代にあった事例を用いて、その内容を体系的に説明した書籍が強く望まれています。日本品質管理学会の40周年記念(2010年)の事業の一環として、2009年11月の発刊を目指して産学の代表者20名からなる特別編集委員会を組織し、日科技連出版社の協力を得ながら「日本品質管理学会編 (新版)品質保証ガイドブック」の執筆・編集に取り組んできました。本年度は、昨年度作成した企画案をインプットとし、執筆者の選定、原稿の依頼、各章構成案のレビュー、1次原稿のレビューを行いました。
21.部会
(1)ソフトウェア部会(部会長:兼子 毅 79名)第36年度から継続して、研究活動を行う会合を定期的に開催しました。開催日は10月1日、10月23日、5月10日、6月13日、7月7日、7月25日、8月5日、9月1日、9月18日、および9月30日の10回で、昨年度に引き続き、過去ソフトウェアの分野で有用であった「形式知」の集積、分類を行うとともに、現在のソフトウェア開発において不足している部分、すなわち新たな研究が必要な領域を明らかにする活動を進めています。
日本科学技術連盟との共同作業であるSQuBOK策定作業も順調に進み、平成19年12月10日に『ソフトウェア品質知識体系ガイド−SQuBOK Guide−』第1版の出版記者会見を開催しました。その後も改訂作業を進めています。
学会誌38巻2号において、ソフトウェア部会のメンバーを執筆陣に迎え、「ソフトウェア開発プロセスにおける『偶然変動』と『系統的変動』の認識とその活用」という特集を刊行することができました。
他団体との連携も、昨年度同様活発に行い、各種行事の後援などを行いました。 (2) QMS有効活用及び審査研究部会(部会長:福丸 典芳 131名)次の5つのテーマでの研究活動を行い、第一期研究活動を完了し、第二期活動を6月から開始しました。主な内容は以下のとおりです。
1) 37年度研究活動のテーマ(第一期研究活動テーマ) WG1:有効性の向上に役立つ審査−結果の出るQMSを目指して− WG2:経営に役立つ内部監査 WG3:TQMとの融合の研究 WG4:マネジメントの原則に基づくプロセスアプローチの理念と審査方法 WG5:良い審査を目指して−審査員の力量向上及び組織カルテの提案− 2) 研究成果発表 (1)第118回シンポジウムの開催(2007.12.15) (2)学会研究報告書の作成及び発行(2008.5) (3)アイソス2008:7月号特集「発表 日本品質管理学会 QMS有効活用及び審査研究部会」 3) 第二期研究活動のテーマ
6月7日(土) に第二期部会キックオフを行い、次のテーマで活動を開始しました。WG1 「QMS有効性の向上に役立つ審査」 WG2 「次世代対応のQMS構築と審査技法」 WG3 「プロセスの順序と相互関係の表わし方」 WG4 「マネジメントの原則から見た統合審査技術」 WG5 「ISO9001経営層、推進組織(管理責任者、事務局の役割も含む)のあり方」 WG6 「マネジメント原則の本質の研究、マネジメント原則に基づいたQMS(マネジメントシステムの基盤として)の研究、及びこれらの普及」 (3) 医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 213名)当部会は、活動を開始してから約3年が経過しました。当初は約100名の部会員数でしたが、2008年8月末現在で約220名の登録となりました。第37年度までに300名を目標にしていましたが、未達となりましたので、次年度以降さらに努力してまいります。
今年度の研究活動としては、厚生労働科学研究費の研究グループ、およびJSAのQMS-H研究会と共同しながら、患者状態適応型パス(PCAPS)、医療の質マネジメントシステム等について研究して参りました。また、2007年4月からは、部会内に医療の質マネジメント研究会(略称医療QMS研究会)を立ち上げ、月に1回のペースで研究会を実施してきました。この研究会では、WG1(規格の解釈)、WG2(内部監査)、WG3(管理指標)の3つのWGに分かれて精力的に研究を進めています。
これらの研究成果の公開の一環として、2008年3月に、患者状態適応型パスの研究班と共催でシンポジウムを開催しました。また、その翌日に、シンポジウム「医療における質中心経営管理システム−導入・推進中の病院からのメッセージ−」を開催しました。さらに、2008年9月には、科研費研究グループとの共催で、PCAPS中間成果報告シンポジウムを開催いたしました。医療QMS研究会は現在も継続中ですが、2008年5月31日、6月1日の研究発表会で、各WGが中間報告をいたしました。
教育・啓蒙活動は、十分な活動が行えませんでした。研究活動の成果を生かしたセミナー等の開催が、次年度以降の課題です。