社団法人日本品質管理学会

第36年度 自 2006年(平成18年)10月 1日
至 2007年(平成19年) 9月30日
事業報告

1.概 況(会長:圓川 隆夫)

 内外の著しい環境変化の中、産学連携の再構築をベースとした品質立国日本を推進し、ひいては日本の国際競争力向上に貢献していくことを学会活動の運営の基本としてきました。品質立国実現に当たっての現状認識としては、特に新商品開発のスピード化、技術の高度化・ブラックボックス化、そしてそれらに伴うITの活用の増加、そして非正社員の割合の著しい増加に伴う格差の問題等、新たな品質問題の発生や、それを未然に防ぐための新たな品質マネジメントが求められている状況にあると言えます。さらにものづくりをベースにした品質管理に加えて、今や就業人口の7割以上を占めるサービス産業の生産性が問題視され、サービスイノベーションという言葉が出現したように、ものづくり以外の品質管理の展開の重要性が国を挙げて要請されている状況にあります。
 このような状況に対応するためにも単年度中心の学会運営では無理があり、中長期的な展望のもとに、35年度に具体的ロードマップと施策に展開した「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」の3本柱と「共通領域」を核とした3年間の中期計画が策定されました。36年度は、中期計画を落とし込んだ2年目の単年度計画年であり、中期計画実現に向けた様々な活動が実施されました。さらに中期計画の進捗状況のフォローを行うとともに、環境変化に対応した新たな施策を積みました第36年度中期計画ローリング結果を8月に策定しました。

 定常的な活動に加えて、中期計画に関連した具体的な活動の概要は次の通りです。
(1) 「Qの確保」では、一気通貫の品質管理手法の確立等の2つの産学連携プロジェクトが推進され、その成果の一部は7月に中部支部による「ものづくりにおける実践的Qの確保へのアプローチ」シンポジウムを開催し発信しました。その他、36年度からの新規の「安全性・信頼性研究会」等3つの研究会・部会で、外部資金の獲得、そして成果の学会での発表等、精力的な活動が行われました。
 
(2) 「Qの展開」では、安全・安心社会の実現のために不可欠な社会的技術としての品質管理の研究・普及を目指して、既に導入が活発化している医療の分野の2つの研究会・部会に加えて、原子力やサービス産業へのTQM・品質管理の導入のための活動を強化する一環として、日本原子力学会等との共催で「原子力の安全管理と社会環境」ワークショップを3月と9月に開催しました。
 
(3) 「Qの創造」は大変挑戦的なテーマですが、「サービス産業における顧客価値創造」研究会等が立ち上がり、活動を推進してきました。今年度策定された第3期科学技術基本計画における中心のキーワードであるイノベーションの創造とも重なることになり、今後活動を拡大するつもりです。
 
(4) 「共通領域:学会員の質量の拡大」では、賛助会員数については200口以上の確保という中期目標に対して、6月現在で207口と順調に推移しています。個人会員については増加傾向にはありませんが、学会の質を高めることによる会員維持を主眼としてきました。その中で目標を越える受験者数のあったQC検定の1,2級合格者について、学会への入会案内を送付することにし、実際に数名の入会者がありました。またこれからの質の向上のベンチマーク指標となる会員の満足度の調査を行いました。
 
(5) 「共通領域:品質関連団体との連携」では、日本科学技術連盟で開始された「次世代TQM」プロジェクトに学会として参加し、特に「Qの確保」の実現に向けての連携を強化しました。さらに学会発信度を高めるための品質関連書の発刊を、日本規格協会、日本科学技術連盟をそれぞれ出版元とする企画・検討を開始しました。
 
(6) その他、国際対応では、10月に韓国で開催されたANQへの主体的参加や役割を果たし、経営工学関連学会との関係ではFMES事務局の役割を担ってきました。

2.総合企画委員会(委員長:圓川 隆夫)

 学会運営が、単年度積み方式から中期計画をしっかりと立案し、それを年度計画に落とし込む運営法を35年度に立ち上げて2年目を迎えました。本委員会の役割は、中期計画の立案とその進捗を主機能として昨年発足しました。本年度は理事会運営でも、中期計画の重点実施事項リストを常に確認しながら行うよう配慮してその定着に配慮してきました。
 さて、昨年立案した中期計画は、35年度〜37年度を対象に立案してあり、37年度の運営方針の立案に先立ち、「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」、「共通」の4つの領域について、 36年度運営方針各施策の実施状況の進捗確認を各委員会、支部、研究会、部会にすると同時に、37年度に向けての各委員会等からの追加修正する事項の検討、すなわち中期計画のローリングを行いました。
 その結果、既決定施策に、当学会が基幹となる「新版 品質保証ガイドブック」の編集、及び「学会叢書」の発行を追加することを理事会に提案し、37年度の中期計画及び運営方針に加えることとなりました。

3.事業委員会(委員長:大藤 正)

 第36年度事業は本部(年次大会、研究発表会、ヤングサマーセミナー各1回、シンポジウム3回、講演会1回、事業所見学会3回、クオリティパブ4回)、中部支部(研究発表会、シンポジウム各1回、講演会2回、事業所見学会3回)、関西支部(研究発表会1回、シンポジウム2回、講演会1回、事業所見学会2回)と順調に開催され、実績を上げております。支部行事は基本的に各支部の主体性にお任せしており、地域の会員のニーズを反映した行事を企画していただき、各々好評をいただいております。
 本部事業も幅広いニーズに対応したタイムリーな企画を目標に実施して参りました。
 昨年10月28日の第36回年次大会から本年9月20日の第116回シンポジウム(ICタグの現状と今後の動向)まで全13回にわたり多数の会員に参加いただき、心より御礼申し上げます。以下簡単に主な行事の状況を説明いたします。 特に学会行事の真骨頂である研究発表会、年次大会は会員諸氏の熱意により大変な活況を呈しております。

(1) 年次大会、研究発表会
 第36回年次大会は昨年10月28日、つくば市の筑波大学にて開催し、研究発表53件、延べ200名の参加者があり、発表件数も非常に多く、活発な大会となりました。第83回研究発表会は本年5月26日〜27日に日本科学技術連盟東高円寺ビルにおいて昨年同様2日間で開催、一般発表で70件もの熱気溢れる発表があり、またチュートリアルも2件講演があり、参加者も259名と盛況でした。今後運営方法について更に改善を進めますが、概ね満足の評価をいただいております。
 
(2) シンポジウム
 以下の3回を開催、いずれも日本を代表する各界の識者の講演・発表と討論があり、好評をいただきました。
2006年11月25日 第112回「ISO9001システム構築の質向上と第三者審査の質向上」
(日本科学技術連盟本部)
2007年7月 3日 第114回「なぜソフトが組み込まれると品質が悪化するのか?」
(日本科学技術連盟本部)
2007年9月20日 第116回「ICタグと情報伝達の現状と今後の動向」
(日本科学技術連盟東高円寺ビル)
 
(3) 講演会
 時宜を得た企画での実施を調整しましたが、年度内には実施ができず以下の講演会を開催する予定です。
2007年10月2日 第99回「間近に迫る内部統制報告制度」  (日本科学技術連盟本部)
 
(4) 事業所見学会
 以下の3回を開催、いずれも個性的で優れたTQM活動を展開する事業所を見せていただき、参加者から高い評価をいただきました。
2007年3月19日 第321回 米海軍横須賀基地「日米の文化を超えた改善 リーンの紹介」
2007年4月23日 第322回 HONDA埼玉製作所 「HONDAの桁違い品質」
2007年8月 3日 第325回 JFEスチール「最先端の素材産業」
 
(5) クオリティパブ
 ほぼ隔月に開催し、20〜30人の少人数の参加者がくつろいだサロン的雰囲気で一流講師の講演を聞き、活発なディスカッションの場を提供する本部独自のユニークで贅沢な行事です。36年度も各界から以下の多彩なゲストとテーマで4回開催し、好評をいただきました。
2007年 2月9日 第54回 朝香充弘氏(元HONDA)
  「Honda流インディカーレースマネジメント」
2007年 3月20日 第55回 渡邉浩之氏(JSQC副会長/トヨタ自動車)
  「日本のモノづくりのさらなる発展のために」
2007年 5月23日 第56回 羽方将之氏(カシオ計算機顧問)
  「開発から起業そして事業展開」
2007年 7月13日 第57回 松坂敬太郎氏(ヒロボー 代表取締役)
  「ヘリコプターに少年の夢をのせて」
 

4.中部支部(支部長:渡邉 浩之)

(1) 中部支部基本方針
   日本のものづくり品質における信頼の崩壊ともいえる状況に際し、品質管理の原点への回帰と、新しい品質管理へのブレークスルーを目指して活動を進めます。
 産からの問題提起と学での掘り下げ、方法論の理論付けを行う研究会活動を中心として、「Qの確保」を実践するものづくりのプロセスを構築します。
【中部支部のスローガン】 産学連携による実践的「Qの確保」の構築
(2) 行事内容報告
 
1) 研究発表会(計画;1回/実績;1回)
・8月29日;名古屋工業大学で開催(有料参加者;152名)
 「品質立国再生を目指すQの確保と実践」をテーマに20件の研究発表と質疑が行われました。SQC、CAEと品質工学との融合をめざした事例も6件あり、研究発表終了後の懇親会では、発表者の苦労話、座長の先生方との情報交換が行われました。
2) シンポジウム(計画;1回/実績;1回)
・7月23日;中部電力ホールで開催(有料参加者;301名)
統一テーマ;「ものづくりにおける実践的Qの確保へのアプローチ」
基調講演; トヨタ自動車専務・佐々木眞一氏:
  「品質は工程でつくりこむ−自工程完結−活動」

パネル討論会;リーダー;

早稲田大学教授・永田靖氏
パネラー;

富士ゼロックス品質工学チーム長・立林和夫氏、富士通品質保証本部長・木村弘正氏、トヨタ自動車エンジンプロジェクト推進部部長・杉山雅則氏、津田工業取締役社長・都築功氏からの事例講演の後、パネル討論を実施。

3) 講演会(計画;1回/実績;1回)
・7月9日;刈谷産業振興会館で開催(有料参加者;195名)
 テーマ; 「品質工学のすすめ−その2」
講演者; ASI社長・田口伸氏:「欧米・韓国におけるDFSSと品質工学の展開」
  コニカミノルタ;芝野広志氏:「品質工学活用のポイントと成功事例の紹介」
4) 事業所見学会(計画;3回/実績;3回)
・第1回(4月24日);味の素東海事業所「食と医療の品質保証」(参加者;37名)
今回からの新企画・「参加者の意見交換会」は色々な角度から意見がだされ好評、以後継続して実施。

・第2回(6月22日);

三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所
  「失敗学に学ぶ品質向上活動及び人材の育成」(参加者46名)
・第3回(9月11日);

津田工業「顧客の生命、財産に重大な影響を及ぼす商品品質を考える」(参加者;50名)

補)シンポジウムでの都築社長事例講演・「津田方式による未然防止の実践活動」の実践現場の見学会として企画。
5) 幹事研修会(計画;3回/実績;2回)
・第1回(2月8日);産学連携研究会テーマ策定について討論
・第2回(5月18日);金沢工大・石井教授による「産学連携製造中核人材育成事業の事例」のテーマで研修
6) 研究会(計画;14回/実績;13回)
東海地区若手研究会;名古屋工業大学・仁科教授を中心とした産・学界のメンバーで構成し、6回開催。研究成果の中から5件が8月29日研究発表会で紹介されました。
北陸地区若手研究会;金沢工業大学・石井教授を中心とした学生主体のメンバーで構成し、2回開催。
産学連携現地現物研究会(推進方針について検討);永田教授、仁科教授、荒木教授参画、5回開催。
下記3項目について具体的な展開を検討していくことに決定しました。
(1)
ものづくりのプロセスリンク管理のModel化
(2)
SQCと品質工学の融合による問題解決ストーリー構築
(3)
Qの確保のための職場力指標(質の定量的評価指標)の検討

5.関西支部(支部長:細谷 克也)

(1) 事業所見学会
第320回 4月26日(木)入国管理局作業所(前田建設工業梶@建設現場)[参加者 30名]
  「CSRの視点から見たビル建設の現場運営管理」
第324回 6月12日(木)積水化学工業梶@滋賀栗東工場 [参加者 37名]
  「技術者育成と技能伝承を目指すプロフェッサー制度」
〜 モノづくり革新に向けた技術・技能伝承への取り組み 〜
第327回 8月28日(火) 叶喜(大阪府堺市) [参加者 24名]
  「食の安全性を究める・対米水産HACCP認定工場の取り組み」
第328回 9月18日(火) 新キャタピラー三菱梶@明石事業所(兵庫県明石市) [参加者 22名]
  「生産能力倍増とリードタイム半減への取組み」
(2) 講演会 
第101回 3月 7日(水) [参加者 37名]
   「環境配慮型ものづくり」
講演(1)『環境配慮型ものづくりと海外の動向』
  Professor Surendra M. Gupta (Northeastern University)
講演(2) 『松下電器における環境配慮設計の取り組み』
  神 恵一 氏(松下電器産業 環境本部 環境企画グループ 参事)
(3) シンポジウム  
第113回 4月17日(火) [参加者 101名]
  「変化に対応するこれからのQCサークルの推進について」
  基調講演 『変化に対応するQCサークル活動』
猪原 正守 氏(大阪電気通信大学 情報通信工学部 教授)
  推進事例(1) 関西電力鰍ノおけるQCサークルの推進』
〜QCサークルの原点を追い求めて〜
小橋 一志 氏(関西電力 企画室 品質管理グループ チーフマネジャー)
  推進事例(2) 『ダイハツ工業鰍ノおけるQCサークルの推進』
〜トヨタグループのQCサークルレベル把握調査をきっかけとして〜
松浦 秀典 氏(ダイハツ工業 品質保証部 主査)
  推進事例(3) 『ヤンマー鰍ノおけるQCサークルの推進』
〜経営に寄与する活動の推進をめざして〜
三宅 博 氏(ヤンマー 品質保証部 専任課長)
  推進事例(4) 『がんこフードサービス鰍ノおけるQCサークルの推進』
〜サービスの品質は"人"である〜
新村  猛 氏(がんこフードサービス 取締役管理本部長)
  パネル討論(全講演者)
第117回 9月11日(火) [参加者 39名]
  信頼される企業とは 〜コーポレートガバナンスとCSR〜」

基調講演 『信頼される企業とは 〜コーポレートガバナンスとCSR〜』
    山内 直人 氏(大阪大学大学院 国際公共政策研究科 教授)
  講演(1)『関西電力鰍フCSRの取り組み』
  白井 伊和雄 氏(関西電力滑驩謗コCSR推進グループ チーフマネジャー)
  講演(2)『積水化学グループの「CSR経営」』
    近藤  賢 氏(積水化学工業梶@CSR部 グループ長)
  パネル討論(全講演者)
(4) 研究発表会  
第85回  9月21日(木) 発表13件 [参加者 40名]
(5) QCサロン
第57回 11月 2日(木) [参加者 22名]
 
「品質管理検定について」 荒木 孝治 氏
第58回 12月14日(木) [参加者 23名]
 
「第83回品質管理シンポジウム:持続可能な経営のために
〜グローバルな視点でのブランド力(質)向上〜の報告」岩崎 日出男 氏
第59回  2月13日(火) [参加者 24名]
 
「英国での生活と品質事情について」 宮下 文彬 氏
第60回 4月19日(木) [参加者 26名]
 
「健康も予防保全の時代」 高橋 敬介 氏
第61回 6月15日(金) [参加者 27名]
 
「食の安全を極める・食品衛生7S」 米虫 節夫 氏
第62回 8月23日(木) [参加者 18名]
 
「品質と温故知レ新」 鴫 和雄 氏
(6) 合同役員会 2006年11月2日(木)、12月14日(木)、 2007年2月13日(火)、4月19日(木)、6月15日(金)、8月23日(木)

6.論文誌編集委員会(委員長: 永田 靖)

 論文誌編集委員会では以下の活動を行いました。
(1) 前年度方針を引き継ぎ、毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました。
(2) レフリーと著者との議論に論文誌編集委員会がより積極的に関与するという姿勢で臨みました。
(3) 5ANQの論文発表の奨励支援に関して、国際委員会の委託を受け、以下の活動を行いました。
@5ANQへJSQCから提出された全てのアブストラクト(全29本)に対する審査
A若手への参加奨励金の適用対象者の選定
B若手のフルペーパーに対するBest Paper Award with Encouragement審査
(4) 前年度に引き続き、投稿論文審査のスピード化を目指し、新規投稿へのfirst response を3ヶ月以内に行うことを目標に活動しました。
結果は3ヶ月以内のfirst responseは73%(前々年度61%、前年度73%)と持ち直したものの、まだ80%未満です。
(5) 32年度は20本、 33年度は29本、34年度は23本に対し、35年度は27本、36年度は37本でした。下表に、月別の投稿論文数を示します。掲載論文は32年度16本、33年度6本、34年度は16本、35年度は9本、36年度は10本の論文を掲載することができました。
  (Vol.36 No.4: 4編、Vol.37 No.1: 2編、Vol.37 No.2: 4編、Vol.37 No.3: 0編)

  

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

32年度

20

33年度

29

34年度

23

35年度

27

36年度

37

7.学会誌編集委員会(委員長:光藤 義郎)

 第36年度の学会誌編集委員会は、第35年度と同じ構成メンバーにて、以下に示しました編集指針/運営指針に基づき、Vol.37-1からVol.38-3までの特集企画を1回/2ヶ月のペースで継続的に検討して参りました。
 本年度、品質誌に掲載された特集テーマは以下の通りです。
  Vol.37-1 : 海外現地法人における人材育成
  Vol.37-2 : 非正規従業員の増加が品質経営に及ぼす影響と対応
  Vol-37-3 : イノベーションの生まれたルーツを探る
  また、近々掲載予定の特集テーマは以下の通りとなっています。
  Vol-37-4 : ブランド基点のTQM
  Vol-38-1 : シミュレーションにおけるSQCの貢献
 一方、昨年より取り組んできました"Webによる会員ニーズアンケート調査"も関係各位のご協力により276件の有効回答数を得ることが出来ました。現在、得られたデータの集計ならびに解析を行っている段階ですが、解析結果がまとまり次第、今後の特集企画等に反映させ、本会会員の要求/要望にマッチした特集を意欲的かつ精力的に企画していく所存です。
<編集指針> 
 3000名の会員の声を反映させる/質(Quality)にこだわる/論文誌も含め他誌との差別化を図る/会員増に繋がるような魅力化を図る/世界の専門誌と比較しても存在感があるものを目指す
<運営指針> 
 タブーを作らない/ユニークさを歓迎する/過去の慣習に囚われない/ワンパターンに陥らない/多種多様な考え方を尊重する/編集委員の主張を明確に示す/変化の見える化/失敗を恐れず批判批評は大いに歓迎する/開かれた委員会運営を目指す/全員参加で一人二役以上/相互扶助

8.広報委員会(委員長:根岸 達夫)

 今期の広報委員会は
  1)JSQCニューズ内容充実
  2)中期計画のテーマの「学会の社会認知度の向上」の実行計画立案
をテーマとして活動してきました。
 JSQCニューズでは事業所見学会ルポおよび講演会ルポで様々な分野での品質に対する取り組みを紹介し、また外部組織が協業しているテーマについての情報の提供を図りました。
 中期計画では、『品質』の論文誌編、学会誌編に掲載されている論文、報文等の要約を学会のホームページ上に掲載することで会員に便宜を図ることを計画しました。

9.会員サービス委員会(委員長:岩田 修二)

(1)

本学会所属会員数は2007年9月末現在、名誉会員32名、正会員2,951名、準会員88名、賛助会員181社208口、公共会員22口となりました。多くの学会が会員数を減らすなか、本学会は個人会員の減少傾向には歯止めはかかりませんでしたが、賛助会員に関しては増強に成功しております。部会活動の強化等の積極的学会活動と学会関係者の積極的勧誘の成果と考えます。

(2) 中期計画に対しては、40才台以下会員比率40%の目標はクリアできていませんが、賛助会員口数200口の確保は維持されました。品質管理検定における1、2級合格者への合格証送付時に、入会案内を送付(1675部送付)する等、若手新入会員への新たなアプローチも取りいれました。

10.規定委員会(委員長:飯塚 敏之)

 本年度は、以下の「内規」4件を新規に作成(内1件はさらに改定実施)し、理事会での審議・承認を経て、制定・施行しました。
(1)学会規則第228「業務引継内規」/2006.10.18制定
 この内規は、理事(会長・副会長を含む)、学会理事、支部長、研究会主査及び部会長が交代する際に、業務の引き継ぎを確実に行い、業務が円滑に処理されることを目的として制定したもので、36年度総会後の理事会から適用しています。
(2)学会規則第229「公印取扱内規」/2006.11.20制定 及び 2007.02.26改訂
 この内規は、所轄官庁である文部科学省の指導に基づき、公印の取り扱い(調整、登録、改廃、交付、使用、保管など)を明確にし、本部及び支部において適切な運用実施を目的として制定/改訂しました。
(3)学会規則第230「(社)日本品質管理学会受託研究に関する内規」/2007.02.26制定
 この内規は、学会の受託研究に関するルールを定めたもので、前年度に新規制定した"学会規則第326「ソフトウェア部会メンバー間」機密情報管理マニュアル"の関連規程として作成を検討し、一端廃案となったものですが、ソフトウェア部会からの強い要請により、理事会にて再検討し制定した経緯があります。なお同内規は「受託研究契約書」「同計画概要」「同完了報告書」の各様式も取り込んで作成しました。
(4)学会規則第231「著作権内規」/2007.09.13制定
 この内規は、学会規則第230「(社)日本品質管理学会受託研究に関する内規」作成審議の中で提起され、"学会に投稿される論文等に関する著作者・投稿者の著作権の取り扱い"に関して取り決めたものです。なお、"研究会成果の著作権の取り扱い"については、既に「研究会成果に関する内規(学会規則第222)」が制定されています。

11.研究開発委員会(委員長:椿 美智子)

 中期計画の「Qの創造」の計画に基づき、「サービス産業における顧客価値創造研究会」が設置されました。
 また、これと共に、中期計画で力を入れている現在の問題に真に効果のある手法・利用技術の開発に関連して発足していた「信頼性・安全性計画研究会」(「Qの確保」)も成果を上げ、学会発表を行ないました。
 現在、5件の計画研究会、2件の公募研究会が活動を行なっていますが、研究会全体としては、36年度学会発表が7件なされ、学会誌においても、3件の研究会報告が掲載され、研究成果が会員にタイムリーに公開されています。
 また、中期目標である外部資金獲得に関しては、「テクノメトリックス計画研究会」が母体となって、科学研究費(基盤研究(A))(平成19年度から22年度の4年間、研究題目「品質工学(タグチメソッド)の理論と応用に関する学術的研究」)を獲得しました。
 一方、36年度は、「中部医療の質研究会」が終了し、品質誌に終了報告が掲載されました。

(1) テクノメトリックス研究会(主査:山田 秀 17名)
   テクノメトリックス研究会では、品質管理に役立つ手法、考え方を幅広く探索、確立するべく、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行いました。開催おおむね3ヶ月に1度の開催でした。取り上げたテーマの例として、対応のある量的データに基づく等SN比性の検定、一部実施要因計画に現れる行列のマルコフ基底、シミュレーションにおける実験計画法の役割、タグチメソッドにおけるMTシステムの取り扱い、L36直交表に6水準因子を割り付ける方法など、品質管理手法の数理的基礎に関わるものや、実際の応用に関するものなど、さまざまなテーマを取り上げて議論を行いました。また、議論を元に研究をさらに進めたものの一部は、SQC研究発表会や、品質誌の投稿論文などで発表されています。
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会(主査:池田 俊也 18名)
  1) 34年度からの研究活動を継続し、35年度では以下のテーマに取り組みました。
11月(第60回)
「医療におけるFMEAの検討」 佐伯委員
12月(第61回)
「手術に関するQFD(品質機能展開)」 赤尾委員・小沢委員
1月(第62回)
「改正薬事法とリスクマネジメント」 前原委員
2月(第63回)
「米国における医療質経営」 篠田(外部)
3月(第64回)
「医療の7つ道具」 光藤委員
4月(第65回)

「メディアが見た医療/医療の質経営」 丸木委員
「先進病院における品質管理ツールの活用状況に関する調査計画」佐伯委員・光藤委員・池田委員

6月(第66回)
「RCAの基礎知識と活用事例」 飯田委員
7月(第67回)
「日本ヘルスシステム研究所・研究開発部の紹介」金谷(外部)       
「品質ツールに関する調査結果報告」 小林委員、佐伯委員
9月(第68回)
「医療の質評価と診療報酬」 遠藤(外部)
2) 品質管理の観点で先進的取り組みをしている6病院を対象に「品質管理ツールの活用状況に関する調査」を実施しました。
   
(3) シミュレーションとSQC拡大研究会 第4部会(主査:天坂 格郎 8名)
   第4分科会では、『自動車産業のCAE*SQCの品質保証体系に関する調査研究』を進めています。本研究会は、"品質保証体系の理念的検討を行う研究会"として位置づけ、前年度までの研究成果を踏まえ、第35年度は下記事項(1)〜(4)の調査・研究を進めました。

1)

自動車産業における数値シミュレーションに必要な設計品質保証体系の確立
2)
開発設計におけるCAEの新たな課題は"試作/実験による実機評価重視型"から"CAE高信頼性解析による予測評価重視型"を志向する開発設計プロセスの刷新
3)
"超短期開発設計プロセスへの変革により、QCD同時達成"を実現させる"高品質保証CAEモデル-Total Intelligence CAE Management Model"の創案と有効性の検証
4)
ボルト締結部の故障解析(緩み・破損、母材亀裂の可視化と故障メカニズム解析)による、インテリジェントCAEソフトの創案中(第35−36年度)
本年度の主な研究成果は、以下に例示します。

(1)

K.Amasaka & M.Yamaji: Advanced TDS、 Total Development Design Management Model:、 Proc. of the 2006 IABR Conference、 Mexico (2006/3)
(2)
天坂他: 拡大計画研究会「シミュレーションとSQC」第4分科会中間報告(第2報)−自動車開発設計の高品質保証"Total Intelligence CAE Management Model"の提案、 JSQC第35回年次大会(2005/11)
(3)
天坂:拡大計画研究会「シミュレーションとSQC」第4分科会中間報告(1)-自動車開発設計の高品質保証CAEモデルの研究-、第1回横幹連合 JA長野県ビル(2005/11)
(4)
竹岡、天坂: 車両開発におけるCAEの現状と今後の課題/三橋、浜野、椿、天坂: CAE 数値シミュレーションの信頼度に関する一考察/(9)田辺、椿、天坂: CAEの要素技術の融合と発展、JSQC第80回研究発表会(2006/5)
(5)
天坂、石井、齋、田辺、三橋、竹岡、加藤: 自動車産業における数値シミュレーションに必要な設計品質保証体系の確立に向けて、JSQC第111回シンポジウム(2006/9)
   
(4) 信頼性・安全性計画研究会(主査:鈴木 和幸 12名)
    本研究会は、トラブル発生の背後にある技術的要因、マネジメント要因、組織的要因に関し、信頼性・安全性のつくりこみに関する技術的方法、組織・管理運営方法、および組織風土を対象とし、これらのあるべき姿を検討します。36年度は、信頼性・安全性確保への全体MAPの作成、ならびに下記の3項目に関し、分野別のベストプラクティスと従来研究のサーベイ、および委員の研究結果の情報交換と討議を行いました。
1. 信頼性・安全性保証システムの提案と構築
  保全性活動に焦点を置き、製造・運輸サービス・電力などの企業のパターン別QA体系図の構築を試み、異企業間にまる品質保証体系の問題点・留意事項をまとめ、JSQC研究発表会にて発表を行いました。
2. 信頼性・安全性作り込み技術の提案
  FMEAの効果的実施法の提案、根本原因分析の手順の構築、新規トラブルへの未然防止法に関し討議を行いました。年次大会にて発表予定です。
3. 安全を重視する組織文化構築を支援するツールの整理と開発
  組織文化に関する企業のベストプラクティスを学び、安全文化構築のための基本的考え方と方法を討議しました。
   
(5) 管理図実践研究会(主査:安藤 之裕 18名)
   本研究会は管理図を中心とした道具を実践的に活用するための方法について研究を進めてまいりました。35年度での準備段階を経て、36年度では、8つのサブグループを設けて、よりテーマを絞り込んで研究するとともに、メンバー各社での実践事例や、新しく提案された方法論に関する検討、更に、現在改定中のISO8258による管理図の異常判定基準をめぐる動向に関する勉強とそれにたいする討議などを進めてまいりました。その結果、第37回年次大会研究発表会に4件の報告ができることになりました。また、それらの報告以外にも以下の研究でいくつかの成果が見られるようになりました。
1.
国内外の関連する研究の動向把握
2.
管理図不活用の事例研究に基づく不活用症候群の整理
3.
生産形態にあった管理図の開発
4.
教育方法の開発
5.
製造現場以外への展開
   
(6) 管理・間接職場における小集団改善活動研究会(主査:中條 武志 17名)
   本研究会では、多くの企業・組織の管理間接部門における小集団活動の推進事例を収集し、これらを深く分析することで、管理間接部門における小集団活動のモデルを作成することをねらいに活動してきました。
36年度は、7つの推進事例・推進方法に関する提案についての発表・討論を行うことで、管理・間接職場の特性、そこから派生する小集団改善活動推進の困難さ、これらの困難さを克服するための推進策を抽出しました。また、これらの関連をマトリックスを用いて整理し、大きく9つの要素にまとめました。さらに、これらの結果を踏まえて、「管理・間接職場における小集団改善活動推進ガイドライン」の作成に着手しました。
   
(7) サービス産業における顧客価値創造研究会(主査:神田 範明 15名)
   当研究会は学会中期計画における「Qの創造」をサービス産業において展開すべく設置された計画研究会で、2007年1月に発足し活動を開始しました。我が国の最大の産業であるサービス産業においては、顧客ニーズの多様化と規制緩和に伴い競争が激化し、顧客に受容される、顧客価値の高い新サービスを適確に創造することが肝要となっています。マーケティング手法とTQM手法との融合による「商品企画七つ道具」による顧客価値創造(新商品企画)が製造業で盛んとなりつつありますが、製造業とサービス産業間のアンバランスの解消、サービス産業での独自の方法論の確立が急務です。当研究会はサービス産業における顧客価値創造の方法論でトップレベルのシステムを提案し、実践レベルで活用できるようにし、TQM的方法論の優位性をサービス産業に浸透して、製造業を含めた全産業でのQの創造を可能ならしめるのが目標です。
本年度は全体計画の検討から始まり、JOQI顧客価値創造部会における研究の紹介、美容室におけるサービス開発事例の紹介、その後はサービス関連の基礎的文献の集中輪読を実施中(月2冊紹介、全14冊予定)で、メンバーの共通認識と知識の深化に努めています。
 

12.国際委員会(委員長:安藤 之裕)

 第36年度の国際委員会は、第35年度の活動を継承し、主に以下の事業を実施しました。
(1) 第5回ANQ(Asian Network for Quality)大会の共催、支援、および積極的参加
  2007年10月に韓国で開催される予定の第5回ANQ大会の共催、主催機関であり、ANQ Chair Organization であるKSQMの要求に応じた支援、およびJSQCからの積極的な参加者の勧誘をしました。その結果、2007年8月31日現在で29件の論文発表を予定し、50名以上の参加予定者を見込んでいます。更に、圓川隆夫会長ならびに狩野紀昭元会長の基調講演を企画しているなど、多大な貢献を果たす予定です。また、論文誌編集委員会の全面的なご協力により、若手研究者に対する最優秀論文賞の仕組みも堅持し発展させることができました。
(2) ANQの基盤確立のための調整
 2007年3月にデリーにおいて実施された、ANQ Board meetingに出席するなど、ANQ Chair Organization であるKorean Society for Quality Management (KSQM)の運営について、会計機能をはじめとして、多大なサポートを実施しています。
(3)

海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について検討しはじめました。特に、ANQ関係団体と交流し良い関係を作りはじめました。中でもIndian Societyfor Quality、Chaina Society for Qualityとは、個別的にも交流を深めています。

13.標準委員会(委員長:永原 賢造)

・当委員会が、ISO9000の審査員を対象とした「TQMの基礎教育」のカリキュラム開発を主目的に行ってきた教育は、教材として「TQMの基本」を06年12月に出版して主要な目的を達成しましたので、当委員会が開発した教材、カリキュラムを使用条件に、当学会賛助会員企業で、条件の合う希望企業に教育を委ねることにして、準備を進めてきました。
・当委員会が発足して8年が経過し、今までの実績を確認するとともに課題の抽出を行い、併せて今後の委員会の役割りについて論じて方向性を検討しました。
  その結果、@「会員へのサービス」として、品質関連標準の動向を情報提供していくこと。A「学術・産業発展への貢献」として、品質保証ハンドブックや品質管理便覧のような品質関連の骨格となる考え方、体系や標準に直接的に関与する必要性があるとの提案を総合企画委員会、理事会に行なって学会の主要活動に加えることになりました。
 また、品質関連標準制・改訂への関与拡大(ISO、JISへの関与拡大、JSQC標準発行)を柱にしていくこととして、会員各位より標準原案に対してパブリック・コメントを出していただき、会員のノウハウを活用拡大していく準備、他を進めました。

14.FMES関連(圓川 隆夫)

 FMESには、JABEE関連の業務を行うFMES/JABEE委員会と、シンポジウムを開催するためのFMES実行委員会があり、いずれも本学会から委員を派遣するとともに、FMES事務局も本学会が務めています。第23回となるFMESシンポジウムは、「情報投資と経営成果」というタイトルで6月に開催されました。また9月にはFMES主催JABEE経営工学関連分野審査講習会を実施しました。
 学術会議の改革により、学会と学術会議とを直接結ぶ組織がなくなりましたが、FMES関連の学会から4名の連携会員が選出されたことから、その会員を通しての学術会議とのパイプを構築できるようになりました。

15.Web特別委員会(委員長:山本 渉)

 Webサーバを従来のハウジング方式(当学会所有の機器を預けてインターネットへの接続と運用を依頼し、機器の保守とサーバの設定、およびコンテンツの管理は当学会の責任で行う)から共用サーバのレンタル方式(機器の運用・保守はサービスプロバイダが行い、サーバの設定とコンテンツの管理のみ当学会が行う)へ移行しました。また従来はコンテンツの更新作業をハウジング方式の契約先に依頼する必要がありましたが、この変更に伴い、当学会からの直接の編集作業が可能となっています。
 またコンテンツの提供方法を改め、行事案内や事務局からのお知らせなど即時性が高く更新頻度も高いコンテンツと、入会案内や記録など更新の頻度が低いコンテンツについては、それぞれの編集を容易にしました。今後、コンテンツ全般の編集の標準化を進めつつ、コンテンツを時系列で提供するものと資料として提供するものに整理し、二種類の提供方式に集約させていく予定です。
  Webコンテンツ管理は以前と比べてかなりの省力化が実現できていますが、まだ作業の標準化が実現できておらず、事務局にはご苦労をおかけしております。次年度はコンテンツの全面移行と作業の標準化を進めて参ります。

16.研究助成特別委員会(委員長:松田 眞一)

 まず、研究助成を円滑に行うため明文化されていなかった選考基準を整備し、研究助成選考ガイドラインを定めました。次に委員を6名に依頼し、委員長と含めて7名での審査体制を整えました。
 研究助成の募集に対して応募は7名ありました。審査委員の研究室からの申請者については、「当該指導教員は評価せず残りの委員で平均をとる」と定めましたが、そのような応募者はいませんでした。ガイドラインの抵触する2度研究助成を受けた者の申請がありましたが、募集要項に明示していなかったため3回目であることを配慮しながら審査を行い、結局採用されませんでした。留学生からの応募はありませんでした。研究助成に値しない応募は除外する規定も設けましたが、上位5名の中に該当者はいませんでした。以上のような状況で結局予定通り5名の研究助成が決定しました。

17.QC相談室特別委員会(委員長:荒木 孝治)

 2003年10月より、品質管理学会のウェブページにて品質相談室を開室してまいりました。しかし、残念ながら2005年12月より2006年9月まで相談室を閉室しました。これは、スパムによる不適切な書き込みが増加したことに起因します。スパムは2005年の9月頃から見られるようになりましたが、書き込みが起きた際、削除権限を持つ委員が素早く削除する形で対応してきました。しかし、利用していた掲示板システムの仕様のため、書き込みの表題および投稿者名が削除できないという問題がありました。スパムは年末にかけてさらに増加し、年末・年始においては委員が常時監視する体制を取ることは難しいため、一時的に閉室することを決定しました。その後、開室に向けて努力しましたが、サーバーを管理している組織や予算等の関係で、残念ながら閉室が長期にわたってしまいました。
  再開したシステムでは、書き込みの際にID(jsqc)とパスワード(qjapan)の入力を必要としました。そのため、少し不便になり、また、これらの記載場所が少しわかりにくいという問題等のためか、書き込みは以前ほど多くありませんが、表1の形で推移しています。新しいシステムでは、延べ参照者数(トピックを見た人の延べ人数)がログとして表示されるため、相談室の利用者がどのようなトピックに関心を持っているかといった有益な情報を得ることができるようになりました。

表1 36年度品質管理相談室利用統計(2006年11月1日から2007年9月12日)

トピックス

作成者※1

返信※2

参照※3

総不良率(総合歩留り)

鈴木

1

40

ISO3951

ゆうさく

2

522

母集団のデータがばらつく範囲の推定

1

680

サンプリング数の決定

こうすけ

2

1105

Cp/CpkとPp/Ppk

石川毅

2

11331

品質管理図における定数

土田幸宏

2

2916

※1:トピックスの作成者(質問者)
※2:回答者数
※3:延べ参照者数


18.部会

(1) ソフトウェア部会(部会長:兼子 毅 65名)
   35年度まで開催していた「サロン」を休止し、新たに研究活動を行う会合を定期的に開催しました。開催日は3月31日、4月21日、5月19日、6月9日、7月6日、7月23日、8月8日、8月30日、9月の9回で、過去ソフトウェアの分野で有用であった「形式知」の集積、分類を行うとともに、現在のソフトウェア開発において不足している部分、すなわち新たな研究が必要な領域を明らかにする活動を進めています。中間報告は、第37回年次大会研究発表会にて発表予定です。
 日本科学技術連盟との共同作業であるSQuBoK策定作業も順調に進んでおり、公開の準備が進んでいます。今年度は新規研究グループの発足はありませんでしたが、既存の研究グループは活動を進めています。
 また、他団体との連携も、昨年度同様活発に行い、各種行事の後援などを行いました。
(2) QMS部会(部会長:福丸 典芳 104名)
   「ISO9001システム構築の質向上と第三者審査の質」をテーマに、2006年11月25日(土)、(財)日本科学技術連盟千駄ヶ谷本部にて研究部会の中間活動報告(シンポジウム)を開催し、参加者は約180名でした。
1)月1回の研究会実施
 5つのWG活動による検討会の継続実施及びまとめ作業を行いました。
・WG1:組織の求める有効性の向上に役立つ審査
・WG2:経営に役立つ内部監査
・WG3:質マネジメントシステムの成熟度アップ
・WG4:マネジメントの原則−システム・プロセスアプローチの理念と方法
・WG5:組織が求める審査員のあるべき姿
2)部会内での中間報告の実施
  4月21日(土)全体会合を行い、下記の事項について各WGからの活動報告を行いました。
・WG活動終了までの計画
・現在検討課題となっている事項
・アウトプットのイメージ
3)新規のテーマ募集
  第一期の活動報告終了に伴い、第二期に向けた研究テーマの発掘を行うため、メンバーへのテーマ募集を行います。

(3) 医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 217名)
   当部会は、活動を開始してから約2年が経過しました。当初は約100名の部会員数でしたが、現在で約220名の登録となりました。第37年度までの目標である300名に向けて、さらに努力してまいります。
 今年度の研究活動としては、厚生労働科学研究費の研究グループ、およびJSAのQMS-H研究会と共同しながら、患者状態適応型パス(PCAPS)、医療の質マネジメントシステム等について研究して参りました。
 また、2007年4月からは、部会内に医療の質マネジメント研究会(略称医療QMS研究会)を立ち上げ、月に1回のペースで研究会を実施してきました。この研究会では、WG1(規格の解釈)、WG2(内部監査)、WG3(管理指標)の3つのWGに分かれて精力的に研究を進めています。これらの研究成果の公開の一環として、2007年3月に、患者状態適応型パスの研究班と共催でシンポジウムを開催しました。また、その翌日に、シンポジウム「医療機関への質マネジメントシステムの導入と推進」を開催しました。さらに、2007年9月には、科研費研究グループとの共催で、PCAPS中間成果報告シンポジウムを開催いたしました。
 教育・啓蒙活動としては、「医療のための質マネジメント基礎講座」の見直しに着手いたしましたが、まだ再開するに至っておりません。早急に検討を進めます。