社団法人日本品質管理学会
第31年度 自 2001年(平成13年)10月 1日
至 2002年(平成14年) 9月30日事業報告
1.概 況(会長:狩野紀昭) (1) 30周年記念事業としてスタートした諸事業を軌道に乗せるともに、そのための寄付金・特別会費のお願いを継続いたしました。 名誉会員・正会員のご協力に加えて賛助会員会社の絶大なご支援ならびに経団連のご協力により、総額2220万余円(2002年9月30日現在)にのぼる醵金を頂くことができました。 この額は、目標を大幅に上回るもので、この結果、次の活動を発足・展開することができました。
上述の品質管理推進特別功労賞は、年齢上の理由から品質管理推進功労賞の対象とならないが、これを凌駕する功労を遂げられた方を表彰するために新たに設置しました。
- インターネットを活用した会員サービス/広報活動の充実
- 電子化による学会事務の効率向上
- 若手研究者への支援を含む研究助成の創設
- 品質管理推進功労賞選考プロセスの改善
- 品質管理推進特別功労賞の設置
- 品質管理相談室の創設
- ANQ設立への協力
(2) 前年度に引き続き"皆さん来いよ"キャンペーン(1992年のピーク時における正会員数3354名を回復する)を継続させ、会員増に力を入れた結果、正会員数は3290名と目標に後一歩のところまで来ました。 また、準会員数も121名まで回復し、正会員ならびに準会員を併せますと3411名となり(2002年9月30日現在)、本学会創設以来最高の会員数を達成することが出来ました[過去最高: 3359名(1993)]。 これは、既存のサービスの拡充ならびに新規の諸施策の導入により、会員の研究・業務にとって無くてはならない存在を目指した活動を展開してきた成果と考えられます。
(3) 従来の韓国、台湾、日本の3組織によるアジア品質管理シンポジウム(AQS)が11月に東京で開催される機会に、中国にも参加を呼びかけてきましたが、この点について中国・台湾双方の組織の合意が得られ、7月末に東京での会議でAQS協定を改訂し調印に漕ぎ着けることができました。 さらに、この成果を受けて、これら日韓台中の4組織にインド、タイ、香港の3組織を加えた7組織での会議も併せて開催し、アジア地域の品質管理関連組織間の交流の活発化を図るためにAsian Network for Quality(ANQ)を発足させることが決議され、他のアジアの品質関連組織に呼びかける「東京アピール2002」が採択されました。 この結果、設立準備事務局をJSQCに置くとともに、ホームページhttp://www.anforq.net/を立ち上げました。 その後、イラン、ベトナムから、これに加盟する公式表明があり、10月15日現在で9カ国からの組織の参加が決まっています。 なお、AQS開催ならびにANQ設立のための資金を確保するため、海外からの募金活動も展開し、台湾、アメリカ、タイの7社から総計329万円の醵金を頂くことができました。
(4) 多様な会員のニーズに対応するために色々な切り口からのテーマで事業を展開した結果、前年対比約2割アップの2,135名の事業参加者を得ることができました。 特に事業委員会と標準委員会の協働ならびに複合技術領域研究会の成果にもとづく企画もあり、シンポジウムをはじめ、各種事業への参加者を大幅に増加させ、多くの会員の方々への情報提供ができました。
(5) 従来の編集委員会を,投稿論文審査委員会と編集委員会の2つの委員会に分割し,論文誌審査の充実とともに,会員誌部分の拡充を図りました。 なお、論文投稿数は、この10年間の推移を見ますと、2年サイクルで増減をしていますが、本年度は増加の年にあたり、前年度対比で4割アップという成果を得ることができました。
(6) 前年度に引き続き、Webサイトのコンテンツの充実に努めました。 ホームページへの月別リクェスト件数を見ますと、この6ヶ月間で約40,000件から約50,000件に増加しています。
(7) 研究開発委員会では、これまでに完了した研究テーマについて研究の意義と価値の視点からの特徴分析を行い、この結果をふまえて、本学会が目指す研究の方向を、“成長の木”として明確にしました。
(8) 中部支部においては、若手エンジニアのための研修会を創設するなど、積極的な事業展開を図ることにより、前年度を上回る参加者を得ることができました。 また、関西支部においては、信頼性学会ならびに電子通信情報学会との共催で11月に研究発表会を開催することで準備を進めるとともに、事業運営幹事会の発足を含めて今後の発展のために向けた体制固めがなされました。
(9) 財務状況は年度初期には相当厳しい情況にありましたが、月次の収支管理方法の改革とともに,事業運営・品質誌編集の工夫による支出の抑制、IT利用による事務の効率化、事務局体制の強化など、全理事・事務局が一丸となって対処した上に、(財)日本科学技術連盟のご支援も得られ、大幅な収入増ならびに経費節減を図ることができ,前年度より234万円多い1,183万円の繰越金と特定預金を640万円増加させることができました.
2.長期計画委員会 (1) インターネット/電子化による会員サービスの充実と学会事務の効率向上
新しく設置したWeb特別委員会の活動を中心、広報委員会,会員サービス委員会と連携を取りつつ以下の活動を進めました.
a)Webを活用した会員サービス・広報の充実b)電子メールを活用した会員サービス・広報の充実
- 現行のホームページを改良し,より見やすく,より情報量が多く,品質管理関連情報のポータルサイトとしました
- 会員や賛助会員会社、委員会等に限定した情報提供サービス・仮想コミュニティー(電子掲示板など)を設置しました
c)学会事務の電子化・自動化
- 「メールニュース」の稼動を開始しました
- 会員専用,委員会などの学会運営のためなどのメーリング・リストを設置しました
- 会員向サービスと非会員向け広報のより一層の拡大・充実を図りました
- 入会・退会の受付処理,行事への参加申し込みなどを電子化しました
(2) 若手研究者への研究助成
本年度中部支部を中心として設置した研究助成特別委員会の元で、研究助成の企画,広報,募集,選考等が行われ、本年度は2件の研究活動に対して助成金が支払われました.(3) 品質管理相談室の設置
本年度関西支部を中心として設置した品質管理相談室特別委員会の活動により、品質管理相談室が学会のWeb上に設置され,依頼者からWeb上に投函された質問に対して“相談員”が電子メールを通じて相談に応じるといった品質管理相談室の概要がほぼ形成されました.(4) 品質管理推進功労賞選考プロセスの充実
第1回品質管理推進功労賞の選考経験を踏まえ,正会員からの推薦を受け付けるようにした選考プロセスとその透明性の確保,並びにITを利用した選考業務の簡素化を行いました。(5) 社会科学・医療等も含めた学際的な立場からの活動の展開
本年度より社会科学ならびに医療担当の学会理事を置き、広く産業・社会全般での「質管理」の展開をめざして,社会科学・人文科学,医学等の専門家を含めた学際的立場からの活動の展開を図りました.しかし、本年度理事会発足間もなくして、社会科学担当の橋本寿郎学会理事が急逝され、この面についての展開は図ることができませんでした。(6) AQS開催ならびにANQ設立のための資金を確保するため、海外からの募金活動も展開し、台湾、アメリカ、タイの7社
から総計329万円(27000ドル)の醵金を頂くことができ、11月東京で開催の16AQS 発表者の参加費無料化、ANQ設立のための準備会開催に大変役立っています。
- United Micro-electronics Corporation (Taiwan)
- SmithKline Beecham Pharmaceuticals (U.S.)
- Siam Cement Public Company Ltd (Thailand)
- Xcel Energy (U.S.)
- Betagro Agro-Group Public Co. Ltd (Thailand)
- Unimicron Corporation (Taiwan)
- Media Tek Inc. (Taiwan)
3.事業委員会(委員長:長田 洋) 31年度は以下のように例年になく盛りだくさんの事業が行われ、多くの会員の参加を得ました。
(年次大会、研究発表会)
31年度は山梨大学での第31回年次大会(2001年10月27日)で幕を開けました。
前日には山梨県内企業への事業所見学会もあり、年次大会には224名の参加者を得てデンソー橋 朗 会長の特別講演、狩野会長の挨拶に続き、活発な研究発表と討論が行われました。
次に2002年5月25日の第69回研究発表会には241名が参加し、熱心な研究発表と討論が行われました。
チュートリアルセッションでは、「回帰分析は意外に(?)役に立つ−“変動の説明”から“効果の推定”へ−」と「インフォーメーション・アクセシビリティ−情報バリアフリーの実現に向けて−」の講演が行われ、好評を博しました。(シンポジウム)
2002年2月26日、第84回シンポジウムでは「企業の社会的信頼性−透明性とアカウン タビリティ−」と題した現在の日本企業が直面したテーマで学会、産業界の専門家によ る講演と討論を行い、参加者108名に感銘を与えました。次に第87回シンポジウム (7月 26日)では「日本のものづくり戦略−対中国戦略と空洞化への対応−」とやはり日本企 業にとって愁眉の課題を取り上げ、参加者131名が熱心に聴講、討論しました。 第88回 シンポジウム(8月29日)では「品質危機−人間行動に起因する事故の未然防止のため の方法論の体系化を目指して−」と題して一昨年のシンポジウムのフォローアップとし てその後の研究成果の発表がなされました(参加者171名)。第89回シンポジウム(9月 19日)では「ISO型マネジメントシステム規格の動向と課題」を取り上げ、93名の参加者 が熱心に最新の動向を学びました。
また31年度の特別ISOシンポジウムとして本学会標準委員会主催「ISO9000:2000 審査研究会報告−効果的な審査方法のガイドライン−」を開催し、ISOに関心のある 参加者が多数参加しました(参加者211名)。(事業所見学会)
事業所見学会は5事業所(2001年11月宮本卯之助商店、太鼓館、2002年2月川崎製鐵、4月NTTデータ、7月宝酒造、9月日本道路公団)を見学しました(参加総数125名)。 いつもながらの事業所側の準備万端の受け入れ体制で,TQM、環境マネジメント、IT、技能などをテーマに活発な意見交換がなされ,参加者からも好評をいただきました。(クオリティパブ)
クオリティパブは下記のように斯界の専門家をゲストスピーカーとして招き、夜6時からパブ形式の雰囲気で開催され,それぞれのゲストからの話題提供のあと熱のこもっ た意見交換が行われ、盛会のうちに終わりました。(参加総数137名)
臼井建彦氏(「進化するeーラーニング」、2002年1月)、
岩崎正俊氏(「QCサークルのグローバル展開」、3月)、
門田利彦氏(「デジタルデバイド是正に向かう情報化社会とユニバーサルデザイン」、5月)、
狩野紀昭氏(「Kano Modelの現状と将来展望」、7月)
加藤二朗氏(「小売業界における顧客主導型経営への取り組み、9月)(ヤングサマセミナー)
恒例になっている夏のヤングサマーセミナーは、横河バイオニクス社のご厚意で同社日ノ出町研修センターに於いて8月30日〜31日(1泊2日)に開催しました。
山田秀氏、加藤二朗氏 内田治氏の講演と参加者36名が研究紹介、討論を行い交流を深めることができました。
以上が本年度の本部行事の開催状況ですが、昨年度に引き続きCPD(継続的専門能力開発)の証明を多くの希望者に発行しました。今後も引き続き会員の皆様へのサービスに努めますので32年度も各種事業へのご参加をお願い申し上げます。
4.中部支部(支部長:太田 和宏) (1) 基本的な考え方 経済構造の変革期にあたって『品質管理活動のあり方は如何にあるべきか』を追求します。
1)あたり前の品質の確保 −原点からの総点検−
2)新製品開発のためのサポート手法の研究と実践(2) 具体的な行事のまとめ
- 1)研究発表会(1回/年)
- 8月26日、名古屋工業大学においてJSQC、ORSJ、JIMAの3学会で共催しました。
『変革の世紀に求められる 経営に生かす手法研究と実践』を共通テーマとして、講演1件、発表事例18件(産業界10件、学術界8件)、参加者120名。懇親会では和やかな雰囲気の中、有意義な情報交換ができました。- 2)シンポジウム(1回/年)
- 6月28日、刈谷市産業振興センターにおいて開催しました。
テーマは『品質マネジメントシステムの成功に学ぶ−ベストプラクティスを活かし管理システムの変革−』です。
山梨大学大学院教授 長田 洋氏の基調講演をはじめ、事例講演3件、パネル討論会の3部構成。参加者121名。参加者からは、「基調講演は経営者の視点から新鮮味があった」、「事例講演では高い目標設定の必要性を教えられた」などの意見が寄せられました。- 3)講演会(2回/年)
- 4月19日、豊田工機(株)厚生年金基金会館「ういず」にて開催。テーマ『経営品質の変革をめざして』、講演2件、参加者107名でした。
7月31日、名古屋国際会議場にて開催。テーマ『21世紀のものづくり戦略』、講演2件、参加者120名でした。いずれも、品質管理活動のあり方は如何にあるべきかを追求する上で大変、示唆に富んだご講演でした。- 4)事業所見学会(3回/年)
- 3月5日、キユーピー(株)挙母工場にて開催、参加者38名。
6月7日、ソニーイーエムシーエス(株)一宮テックにて開催、参加者65名。
7月30日、本田技研工業(株)浜松製作所にて開催、参加者56名。
参加者の満足度、参考度(5段階評価)はいずれも平均4.0を超え、参加希望者が定員オーバーとなるなど盛会でした。- 5)幹事研修会(2回/年)
- 1月22日、名古屋工業大学にて仁科先生のご指導のもと、「若手研究会との交流会」を実施。6月21日、(株)コマツ粟津工場のご協力を得て、金沢工業大学の石井先生の講演、コマツ殿の技術講演および工場見学を実施。
若手研究会メンバーの方々と研究事例を題材に討議したり、仁科先生、石井先生から御講演を頂くなど、大変有意義な研修の場とすることができました。尚、第3回開催予定の「海外情報を探る」は来年度へ延期致しました。- 6)若手研究会の創設
産業界、学会からのメンバー及びテーマがバランスよく融合し、有意義かつ活発な活動が 展開されました。
- 富山地区では理事の澤田先生(椙山女学園大学)を中心として、産・学界から11名の参加を得て3回実施。
- 金澤地区では石井先生(金沢工業大学)を中心として、産・学会から14名の参加を得て2回実施。
- 東海地区では仁科先生(名古屋工業大学)を中心として、産・学会から23名の参加を得て6回実施。
- 7)その他
- 30周年記念事業の一つである『研究助成制度』(本部)を澤田先生、仁科先生が中心になり立上げ、本年度から実施することが出来ました。
5.関西支部 (支部長:栗山仙之助) 1.基本的な考え方
大変革時代において、品質管理に求められるものの追求を通じ、企業への貢献、関 西支部の存在感の確認
「現場に密着した、新たな管理技術の再構築」−上手なもの造り、現場の技術の伝承−
(1) 現場重視、現場力の向上
(2) 現場力の向上のための新規で易しい手法の開発2.活動のまとめ
- (1) 事業所見学会
- 関西電力椛蜚ム発電所 (原子力発電所における品質管理)
極東産機梶@(伝統産業と先端技術の融合)
- (2) シンポジウム
- QC・VE・IEの立場から「現場に密着した管理技術の再構築」を考える
- (3) 研究発表会
- 信頼性学会、(社)電子通信情報学会との3学会合同シンポジウムを11月に開催
- (4) 研究会
- 関西支部として以下の3テーマの研究会を立ち上げた
「TQMビジネスゲーム」(主査:岩崎日出男)
「ソフトマネジメントサイエンス」(主査:猪原正守)
「システムデザイン」(主査:能勢豊一)
- (5) 事業運営幹事会
- 今年度から偶数月の第1土曜日(原則)に幹事長・理事・代議員・幹事が集まり支部運営について相談する、事業運営幹事会を発足した
6.投稿論文審査委員会(委員長 鈴木 和幸) これまでの編集委員会が、31年度より投稿論文審査委員会と品質誌の特集を主担当とする編集委員会の2つに別れ活動を行うことになりました。投稿論文審査委員会では以下の活動を行いました。
1) レフリーと著者との議論に投稿論文審査委員会として積極的に関与することを努めました。 2) 審査の質の向上を目指し、報文と技術ノートに関する覚え書きを作成しました。 3) Web活用による投稿しやすい環境作りに努めました。
@論文の改訂の仕方をWebへ掲載
A審査フローをWebへ掲載4) 審査プロセスの迅速化のために幹事の役割を明確化しました。 5) 前年度の投稿論文数19本に対し、31年度は27本となり4割増となりました。また、Vol.31 No.4で4編,Vol.32 No.1で2編,Vol.32 No.2で2編,Vol.32 No.3で5編の論文を掲載できました。
7.編集委員会(委員長 永田 靖) 特集については,「創造的組織風土の育成」,「新しい時代の標準化を考える−21世紀における社内標準化はどうあるべきか−」,「スピード化・グローバル化に対応する品質保証」,「TQMツールボックス」を取り上げました.
8.広報委員会(委員長:坂 康夫) WWWの普及の下、会員サービス向上に向け、30年度活動からの継続案件を含めホームページ充実のため以下の取り組みを行いました。
@ サイト内検索機能追加など見やすさ検索しやすさを主眼としたホームページのリニューアルを完了 A 学会概要、組織、沿革などの英語版コンテンツをリリース B 日本で誕生したTQM用語の和英対訳をリリース C 品質誌掲載記事の文献検索機能をリリース D 学会WEBの賛助会員一覧から各賛助会員WEBへのリンク推進および各賛助会員WEBから学会WEBへのリンク推進を賛助会員にお願いしました。結果は、リンク許諾62社、賛助会員WEBからのリンク12社(8月現在) また、学会としての組織的な情報収集とタイムリーな発信を目指し、会長、広報委員長連名にて理事、代議員の皆様に、広報コレスポンデント(情報提供者)に関するお願いをし、コレスポンデンス制度を確立ました。 JSQCニューズは、2001年11月号(NO.232)〜2002年9月号(NO.239)を発行しました。
9.会員サービス委員会(委員長:松本 隆) ここ数年、JSQCの正会員委員及び賛助会員は減少し続けていて、第30年度には正会員が2600名を割り、賛助会社数も200社を割りました。
そこで、第30年度には、広報委員会と連携して、会員数及び賛助会員の増加のために、以下の具体的な施策を講じましたb
@ ISO9000審査員(約7,000名)に対するダイレクトメールによる勧誘 A 理事、代議員、JSQC会員への会員紹介のお願い(約3,000名) B QC関連図書を割引特典確保(日科技連出版図書 20%引き) これらの施策により、会員数の減少に歯止めがかかり、大きく増加傾向が現れました。
第31年度は、更に、学会としての「顧客満足度」の向上を図るため、会員を層別(カテゴリー別)し、きめ細かいサービスの展開を目指し、Web特別委員会、広報委員会、及び標準委員会等との連携を深め、以下の施策を実施しました。
@ 会員プロフィル把握のための入会申込の様式変更 A カテゴリー別Webページ「仮想コミュニティー」の設置 B ISOに関連する行事(公開講座、シンポジウム、研究発表会等)の充実 C 学会ホームページに賛助会員名を掲示し、賛助会員ホームページとのリンク D 賛助会員サービスとして「賛助会員 品質管理推進者 懇談会」の検討 また、これとは別に、会員増強策として、第30年度に引き続き以下のキャンペーンを行いました。
これらの結果、2002.9.30現在 名誉会員 31名,正会員 3,290名,準会員 121名,賛助会員 194社221口,公共会員 22口と急増する結果となり、正会員数+準会員数でみると、過去のピーク時(1993年9月時点、3337名+22名=3359名)を超える過去最高の会員数(3411名)となりました。理事、代議員、会員の方々のご協力に深くお礼申し上げます。
- 学校関係者へ準会員入会勧誘依頼
- 新規ISO9000審査員(約 2500名)へダイレクトメールによる勧誘(期間限定)
- メーリングリスト会員(約2000名)へeメールによる勧誘呼びかけ(期間限定)
10.規定委員会(委員長:竹下 正生) 以下の規程,マニュアルの制定案及び改定案を作成し,内規及びマニュアルは理事会への報告・承認を得て施行しました。
(1) 学会規則104 会員規程 (改定案)
(2) 学会規則318 会員サービス委員会マニュアル様式(制定案)
(3) 学会規則207 「品質」誌投稿論文審査内規 (改定案)
(4) 学会規則221 仮想コミュニティ設置内規 (制定案)
(5) 学会規則323 寄付金処理マニュアル (制定案)
(6) 学会規則222 研究会成果に関する内規 (制定案)
11.研究開発委員会(委員長:天坂 格郎) 第31年度の研究開発委員会は、年初に設定した事業計画に沿って活動を進めました。
〔1〕研究開発委員会活動の充実
第31年度の事業計画である、“魅力ある研究環境作り”を実現させるため、研究開発委員会(合同主査会議)の定期開催(2001/11、2002/6)を実施しました。ここでは、当委員会に対する役割を再確認し、@既存の研究会活動の円滑化を図り、A従来の研究会組織の機能/役割/運営方法を再評価し、さらにB新しい研究組織体制/運営のあり方について検討を行いました。具体的には、学術的な研究成果を積み上げ、会員の相互研鑽の充実を図るために“中長期計画ワーキンググループ”を新たに設置しました。時代の要請に応えられるよう、研究準備会を併設して“品質管理学”確立の重要性を捉え,“中長期グランドデザイン”の構想化を行い、さらに“研究会成果の提供に関するガイドライン作り”を進めました。〔2〕“中長期計画ワーキンググループ”の活動状況
過去〜現在に至る研究終了テーマ38件について、品質管理に関わる学理・技術の進歩・発展に対する“研究の意義と価値”の視点で特徴分析を行いました。今後の研究会活動は、これまでの研究成果を活かし(1)基礎的研究(管理手法と数理手法)(2)応用研究(実用性)(3)未着手の研究(新分野)を総合的に進める事が大切です。将来技術課題を捉え、今後の研究テーマを“成長の木”でデザイン化(2003-2005)を進めましたので、今後ニーズ/シーズに適合する研究を順次実施していく予定です。次に、研究成果を会員が充分利用できるよう“研究会成果に関する内規”(学会規則第xxx)を策定しました。次年度からは、当ワーキンググループを企画推進室に改め、会員の皆様がより一層研究参加し易い環境を作って参ります。
- (1)テクノメトリックス研究会(主査:仁科 健 20名)
- 前年度からの継続テーマである“因果推論の品質管理への応用”に関して,品質誌Vol.32, No.3にクオリティレポート“重回帰分析のおける偏回帰係数の解釈について ”を投稿し,第69回研究発表会では“回帰分析は意外に(?)役に立つ”と題したチ ュートリアル講演を行い,その研究成果の公表に努めました.また,学会ホームペー ジとリンクした当研究会のWebサイトにあるグラフィカルモデリングの解析ソフトを, Windows版としてバージョンアップさせる準備を行いました.
回帰分析に引き続いて,主変数法についての紹介レポートを準備しています.
また,CAEによる最適化におけるDOEの利用について,講師を招聘しての議論,Dorian Shainin法やカスタムDOEなど品質管理での活用が期待できる手法についての議論も始めました.
- (2)医療経営の総合的「質」研究会(主査:飯田 修平 16名)
- 前年度に引き続き、同様の主旨の活動を行った。
- 委員会は原則として毎月1回、千駄ヶ谷日科技連会議室において、下記のごとく開催した。
- 東京都病院協会主催の、第2回 東京都病院管理適正化推進事業医療における信頼の創造は安全の確保から講演会を企画および協力した。
日 時: 平成13年10月13日 狩野紀昭会長に基調講演を依頼した。 演題名: TQMにおけクォリティとは 魅力的品質理論 - 第31回年次大会(2001・10・25)において委員会参加病院の活動内容を報告した。
@ 演題名: 医療の質向上活動(MQI:Medical-Quality-Improvement)の変遷 報告者: 練馬総合病院 飯田修平、大石洋司 A 演題名: 事務関係書類の一貫した文書管理を実現する−ISO9001に準拠した文書管理− 報告者: 練馬総合病院 大森 薫 他 - 全日本病院協会主催のTQM講演会を企画および後援した。
〜医療への総合的質経営(TQM:Total Quality Management)の導入 〜
日 時: 平成14年2月19日 大滝 厚監事に講演を依頼した。 演題名: 医療における品質管理の考え方(TQM)の導入 - 研究会の活動報告として、医学雑誌「病院」に、医療経営の総合的「質」の検討を連載執筆した。2001年1月から2002年3月まで継続した。
- 医療経営の総合的「質」に関して、委員会参加病院の職員に対するアンケート調査および訪問調査を実施している。
練馬総合病院(4月23日)、河北総合病院(6月15日)、日鋼記念病院(7月5日)、戸田中央総合病院(7月27日)、大雄会病院(8月30日)、浦添総合病院(9月27日)の調査を実施した。- 全日本病院協会主催のDRG・TQM合宿研修会を企画および後援した。
日 時: 平成14年9月14日―16日 飯塚功悦副会長に講演を依頼した。 演題名: 総合的質経営(TQM)の医療への展開 - 全日本病院協会沖縄支部主催のTQM合宿研修会を企画および後援した。
日 時: 平成14年9月28日 赤尾洋二氏に講演を依頼した。 演題名: 顧客志向のための品質機能展開 本委員会委員によるシンポジウム:赤尾洋二氏、田村 誠氏、富田信也氏、飯田修平
- (3) ISO9000's審査研究会(主査:福丸 典芳 25名)
- ISO9000's審査員研究会は今年度で活動を終了し,成果報告については概要報告としてISO特別シンポジウム「ISO9000シリーズ審査研究会報告」を6月に開催しました。
また,報告集につきましては、11月頃に発行する予定です。
なお,ガイドラインは、「審査の基本」,「プロセスに着目した審査技術」,「品質マネジメントシステムの有効性評価」,「審査チームに求められる専門知識」,「審査員個人に求められる品質管理の知識」,「審査員の力量・適性評価とその活用」の6件です。
- (4)複合技術領域における人間行動研究会(主査:中條 武志 16名)
- 29年度,30年度の研究活動を踏まえて、ヒューマンエラーや標準不遵守などの人間行動に起因するトラブルの未然防止をはかるための方法論の体系としてまとめました.研究会の開催は2002年1月で終了し,終了報告を品質誌(Vol.32、No.2)に掲載するとともに、会員が利用可能な研究報告書(約200頁)を作成、7月に発行しました.
また,その概要を会員に紹介するために,2002年8月29日に第88回シンポジウム「品質危機−人間行動に起因する事故の未然防止のための方法論の体系化を目指して−」を開催しました。
- (5)知識創造実践研究会(主査:長澤 重夫 11名)
- 2001年6月より活動を開始し、現在2002年8月までに会合を計14回行っている。知識創造の仕組みの解明とその実践方法構築をめざす研究会として活動した。本年度の研究経過を以下に示す。
第5回: 2001年10月16日 展開表、二元表と知識創造
第6回: 2001年11月27日 ネットワークと場の概論
第7回: 2002年 1月 8日 標準類と知識創造
第8回: 2002年 2月19日 方針管理と知識創造
第9回: 2002年 3月19日 QFDと知識創造
第10回: 2002年 4月24日 ネットワーク、場と知識創造
第11回: 2002年 5月21日 グループ活動と知識創造
第12回: 2002年 6月26日 気づき推進について
第13回: 2002年 7月22日 再び気づき推進について
第14回: 2002年 8月20日 既存QC手法の中の知識創造ツール
研究期間を1年延長申請し,手法ツール及びその応用方法も研究する事にした。
第69回研究発表会(02/5/25)に中間発表をした。
- (6)3PS研究会(主査:大藤 正 15名)
- 3PS研究会は5月29日に準備会をもち,6月26日,7月23日と2回の研究会を実施した. 顧客満足(CS)を実現するためには組織構成員の満足が不可欠であるが,仕事を成し遂げるためにはプロジェクトが構成されることもあり,適当なパートナーとの協力が必要な場合もある. また仕事はプロフェッショナルによってなされるはずであるが,仕事を成し遂げた充実感,達成感が得られたときに,最終顧客も満足すると考えられる. 今年度の2回の研究会では3PSの3P(プロフェッショナル,パートナー,プロジェクト)の関係をどのように捉えるかについて討論し,今後の研究の進め方について議論した.
12.国際委員会(委員長:飯塚 悦功) 31年度の国際委員会は主に以下の事業を実施した.
(1) 第15回AQS共催
KSQM(Korea Society for Quality Management), CSQ(Chinese Society for Quality),JSQC (Japanese Society for Quality Control:日本品質管理学会)の3組織は持ち回りで毎年AQS(Asia Quality Symposium)開催している.第15回AQSは,2001年11月9,10日に韓国のDaechunにおいて開催された.日本側からの十数件の発表があり積極的な参加となった.(2) 第16回AQS開催準備
第15回AQS時に開催されたAQSステアリング委員会において,AQSへの参加者をこれまでの3組織からの参加に加えて広くアジア諸国に呼びかけるとの決定に従って,JSQC主催となる第16回AQSを11月15-16日に開催することを決め,その準備を積極的に行ってきた.参加組織8,口頭論文発表48,ポスター発表13という多数の参加を得る見込みであり,大きな成功に向けて準備の最終段階にある.(3) AQSステアリング委員会への中国CAQの加入
AQSの拡大に応じて,AQSステアリング委員会メンバに中国のCAQ(Chinese Association for Quality)の加入を促すため,会長自らがAQS各機関及びCAQを訪問するなどして積極的に働きかけ,7月27日東京において,台湾と中国の機関が国名表記問題を乗り越えて合意文書に署名することを実現した.このとき2003年9月に中国で第17回AQSを開催することを決定した.(4) ANQ設立に向けての働きかけ
AQSの拡大に応じて,アジアにおける品質関連中立的諸機関のネットワーク設立を働きかけ,AQSステアリング委員会4機関に加えて,香港,インド,タイからの機関を加えた7機関が,同じ7月27日に一堂に会し,ANQ(Asian Network for Quality)を設立することを決め,現実に設立に向けてのコミュニケと,その付帯文書として現在及び将来のアジアの状況認識を基礎としてアジアにおけるネットワーク作りを訴えた「東京アピール」に合意し署名した.さらに,第16回AQS開催時に予定しているANQ設立準備委員会の準備を行った.
14.日本学術会議 経営工学関連(担当理事:圓川 隆夫) 学術会議には本学会として、経営工学研究連絡委員会および人工物設計・生産研究連絡委員会経営管理工学専門委員会(実質的に合同で活動)にそれぞれ委員を派遣し、FMES(経営工学関連協議会)と連携のもとで活動をしています。本年度の活動としては、JABEE審査の早稲田大学経営システ工学科、鳥取大学社会開発システム工学科2大学の試行結果を受けて、第18回研連シンポジウム「はじまったJABEE審査〜経営工学関連分野における取組み〜」(平成14年5月17日(金):於:青山学院総合研究所ビル)を開催しました。JABEE審査は今年度もさらに試行を続けて来年度以降本格審査に移行の予定です。 昨年度から検討が進められていた経営工学関連の科学研究費補助金の申請枠分科細目「社会システム工学」は、分科「社会・安全システム科学」に格上げされ、その中の細目「社会システム工学・安全システム」の中に、品質管理等のキーワードが記載されるという形になりました。 また技術士制度の見直しがされ、経営工学部門の選択科目の枠組みや説明内容文が時代にあわなくなってきたということから、研連の中にWGを作って現在内容を検討しているところです。