一般社団法人日本品質管理学会

第48年度 自 2018年(平成30年)10月 1日
至 2019年(平成31年) 9月30日
事業計画

1.運営方針

 日本品質管理学会(以下,JSQC)は,品質管理の一層の発展と学理の探究を目指して1970年に設立されました.まもなく,設立50周年を迎えます.この間,産学官の研究者,実務家が集う場を提供し,品質管理の発展に一定の成果を上げてきました.一方,産業界における品質管理の位置づけや学界で学会が果たすべき役割は,大きく変革しつつあります.
 この動きに対応するために,本学会は,第45年度から第50年度までの中長期計画に従 って,改革を進行中です.この中長期計画は“QSHIN2020”と名付けられています.QSHIN2020では,以下が目標になっています.

(1) 救真2020: Japanese Association for Qualityの創設
(2) 究深2020:先進型マネジメント理論・技術の吸収と研究開発推進
(3) 求新2020:QMの必要な分野への展開
(4) 急進2020:本部・支部活動の重点化

 第47年度においては,3つの最重点活動を定め,これらの目標を達成するためのいくつかの新たな活動を開始し,組織改革も進めることができました.これらの新たな取り組みを軌道に乗せることが,第48年度の大きな役割です.また,QSHIN2020も折り返し点を過ぎましたので,目標や施策の見直しも必要と考えています.さらに,博士課程進学者・若手研究者が大きく減少している,英語論文しか業績として評価されない,といった問題に学界は直面しているのですが,これらは学界だけでなく,学会の存続にも関わる大きな問題です.これに対して,本学会で対応すべきことも考える必要があります.
 以上のことを考慮して,第47年度の最重点活動を継承して改革を軌道に乗せるとともに,50周年に向けての活動を加え,下記の4つの課題を第48年度の最重点活動と設定いたします.JSQC会員の皆様方におかれましては,JSQCのさらなるチャレンジに向けて,格段のご支援,ご協力を衷心よりお願い申し上げる次第です.

【第48期最重点活動】
(1) JSQCの強みの育成
基盤戦略としての品質経営
品質不祥事の再発防止のために,活動の継続的な推進と経営層への訴求を行う.
革新戦略としての品質経営
新部会(生産革新部会,サービスエクセレンス部会)の活性化を図る.また,既存部会(医療の質・安全,管理技術,ソフトウェア)の改革も進め,普遍的なツール,方法論の開発・普及を行う.
標準化推進
JSQC規格の普及,新規格開発を進める.また,サービスの標準化推進をサービスQ研究会を中心に進める.
(2) クオリティに関する横串機能
JAQ設立に向けた準備
JAQ連携協議会を継続的に開催し,連携ネットワークの拡大を図る.また,品質月間JAQイベントを企画する.
(3) JSQCのガバナンス強化
公益法人化
公益法人化に向けての課題を引き続き検討する.
組織体制の整備
大幅な組織改革の評価を行い,必要な見直しを行う.
事業の推進
会員のニーズを先取りした事業企画を推進する.特に第48年度は,東日本・西日本支部の活性化を図る.
本会ジャーナルの見直し
品質誌,TQS(Total Quality Science)誌のあり方について検討する.
(4) 50周年に向けて
50周年記念事業
WGを立ち上げて検討を始める.
ANQ Congressの開催
2021年以降に,ANQ Congressの日本での開催が予定されている.その準備を開始する.
学会名称変更の検討
変更するかどうかを含め,学会名称変更について,会員の方々から意見を伺う.
電子ジャーナル化
品質誌,要旨集等の電子ジャーナル化について検討する.

2.総合企画委員会

 JAQ連携協議会を定期的に開催し,JAQの理念,行うべき活動,連携ネットワークの範囲等について,引き続き議論をしてまいります.学会活動の重点化を推進するための規程・内規の簡素化と整備を庶務委員会と一体となって行います.
 また,「学会誌/論文誌あり方検討WG」を立ち上げ,品質誌,要旨集等の電子ジャーナル化や,品質誌とTQSのあり方について検討します.

3.庶務委員会

 庶務委員会では,本会の運営に関する庶務的事項を全て担当します.主な計画は次の通りです.
(1) 庶務全般
 学会運営が円滑に進むよう,諸般の活動を進めていきます.また,日本品質管理学会の活動に鑑み,第47年度に引き続き公益化申請準備を進めます.
(2) 選挙管理
 本年度も第45年度から導入したWebによる選挙を継続して実施するとともに,よりよい方法を検討してまいります.
(3) 会員サービス
会員資格審査,入退会審査について,各種規定に基づき実施します.
学会員になることのメリットを広く発信し,これまで以上に会員数増加にむけて活動を促進していきます.
第47年度から導入された会員区分である正会員(シニア),正会員(永世シニア)に関する普及に努めます.
第47年度に定めたJSQCフェローの認定基準に基づき,認定者数の拡大に向けて庶務委員会が中心となって候補者のリストアップを進めます.
(4) 品質管理推進功労賞選考
 日本品質管理学会品質管理推進功労賞の選考に関する運営を,各種規定に基づき実施します.
(5) 会計
 会計に関連する業務を,各種規定に基づき実施します.
(6) 規程の制定,改定
 第47年度に引き続き,中長期計画「QSHIN2020」の実現を目指して,第48年度も学会活動の更なる改革を実現するため活動を深化させ,学会活動の発展に貢献すべく各委員会等と協力し,学会活動を効果的に効率良く進められるよう,活動の実態に即した適切な規程,内規等を迅速に作成,改定するように取り組みます.加えて,公益化に伴う学会運営の透明性確保の観点から,実態に即した規定,内規等の改訂も行います.
(7) 学会HP
 他学会・団体等のHPを参考にしながら,本学会HPについて改善すべき事項を検討し,学会員にとって使いやすいHPの確立を目指します.

4.活動委員会(事業を含む)

【研究開発】
 中長期計画,および,本年度の運営方針に基づき,以下の活動を行います.
@例年通り,既存の研究会における研究活動予算を検討し,配分します.
A第47年度に引き続き,将来を見据えた研究分野の検討と新たな計画研究会の設置を検討します.
B第47年度と同様に,研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を継続します.
C第47年度に引き続き,研究活動とその成果を学会員へ広く伝え,学会員が学会の真価を享受できるようにするため,各支部とも連携を深め,学会活動委員会の実現を目指します.

【学会誌編集】
 第48年度も,例年どおり,年4冊の学会誌『品質』を発刊します.
 一昨年度に制定された新中期計画に学会誌再編成の指針が示されました.これに従って,一昨年度から新しい編集方針のもとで活動してまいりました.今年度も,その編集方針に従って活動してまいります.特に,研究会報告や部会報告を中心に編集していきます.また,支部活動に基づく招待論説を掲載していきます.さらに,チュートリアルセミナーやクオリティトークの講演内容,学会主催の講演会での講演内容を掲載していく予定です.
 編集方針をより明確にし,学会誌の意義と魅力を高め,学会活動を的確に伝えることができるような紙面づくりを目指していきます.

【事業・広報】
 第48年度は昨年の引き続き,年次大会,研究発表会各1回の他に,学会の方針(地域サービス向上や生産革新関係,サービス向けの研究を強化等)と連動し,新体制下の各研究会の報告としてシンポジウムを2回,講演会を1回,事業見学会を4回,クォリティトークを6回計画しています.また,当学会の特徴のひとつである学会規格の講習会を各支部地域で6回開催し,規格の周知を図ります.

【JSQC選書】
 「JSQC選書=品質管理に関する,非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく,引き続き,品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍の発刊を目指します.
 並行して,第48年度以降の選書テーマ候補を充実させ,時宜を得た発行計画の立案を行います.その際,JSQC選書既刊本に対する読者の声の収集・把握に努め,今後のテーマ選定等に活かします.必要があれば,テーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します.書籍の内容と購入者の傾向や関係を探ることも考えます.
また,JSQC選書の知名度向上に向け,有効な広報策について検討・実践を試みます.

4-1.東日本支部

 47年度に引き続き,関東エリアのコミュニティ強化を目指して,活動委員会(事業・広報)が中心となり,クオリティトーク・事業所見学会などを企画・開催します.
 また,東北以北のコミュニティ強化を志向して,活動委員会(事業・広報)が中心となり,第47年度は宮城・山形で行事を開催しましたが,同地区での継続開催,および同地区以外の行事開催について検討を進めます.

4-2.中部支部

(1) 中部支部の基本方針
 1) 本部の方針に基づいた活動を展開する.
 2) 研究会活動を軸として,産学連携による会員の相互研鑽の場を提供するとともに,品質管理に関する先進的な情報の発信に努める.
 3) 品質管理の考え方・手法を,諸団体との連携により,様々な業種・職種に発信して,中部地区の成長に貢献する.特に,中小企業への発信に努める.
 4) 研究発表会を核とした行事の充実に努める.
【中部支部のスローガン】
品質管理の普及・浸透で,問題解決力を高めて,日本の生産性向上(成長)に貢献しよう!
(2) 行事の具体的な内容
 1) 研究会
 研究会活動を支部活動の中心と位置づけて,次世代を見据えた若手研究者の活性化と内容の更なる充実を図る.
 ・東海地区の若手研究会(南山大学:松田 眞一氏)[6回/年]
 ・北陸地区の若手研究会(金沢工業大学:中野 真氏)[発表会:1回/年]
 ・中部医療の質管理研究会( (医)志聖会総合犬山中央病院 中部学院大学:齊藤 雅也 國澤英雄氏)[6回/年]
 ・中部支部産学連携研究会(名古屋工業大学:川村 大伸氏)[6回/年]
 2) 研究発表会[1回/年]
 会員の多岐にわたるニーズに応えた幅広い研究・開発テーマで,かつ多くの企業・組織に展開できる発表の場を提供する .
 ・学会の新しい研究成果と一般も含めた産業界・医療界からの具体的実践事例を発表.
 ・中部支部の4つの研究会から,活動成果を発表.
 3) シンポジウム(基調講演とパネル討論会)[1回/年]
 産学界の関心が高く,一般からも多くの参加者を得られる基本方針に沿ったテーマを選定し企画する.
 4) 講演会[1〜2回/年]
 会員の関心の高いテーマによる講演会を開催する(原則は会員限定(賛助会員を含む)での開催).
 5)事業所見学会[1〜2回/年]
 先端的な企業や組織を訪問し,会員(幹事を含む)の研鑽の場の提供を企画する.
 6)幹事研修会[2回/年]
 幹事間の意思疎通を図り,中部支部の活動・運営に対する議論・相互研鑽ができる研修を行う. また内1回は北陸地区の幹事の協力を得て北陸の企業訪問を行う.

4-3.関西支部

(1)運営方針
 日本企業は,世界経済の中で勝ち残っていくために,さまざまな構造改革や将来の成長戦略構築に頭を悩ませています.また,低炭素社会の実現に向けて,太陽光発電や電気自動車など,革新的な技術開発が求められる時代となっています.今後,日本企業がさらに成長し,グローバル競争に勝ち残っていくためには,日本企業元来の強みである「技術開発力」「品質力」ならびに,それらの元となる「人間力」がますます重要となってきます.
 このような状況の中,これまで日本の文化や産業を支えてきた“ものづくり”“ことづくり”とともに“人間力”の基盤を引き続き維持・発展させていくことが必要であり,このとき,品質管理の果たすべき役割はますます大きくなっています.
 関西支部では,品質力,組織・マネジメント力,現場力,顧客対応力の向上策について具体的に提言することにより品質管理のレベル向上に貢献することを目的に,事業活動のさらなる活性化を図り,より多くの会員が満足できる活動を展開していきます.

(2)事業内容
  1) 研究会
  ① 実用的統計手法研究会
 
   「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」「統計的方法論を実用普及する際のツール(教育教材等)開発・提案を行うこと」を通してSQC活動を活性化させます.旧統計的品質情報解析研究会の名称を,実用的統計手法研究会と改名し,統計的方法論の誤用の解明と防止,将来活用できる新たな統計的方法論・教材を研究し提案します.
  ② ダイナミックロバストマネジメント研究会
 
   Society5.0に対応した新価値創出と,これまで研究を行ってきた「科学的先手管理七つ道具(SE7)」と2015年改訂されたISO MS の品質,環境規格の特長,意図とを俯瞰的に融合して組織の文化へのマッチング,コミュニケーションを明確にし,従来,企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係,ヒューマンエラー,モノづくりのレベルアップ策等に関して,品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし,ダイナミックな問題解決アプローチを体系化します.
2) 研究発表会 【1回 】
  産業界や社会のニーズと学におけるシーズをマッチさせ,産学で相互に研鑽できる発表会を企画します.
3) シンポジウム 【1回 】
  社会の要求・注目しているテーマを選定し,活発な議論のできるシンポジウムを企画します.
4) 講演会 【1回 】
  “ものづくり”“ことづくり”の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します.
5) 事業所見学会 【 2回 】
  特色のある事業所の見学を企画します.
6) QCサロン 【 5回 】  
  会員サービスの充実を図るため,講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します.

3)その他
  1) 関西支部企画運営委員会の実施
 支部運営に関する各種の検討を行い,支部事業の活性化を図ります.中国四国九州地 区の会員に対しても支部事業の案内を行い,支部事業への積極的な参加を働きかけます.
2) データ管理の質的向上と定点観測
 支部活動に関する各種データ収集・管理を継続的に行い,支部活動の現状把握や活性化に役立てます.

4-4.西日本支部

 西日本エリアのコミュニティ強化を目指し,事業委員会と連携し,JSQC規格講習会や事業所見学会などを企画,実施します. 

4-5.生産革新部会(サービスエクセレンス部会と合同開催)

 社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を2018年10月から隔月で計6回開催します.
 知識共有会のテーマは以下を予定しています.
@ IoE(Internet of Everything)がもたらす事業構造変革
A 資源としてのデータ活用と新たな価値共創
B インターネットの品質管理
C データのオープン化とデータ流通エコシステム
D 品質としてのプライバシーとサイバーセキュリティ
E (仮)トヨタのモビリティカンパニー宣言と、ePaletteコンセプト
知識共有が進んだ段階で,取り組むべき研究テーマを設定し,ワークショップあるいは研究会を立ち上げ調査研究を推進し,進捗状況,成果などを定期的に発表します.

4-5-1.信頼性・安全性計画研究会

 本計画研究会は,第36年度から12年間,四期にわたり,製品安全を中心とした信頼性・安全性の作り込み技術や,社会インフラを中心とする維持管理やBCMの問題に関して議論を続けてきました.今後も引き続き,品質関連情報の有効活用および的確な組織的意思決定の実現を目指して,下記のボトムアップとトッブダウンの両方のアプローチから,
ベスト/ベタープラクティスの収集と分析
信頼性・安全性問題の事例調査
今後予想される問題と対応の提起
委員の研究成果の報告
委員間の情報共有と討議に取り組むことで,未然防止による信頼性・安全性管理の体系化を図ります.
1) 信頼性・安全性作りこみ技術(ボトムアップのアプローチ)
・新規トラブル未然防止法の高度化
・次世代品質・信頼性情報システムの具体化と拡張
・ハザードに着目した根本原因分析(RCA)の高度化
2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築(トップダウンのアプローチ)
・持続可能でレジリエントな体制作り
・品質管理を重視する組織文化の樹立と継承
・ユーザ・メーカ・行政の三者協業による信頼性・安全性確保のための方法論
 本年度は第五期(48〜50年度)の前期となります.これまでに調査した社会インフラの各事例を総括し,そこで得られた知見が,新規社会インフラとして現在整備が進んでいるドローンや自動車等の成長分野で活用されるよう展開を図ります.そして,新規社会インフラで予想される問題への提案事項をより具体化するとともに,研究発表や討論会などの場で積極的に発信するように取り組みます.また,前年度に問題となった製造業を中心とする不正問題についても,引き続き学会からの情報発信に積極に取り組みます.不正防止のための条項を会誌などで提言する予定です.

4-5-2.テクノメトリックス研究会

 テクノメトリックス研究会では,「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を主軸として,「数理科学志向型・計算機志向型の統計的品質管理手法」の開発を目指します.具体的には,メンバーが興味あるテーマを持ち寄り,それについて議論を行い,品質管理の手法として確立できるようにします.多変量解析法を中心に,実験計画法,統計的手法の理論的側面,解析事例,解析手順などさまざまな視点から研究をします.また,昨年度同様,おおむね3ヶ月に1度の開催を考えています.そして,研究成果については,JSQC研究発表会、年次大会や品質誌などで積極的に発表していく予定です.

4-5-3.製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会

 製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会は,昨年度の活動において機械学習を実際に適用する際の課題の検討が十分ではなかったと判断し,活動期間の延長(1年間)を申請し,理事会にご承認いただきました.
 今年度は議題を“機械学習を実際に適用する際の課題の検討”に絞り,活動を行います.具体的には,次のように研究会活動を進める予定です.
研究会メンバーは主査が用意した2種類のデータの内のどちらかに機械学習手法を適用する.
研究会メンバーは機械学習の実行手順や適用結果を研究会で報告する.
研究会ではその報告内容に基づき討議を行い,機械学習の利活用に関する知見を深める.
本研究会の成果は,研究発表会や品質誌などにおいて積極的に発信していく予定です.

4-6.サービスエクセレンス部会(生産革新部会と合同開催)

 社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を2018年10月から隔月で計6回開催します.
 知識共有会のテーマは以下を予定しています.
@ IoE(Internet of Everything)がもたらす事業構造変革
A 資源としてのデータ活用と新たな価値共創
B インターネットの品質管理
C データのオープン化とデータ流通エコシステム
D 品質としてのプライバシーとサイバーセキュリティ
E (仮)トヨタのモビリティカンパニー宣言と、ePaletteコンセプト
 知識共有が進んだ段階で,取り組むべき研究テーマを設定し,ワークショップあるいは研究会を立ち上げ調査研究を推進し,進捗状況,成果などを定期的に発表します.

4-6-1.サービスのQ計画研究会

 第47年度は,サービス規格の基本理念・原則 (A-Standard)・個別サービス規格開発のための指針及びサービス関連用語(B-Standard)の構築を重点的に取り組みましたが,サービス標準化の気運がさらに高まりつつある環境認識のもとに,第48年度以降は,個別サービス規格(C-Standard)の企画・開発に重点的に取り組むべく,趣旨・体制・活動内容を変更する予定です.
 サービス標準化フォーラムの第3回を開催できるように準備をすすめる予定です.

4-7.医療の質・安全部会

 第48年度も,これまでと同様に,3研究会を中心に医療QMSに関する研究を進めてまいります.
(1) QMS-H研究会との共同研究
 今年度は,医療QMS診断,業務改善指標,文書管理,医療の質・安全教育を重点テーマとして研究を進めます.また,最終成果報告シンポジウムを,2019年3月2日に早稲田大学で開催予定です.また,2018年11月に開催される医療の質・安全学会では,通常の研究発表とともに,2つの企画演題「なぜ、今文書管理が重視されるのか」,「変化の時代における病院経営の質改善・改革をどう進めるか」が採択されました.研究会の成果の広報を行ってまいります.
(2) 医療QMS監査研究会
 今年度も継続してISO 9001:2015の特徴を分析し,監査の視点を明らかにする予定です.また,これまでの成果を,2018年11月の年次大会研究発表会で発表する予定です.
(3) 医療経営の総合的「質」研究会
 医療のTQM七つ道具,特性要因図に関する各種講演会,講習会を通じて,本ツールの具体的な現場での活用方法を周知します.同様に,医療事故の原因究明の手段としての根本原因分析の普及を行います.
 医療事故関連では,既に施行されている医療事故調査制度に関して,各種講演会を通じて,制度の概要と実際運用上の課題等を周知するとともに,院内事故調査制度に対する質専門家の係わり方を検討します.特に発生報告と報告書が義務つけられている「医療に起因する予期しない死亡事故」の定義を周知します.また,医療における無過失補償制度のあり方を検討・提言します.
 医療機器・システム関連では,効率的な電子カルテ導入に向けた指針や薬剤業務に関する詳細な業務フロー図などを作成します.また,機器に関するJIS T 60601-1-8副通則の普及啓蒙を今年度も続行し,医療機器の病院安全体制の見直しに関する提言を行なって参ります.さらに,医療アラーム,ナースコール,病棟看護師業務の研究も進めてまいります.
(4) 医療の質マネジメント基礎講座
 「医療の質マネジメント基礎講座」は,講師会を開催し,カリキュラムの見直しを行う予定です.2019年の5月〜8月には,見直し後のカリキュラムによる講座を,早稲田大学で開催予定です.

4-8.ソフトウェア部会

 第48年度は前年度に引き続き,以下のことを行います.
ソフトウェアの品質管理を考えるうえで、対象を区別・分類しなければ議論ができないことから、まずは、品質管理の方法論や適用手法などの違いという観点からソフトウェアの分類を行います。そのうえで、それぞれの分類ごとに、作業グループを構成して、より深い議論を進め、活発な活動を行います。
メーリングリストやSNSを利用した情報交換及び情報発信を積極的に行います.
メーリングリストを利用した部会メンバー間の情報交換をより積極的に行うとともに,ソフトウェア部会の活動を理解していただくために,SNSを利用した情報発信を行います.
ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援します.
他団体の開催するソフトウェア開発関連の各種行事に協賛・後援することで,部会メンバーの便宜を図るとともに,ソフトウェア部会活動の活性化を図ります.

4-9.管理技術部会

 第47年度に,時代のニーズや変化に対応するためにその活動範囲や対象を今後より広げていくことを目的として「管理技術部会」と名称変更し,「QMS有効活用及び審査研究会(以下,QMS部会)」を当部会下に位置付けました.第48年度は,従来のQMS部会の活動は引き続き進めてまいります.また,当管理技術部会において新たな活動として何を行うのかについては,学会やシンポジウム等での会員の皆様のお声をお聞きしながら,当部会で行うべき活動を徐々に組織化・活性化していければと考えております.QMS部会の活動計画は次の通りです.

【QMS有効活用及び審査研究会】
 第47年度に引き続き,継続又は新規テーマで研究活動を行い,年次大会,部会メンバーへのメルマガなどで活動状況を報告する予定です.また,WGの活動は次の通りです.
WG1:ISO9001の本質的適用に関する研究(QMSの実践的活用)
第47期に引き続き研究活動を行います.
WG2:新規テーマ開発中
新規テーマの検討及び研究活動を行います.
WG3:ISOの規格変更に惑わされず、組織の本来業務で実践するQMSの研究
第47期に引き続き研究活動を行います.
WG4:QMSリスクマネジメントのツール開発の研究
第47期に引き続き研究活動を行います.
WG5:アウトソーシングマネジメントの効果的運用方法の研究
2019.3までに研究報告書を作成します.
WG6:品質マネジメントの改善・発展・活用の道
新テーマによる研究活動を開始します.
WG7:中小の組織向けの箇条4.1、4.2に基づく品質方針の策定プロセスのモデルの研究
新テーマによる研究活動を開始します.

5.標準委員会

(1) 第47年度に引き続き,JSQC規格の制定を推進します.
「新製品・新サービス開発管理の指針」の制定を推進します.
(2) 既発行のJSQC規格の定期見直しをします.
今年度見直しの年となるJSQC Std 32-001(E) 日常管理の指針 (英語版)の見直しを行います.
(3) 新しいJSQC規格の制定を推進します(例「変更管理の指針」).また,各委員会,部会または研究会との相互提案を推進します.
(4) JSQC規格の普及活動を継続して推進します.
@規格制定後の講習会を引き続き実施します.
A個別の要請に基づくJSQC規格講習会の開催を検討します.
B規格講習会の定期開催を実施します.
(5) 学会中期計画に基づいて,標準委員会の中期計画を策定いたします.

6.学術委員会

6-1.論文誌編集,表彰(学術)小委員会
【論文誌編集】
(1) 従来からの方針を引き継ぎ,論文審査において,査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます.また,「著者責任」を基本とし,新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針についても,変更ありません.年間の掲載数15本をめざします.
(2) 規定された方法に従って,投稿論文審査の質の向上と迅速化を図っていきます.
(3) 国際交流委員会と協力して,ANQ Congress 2019への論文発表促進,特に若手研究者への支援を積極的に行います.
(4) 国際交流委員会と連携して,ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行に向けて活動します.48年度はVol. 4 No. 1及びNo.2を発行する予定です.
(5) 論文掲載には相当なコストがかかるため,学会の財政状況を鑑みますと,論文掲載料の徴収は避けらない状況です.会員の理解を得つつ,引き続き検討いたします.
(6) 学会誌編集委員会と連携して,品質誌の電子ジャーナル化について,J-Stageでの発行形態等に関し,引き続き検討を続けます.
(7) 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)でのシステムを参考にしながら,「品質誌」論文誌においても,論文審査プロセスの効率化を目指し,電子投稿・審査システム導入に関して,引き続き検討いたします.

【研究助成】
 第48年度も引き続き若手研究者に対する研究助成を行います.募集要項の主な内容は以下の通りです.助成金額は1件5万円で4件以内.対象者は,日本品質管理学会の正会員もしくは準会員,申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者,留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者(年齢制限はありません)とします.すでに2回採択された者は選考対象から外し,助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外の国際会議での研究発表への旅費支援も含めます.期間は1年間(2018年10月から2019年9月)です.研究成果を品質誌へ投稿,あるいは,研究発表会などで発表することを奨励します.

6-2.国際交流,学会間交流小委員会
【国際交流】
(1) ANQ 2019への協力
 タイのバンコクで,2019年10月21-24日に,ANQ(Asian Network for Quality)総会の開催が予定されています.大会開催の支援やアドバイスを,JSQCとして継続的に行っていきます.また日本からの参加者についても,ANQでのリーダーシップを発揮できるよう,引き続き多くの参加者を募る予定です.
(2) ANQの安定的発展のための調整
 2019年の春には東京,秋にはバンコクで,ANQ理事会の開催が予定されています.JSQCとしてANQの発展に積極的に関与し,ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会),Ishikawa Kano Award委員会には,委員を派遣する予定です.財務委員会では,JSQCが委員長を務めており,2019年春の理事会では,委員長からの財務報告を行います.
 2020年以降の数年内に,ANQを日本で開催する可能性が強くあり,JSQC理事会での承諾の元,開催に向けた検討をすすめます.
(3) 英文電子ジャーナルの刊行
 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の刊行の4年目が開始されます.会員ニーズである国際学会発表(ANQ)と,英文電子ジャーナル投稿(TQS),を満たすことができるよいコラボレーションを今後とも継続強化してまいります.
(4) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討します.特に,ANQ関係団体と交流し良い関係を作り,特に若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討します.

【学会間交流】
(1) FMES・横幹連合
 48年度も引き続き,FMES代表者会議,FMES/JABEE委員会,FMESシンポジウムに参画し,経営工学関連学会との交流,JABEEの審査活動,FMESシンポジウム等の活動に,中核団体として協力してまいります.FMESシンポジウムは,2019年3月に,OR学会の研究発表会・シンポジウムと合同で開催される予定です.
 横幹連合に関しては,2018年10月に会長懇談会,科研費分野新設検討会が予定されています.そこでの議論を受けて,今後の活動方針をあらためて検討する予定です.
(2) 横幹連合関係  
 第47年度に引き続き,横幹連合正会員としての活動を継続し,横幹連合諸行事を共催します.第8回横幹連合コンファレンスでの正会員・学会長懇談会に出席すると共に,コトつくり至宝登録候補としての「QCサークル活動」の推薦紹介を行い至宝登録活動を進めます.

7.安全・安心社会技術連携特別委員会

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム部会/社会・環境部会)等との共催の安全・安心のための管理技術と社会環境」シンポジウムを,引き続き積極的に推進します.また,自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力していきます.ISO 39001についても,認証制度の普及,支援規格の開発などについて引き続き協力していきます.

8.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会

 予測困難な社会の変化に対し,どのように社会や人生をより良いものにしていくかという目的を自ら考え,これを解決しうる力(活きる力)を育成するために,2017年3月31日に,小学校および中学校の学習指導要領,2018年3月30日に高等学校学習指導要領が公示されました.小中学校では算数科・数学科のそれぞれ各学年に共通した4領域の1領域に“データの活用”が設けられ,そして高等学校では,数学科に“データ分析”と“統計的な推測”、情報科に“情報とデータサイエンス”が設けられ,小中高一貫の統計的問題解決教育が盛り込まれました.これを受け,以下の活動などにより,新たな教育課程の円滑な実現に向けて協力します.
(1) これまでの日本の品質管理界が培ってきた主体的・協働的な科学的問題解決の知を結集し、産官学の共創への仕掛け作りを検討します.
(2) 上記の共創に向けて,新たな学習指導要領の鍵となる“次世代への数学教育”,“情報・ICT・AI世代への教育”,“産官学の連携”などの目的・考え方について、品質誌を通した周知徹底を図ります.
(3) 上記のICT・AI活用に向けての課題と問題点を明らかにし,何を初等中等教育で学ばせるべきであるかを整理し,問題解決教育の充実に協力します.
(4) 問題解決に資するデータの取り方,データベース構築の考え方を整理します.
(5) 科学的問題解決に資する科学技術教育フォーラムを平成31年3月23日に開催致します.
(6) 産よりの小中高の問題解決教育への支援の可能性,および小中高からの産学による問題解決教育への支援の必要性の現状把握のためのアンケート調査を実施します.
(7) 40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り,その質の向上に努めます.