社団法人日本品質管理学会

第41年度 自 2011年(平成23年)10月 1日
至 2011年(平成24年) 9月30日
事業計画

1.運営方針

 41年度は、学会の運営を「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」および「共通領域の推進」の4本柱で継続推進する方針としました。
 これに基づき策定した第3期中期計画の最初の年度であります。
 本学会を取り巻く環境は一段と厳しい状態にあります。今年3月に発生した東日本大震災の復旧・復興が進められ、今後5年間ほど継続して全国民の支援が欠かせません。日本市場が縮小する中で企業は事業の拡大を求めて、中国、インドなどのBRICSをはじめ、東南アジア各国への進出も増加しています。日本国内の空洞化が懸念されている中、本学会は変革する社会に貢献する品質管理を目指して産学連携を強化して中期計画を着実に実現して行く事が、「品質立国―日本の再生」への道であり、本学会が社会に認知され、そのポジションを高めていくと信じて、活動を推進して行きます。
 さらに本学会の強みを磨き弱みを改革し、社会から信頼される学会を目指し会員各位と一緒にPDCAを廻し続け、活力ある学会にして行きます。
  具体的な施策は次の通りです。
(1) 「Qの確保」
  1) 産学連携:
    ・産学双方が切磋琢磨できる研究会、発表会の企画運営
 (現在の7社の研究会の推進と見直し)
・学界の研究テーマを産業界へ紹介し共同研究の橋渡しによる活性化
  2) 信頼性・安全性計画研究会:
    ・信頼性・安全性作りこみ技術とその理論構築
・安全・安心を達成するための社会インフラ構築
  3) 統計データの質マネジメント計画研究会:
    ・新医薬品開発におけるデータマネジメント
・公的統計分野の統計情報プロダクトに関する質の確保
  4) ソフトウェア部会:
・ソフトウェアの品質確保の方法論確立
(2) 「Qの展開」
  1) 部会研究会活動の高速化と発展
・QMS部会、研究会:QMS有効活用の推進
・医療部会、研究会:医療七つ道具の試験的導入と効果検証
  2) 原子力安全特別委員会との協業(信頼性・安全性)
・政府委員会参画、原子力保安院・日本原子力学会と連携した安全管理
  3) TQE(Total Quality Education:問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会
・初等中等教育における「生きる力」育成への活動支援
  4) 運輸安全特別委員会
・ISO 39001道路安全マネジメントシステム(MS)
(3) 「Qの創造」
  1) サービス産業
・顧客価値創造の方法論の定式化と確立、サービス企業実態調査の分析
・サービス企業との共同研究推進
  2) 次世代革新技術の開発
・次世代TQMプロジェクトの推進(創造的商品設計開発手法)
・成果のまとめと発表
(4) 「共通領域の推進」
  1) 学会発信度UP
・JSQC選書(4冊刊行予定)、JSQC規格(用語規格発行予定)
  2) 学会員の質量拡大
・会員情報DBの構築と運用/賛助会員へのサービス向上
・QC検定の普及支援と合格者の学会への入会勧誘活動
・賛助会員、正会員の増加策の企画と推進
  3) 国際連携
・ANQ(Asian Network for Quality)の充実とさらなる発展
  4) 公益法人法改正
・一般社団法人への移行準備推進、2012年10月1日移行目標
     
2.総合企画委員会

 第41年度は第3期中期計画の1年目にあたり、第2期の成果と反省を踏まえて、各委員会や支部と共にPDCAを廻して討議を重ね、以下の項目を中心に目標を設定しました。本委員会は目標達成のための活動が計画通りに実行できるように関連委員会と連携しながら推進していきます。
 主な推進事項は下記の通りです。
(1) 産学連携の強化・拡大、共同研究の推進
(2) QC検定制度の普及や品質管理の考え方や技法を広め産業界の活性化
結果として、学会員の増加を図る
(3) 初等中等教育指導要領の見直しに伴う「生きる力・考える力」育成支援
(4) ANQを通したアジア諸国へのTQM普及活動を積極的に推進
(5) 公益法人法改正に伴う一般法人移行申請と運営準備

3.事業委員会

 第41年度本部行事の基本的構成は、従来と同様
(1) 年次大会、研究発表会各1回
(2) シンポジウム2〜3回
(3) 講演会1〜2回
(4) 事業所見学会3回
(5) クオリティトーク5〜6回
(6) ヤングサマーセミナー1回
を予定しております(中部支部、関西支部の行事に関しましては各支部の事業計画をご参照ください)。
 東日本大震災からの復興を目指す日本や、世界が直面する様々な課題に対して、日本的品質管理が貢献できる、そして貢献すべき分野をテーマにした事業を企画いたします。産業界が直面する重要な課題を取り上げたタイムリーなシンポジウム、講演会を開催いたします。また、学会の社会的責任に応えるべく最大限の努力をして参ります。
(1) 部会/研究会活動との連携・・・部会や研究会活動の活発化に伴い、その成果を発表する場をシンポジウム、講演会等で積極的に提供します。
(2) 品質誌との連携・・・特集記事との内容面・講演者等での連携をはかり、魅力的なシンポジウムや講演会を開催します。
(3) 研究発表会の開催・・・60件を超える発表申し込みが集まるようになっていますが、その一方で会場数を増やすと「聞きたい発表がぶつかってしまう」という意見も聞かれます。開催日を増やすなど、新たな方策を考慮します。
(4) ヤングサマーセミナーの開催・・・次世代のへのTQMの継承と発展のため、若いメンバーへの研究、交流の支援を進めていきます。
(5) コミュニケーションの場の充実・・・本来学会とは、同じ研究分野に携わる人たちのコミュニティです。会員同士の相互交流がきわめて重要です。気軽に参加できる事業などを通じて、会員間の相互交流を深めます。

4.中部支部

(1) 中部支部の基本方針
 企業を取り巻く環境は、円高・デフレに、東日本大震災が加わり、中々閉塞感から抜け出すことができない状況が続いています。日本が元気を取り戻すには、企業が活性化する必要があります。
 このためには、5年先・10年先のビジョンを描き、科学技術先進国として、持続的成長に結びつけることが重要です。今こそ若者が希望を持てる社会を作り上げるためにも、本年度も支部のテーマは、「新たな時代を見据えた、新たな成長力の確保」と置き、経営の根幹をなす「品質」にこだわり、ものづくりの現場で「Qの確保」に実効性のある活動を、現地・現物に立脚して展開すると共に、産と学に有益な活動を展開し社会に貢献します。
【スローガン】 「実践的Qの確保」の拡大・深化(仮)
産側からの問題提起と学側での掘り下げ、方法論の理論付けを行う研究会活動を基盤とし、「Qの確保」を実践するものづくりのプロセスを提案します。
産と学の連携により、ものづくりのプロセスを俯瞰しつつ、更に強固な「仕組み」と「仕掛け」の創造について議論を行い、具体化に向けた解決方法を継続的に発信します。
産と学に有益で魅力ある行事を企画し、会員の活性化と行事への参加を促します。

(2) 行事計画の具体的な進め方
1) 研究発表会 [1回/年]
  ・産と学の双方が切磋琢磨できる発表会の企画・運営及び研究会活動の成果を発表します。
  学側の新しい研究成果と産側からの具体的実践事例を組み合わせた内容を企画します。
  産学連携研究会、若手研究会(東海・北陸)、医療の質管理研究会と関連研究会の成果を発表します。
2) シンポジウム(基調講演とパネル討論会) [1回/年]
 
産学界の関心が高く、基本方針に沿ったテーマを選定し企画・運営します。
時代背景に沿ったテーマの中で、「Qの確保」について、参加者の活発な議論を通じて、問題意識に対する答えが導出できる場を目指します。
3) 講演会 [1回/年]
 
産学界の関心が高い、基本方針に沿った講演テーマを企画し、満足度の高い講演会の運営を行います。
4) 事業所見学会 [2回/年]
 
「Qの確保」に工夫や特色のある多様な業種・業態の事業所を選定します。
5) 幹事研修会 [2回以上/年]
 
行事企画、運営のレベルアップにつなげるため、幹事が研鑚・議論できる研修を企画します。
6) 研究会
 
「Qの確保」のための課題抽出と解決方法を議論し、実践につなげる場とするとともに若手の育成を図ります。
東海地区若手研究会 (名古屋工業大学 ;仁科教授) [4回/年]
北陸地区若手研究会 (金沢工業大学  ;石井教授) [発表会;2回/年]
産学連携現地現物研究会 (早稲田大学 ;永田教授) [4回/年]
中部医療の質管理研究会 (中部学院大学 ;國澤教授) [6回/年]

5.関西支部

(1)運営方針
   日本企業は、世界経済の中で勝ち残っていくために、さまざまな構造改革や将来の成長戦略構築に頭を悩ませています。また、低炭素社会の実現に向けて、太陽光発電や電気自動車など、革新的な技術開発が求められる時代となってきました。今後、日本企業がさらに成長し、グローバル競争に勝ち残っていくためには、日本企業元来の強みである「技術開発力」「品質力」ならびに、それらの元となる「人づくり」がますます重要となってきます。
 このような状況の中、これまで日本の文化や産業を支えてきた“ものづくり”“サービスづくり”の基盤を引き続き維持・発展させていくことが必要であり、このとき、品質管理の果たすべき役割はますます大きくなっています。
 関西支部では、品質力、組織・マネジメント力、現場力、顧客対応力の向上策について具体的に提言することにより品質管理のレベル向上に貢献することを目的に、事業活動のさらなる活性化を図り、より多くの会員が満足できる活動を展開していきます。

(2)事業内容
  1) 研究会  
  統計的品質情報技術開発研究会
 「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」を通してSQC活動を活性化させます。
  科学的先手管理アプローチ研究部会
 マネジメントの課題を階層別に取り上げ、日本品質管理学会が培ってきた数々のQC(信頼性、IE、OR等を含む)技術をベースにし、科学的な先手管理、源流管理へのアプローチを体系化します。
  品質管理教育教材開発研究会
 受講生が、ものづくりやそれを支える品質管理に対して興味が持てるように、学校・企業の教育分野で使える品質管理教育の教材を開発し、教育の仕方やマニュアルも併せて提案します。
2) 研究発表会 【 1回 】
   企業のニーズと学におけるシーズをマッチさせ、産学で相互に研鑽できる発表会を企画します。
3) シンポジウム 【 1回 】
   今、最も要求されているテーマを選定し、活発な議論のできるシンポジウムを企画します。
4) 講演会 【 1回 】
   “ものづくり”“サービスづくり”の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します。
5) 事業所見学会 【 2回 】
   特色のある事業所の見学を企画します。
6) QCサロン 【 5回 】
   会員サービスの充実を図るため、講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します。

(3)その他
  1) 関西支部企画運営委員会の実施 
 支部運営に関する各種の検討を行い、支部事業の活性化を図ります。
2) データ管理の質的向上と定点観測 
 支部活動に関する各種データ収集・管理を継続的に行い、支部活動の現状把握や活性化に役立てます。

6.論文誌編集委員会

 前年度方針を引き継ぎ、論文審査において、査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針は、従来と変更ありません。中計にも挙げましたが、年間の掲載数15本をめざします。
(1) 編集委員会に関する規程の見直しを行いましたので、改訂された方法に従って、投稿論文審査の迅速化を図っていきます。
(2) 国際委員会と協力して、ANQ 2012への論文発表促進と若手研究者への論文作成援助を積極的に行います。
(3) 研究発表会のbest presentation賞などの創設の可能性について検討していきます。
(4) 論文補助情報のWebによる公開について、第40年度に設定した基本方針に基づき詳細を定めます。

7.学会誌編集委員会

 第41年度は、学会員の方々が高い関心をもつ様々な分野において、最新情報や基礎知識をまとめた特集を企画していきます。なお、前年度の委員会方針で、既に以下の特集企画が予定されています。
  Vol.41-4(2011年10月発行予定):『品質管理事はじめ(ルーツを探る)第2報』
Vol.42-1(2012年 1月発行予定):『デミング賞受賞企業における方針管理の発展と課題』
Vol.42-2(2012年4月発行予定):『グローバル化した経営環境における人材育成と技術継承』
 第41年度-第42年度では、上記特集に引き続き、ソフトウエア品質、技術経営、機械安全、医療安全、災害リスクマネジメント、各種未然防止手法などの企画に取り組んでいく予定です。さらに、学会員の研究活動や産学連携の取組みが活発になるように、また本学会に関心を寄せる方々に入会してもらえるように、他の委員会、部会、研究会などと協調しながら、新しい企画を積極的に実施していきます。

8.広報委員会

 学会員・非会員の双方に対しJSQCの存在感や認知度を高め、品質管理に関して産業界に役立つような意見表明や解説、各種活動の内容や記録などを広く発信していきます。
(1) Webサイトのアクセス数の増大をはかるために、閲覧性を高めるべく内容の整理などを行い、品質管理一般および学会の最新動向を迅速に掲載するよう努めます。
(2) 学会活動を学会員・非会員により深く認知し理解して頂くため、各種活動の内容を写真やビデオなどで撮影・録音し、オンラインで配信するスキームを検討していきます。
(3) 広報活動の充実をはかるため、学会誌、JSQCニュース、Webサイトなど各種媒体の連携を検討していきます。

9.会員サービス委員会

 会員増強・・・特に賛助会員会社に対するメリットを新設・強化し、賛助会員退会を防止し、新入会を促進します(実施段階へ)。正会員に関してはQC検定の合格者に対する資格制度(JSQC認定・品質技術者(仮称))を41年度中に発足させ、安定的かつ意欲的な新規会員増強へと導きます。これにより学会事業への参加者も増えることが期待されます。フェロー会員制度、賛助会員へのメリット強化は、継続的に検討を重ね、可能なものから実施に移します。
 TQE(初中等学校での問題解決教育)への協力・・・将来の学会の基盤を安定させるために、現在進行中のTQE特別委員会に協力し、若年層入会への布石を打つように努力いたします。
 会員資格審査・・・理事会のご協力をいただく中で粛々と実施してまいります。

10.規定委員会

 公益法人法への対応により必要となる定款変更及びそれに伴う規程・内規及びマニュアルの見直しを、公益法人法対応特別委員会と連携して実施すると同時に、規定類間の繋がり/相互関係をより明確にしていきます。
 また、庶務委員会をはじめとする各委員会からの要請に基づき、連携を取りながら新規制定、改訂、廃棄等の維持管理を、適切に行います。

11.研究開発委員会

 現在5つの計画研究会が活発に活動しております。今年度も継続して、研究を推進できるよう支援します。また、昨年は、産業界所属会員等が品質管理関連で抱えている問題等を気楽に議論できる場であるワークショップが1つ立ち上がりました。今後もこのワークショップの立ち上げを支援し、研究会活動へつなげていきたいと考えています。さらに、これらの研究会やワークショップの活動を通じて、産学官等の連携事業を積極的に支援します。

(1) テクノメトリックス研究会
   テクノメトリックス研究会では、40年度に引き続き、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を目指します。具体的には、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い品質管理の手法として確立できるようにします。その中では、MT法を中心とした全般、統計的手法の理論的側面、解析事例、解析手順などさまざまな視点から研究をします。また、昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度を考えています。そして研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会や品質誌の投稿論文などで発表します。昨年度くらいから定着しつつある若いメンバーと、積極的に議論を続けます。
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会
   従来までの研究活動を継続して、第41年度もわが国の医療の質向上への貢献を図ることを目的とし、医療関係者と品質管理関係者の相互交流を通じて、医療における品質管理や総合的「質」経営に関する検討を進める予定です。
 具体的には、
  1) 「医療のTQM七つ道具」(仮称)の完成と広報・周知
    医療TQM七つ道具に関する単行本を2011年12月日本規格協会から出版します。
    出版に当たって、出版記念講演会を含めて、各種講演会を開催し、周知・普及に努めます。
    全国の病院での医療のTQM七つ道具の具体的な活用方法・対策具体例を収集します。
    それらをまとめて、医療のTQM七つ道具事例集をpptにまとめて公表するか、単行本を発刊します。
  2) 医療機関におけるTQM普及を促進する医療制度・政策のあり方の提案
    産科医療補償制度の導入など医療事故に関する補償制度等の枠組みが大幅に変化しようとしている今日、医療関係者と品質管理関係書の相互交流の場である医療経営の総合的「質」研究会としては、原因究明と補償制度との関係などについての提言等実施していきたいと考えています。
    TQMの基本的な考え方、組織的推進方法、ツールの活用方法について概念整理し、その結果を学会発表・論文投稿していきます。
    国内外の医薬品・医療機器メーカー等におけるTQM実施状況とそれに関連する制度・政策に関して調査し、その結果を学会発表・論文投稿していきます。
  3) TQMに基づく質保証システムを病院建築に活用可能かどうかの検討とBCP作成チェックリストの提案
   上記を踏まえて、全日本病院協会と協力して、病院経営改善のための講演会を年度中数回予定しています。
       
(3) 信頼性・安全性計画研究会
   第一期(36-38年度)と39、40年度の成果に基づいて、下記の項目に関し、分野ごとのベストプラクティスの収集と解析、ケーススタディ、委員の研究成果の報告、委員間の情報共有と討議を行い、災害リスクへの備えという視点を重視してQRISフレームワークの具体化・深化に取り組みます。また、41年度を持って第二期3ヵ年が終了するので、活動の成果の取りまとめを行います。
  1) 信頼性・安全性作りこみ技術とその理論構築
    新規トラブル未然防止法の高度化
    次世代品質・信頼性情報システムの具体化と深化
    ハザードに着目した根本原因分析(RCA)の高度化
  2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
    品質と安全を重視する組織文化の確立
    ユーザ・メーカ・社会行政の三者の協業による信頼性・安全性確保のための方法論
    信頼性・安全性作りこみの視点からの管理職教育と品質管理教育の高度化
  3) 研究成果のとりまとめと情報発信
    研究会での成果のまとめ
    学術講演会、シンポジウム等での積極的な情報発信
   
(4) サービス産業における顧客価値創造研究会
   第41年度の主な活動は以下の通りです。
  1) 第4回サービス産業実態調査の分析:
 サービス産業の従事者対象のアンケート調査を分析し、実態を明らかにします。
  2) サービス産業(販売業)G社との共同研究:
 40年度から継続しているアンケート調査・ポジショニング分析・コンジョイント分析により、売上とブランドイメージを向上させる販売サービスの企画を行います。
  3) サービス産業向きのシステマティックな方法論の定式化:
 以上の種々の研究成果と研究会内部での議論を踏まえ、具体的で活用できる方法論を提案する準備をいたします。
 
(5) 統計・データの質マネジメント研究会
  1) 新たに内閣府統計委員会担当室も賛助会員としてメンバーに加わり、公的統計のプロセス品質保証のためのISO20252利用の可能性についてのテーマについて一定の結論を取りまとめてまいります。更に、国連統計委員会が今年度末までに起案すると予想されている公的統計の質保証のガイドライン作成へのインプットや、来年5月に欧州の公的統計団体が開催される質保証の研究会などにも、当研究会の報告など、国際的情報発信にも努めます。
  2) 医薬品データマネジメント分野のプロセスの質についても11月に京都で開催される国際会議などで日本と他国とのアプローチの差などに関する情報収集を行い、研究会メンバーに還元します。
  3) GUMの利用可能性については、特定のケースを取り上げ検討を開始します。特に、加工統計に関わるプロセスを検討対象とできればと考えています。これと関連して、加工統計の設計の質(企画の質は当面検討しない)についての基礎理論の検討を第3のテーマとして活動を立ち上げます。

12.国際委員会

  第41年度の国際委員会は、第41年度の活動を基盤に、以下の事業を実施します。
(1) 第10回ANQ(Asian Network for Quality)大会への協力
 2012年夏に、香港で第10回ANQ大会の開催が予定されています。中国のCAQと香港のHKSQの共催となります。主体はANQ理事会のメンバー組織でないHKSQであるため、支援を行っていく予定です。日本からの参加者についても、ANQでのリーダーシップを発揮できるよう、引き続き多くの参加者を募る予定です。また、若手研究者の育成を目指した、若手研究者への旅費支援援助を継続します。
(2) ANQの安定的発展のための調整
 2012年の春にロシアで、夏には香港で、ANQ理事会が予定されています。JSQCとしてもANQの発展に積極的に関与しています。ANQ理事会に先立って行われるANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会)にも委員を派遣し、良い方向に導けるよう議論をリードします。ANQの参加組織も着実に増加し、アジア以外の組織も参加する情勢にあり、その中でリーダーシップを発揮できるようANQ Board meetingに出席予定です。
(3) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討する予定です。特に、ANQ関係団体と交流し良い関係を作りはじめました。更に、ANQ関係団体以外に対しても若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討中です。

13.標準委員会

 JSQC規格「品質管理用語」を発行します。また、他の委員会/部会と連携を取りながら、品質管理の普及・発展のために標準化が必要な領域を明確にし、その中のいくつかについてJSQC規格発行に向けた作業を行います。候補としては、「プロセス保証」「日常管理」「小集団改善活動」のほか、ISO 9001に基づくマネジメントシステム、その認証をより役立つもの、信頼性の高いものにするための指針などがあがっています。さらに、発行したJSQC規格のJIS化について検討を行います。

14.FMES、横幹連合関連

 41年度も引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等の活動に、中核団体として協力してまいります。FMESシンポジウムの際に、FMES代表者会議メンバーが集まり、経営工学の現状と将来像に関するパネルディスカッションを行う予定です。
 横幹連合に関しては、どのような関わり方をすべきかについて方針を検討し、今後の活動計画を明確にしていきます。

15.研究助成特別委員会

 第41年度も引き続き若手研究者や留学生に対する研究助成を行います。
 募集要項の主な内容は以下の通りです。
「助成金額は1件5万円で4件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者とします。留学生に対しては審査時に配慮します。すでに2回採択された者は選考対象から外し、助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外の国際会議での研究発表への旅費支援も含めます。期間は1年間(2011年10月から2012年9月)です。」

16.QC相談室特別委員会

 本相談室の機能に対する広報は学会ホームページにおいてなされている。しかし、“学会”という敷居の高さが強調され、“気楽に質問する”という認識を学会員に徹底できていない可能性がある。41年度は、相談室の“気楽さ”を積極的にアピールする広報活動が必要である。学会主催のシンポジウム、研究発表会、事業所見学会およびニューズなどを通じた広報手段の有機的活用を検討したい。

17.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会

 初等中等統計教育が“生きる力”をはぐくむ教育となるべく、39年度ならびに40年度の活動を継承し、以下の取組みを行って参ります。
(1) 産官学協力の下に JSQC主催 第2回 科学技術教育フォーラム「科学技術立国を支える問題解決教育」を開催いたします。
(2) 初等中等統計教育における「生きる力」育成への活動支援として、40年度に設立された統計グラフ全国コンクールにおける 日本品質管理学会賞の周知・徹底を図り、応募件数の増加と、その質の向上に努めます。
(3) 「JSQC問題解決オリンピック」の設立に向け、検討を進めます。
(4) 40年度に検討した問題解決のステップをさらに洗練し、普及すべく、多くの事例を作成し、JSQC HPでのWEB公開を行い、問題解決力向上とその啓蒙・普及を図ります。
(5) 上記の問題解決ステップを、シンポジウムなどを通して啓蒙・普及し、小中高の先生方への教育支援を行います。
(6) JSQCとQCサークル本部との連携の下に、初等中等統計教育における小中高の先生方への支援体制を構築し"生きる力"の育成と、日本の産業界の発展に努めます。
(7) 初等中等問題解決力向上へのQC検定の役割を検討します。

18.原子力安全特別委員会

 40年度に引き続き、日本原子力学会(社会・環境部会/ヒューマンマシンシステム部会)等の共催による「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を2012年3月に開催します(テーマは「安全確保と信頼・理解の醸成」)。それ以降は予算が切れるため、継続的な開催ができるよう検討を行います。
 また、原子力安全基盤機構や社会安全研究所が中心となって進めている「ヒューマンファクターを主体とした安全管理技術に関する課題の整理と戦略マップの作成」などへの参画・協力を継続して行います。

19.運輸安全特別委員会

 40年度に引き続き、ISO 39001「道路安全マネジメントシステム−要求事項と使用のための指針−」の国内審議委員会(自動車事故対策機構)、国土交通省の「運輸審議会運輸安全確保部会」などへの参画・協力を行います。
 また、運輸安全マネジメントの実践において品質管理分野から研究すべき課題を明らかにするための検討会を開催し、その結果をもとに、研究課題のロードマップ、研究に取り組むための体制の検討を行います。

20.JSQC選書刊行特別委員会

 「JSQC選書=品質管理に関する、非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく、引き続き、品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍(4冊程度)の発刊を目指します。
 並行して、第42年度以降の選書テーマ候補を充実させ、時宜を得た発行計画の立案を行います。その際、前年度に発刊したJSQC選書3冊に対する読者の声の収集・把握に努め、今後のテーマ選定等に活かすとともに、必要があれば、テーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します。書籍の内容と購入者の傾向や関係を探ることも考えます。
 また、JSQC選書の知名度向上に向け、有効な広報策について検討・実践を試みます。

21.公益法人法対応特別委員会

 2011年7月において内閣府に一般社団法人移行認可申請を行っておりますが、内閣府からの指摘に伴い、40年度通常総会にて、定款変更案の変更、役員等選挙規程の変更の承認をもらい、内閣府に再申請する予定です。41年度中には、正式な移行認可と登記が行われる予定です。なお、移行認可・登記が行われた後の学会運営がスムーズに進むよう、少なくとも41年度中は本委員会の活動を継続して行います。

22.部会

(1) ソフトウェア部会
  1) 実践的知識の集積・形式知集の作成
 ここ数年取り組んでいる研究活動を継続し、ソフトウェア開発における日本的品質管理のやり方・ノウハウを集積し、実践的でかつ効果的な知識としてまとめます。これは既にWebサイトで公開した形式知集をさらに充実させる活動です。また、今までの成果を品質誌の特集号にて公開する予定です。さらに、研究成果の出版やそれに関するシンポジウムの開催などを目指します。
  2) 対外活動
 昨年度に引き続き、ソフトウェア関連の各種行事を後援し、部会メンバーの便宜を図るとともに、部会自体の広報を図ります。
  3) 新たな活動
 ソフトウェア品質管理に関係する新たな活動を検討します。このことにより、部会メンバーへのサービスの向上を目指します。
   
(2) QMS有効活用及び審査研究部会
   第3期研究活動に引き続き、第4期研究活動を2011.8から次の7つのWGで、1回/月の頻度で研究活動を開始しました。WGのテーマは次の通りです。
WG1:適合性を証明する審査の研究2
WG2:第3期のWG1の研究成果「適合性を証明する審査」の検証
WG3:ビジネスプロセスにおけるQMSの位置付け(継続)
WG4:経営に役立つ『自己適合宣言』の研究
WG5:次世代対応の第二者監査技法の研究
WG6:有効性を高める審査活動のためのツール開発
WG7:経営に貢献するISO9001 推進の研究2
 なお、研究成果は研究報告会などで報告する予定です。
 
(3) 医療の質・安全部会
   第41年度も前年度に引き続き、研究活動はPCAPS、医療QMS等を中心に進めてまいります。医療QMSについては、これまでの5年間の活動により基礎となるQMSモデルの開発が進み、8病院での導入・推進が終わり、さらに2病院へ新規に導入・推進しています。今後は、組織的改善のための方法論の開発とともに、医療界全体への啓発・推進活動を進めていく予定です。2012年3月には、PCAPSと医療QMSのシンポジウムを開催する予定です。研究成果の発表は、JSQCだけでなく、医療関連の学会でも積極的に発表してまいります。
 教育・啓蒙活動については、9月に医療の質マネジメント基礎講座が終了しましたので、受講生からのフィードバックを受けて、内容の見直しを行い、次年度の計画を立案する予定です。さらに、教材の開発にも取り組んでまいります。今年度は、これまでの成果やテキストの出版化を進めます。
 部会員数については、医療者の入会がさらに増えるように、広報活動を行っていきます。