社団法人日本品質管理学会

第40年度 自 2010年(平成22年)10月 1日
至 2011年(平成23年) 9月30日
事業計画

1.運営方針

 本学会は、設立40周年を迎えます。この40年間に構築された日本的品質管理TQMの理念と体系は、産学共創活動を通して、今や、欧米のみならず新興国へと伝わり、全世界の品質レベルの向上に大きく貢献して参りました。
 グローバル化がさらに進む今日、生産のみでなく市場も中国・インドなどのBRICsをはじめとする新興国に求めなくてはなりません。これらの国の中産階級層をターゲットとする“品質”の再定義、即ち“顧客満足”を新たに究明し、その達成への“戦略”を産官学が一体となり進めていく必要があります。このとき、使われ方、環境、文化・慣習の全く異なる条件下での「Qの確保」への愚直な取組が重要であることはいうまでもありません。魅力的品質に加え、品質と安全性は絶対に譲らないMade in Japanのグローバル下でのTQMの理念と体系をさらに洗練して行きたいと思います。
 以上を達成すべく、40年度もJSQC第2期中期計画に準じ、「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」、「共通領域の推進」の4本柱を学会運営方針と致します。特に本学会の特徴である“産学”の更なる交流と共創活動を基盤としてこれらを推し進めて参ります。

  具体的な施策は次の通リです。
(1) 「Qの確保」に関しては、産と学の双方が切磋琢磨できる発表会の企画・運営及び研究会活動を推し進めます。また、JSQC会員データベースを通して、学よりの研究テーマを産の方々へ周知し、産学連携の共同研究のさらなる推進に努めます。特に、「未然防止」「自工程完結」「グローバル調達」など「Qの確保」のための課題抽出と解決方法を議論し、実践につなげることを推し進めます。これらとともにインターネットを用いた次世代信頼性・安全性情報システムの理論研究とフレームワーク構築を目指します。さらに、39年度に発足した統計・データの質マネジメント研究会を通して、新医薬品開発におけるデータマネジメント並びに公的統計分野での統計情報のプロダクトに関する質の確保と向上に努めます。
(2) 「Qの展開」は医療・原子力に加え、運輸の質と安全の向上、ならびにQMS有効活用を推し進めて参ります。また、医療分野の若手研究者への研究奨励、論文の発表とその成果の発信を進め、原子力安全に関する当学会と経済産業省・原子力学会・原子力安全機構とのさらなる協業を進めます。 さらに、初等中等統計教育における「生きる力」育成への活動支援として、39年度にて企画した表彰制度の実施、問題解決事例の作成・蓄積とWEBへの公開、教員・教育委員会委員を対象とするシンポジウムの開催、教科書・指導書への統計的問題解決法の導入活動を推し進めます。
(3) 「Qの創造」はサービス産業における顧客価値創造研究会を中心に、サービス産業実態調査の分析ならびにサービス産業(販売業)A社との共同研究を通して、サービス産業向きのシステマティックな方法論の開発を行います。
(4) 「共通領域の推進」では、JSQC会員満足度調査において、新規サービスの期待が最も高かった“論文の易しい解説記事の新設” を果たし(品質誌 Vol.40, No.3新設)、これをさらに充実させていきます。会員サービスとしては、QC検定合格者・QMS審査員・QMS審査登録機関との連携を推し進め、個人会員・賛助会員の増加を図ります。また、国際連携では、ANQ(Asian Network for Quality)組織のさらなる充実と安定を図り、ベトナム大会への協力とアジアの品質管理分野の関係者との連携強化を図ります。
   JSQC40周年記念事業として、記念シンポジウムの開催(2011年5月27日、於電通大)と記念誌「あゆみ」を発刊致します。皆様の記念シンポジウムへのご参加を期待申し上げます。

2.総合企画委員会

  第40年度は第2期中期計画の3年目にあたり、第1期ならびに昨年度の成果と反省を踏まえて、各委員会や支部とともに討議を重ね、以下の項目を中心に方法付けと推進を行って参ります。主な推進事項は下記の通りです。
(1) 初等中等統計教育における「生きる力」育成への活動支援として、39年度にて企画した表彰制度を実施し、また、問題解決事例の作成とWEBへの公開などを行い、教科書・指導書への統計的問題解決法の導入に向けての活動をさらに推し進めます。
(2) JSQC40周年記念事業として、記念シンポジウムの開催(2011年5月27日)と記念誌「あゆみ」を発刊致します。
(3) 会員情報DBを効果的に運用し、さらなる産学連携の強化・拡大に努めます。
(4) 若手人材育成に関して、研究支援ならびにJSQC Activity Acknowledgementにて表彰を行います。
(5) ANQを中心とする国際活動へのさらなる積極的推進を行います。
(6) 40周年記念の企画実現の為、その予算の確保を図ります。
(7) QC検定合格者へのサービス提供についてさらなる検討を行い、品質管理の啓蒙・普及に努め、その結果としてJSQC会員の増強に努めます。
(8) 公益法人法改正への対応にむけて、さらなる検討を推し進め、40周年記念シンポジウムにて、法人化の方向を宣言します。
(9) 内閣府の要請に基づき39年度より開始された「統計」に関する情報の質管理研究会のさらなる充実を図ります。

3.事業委員会

 第40年度本部行事の基本的構成は、従来と同様
  (1) 年次大会、研究発表会各1回
  (2) シンポジウム3回
  (3) 講演会1回
  (4) 事業所見学会3回
  (5) クオリティパブ5〜6回
  (6) ヤングサマーセミナー1回 を予定しております。
 (中部支部、関西支部の行事に関しましては各支部の事業計画をご参照下さい)
 日本やアジア、及び世界が直面する様々な課題に対して、日本的品質管理が貢献できる、そして貢献すべき分野をテーマにした事業を今後も企画いたします。特に、産業界が直面する重要な課題を取り上げたタイムリーなシンポジウム、講演会等を開催いたします。会員は言うに及ばず、学会の社会的責任に応えるべく最大限の努力をして参ります。
(1) 部会/研究会活動との連携・・・部会や研究会活動の活発化に伴い、その成果を発表する場をシンポジウム、講演会等で積極的に提供します。
(2) 品質誌との連携・・・特集記事との内容面・講演者等での連携をはかり、魅力的なシンポジウムや講演会を開催します。
(3) 研究発表会の開催・・・60件を超える発表申し込みが集まるようになっていますが、その一方で会場数を増やすと「聞きたい発表がぶつかってしまう」という意見も聞かれます。開催日を増やすなど、新たな方策を考慮します。
(4) ヤングサマーセミナーの開催・・・次世代のへのTQMの継承と発展のため、若いメンバーへの研究、交流の支援を進めていきます。
(5) コミュニケーションの場の充実・・・本来学会とは、同じ研究分野に携わる人たちのコミュニティです。会員同士の相互交流がきわめて重要です。気軽に参加できる事業などを通じて、会員間の相互交流を深めます。

4.中部支部

(1) 中部支部の基本方針
 「円高・デフレ・グローバル化」という、足取りのおぼつかない「低温景気」の中で、今必要とされるのは、「新たな時代を見据えた新たな成長力の確保」です。このためには、日本が本来持っている強みである“技術開発力”、“品質力”、ならびにそれらの元となる“人づくり”がますます重要になっています。
 このための品質経営を実践し、ものづくりの真髄である製品品質を凌駕するうえで、ものづくり現場での「Qの確保」に実効性のある活動を、現地・現物に立脚して展開すると共に、産と学に有益な活動を展開します。
  【スローガン】 産学連携による『実践的Qの確保』の普及・拡大
産と学に有益で魅力ある行事を企画し、会員の活性化と行事への参加増を促します。
産側からの問題提起と学側での掘り下げ、方法論の理論付けを行う研究会活動を基盤とし、「Qの確保」を実践するものづくりのプロセスを提案します。
産と学の連携により、ものづくりのプロセスを俯瞰しつつ、更に強固な「仕組み」と「仕掛け」の創造について議論を行い、具体化に向けた解決方法を継続的に発信します。
第U期中期計画の最終年度として、産学が連携し「Qの確保」、一気通貫のプロセスの普及・拡大をめざします。
中部支部30周年記念行事を企画・開催します。

(2) 行事計画の具体的な進め方
1) 研究発表会 [1回/年]
  ・産と学の双方が切磋琢磨できる発表会の企画・運営及び研究会活動の成果を発表します。
  学側の新しい研究成果と産側からの具体的実践事例を組み合わせた内容を企画します。
  産学連携研究会、若手研究会(東海・北陸)、医療の質管理研究会と関連研究会の成果を発表します。
2) シンポジウム(基調講演とパネル討論会) [1回/年]
  ・産学界の関心が高く、基本的な考え方に沿ったテーマを選定し企画・運営します。
・新たな成長力の確保から観た「Qの確保」について、活発な議論を通じ、参加者の問題意識に対する答えが導出できる場を目指します。
3) 講演会 [1回/年]
  ・新たな時代を見据えた講演テーマを企画し、参加者に対し、満足度の高い講演会を行います。
4) 事業所見学会 [2回/年]
  ・「Qの確保」に工夫や特色のある多様な業種・業態の事業所を選定します。
5) 幹事研修会 [2回以上/年]
  ・行事企画、運営のレベルアップにつなげるため、幹事が研鑚・議論できる研修を企画します。
6) 研究会(「Qの確保」のための課題抽出と解決方法を議論し、実践につなげる場とします)
  ・東海地区若手研究 ;(名古屋工業大学;仁科教授) [1回/2ケ月; 6回/年]
・北陸地区若手研究会;(金沢工業大学;石井教授) [2回/年]
・産学連携現地現物研究会;(早稲田大学;永田教授、学側・名古屋工業大学/仁科教授、産側・トヨタ自動車(株) / 渡邉技監) [4回/年]
・中部医療の質管理研究会;(朝日大学;國澤教授) [6回/年]

5.関西支部

(1)運営方針
 

 日本企業は、世界経済の中で勝ち残っていくために、さまざまな構造改革や将来の成長戦略構築に頭を悩ませています。また、低炭素社会の実現に向けて、日本の温室効果ガス削減中期目標も発表され、太陽光発電や電気自動車など、革新的な技術開発が求められる時代となってきました。
 今後、日本経済がさらに成長し、日本企業がグローバル競争に勝ち残っていくためには、日本元来の強みである「技術開発力」「品質力」ならびに、それらの元となる「人づくり」がますます重要となってきます。
 このような状況の中、これまで日本の文化や産業を支えてきた“ものづくり”“サービスづくり”の基盤を、今こそ、引き続き維持・発展させていくことが必要であり、品質管理の果たすべき役割はますます大きくなってきています。
 関西支部では、品質力、組織・マネジメント力、現場力、顧客対応力の向上策について具体的に提言することにより品質管理のレベル向上に貢献することを目的に、事業活動のさらなる活性化を図り、より多くの会員が参加できる活動を展開していきます。


(2)事業内容
  1) 研究会  
1
統計的品質情報技術開発研究会
  「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」を通してSQC活動を活性化させます。
2
科学的先手管理アプローチ研究部会
  マネジメントの課題を階層別に取り上げ、日本品質管理学会が培ってきた数々のQC(信頼性、IE、OR等を含む)技術をベースにし、科学的な先手管理、源流管理へのアプローチを体系化します。
3
品質管理教育教材開発研究会
  学生が、モノづくりやそれを支える品質管理に対して興味が持てるように、学校・企業の教育分野で使える品質管理教育の教材を開発し、教育の仕方やマニュアルも併せて提案します。
2) 研究発表会 【 1回 】
  企業のニーズと学におけるシーズをマッチさせ、産学で相互に研鑽できる発表会を企画します。
3) シンポジウム 【 1回 】
  時代の先端をいくテーマを選定し、活発な議論のできるシンポジウムを企画します。
今年度は、「環境」をテーマに「〜(社)日本品質管理学会40周年記念〜関西支部20周年記念シンポジウム」を企画します。
4) 講演会 【 1回 】
  “ものづくり”“サービスづくり”の発展に寄与できる魅力ある講演会を企画します。
5) 事業所見学会 【 2回 】
  特色のある事業所の見学を企画します。
6) QCサロン 【 5回 】
  会員サービスの充実を図るため、講話とざっくばらんな質疑応答ができるサロンを企画します。

(3)その他
(1) 関西支部企画運営委員会の実施 
支部運営に関する各種検討を行い、支部事業の活性化を図ります。
(2) データ管理の質的向上と定点観測
支部活動に関する各種データ収集・管理を継続的に行い、支部活動の現状把握、活性化に役立てます。

6.論文誌編集委員会

(1) 前年度方針を引き継ぎ、論文審査において、査読意見を参考にしつつも論文誌編集委員会の主体的な判断に基づき採択の可否を決定していきます。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載する方針は、従来と変更ありません。中計にも挙げましたが、年間の掲載数15本をめざします。
(2) 編集委員会に関する規程の見直しを行いましたので、改訂された方法に従って、投稿論文審査の迅速化を図っていきます。
(3) 国際委員会と協力して、9thANQへの論文発表促進と若手研究者への論文作成援助を積極的に行います。
(4) 40周年記念事業の一つである「あゆみ」の作成を進めていきます。
(5) 研究発表会のbest presentation賞などの創設の可能性について検討していきます。

7.学会誌編集委員会

 第40年度は、引き続き世間の関心の高い分野、会員の関心の高い分野に焦点を当てた企画とするよう検討して参ります。また、本部や各支部主催のシンポジウムからもテーマを検討して参りますので、ご協力をお願い致します。
  現在のところは以下のテーマを予定しています。
  Vol.40-4(2010年10月発行予定):『製品・サービスの質を支える品質技術者の育成』
Vol.41-1(2011年 1月発行予定):『環境経営と品質』
Vol.41-2(2011年 4月発行予定):『QMSの審査技法と有効活用』
Vol.41-3(2011年 7月発行予定):『40周年記念特集』

8.広報委員会

(1)Web活性化による学会活動の積極的広報
 Webページを「マイクロURL」化すると同時に、研究会活動、部会、委員会活動などの議論や成果を積極的に掲載していきます。マイクロURL化によって、特定のキーワードによる検索で、強く関連するページがヒットしやすくなることが期待され、品質関連の個人ブログやTwitterなどからのリンクも容易になります。これらを通じて、学会活動の「口コミ」促進を図ります。
(2)プレスリリースの充実と企画記事の掲載
 昨年度試験的に掲載した「JSQC評論」はおかげさまで多くの反響をいただきました。

9.会員サービス委員会

会員増強・・・特に賛助会員会社に対するメリットを新設・強化し、賛助会員退会を防止し、新入会を促進します。正会員に関してはQC検定の合格者に対する勧誘を継続する一方、新たな会員勧誘の道をさぐる所存です。
TQE(初中等学校での問題解決教育)への協力・・・将来の学会の基盤を安定させるために、現在進行中のTQE特別委員会に全面的に協力し、若年層入会への布石を打つように努力いたします。
会員満足度調査の活用・・・総合企画委員会、事業委員会、広報委員会などと連携し、例えば産学交流の促進、会員同士の交流の場の創設、論文のやさしい解説記事の設置などを促進していきます。
会員資格審査・・・理事会のご協力をいただく中で粛々と実施してまいります。

10.規定委員会

 公益法人法への対応により必要となる定款変更及びそれに伴う規程・内規及びマニュアルの見直しを、公益法人法対応特別委員会と連携して実施すると同時に、規定類間の繋がり/相互関係をより明確にしていきます。
 また、庶務委員会をはじめとする各委員会からの要請に基づき、連携を取りながら新規制定、改訂、廃棄等の維持管理を、適切に行います。

11.研究開発委員会

 昨年度から計画研究会が1つ増え、現在5つの計画研究会が活発に活動しております。今年度も継続して、研究を推進できるよう支援します。また、産業界所属会員等が品質管理関連で抱えている問題等を気楽に議論できる場であるワークショップが1つ立ち上がりました。これらの研究会やワークショップの活動を通じて、産学官等の連携事業を積極的に支援します。さらに、他の研究会の設立に関しても、広く会員に周知し、新しい研究会等が活動できるように支援していきます。

(1) テクノメトリックス研究会
   テクノメトリックス研究会では、39年度に引き続き、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を目指します。具体的には、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い品質管理の手法として確立できるようにします。その中では、昨年度に引き続きタグチメソッド全般とMTシステムについて重点的に議論します。また、昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度の開催を考えています。そして研究成果については、JSQC研究発表会、年次大会や品質誌の投稿論文などで発表します。昨年度は若いメンバーが増えました。さらに増えるよう工夫をします。
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会
   従来までの研究活動を継続して、第40年度もわが国の医療の質向上への貢献を図ることを目的とし、医療関係者と品質管理関係者の相互交流を通じて、医療における品質管理や総合的「質」経営に関する検討を進める予定です。
具体的には、
  1) 「医療のTQM七つ道具」(仮称)の完成と周知
    ①「医療のTQM七つ道具」(仮称)テキストを12月中に完成
    ②「医療のRQM七つ道具」(仮称)を試験的に導入し、その効果検証
  2) 医療機関におけるTQM普及を促進する医療制度・政策のあり方の提案
    ①TQMの基本的な考え方、組織的推進方法、ツールの活用方法について概念を整理し、その結果を学会発表・論文投稿
    ②先進的な取り組みを行う国外の医療機関におけるTQM実施状況(例:MB賞受賞病院事例)に関して調査し、その結果を学会発表・論文投稿
    ③国内外の医薬品・医療機器メーカー等におけるTQM実施状況とそれに関連する制度・政策に関して調査し、その結果を学会発表・論文投稿
  3) TQMに基づく病院建築に伴う質保証の現状の把握
    ①現状の把握とTQMに基づく病院建築質保証チェックリストの開発
    ②病院建築・移転に伴うPDPC手法の活用
    上記をふまえて、全日本病院協会と協力して、病院経営改善のための講演会を年度中3回予定しています。
       
(3) 信頼性・安全性計画研究会
   第一期(36-38年度)と39年度の成果に基づいて、下記の項目に関し、分野ごとのベストプラクティスの収集と解析、ケーススタディ、委員の研究成果の報告、委員間の情報共有と討議を行い、QRISフレームワークの具体化・深化に取り組みます。なお、QRISの研究は、科研費基盤研究(A)「次世代品質・信頼性情報システムの研究と開発(代表:鈴木和幸)」として採択されているので、当該研究グループとの連携をとりながら、本研究会の活動を推進します。
  1. 信頼性・安全性作りこみ技術
    1)新規トラブル未然防止法の高度化
    2)次世代品質・信頼性情報システムの具体化と深化
    3)ハザードに着目した根本原因分析(RCA)の高度化
  2. 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
    1)品質と安全を重視する組織文化の確立
    2)ユーザ・メーカ・社会行政の三者の協業による信頼性・安全性確保のための方法論
    3)信頼性・安全性作りこみの視点からの管理職教育と品質管理教育の高度化
  3. 研究成果のとりまとめと情報発信
    1)研究会での成果のまとめ
    2)学術講演会、シンポジウム等での積極的な情報発信
   
(4) サービス産業における顧客価値創造研究会
   第40年度の主な活動は以下の通りです。
 1) 第3回サービス産業実態調査の分析・・・2010年9月に実施したサービス産業の従事者対象のアンケート調査を分析し、第40回年次大会にて発表します。
 2) サービス産業(販売業)A社との共同研究・・・本年12月迄を目途に、販売対象者へのグループインタビューを行い仮説案を抽出し、アンケート調査・ポジショニング分析・コンジョイント分析により、売上とブランドイメージを向上させる販売サービスの企画を行います。
 3) サービス産業向きのシステマティックな方法論の定式化・・・以上の種々の研究成果と研究会内部での議論を踏まえ、具体的で活用できる方法論を提案する準備をいたします。
 
(5) 統計・データの質マネジメント研究会
   毎月研究会を実施します。2010年12月までは、現状把握として、新医薬品開発におけるデータマネジメント並びに公的統計分野での統計情報のプロダクトに関する質表示の現状と問題についての議論を深め、統計・データのアウトプットの質保証・質管理の在り方を議論します。2011年1月以降、情報・データ収集の質についてプロセスの質保証、デザインの質の問題を抽出するとともに、情報加工の質の問題をどのように扱うかなど毎回テーマを決めて議論を進めます。2011年5月の研究発表会での報告、2011年9月の統計関連学会連合大会での企画セッションなどを目指しての活動を続けます。

12.国際委員会

  第40年度の国際委員会は、第39年度の活動を基盤に、以下の事業を実施します。
(1) 第9回ANQ(Asian Network for Quality)大会への協力
 2011年秋に、ベトナムで第9回ANQ大会の開催が予定されています。ANQ理事会のメンバー組織でないVQAH (Vietnam Quality Association of Ho Chi Minh City)が主催であるため、一層の支援を行っていく予定です。日本からの参加者についても、ANQでのリーダーシップを発揮できるよう、引き続き多くの参加者を募る予定です。若手研究者の育成を目指した、若手研究者への旅費支援援助を継続します。
(2) ANQの安定的発展のための調整
 2011年の春にシンガポールで、秋にはベトナムで、ANQ理事会が予定されています。JSQCとしてもANQの発展に積極的に関与しています。ANQの参加組織も着実に増加し、アジア以外の組織も参加する情勢にあり、その中でリーダーシップを発揮できるようANQ Board meetingに出席する予定です。
(3) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討する予定です。特に、ANQ関係団体と交流し良い関係を作りはじめました。更に、ANQ関係団体以外に対しても若手会員が交流する際の支援ができるようなプログラムを検討中です。

13.標準委員会

 「日本の品質を論ずるための品質管理用語Part II」の検討を引き続き進めます。JSQC選書として発行するとともに、Part Iと統合した冊子(約150用語)を会員のための資料として提供します。また、JSQC規格にかかわる内規・定款の整備を行うとともに、上記の資料をもとに用語規格の原案を作成します。さらに、他の委員会と連携を取りながら、品質管理の普及・発展のために、標準化が必要な領域がどこかを明確にします。ISO 39001(道路交通安全マネジメントシステム)の国際規格開発への参画についても継続して行います。

14.FMES、横幹連合関連

 40年度も引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等の活動に、中核団体として協力してまいります。またFMES代表者会議では、日本学術会議の総合工学部会WGのテーマとリンクした活動を強化していく予定です。学会員の方々のご協力を引き続きお願い申し上げます。
  横幹連合総会・会長懇談会等に参加するとともに、2010年9月の横幹連合臨時総会決議に伴い、政策課題、重要課題を学会間連携で取り組むプロジェクトに関心のある会員を参加させます。また、品質管理学会独自の政策課題(問題解決型人材育成)についても提案を検討します。

15.研究助成特別委員会

 第40年度も引き続き若手研究者や留学生に対する研究助成を行います。募集要項の主な内容は以下の通りです。「助成金額は1件5万円で4件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員で、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者といたします。留学生に対しては審査時に配慮します。すでに2回採択された方はご遠慮ください。助成対象は品質管理に対する研究全般およびANQ以外のJSQCが協賛・後援を行っている国際会議での研究発表への旅費支援です。期間は1年間(2010年10月から2011年9月)です。」

16.QC相談室特別委員会

 QC相談室に受け付ける件数は減少も増加もしないという状況です。会員の相互研鑽という意味では、QC相談室の存在を知らせるための広報活動も必要です。そこで、本年度は以下の活動を重点的に実施します。
  1.QC相談室への初等的な統計教育方法の質問を促します。
  2.信頼性や安全性に関する質問を積極的に促します。
 具体的には、中部支部内や関西支部を中心とした企業内の学会員に対して、積極的な質問の投稿を依頼します。

17.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会

 初等中等統計教育が“生きる力”をはぐくむ教育となるべく、39年度の活動を継承し、以下の取組みを行って参ります。
  1.初等中等統計教育における「生きる力」育成への活動支援として、39年度にて企画した表彰制度を実施し、また、問題解決事例の作成とWEBへの公開などを行い、教科書・指導書への統計的問題解決法の導入に向けての活動をさらに推し進めます。
  2.第一回表彰をJSQC40周年記念シンポジウム(2011年5月27日)にて実施すべく、啓蒙・普及活動を行います。
  3.初等中等教育への統計的問題解決法をシンポジウムなどを通して啓蒙・普及し、小中高の先生方への教育支援を行います。
  4.初等中等統計教育とQC検定との連携を検討し、“生きる力”の育成と、日本の産業界の発展の基盤を固めます。
  5.初等中等教育における統計的問題解決法の事例作りをさらに推し進め、これらをWEBを通して普及します。

18.原子力安全特別委員会

 39年度に引き続き、日本原子力学会(社会・環境部会/ヒューマンマシンシステム部会)等の共催による「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を開催します(2011年3月および9月)。また、原子力安全基盤機構の「ヒューマンファクターを主体とした安全管理技術に関する課題の整理と戦略マップの作成」、日本原子力学会の「標準委員会原子燃料サイクル専門部会返還廃棄物確認分科会」や「地層処分対象放射性廃棄物の品質マネジメント特別専門委員会」、原子力安全・保安院の「原子炉安全小委員会安全管理評価WG委員」などへの参画・協力を行います。

19.運輸安全特別委員会

 39年度に引き続き、ISO 39001「道路安全マネジメントシステム−要求事項と使用のための指針−」の国内審議委員会(自動車事故対策機構)、国土交通省の「運輸審議会運輸安全確保部会」などへの参画・協力を行います。また、運輸安全の分野について必要とされる管理技術の整理に着手します。

20.JSQC選書刊行特別委員会

 「JSQC選書=品質管理に関する、非専門家向け高度教養講座」の地位を確立すべく、引き続き、品質立国日本再生に寄与するテーマで良質の書籍(4冊程度)の発刊を目指します。
  並行して第41年度以降の選書テーマ候補を充実させ、時宜を得た発行計画の立案を行います。その際、これまでに発刊したJSQC選書13冊に対する読者の声の収集・把握に努め、今後のテーマ選定等に活かすとともに、必要があればテーマ選定から発刊までの一連のプロセスを改善します。また、JSQC選書の知名度向上に向け、より有効な広報策について、引き続き検討・実践を試みます。

21.公益法人法対応特別委員会

 40年度は、通常総会または臨時総会において「移行登記を条件とする一般社団法人への定款変更決議」を行う予定です。その後、2011年11月から2012年4月において「一般社団法人への移行申請」を行うことになります。そのための準備として、定款変更案確定、定款変更に関する関連する細則(規程、内規等)の変更案作成、公益目的支出計画の作成、その他の提出書類の作成を行っていきます。

22.部会

(1)ソフトウェア部会
1) 実践的知識の集積・形式知マップの作成
 昨年度の成果を引き続き、ソフトウェアの日本的品質管理の姿を再構築するため、ボトムアップ的に実践的な知識を集積し、形式知マップの充実を図ります。また、既に公開した成果を、品質誌の特集号にて公開する予定です。また、研究成果の出版やそれに関するシンポジウムの開催などを目指します。
2) 対外活動
 昨年度に引き続き、ソフトウェア関連の各種行事を後援し、部会メンバーの便宜を図るとともに、部会自体の広報を図ります。

(2)QMS有効活用及び審査研究部会
  1) 第3期研究活動の推進及び報告
第3期研究活動は、2010.6から6つのWGで1回/月の頻度で研究活動を行っており、2011.3に活動を完了する予定です。
  WGのテーマは次の通りです。
WG1:適合性を証明する審査の研究
WG2:審査員の専門性による効果的な審査の研究
WG3:受審組織のQMS大改造への提案
WG4:次世代対応のQMS構築と審査技法の研究
WG5:マネジメントの原則から見た統合審査技術の研究
WG6:経営に貢献するISO9001推進の研究
研究成果のシンポジウムの開催(2011.6)
研究成果報告書の発行(2011.6)
  2) 第4期研究活動の計画及び開始
第4期研究テーマの発掘と研究活動の計画策定及び推進を行います。

(3)医療の質・安全部会
 第40年度も前年度に引き続き、研究活動はPCAPS、医療QMS等を中心に進めてまいります。医療QMSについては、最初の3年間の活動により基礎となるQMSモデルの開発が進み、8病院での導入・推進が終わりました。今後は、組織的改善が進められるように、その方法論の開発に努めてまいります。2011年3月には、PCAPSと医療QMSのシンポジウムを開催する予定です。研究成果の発表は、JSQCだけでなく、医療関連の学会でも積極的に発表してまいります。
 教育・啓蒙活動については、10月に医療の質マネジメント基礎講座が終了いたしますので、受講生からのフィードバックを受けて、内容の見直しを行い、次年度の計画を立案する予定です。さらに、教材の開発にも取り組んでまいります。
 部会員数については、退会者が20名強あったものの、新入会者もほぼ同数ありました。新入会者は、医療者の入会者が多かったので、医療者への広報も少しずつ浸透してきています。より医療者の入会者が増えるよう、これからも広報を活発に行っていく予定です。