社団法人日本品質管理学会

第37年度 自 2007年(平成19年)10月 1日
至 2008年(平成20年) 9月30日
事業計画

1.運営方針

 37期は、「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」を核とした中期計画の最終年度として、内外の著しい環境変化の中、産学連携の再構築をベースとした品質立国日本を推進し、ひいては日本の国際競争力向上に貢献していくことを運営の基本といたします。
 中期計画の実現に向けて、本年8月に策定した第36年度中期計画ローリング結果に基づき施策を実施してまいります。特に「Qの確保」については、新製品開発のスピード化の要請、技術の高度化、IT活用に係る問題、非正社員の増加、といったこれらの環境変化に対応した品質管理のあり方や手法をその成果として、学会員そして社会への発信を学会の諸事業を通して、また刊行物として発信してまいります。
 さらに、中期計画の諸項目についてその進捗のフォロー、結果の検証をふまえて、38年度以降の次の中期計画のロードマップ作成に引き継いで行きます。
 これに加えて、来年以降にはじまる公益法人の認定に向けて、学会としてのあり方や諸規定の再整備、さらには中期計画にも掲げている品質関連団体との関係についての見直し整備に向けた活動も進めて行く所存です。

具体的な施策は次の通リです.
(1) 「Qの確保」の施策では、研究会・部会での活動成果の会員への還元と、産学連携プロジェクトについては、日本科学技術連盟における「次世代TQM」プロジェクトと共同で、プロジェクトの数を積み増すとともに、既に立ち上がっているものについては、これまでの成果の発信を行うとともに、産学連携プロジェクトのあり方そのものの検証を行います。
(2) 「Qの展開」の観点からは、安全・安心社会の実現のために不可欠な社会的技術として、引き続き原子力やサービス産業へのTQM・品質管理の導入のための研究・普及活動を強化いたします。
(3) 「Qの創造」では、前年度に立ち上げた研究会に加えて、次の中期計画の核となるべき施策のあり方について、具体的シナリオを描ける体制に持って行けるよう検討を行います。
(4) 「共通領域」では、まず「Qの確保」を中心とした活動の成果の発信も兼ねて、ローリングにより新たに加えた「品質保証ハンドブック(仮称)」、JSQC選書の発刊に向け、それぞれの編集委員会を学会の特別委員会と位置付けて設置し、それぞれ日本科学技術連盟、日本規格協会での刊行を目指します。
  受験者の増加が順調に推移しているQC検定における1級、2級合格者を増加させる施策により、品質管理の普及と当学会員となるべく候補者の底辺の拡大、特に若手の会員の入会の強化を図ります。
  国際化対応の強化と日本学術会議を含めた他学会との連携の維持・強化では、特にANQへは、引き続き主体的かつ友好的な役割を果たしていきます。また日本学術会議とFMESを通して連携活動を継続的に進めて参ります。また36年度に実施した学会員の満足度調査の検証を通してサービス向上の材料とするとともに、37期も引き続き満足度調査を実施します。
  最後に、会員や企業サイドから、品質の関係団体と当学会との間で、情報発信や事業の内容が錯綜しているとの指摘があることに対しては、これまで話し合いはしてまいりましたが、上述の公益法人へ向けての学会組織の整備と併せて、37期中に関係団体との役割分担を明確にした連携に関する文書の締結を完了いたします。

2.総合企画委員会

 36年度と同様に中期計画の進捗状況のフォローと、37年度は第1次中期計画の3年目、最終年度に当たることから、目標実現のための施策の積み増し等を検討して行きます。
 また、第1次中期計画の目標達成状況や、中期計画による学会運営のあり方や問題点の反省をふまえ、さらに学会を取り巻く環境変化も見据えながら、次期中期計画の策定に着手いたします。

3.事業委員会

 第37年度本部行事の基本的構成は、36年度同様
(1) 年次大会、研究発表会各1回
(2) シンポジウム3〜4回
(3) 講演会1〜2回
(4) 事業所見学会3回
(5) クオリティパブ5〜6回
(6) ヤングサマーセミナー1回 を予定しております。
(中部支部、関西支部の行事に関しましては各支部の事業計画をご参照下さい。本部では両支部とも連携を深め、事業を企画します。)

 日本経済の再生と持続的成長のためにTQMが貢献すべき分野をテーマにした事業を今後も企画いたします。また、企業が直面する重要な課題をその都度取り上げ、タイムリーなシンポジウム、講演会等を開催いたします。 第37年度の本部事業の重点方針を中期計画から下記のように定めて、会員の要望に応えるべく最大限の努力をして参ります。

(1) 部会/研究会活動との連携・・・特に部会の増大とその活発化に伴いその成果を発表する場をシンポジウム、講演会等で積極的に提供します。
(2) 品質誌との連携・・・特集記事との内容面・講演者等での連携をはかり、魅力的なシンポジウムや講演会を開催します。
(3) 研究発表会・・・2日間でも消化困難なほど件数が増大しており、新たな方策(大学施設で実施、3日間開催等)を考慮します。
(4) 研修講座・・・・部会等が中心になって一般会員向けの低廉かつ先進的な啓蒙的研修講座を開発し、実施します。
(5) ヤングサマーセミナーの開催、インカレゼミの支援を中核として次世代へのTQMの継承と発展のためのプログラムを実施します。
(6) 本部独自のクオリティパブなどで一層会員の相互交流を促進します。


4.中部支部

(1) 中部支部基本的方針(36年度方針を継続)
◇日本のものづくり品質における信頼の崩壊ともいえる状況に際し、品質管理の原点への 回帰と、新しい品質管理へのブレークスルーを目指して活動を進めて参ります。
【中部支部のスローガン】
■産学連携による実践的「Qの確保」の構築
・産からの問題提起と学での掘り下げ、方法論の理論付けを行う研究会活動を中心として、「Qの確保」を実践するものづくりのプロセスを構築します。

(2) 行事計画の具体的な進め方
◇産と学に実効が上がる魅力ある行事を企画、会員の活性化と行事への参加を促します。
1) 研究発表会 [1回/年]
  ・発表者と聴衆者の双方が研鑚できる発表会の企画・運営、研究会活動の成果を発表します。
2) シンポジウム [1回/年+医療の質向上シンポジウム]
  ・学会会員の関心が高く、基本的な考え方に沿ったテーマを選定し企画・運営します。
・ものづくりのプロセスを考え、活発な議論と参加者の問題意識に対して答えを出す場を目指します。案)
産学連携現地現物研究会の活動成果をもとに、実践的「Qの確保」について議論できる場とします。
・医療の質向上に関するシンポジウムを新たに計画します(検討中)。
3) 講演会[1回/年]
  ・学会会員が満足できる(動機付けできる)講演会の実現(シンポジウムとの重複感をさけます) 案)
「失敗学」と「創造学」(東京大学教授;濱口哲也氏)
4) 事業所見学会

[2回/年]
(本部年次総会に伴う事業所見学会の協力が必要のため2回とします)

  ・新しい発想や工夫を凝らした特色ある事業所の選定
5) 幹事研修会[3回/年]
  ・行事企画・運営のレベルアップにつなげるための幹事向けの研修
・品質工学、未然防止、プロセスリンク、医療の質向上などについて研鑚・議論できる場とします。
6) 研究会(「Qの確保」のための問題提起と解決方法の構築を議論し、実践につなげる場とします)
 

・東海地区の若手研究会(名工大;仁科教授)[1回/2ヵ月; 6回/年]
・北陸地区の若手研究会(金沢工大;石井教授)[3回/年]
・産学協同現地現物研究会(早稲田;永田教授、アイシン精機;藤江重役)[1回/2ヵ月; 6回/年]
・中部医療の質向上研究会(朝日大;國澤教授) [10回/年] 

5.関西支部

(1)運営の基本方針
 
 長い経済停滞を乗り越え、日本企業は新たな成長段階に突入しようとしています。日本の成長戦略を考える上で、日本企業のモノづくり・サービスづくりの進化が求められており、品質管理の果たす役割は大きいと言えます。品質管理のレベルをより一層高めるためのマネジメント力、品質力、組織力、現場力、顧客対応力の向上策について具体的に提言し、明示することにより学会員に貢献します。
 
1)
マネジメント力の向上
2)
品質力の向上
3)
組織力の向上
4)
現場力の向上
5)
顧客対応力の向上

(2)具体的な事業内容
  1) 事業所見学会 [4回/年]
  会員の関心の高い、特色ある事業所を選定します。
2) シンポジウム[2回/年]
  会員の関心の高いテーマ、ニーズをつかんだ内容の濃いシンポジウムを企画します。
3) 講演会 [1回/年]
  関西地区の地盤強化に寄与できる魅力ある講演会を企画します。
4) 研究発表会 [1回/年]
  学術研究と企業ニーズがマッチした産学で相互研鑚できる発表会を企画します。
5) 研究企画
  学術と企業ニーズをマッチさせたテーマを設定し、新たな管理技術の開発と現場力の 向上に貢献します。
6) 会員サービス
  会員による会員のためのサービスを見直し、充実を図り、組織強化に結び付けます。
7) QCサロン [6回/年]
  会員による開かれた、参加して楽しい、聞いてためになるQCサロンを運営します。

6.論文誌編集委員会

(1) 前年度方針を引き継ぎ,論文審査における論文誌編集委員会の主体性と責任に基づき,査読意見に委員会としてできる限り関与します。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載します。
(2) 前年度を引き継ぎ6ANQへの論文発表促進と若手研究者への論文作成援助を積極的に行います。
(3) 投稿論文審査の迅速化を目指します。新規投稿へのfirst response 3ヶ月以内を80%以上目指し、さらなる迅速化を目指します。これに伴い、よい査読者の発掘と、査読者への依頼の強化を行います。
(4) 5ANQに発表された論文の品質への投稿促進など、さらなる投稿論文数の増加を目指します。
(5) 日本の品質管理を世界に向けて発信するため、英文論文誌の創設の検討と準備をすすめていきます。
(6) 研究発表会のbest presentation賞などの創設の可能性について検討していきます。
(7) ANQに加盟した組織の会員への投稿しやすい環境をさらに整備します。
   1) Webによる英文投稿規定等の情報提供とその更新
   2) Webの品質誌back number のcontents情報の提供とその更新

7.学会誌編集委員会

 第37年度は学会誌編集委員会2年任期の切り替え年度となります。従って、Vol.38-3までは旧編集委員会メンバーにて本誌特集の企画/編集を継続させて参りますが、Vol.38-4からは新しい委員長の下、新しい編集方針と新しいメンバーにて、本誌の企画/編集を行っていく予定です。
 現在、旧メンバーにて引き続き検討を進めている企画テーマ案は以下の通りです。
 Vol.38-2 : ソフトウェア品質管理の課題と今後の展望(仮称)
 Vol-38-3 : トラブル未然防止に役立つTQMツールとその活用(仮称)
 一方、発案から実施まで足掛け2年に亘って進めてきた"会員ニーズアンケート調査"の解析結果は、次期編集委員会にも継承され、今後の本誌特集企画に活かされるとともに、会員ニーズをまとめた貴重な情報として、総合企画委員会で検討している本学会中期計画等へも反映される予定です。なお、本アンケートの調査結果の要約は学会ホームページにおいて公開/掲載していく予定となっています。

8.広報委員会

 37年度の広報委員会では、 近年話題に事欠かない「拡がりをみせる品質」について、現状とその対応について各界からの情報も加えて提供してまいります。
 また当委員会の中期計画である「学会の社会認知度の向上」の施策の一つであるホームページのへのアクセス数の増加の実現に向け、他の委員会と連携して活動します。

9.会員サービス委員会

 前年度に引き続き、事業委員会、広報委員会との連携をとりつつ、学会員の若手増強、賛助会員数の確保を課題とする中期計画の達成を目指し取り組んでいきます。昨年度取り組んだ、QC検定合格者へのアプローチ、有力企業への直接コンタクト等の成果フォローを重点的に行うとともに、「Qの展開」、「Qの創造」に伴う学会活動領域の拡大に呼応した会員増強施策を検討いたします。
 会員資格審査につきましては、理事会メンバーの協力を頂くなかで粛々と実施してまいります。

10.規定委員会

 中期計画に基づき、前年度から継続して、定款・規程・内規及びマニュアルの見直しを行い、規定類間の繋がり/相互関係をより明確にしていきます。
 また、庶務委員会からの要請に基づき、新規制定、改訂、廃棄等の維持管理を、適切に行います。

11.研究開発委員会

 新時代の要請に応える品質マネジメント技術の向上を目指し、中期計画にある研究開発の空間的拡大、時間軸的拡大の推進できる研究会体制を整えます。

1) 空間的拡大(分野の拡張)に関して
 中期計画ローリング結果に基づき、サービス分野の新しい計画研究会の発足を目指します。
2) 時間軸的拡大(次世代への拡張)について
  若手が育つような研究会の仕組みを整えます。
3) 研究会活動のPR(社会へのアピール)
  魅力ある研究会の活動状況は、研究会の中間報告、成果報告を、学会および学会誌において、積極的に、学会員に示し始めています。
  本年度は、Webを一新し、学会員だけでなく、非学会員にもわかり易く、魅力ある研究会の説明や、研究会だよりを載せることによって、社会に品質管理の研究をアピールできるように工夫します。

(1)テクノメトリックス研究会
   テクノメトリックス研究会では、36年度に引き続き、品質管理に役立つ手法、考え方を幅広く探索します。研究の方向性は昨年度と同様、メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い品質管理の手法として確立できるようにします。本年度は特にタグチメソッドにおけるMTシステムについて重点的に議論を行う予定です。開催も昨年度同様、おおむね3ヶ月に1度を考えています。

(2)医療経営の総合的「質」研究会
    従来までの研究活動を継続して、37年度もわが国の医療の質向上への貢献をはかることを目的とし、医療関係者と品質管理関係者の相互交流を通じて、医療界における品質管理や総合的質経営に関する検討を進める予定です。具体的には、以下2点を37年度の実施目標にします。

  1) 医療7つ道具の開発
「医療七つ道具(仮称)」のテキスト作成
「医療七つ道具(仮称)」の開発・試験的導入・効果検証
2) 医療機関におけるTQM普及を促進する医療制度・政策のあり方を提言
TQMの基本的考え方、組織的推進方法、ツールの活用方法について概念整理した結果を学会発表・論文投稿
先進的な取り組みを行う国外の医療機関におけるTQM実施状況−MB賞受賞病院の事例―に関する調査結果を学会発表・論文投稿
国内外の医薬品・医療機器企業等におけるTQM実施状況と関連制度・政策に関する調査(質管理の手法を医療関連企業等に義務付けしている例の諸外国の実態把握等)の結果を学会発表・論文投稿
いずれについても、病院団体、国、国民等に対し提言します。
上記をふまえ、全日本病院協会に協力して、病院経営改善のための講演会を開催いたします。
(2007年11月、12月および2008年1月)

(3)信頼性・安全性計画研究会
   下記の項目に関し、分野別のベストプラクティス、委員の研究成果発表、委員間の情報共有と討議を行い、あらたな開発・提案を行うと共に、研究会としての成果をまとめ、情報発信を行います。
1.信頼性・安全性作り込み技術の提案
(1)36年度に提案した 新規トラブルの未然防止法 に関し、具体例に基づく提案とその効果の実証を行います。
 
(2)エラープルーフの体系化とその情報提供
2.安全・安心を達成するための社会インフラ構築に関する提言
(1)経年劣化リスク(家電製品の15年・20年・30年経過後の発煙発火など)の回避に関する討議
 
(2)改正消費生活用品安全法による公開データの活用
 
(3)ユーザ・メーカ・社会行政の3者の協業による信頼性・安全性確保への提言
3.研究成果のまとめとシンポジウムの開催
研究会での成果のまとめと情報発信

(4)管理図実践研究会
   36年度での成果を踏まえ、絞り込んだ具体的なテーマに関しましてサブグループごとに、より具体的なアウトプットを出すべく研究を進めていきます。具体的には以下のような研究テーマが提案されています。
1. 国内外の関連する研究の動向把握、継続
更に、推進事例から抽出されてきた成功・不成功要因についての実態調査。
2. 管理図不活用の事例研究に基づく不活用症候群の整理
事例の補強とT型マトリックスを用いた整理強化
3. 生産形態にあった管理図の開発
統計解析ソフトによる管理図と企業内での推進、初期流動管理シュミレーション的管理図の開発、多品種少量生産(短納期サイクル)に適用できる管理図の活用
4. 教育方法の開発
仮想モデルによる教育方法の比較検討とそれに基づく具体的な方法の開発
5. 製造現場以外への展開
統計理論を越えた、本質的な活用方法の検討
また、以上のほかに、メンバー企業現場での実態研究、先進企業見学会、講師招聘、合宿検討会なども企画しています。

(5)管理・間接職場における小集団改善活動研究会
   36年度に引き続いて活動を継続し、さらにいくつかの管理・間接職場における小集団改善活動の推進事例を調査するとともに、「管理・間接職場における小集団改善活動推進ガイドライン」を完成させる予定です。完成したガイドラインについては、シンポジウムを開催して、広く意見を求めるとともに、容易に入手できるように出版を計画しています。本研究を通して得られるモデルの活用の場は多く、管理間接部門における品質管理のより効果的な実践、引いては企業・組織の持続的発展に大きく貢献できると考えられます。
 
(6)サービス産業における顧客価値創造研究会
   本年12月迄サービス関連の基礎的文献の集中輪読を実施(月2冊紹介、全14冊予定)します。
 サービス産業では分野ごとに商品の内容・目標や課題が異なり、その実態も十分に把握できていないため、実態把握と問題点の絞り込みが急務です。そのため、サービス産業を対象とした、顧客価値創造に関する実態調査を本年度前半を目途に実施し、成果を5月の研究発表会で公表する計画です。
 それ以降はシステマティックな方法論をサービス産業向きに定式化する研究を行うと同時に、分野別の実践事例研究を推進します。その際、単なる一般論の研究ではなく、具体的で活用できる事例、特にメンバー自らが創造または指導した事例を中心に据え、それらの成果を2010年春を目標に成書として出版する計画でおります。

12.国際委員会

  第37年度の国際委員会は、第36年度の活動を基盤に、以下の事業を実施します。

(1) 第6回ANQ(Asian Network for Quality)大会の共催、支援、および積極的参加
 2008年9-10月にタイ・バンコクで開催される予定の第6回ANQ大会を共催します。同大会はANQ組織の実質的な拡大のために、Board Member 以外の組織が主催する初めての大会となります。そこで、2007年度のANQ Chair Organization となり主催機関であるKorean Society for Quality Management (KSQM)とともに、その運営においては積極的な支援を行います。
(2) ANQ活動への積極的な支援・参加
 ANQの活動に積極的に参画します。特に、2008年春には、東京にANQボードメンバ会議が予定されていますので、そのホスト国として会議の成功を期します。また、ANQ内で議論が始まった、アジア品質管理賞や品質管理検定についても健全な発展を期すよう検討を深めます。
(3) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 ANQ内の各組織を重点として、幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について検討し、関係学協会と積極的に交流し、本会会員に有用な国際活動を展開できるように務めます。

13.標準委員会

  主要な活動計画は次の通リです。
「品質保証ガイドブック新版」の編集を、特別委員会を編成して学会が行なっていくことになり、標準委員会としてもこの活動に主体的に参加していくことにします。
品質関連標準について要望を確認したところ、品質関連の用語についての定義が多種類有り、オーソライズされたものが欲しいとの意見を取り入れて、JSQCとしてこれらを集約して定義し、発行していく計画をすすめていきます。
ISOやJIS等の品質関連標準の制・改訂時に、当学会の会員各位の意見やノウハウを反映していくために、会員各位からパブリック・コメントを出していただくための活動を開始いたします。
ISOやJIS等の品質関連標準の制・改訂時に、会員各位の専門知識を積極的に役立てていただき検討委員に推薦するためのリスト作成を進めます。

14.FMES関連

 第37年度も引き続き、FMES代表者会議、FMES/JABEE委員会、FMESシンポジウムに参画し、経営工学関連学会との交流、JABEEの審査活動、FMESシンポジウム等の活動に、事務局を引き受けるとともに、中核団体として協力してまいります。またFMES代表者会議では、日本学術会議の総合工学委員会のWGとのリンクのもとで「ビジネスのリスクマネジメント」をテーマとする活動を開始する予定です。学会員の方々のご協力を引き続きお願い申し上げます。

15.Web特別委員会

 今年度はコンテンツとセキュリティを重点に扱います。
 Webサイトは学会の顔の一つであり、そのコンテンツは、規約や入会案内など、学会のインフラに関するもの、ニュースや目次、部会、行事、記録など、学会のアクティビティに関するもの、更には当学会が社会貢献として提供するもの、などから成ります。今年度は現担当理事の最終年度でもあり、学会としてのWebサイト提供の在り方の検討、およびWebサイト運営についての諸手順の標準化の推進を進めます。学会誌等に掲載済みのコンテンツの、社会貢献としてのWebサイトでの公開も、引き続き検討して参ります。
 Webサイトを利用した通信のセキュリティを強化するために、Webサイトの契約の現状の共用サービスから暗号化通信が可能なサービスへの移行を検討します。セキュリティの強化には、年間費用の増加が伴いますが、Webを通じた申し込みは事務手続きの軽減に繋がっており、利便性の向上とセキュリティの重要性は表裏一体で、導入すべきものと考えておりますが、費用対効果を見据えながら検討していきます。

16.研究助成特別委員会

 第37年度も引き続き若手研究者や留学生に対する研究助成を行います。内容は昨年度とほぼ同じですが、留学生への配慮や再応募に対する条件などを募集要項に盛り込みます。募集要項の主な内容は以下の通りです。「助成金額は1件10万円で5件以内。対象者は、日本品質管理学会の正会員もしくは準会員で、申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者、日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者といたします。留学生に対しては審査時に配慮します。すでに2回採択された方はご遠慮ください。助成対象は品質管理に対する研究全般です。期間は1年間(2007年10月から2008年9月)です。」

17.QC相談室特別委員会

1) 具体的活動について
 第36期活動報告に記載されているように、2006年11月まで相談室を閉鎖しておりました。再開後、少しずつ利用が回復していますが、35年度以前のような活発な会員サービスの場に早く復帰させたいと考えています。
2) 運用プロセス
 ボランタリな回答が活発になってきていますので、問題が無い限り、自主的な回答を中心に運営していきます。回答が無いものに関しては、従来通り、委員会で回答者を調整します。
3) 相談室の基本的考え方
 従来通り、会員外の方の相談も積極的に受け入れます。

18.原子力安全特別委員会

 原子力安全の分野においては、様々な事故や不祥事を契機に、2003年にISO9001をもとにした品質保証システムが導入されました。しかし、現場の実態を見ると必ずしも有効に機能しているとは言えず、原子力分野の特性に合った新しい品質保証の在り方が模索されています。このような中、政府や関係団体が主催する原子力安全に関わる会議に品質管理学会所属の会員数名が参加し、品質管理専門家の立場から支援をしてきました。また、36年度には、原子力安全管理技術に関する学際的な研究の必要性の認識が高まり、原子力安全・保安院などの後援を得て、日本原子力学会(社会・環境部会/ヒューマンマシンシステム部会)、日本品質管理学会などが共催で「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を開催しました(2007年3月および9月)。
 37年度は、このような社会の動向に学会として組織的に対応するために、原子力安全特別委員会を設け、日本原子力学会との共催のワークショップの継続的な開催のための体制作り、政府委員会および関係団体の委員会への参画と支援の継続に取り組みます。

19. JSQC選書刊行特別委員会

 現代日本の課題である「安全・安心社会の実現」及び「国際的産業競争力強化」のために、思想・方法論的基盤として品質及び品質マネジメントが必須である。品質管理学会には、品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるようにするための支援を行う社会的責任がある。支援の一つとして、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版が考えられる。
 2007年9月の理事会において、こうした書籍シリーズの刊行が承認され、企画・編集を担当する委員会としてJSQC選書刊行特別委員会が組織された。出版は日本規格協会に委託することとし覚書を締結した。同委員会は、新年度早々(10〜11月)に第1回企画・編集会議を開催し、本事業の趣旨の確認、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題、著者、発行時期など)を審議し決定する。この計画に従って、来年5月をめどに、最初の5冊程度を発行する。これと平行して本シリーズの基本思想である「非専門家向け高度教養講座」に則って第38年度(2008年10月〜)以降の発行計画を立案する。

20.品質保証ガイドブック編集特別委員会

 一つの専門分野が継続的に発展していくためには、新たな人が当該分野の全貌について理解できる一冊の書物があるかどうかが重要です。1974年に石川馨・朝香鐵一両博士によって編集・出版された「品質保証ガイドブック」(日科技連出版社)は、品質管理に携わる者が、品質保証の方法論を学ぶ上で重要な役割を果たしてきました。30年を経てもその考え方・方法論は示唆に富むものが多く、貴重な書籍となっています。しかし、経営のグローバル化・情報技術の進展など経営環境が大きく変わる中、品質管理の適用分野が広がる中、今の時代にあった事例を用いて、その内容を体系的に説明した書籍が強く望まれています。
 日本品質管理学会の40周年記念(2010年)に合わせて2009年11月の発刊を目指し、産学の代表者20名からなる特別編集委員会を組織し、日科技連出版社の協力を得て、「日本品質管理学会編(新版)品質保証ガイドブック」の執筆・編集に取り組みます。
本年度は、昨年度、標準委員会のもとに作られた品質保証ガイドブック企画検討ワーキンググループで検討された企画案をインプットとして、執筆者の選定、原稿依頼、執筆者間の調整、編集を行います。

21.部会

(1)ソフトウェア部会
1) 実践の集積・形式知マップの作成
 昨年度に引き続き、ソフトウェアの日本的品質管理の姿を再構築するため、ボトムアップ的に実践を集積し、形式知マップの作成を行います。おおよそ3週間に一回程度の会合を開き、37年度中に一定のアウトプットを公開することを目指します。
2) 対外活動
 昨年度に引き続き、ソフトウェア関連の各種行事を後援し、部会メンバーの便宜を図るとともに、部会自体の広報を図ります。
3) 研究グループ
 少数のメンバーによる研究グループを新規に設置し、研究活動の活性化を図ります。 また、既存研究グループの成果を定期的に報告し、ソフトウェアの質に関する技術向上に寄与します。
4)

産学連携
 1)の「形式知マップ」と関連して、その研究成果をベースとした、現場に根ざした研究活動を通じて産学連携の研究体制の確立を目指します。


(2)QMS有効活用及び審査研究部会
1) 新規テーマの決定及び研究開始
 新規テーマを10月中に選定し、メンバーへの提示を行い、2008.1から新たなテーマでの活動を開始する予定です。
2) 第一期活動結果のシンポジウムの開催
 12月に研究部会のシンポジウムを行い、第一期活動である5つのWG活動の研究報告についての完了報告を行います。なお、これらの活動については、研究報告書としてまとめる予定であり、書籍として出版可能なものは、書籍出版を行う予定です。

(3)医療の質・安全部会
 第37年度も前年度に引き続き、研究活動はPCAPS、医療QMS等を中心に進めて参ります。第36年度は研究活動に集中しておりましたが、今年度はその成果の公開と教育・啓蒙に力点を移してまいります。新規に立ち上げた医療QMS研究会では、2008年5月の研究発表会に成果を発表することを目標に、活動を進めてまいります。また、2008年3月には、PCAPSと医療QMSのシンポジウムを開催する予定です。
 教育・啓蒙活動では、「医療のための質マネジメント基礎講座」を再編成し、早い段階で再開する所存です。また、研究成果を啓蒙するための教育講座を企画して参ります。
 これらの活動の充実とともに、当部会としては、部会員数の増加を中期計画の目標の一つにあげています。第37年度には部会員数300名を目指していますが、達成のためには医療者の入会、部会登録数を増やしていく必要があります。医療関係学会、雑誌、医療機関等への広報をさらに充実する予定です。また、医療者、品質管理関係者にとってより魅力的な行事、情報を提供することが必要と考えております。今後、幹事会を中心に検討し提案いたしますので、会員の方々からご意見をいただければ幸いです。