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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2020年3月 No.379

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■トピックス:JAQホームページ開設について
■私の提言:改めて医療界から産業界へ
・PDF版はこちらをクリックしてください → news379.pdf

トピックス
JAQホームページ開設について

JAQ連携協議会委員/JSQC監事 新木 純

 2013年11月 会長に就任した大久保尚武氏は、学会員と意見交換しながら、「今後の日本における品質管理というものはどうあるべきか」を考えて、1つの重要な課題を導き出しました。「日本には、品質に関する組織がたくさんあり、それぞれ役割を担って活動しているが、これをできるだけ同じ理念のもとに一本化し、強力なものにする必要があるのではないだろうか」というものでした。そのために先ず、中核となる3組織(日本科学技術連盟、日本規格協会、日本品質管理学会)の緩やかな連合体形成を起案しました。
 2014年5月 日本科学技術連盟 専務理事 小大塚一郎氏、日本規格協会 理事長 揖斐敏夫氏、 大久保会長の3人が集まり、「日本を代表するアンブレラ組織設立に向けて3組織を中核に検討していこう」となりました。
 2014年6月品質管理シンポジウム(日科技連主催)の第100回大会にて大久保会長が「日本品質管理学会の中長期計画SHINKA」を発表しました。4つのSHINKA(真価、進化、深化、新化)の中の「真価」として「品質活動の統合(アンブレラ組織JAQ創設)」を掲げました。(表・1)

表・1 中長期計画“SHINKA”の活動方針

 このアンブレラ組織には幅広く品質に係わる様々な組織の参画を期待し、JAQが新しい日本の品質管理を代表する組織となることを目指しました。

(図・1)

図・1 品質管理のアンブレラ組織体制

 その直後からJAQ設立準備のために3組織の代表者2~3名が参加する「三者調整委員会」を結成し、事務局は当学会、会場準備等は日本科学技術連盟(東高円寺)と日本規格協会(三田)が持ち回りで2ヵ月に1回の頻度で、現在も継続して実施しています。
 次の椿広計会長(当時)の下では、なぜJAQを設立するのか(設立趣旨)、JAQは何を目指すのか、どんな価値に共感・共有を促すのか(JAQ憲章)等について議論を重ねました。
 続く小原好一会長(当時)は、いかに同志に働き掛けて、拡大・運営していくかについて3つの役割に分担して進めました。そして「JAQとして、できることから実行」という方針が示され、実際的なJAQ活動が始まりました。
 2018年2月品質不祥事の再発防止を討論した「緊急シンポジウム」、同年の品質月間での小原会長(当時)による「品質不祥事の再発防止に向けて」の講演とテキストの発行、2019年品質月間での棟近会長(現在)による「価値創造経営の勧め」等、徐々にJAQとして活動を広げていきました。
 現在は、日本能率協会、品質工学会の2組織も参加いただき、設立準備会議名称も「JAQ連携協議会」と改称し、幅広い参画を目指して活動しています。
 2020年3月 ようやくJAQホームページを開設しました。(図・2)

図・2 JAQホームページ
・URL:https://jsqc.org/jaq/
※PC、スマートフォンで閲覧可能

 現在参加の5組織のトピック・事業活動を中心に掲載し、日本の品質管理に係わる総合ポータルサイトを目指しています。今後、是非とも閲覧・活用して下さい。
 最後に、日本の産業界が本当に発展していくためには、「産」が的確に「我々はこの方向に進みたい」というニーズを打ち出し、JAQ参加組織がしっかりと支援していくことが重要です。科学的な新メソッド開発、国際的な標準化の推進等で、強力にバックアップしていくという強い意思を持って取り組んでいくことが大切です。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。


私の提言
改めて医療界から産業界へ

ひたちなか総合病院 永井 庸次

 企業立病院は減少しつづけています。100近くあった企業立病院は現在34にまで減少しています。株主に説明責任がとれない、医療事故でブランド名が傷つく、通常の経営と異なり規制も厳しく労働集約型の医療経営のノウハウに乏しい、給与体系の整合性が取れないなどがその理由です。しかし、我が国産業界のTQMが織り込まれている企業立病院も多くあります。TQMの基本的な考え方のもとに、日常管理、機能別管理、方針管理を実装し、QC七つ道具、新QC七つ道具、医療のTQM七つ道具などの手法を活用し成果を上げています。QC活動もさかんです。
 高度に複雑で業務変更や業務中断も多いのが医療です。医師、看護師など多職種が相互依存しながら並行業務、不連続業務に従事しています。チーム医療は必須ですが、各職種の専門性も高く、自立しており、教育も別々です。さらに、医療が高度化し、ロボット手術など要素技術が進歩しているにもかかわらず、管理技術が追い付いていないことにより、多くの医療事故が発生しています。
 医療事故予防にもTQMの考え方は重要です。医療に起因した予期せぬ死亡事例が発生すると、外部委員を入れた院内事故調査委員会を開催し、原因分析し、再発防止策を作成する義務があります。原因分析に対しては、各種職能団体がRCA、業務フロー図などの手法を周知・訓練しており、この数年間で医療界のノウハウは格段に進歩しています。
 私は今、臨床現場を離れ産業医として企業の安全衛生委員会等に出席する機会が増えています。そこで愕然とするのは、企業の事故分析のマンネリ化、低レベル化です。手順を遵守する、注意喚起する、周知徹底する、マニュアルを新たに作成する、などなど。「作って、守って、改訂する」の発想はどこに行ったのでしょうか。病院では電子カルテの普及に伴い、その使い勝手の悪さ、データの断片化による見落としなどによる電子カルテ関連医療事故が増加しています。その対策の基本は、安全な電子カルテを採用し、電子カルテを安全に使用し、安全に使用していることをモニタリングすることで、真摯に取り組んでいます。
 従来、医療界は産業界から多くのことを学んできました。しかし、最近、逆に今の産業界は医療界から学ぶことも多いのではないかと、懸念しています。

 


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