品質管理セミナーベーシックコース(略称BC)は、「品質管理技術に関する深い知識と高い応用力の習得」をねらいに1949年に創設された。以来、QCリサーチグループにより、統計的方法部会、管理図部会、抜取検査部会、サンプリング部会、統計理論部会、実施法部会等におけるたゆまぬ研修活動によりコースの体系が築き上げられた。
30BC(1966年)からは、コンピュータ・コースの付設に伴い、各月6日間・計36日間から各月5日間・計30日間コースに再編成され、40BC(1971年)以降は新カリキュラムにより全面的にテキストの改訂が行われた。その後、TQC(全社的品質管理)の普及に伴う第二次、第三次のテキスト改訂(44BC、48BC)、解析ソフトウェアやケーススタディの導入などを経て今日に至っている。2019年10月時点で延べ135回、308クラスが開催され、34,434名の研修生を産業界に輩出してきた。
日本で最も歴史ある品質管理教育と言われているBCは、2019年に開設70周年を迎えた。これまで40周年、50周年、60周年と節目のタイミングで記念企画を開催し、品質管理教育の重要性の高揚を図ってきた。2020年1月16日(木)に70周年記念講演会を69社94名(講演風景を配信した大阪サテライト会場には36社47名)の参加者のもと盛大に開催した。講演会では、BCへの継続派遣企業による2つの事例発表と3つの講演が行われた。概要を簡単に紹介する。
●特別講演 「私と日科技連BC」
吉川 昭彦氏(澤藤電機(株))
澤藤電機は2016 年度 TQM 奨励賞受賞企業。社長の吉川氏はBC卒業生であり、受講の体験談と澤藤電機のTQM活動、SQC活用事例・BC卒業生の活躍について講演された。
●事例発表1 「いすゞ自動車のBCを活用した技術者教育について」
池田 寛氏(いすゞ自動車(株))
いすゞ自動車は、1916年(大正5年)創業の歴史をもつ商用車メーカーであり、年間20名を超える技術者をBCに派遣。品質技術センターでの人材育成の取り組みを話された。
●事例発表2 「海外出向者教育へのベーシックコース活用」
久米 浩介氏((株)エクセディ)
エクセディは、駆動系を中心とした自動車部品の専門メーカー。世界24ヵ国に拠点をもち、海外拠点での品質管理活動や海外出向者へのベーシックコース活用について紹介された。
●基調講演「ベーシックコースから学んだこと」
永田 靖氏(早稲田大学 教授)
BC東京幹事長である永田先生は大学院博士課程の時にBCを受講され、長年にわたりBCにご協力をいただいている。BCとの出会いと関わり、疑問を感じた手法やSQCセミナーに関する受講生・講師・派遣企業・運営者それぞれの心得について講演された。
●記念講演 「BCで育つエキスパートが品質経営の力に」
佐々木 眞一氏(日科技連 理事長)
BC卒業生である日科技連の佐々木理事長は、トヨタの品質経営・品質保証の考え方、自工程完結とそのオフィスワークへの拡大について講演された。
各講演終了時には参加者から多くの質問が寄せられ、活発な質疑が展開された。また参加者アンケートには好評の声が多数寄せられたので、代表的なものを紹介する。
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教える側、教わる側(教わった側)両面の話が聞けたことと、他社事例を知ることが出来た。 |
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TQM(総合的品質管理)活動を社内でさらに推進するために参考となる内容であった。 |
現在、AIやIoTといった科学技術の進歩に伴い、顧客・社会や組織の変化がとても速くなっている。企業はその変化へ対応できるかどうかが重要となっている。この様な状況におかれている企業経営に、BC卒業生が活躍していくものと確信している。