1.30周年事業の成果と課題
JSQCが30周年を迎えた1990年代後半は、バブル崩壊後の経済停滞に加えて、様々な分野で品質問題が続発し、品質立国日本の信頼が揺らいでいました。そこで、強い危機感をもとに質を重視した活動を復活するべく、30周年事業では表1.の企画を実行しました。
表1.30周年事業の概要
No |
事業名 |
1 |
記念誌『あゆみ』の発刊 |
2 |
記念シンポジウムの開催 |
3 |
会員サービス向上施策の実施 |
4 |
研究助成活動の推進 |
5 |
QC相談室の設置 |
6 |
品質管理推進功労賞の設置/表彰 |
7 |
ISO9000登録審査員向け QC集中セミナーの開催 |
そして、表1.の事業を展開するために「30周年事業基金」を開設し、幅広くご協力をお願い申し上げましたところ、多大なご支援を賜り、この機に立ち上げた表彰、助成などを一過性に終わらせることなく中長期的に推進することを目的として「記念事業積立資産」を設置し、現在も運用を継続しております。
30周年事業の成果として、まずは「表彰・助成の定着」が挙げられます。品質管理推進功労賞は、能力ある優れた人材を発掘するとともに、より一層の活躍を促進する機会として重要な役割を果たしております。同様に研究助成制度は、若手研究者、留学生の研究活動支援に貢献しております。また、「会員サービス」においては、30周年を機にJSQCウェブサイトを刷新しました。
2.30周年以降の新たな使途
2001年12月に30周年事業の今後の展開について検討の結果、新たな使途として「国際交流事業」が加わりました。具体的には、ANQ(Asian Network for Quality)国際会議への参加促進対策などが挙げられ、使途を明確にするために「国際研究交流積立資産」として計上しております。
また、2007年に「安全・安心社会技術連携特別委員会」、2010年には「TQE(Total Quality Education)特別委員会」を発足するとともに、TQEの一環として「統計グラフ全国コンクール」において「日本品質管理学会賞」を設置するなど、より幅の広い、社会課題の解決に向けた活動を展開し、これらの行事参加費を除く運営経費に積立資産の一部を充当しております。
3.積立資産確保に向けての課題
以上のように、JSQCが果たすべきミッションを遂行する上で積立資産が貢献してまいりましたが、近い将来、その存続が困難となる局面を迎えようとしています。その主たる理由が「会員数減少に伴う収入の減少」です。30周年以降は、定期的な積立によって、積立資産は一定の規模を保持しておりましたが、会員減少傾向に歯止めがかからず、新たな積立が困難な状況に直面しています。ゆえに、 JSQCのミッションを将来にわたって遂行するための資金確保に留まることなく、会員増に転じるための強化、活性化プランを打ち出すことが求められております。
また、現在の積立資産の残高は、現行の使途先の当面の運用資金を視野に入れたものであり、ウェブサイトの機能向上などの新たな投資は資金の枯渇を招くリスクが伴うがゆえに踏み切れず、時間の経過とともに対応の遅れが顕在化しつつあります。
4.50周年事業基金の目的および使途
上述の課題を抱えながら、JSQCは2020年10月に50年度を迎えます。そこで、50周年を機に、安定的な事業基盤を確保するとともに、将来に向けたさらなる成長への原資として「50周年事業基金」を募る運びとなりました。現時点で、50周年事業基金は、表2.の使途を予定しております。記念行事関連への出費は必要最低限として、「研究・普及活動の活性化」および「学会運営機能の向上」に重点を置きます。
表2.50周年事業基金の概要
目的 |
使途 |
価値の共有・伝承 |
記念シンポジウム |
記念誌 |
研究・普及 活動活性化 |
研究助成の継続・強化 |
各賞の継続 |
学会運営 機能向上 |
会員システム機能向上 |
行事システム機能向上 |
ウェブサイト機能向上 |
論文誌・学会誌の機能向上 |
使途の詳細、およびご寄付の手続きにつきましては、学会誌『品質』、およびJSQCウェブサイトに掲載致します。
会員の皆様におかれましては、 JSQCの将来にわたる安定的な事業基盤確保、そして持続的な成長を目的とする50周年事業基金の趣旨につきましてご賢察の上、より一層のご支援を賜りたく、ご検討の程宜しくお願い申し上げます。