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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2018年8月 No.366

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■トピックス:サービスエクセレンス部会/生産革新部会の始動にあたって
■私の提言:学会のダイバーシティについて
・PDF版はこちらをクリックしてください →news366.pdf

トピックス
サービスエクセレンス部会/生産革新部会の始動にあたって

サービスエクセレンス部会 部会長 水流 聡子

はじめに(JSQCの課題)
 日本の高度成長の原動力となった品質管理は、今日においても「基盤戦略」として、顧客価値を中心におく経営の根幹であることに変わりはない。しかしながら、近未来に実現し得る革新的な技術開発が加速する社会においては、顧客価値の変化も激しく、PDCAサイクルを加速できた組織のみが、顧客を引き付けることができ、組織の持続性を担保できるものと考えられる。
 PDCAサイクルの加速には、(1)顧客価値の創出に関与する多様な業務・経営の知識の獲得と再利用、(2)顧客のニーズの把握と対応のためのビッグデータ活用、が必要となる。PDCAの加速に疲労せずに適応していく組織となるためには、リアル世界のPDCAだけではなく、サイバー世界でのPDCAサイクル技術を駆使する事業経営の在り方を考える必要があると思われる。
 社会の変化に応じて顧客が求める基盤部分を確実にした上で、さらなる成長を目指すためには、基盤戦略に立脚した「革新戦略に資する品質経営」に注力する必要がある。革新戦略に資する品質経営とは、Society5.0, Industry4.0に代表される社会変化への適応に加えて、「品質」をより広い意味でとらえ、「顧客価値づくり」として推進することに他ならない。よって、日本品質管理学会は「変化をとらえた顧客価値づくり」を重点的に推進するために、本年10月より「サービスエクセレンス部会」「生産革新部会」の活動を本格的に始動する。
 両部会の概要を以下に示す。

【サービスエクセレンス部会】
顧客価値づくりの実現をねらいとする(サービス産業のみならず製造業においても重要な活動と位置付ける)。
汎用的なプロセス・ツールを見える化し、普及・展開を担う。
サービスエクセレンスの標準化は、サービスのQ計画研究会の役割とする。

【生産革新部会】
多品種複合生産、一品生産など量産型と異なる品質管理を追究する。
顧客価値を実現する俯瞰的、部門横断的なオペレーションを遂行するための人材を育成する。
事業ドメインを適切に定義できる人材を育成する。

両部会の活動計画(概略)
 新設部会のキックオフにあたって、まずは社会変化を認識するとともに、革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」を共有することが必要になる。従って、キックオフフォーラム、および顧客価値づくりに関する知識共有会は、サービスエクセレンス・生産革新の2部会合同で開催する。
 知識共有が進んだ段階で、両部会は取り組むべき研究テーマを設定し、ワークショップ、或いは研究会を立ち上げ調査研究を推進し、進捗状況、成果などを定期的に発表する。

【キックオフフォーラム】
 2018年8月30日(木)に東京大学本郷キャンパスで開催する。基調講演では、東京大学の江崎浩教授をお招きし、社会の大変革とその先にある未来を主旨とする講演を頂く。続く講演、パネルディスカッションでは、革新戦略に資する品質経営として、顧客価値づくり、サービスエクセレンスなどの理解を深めるとともに、質疑応答を通して部会のコンセプトを共有する。
 キックオフフォーラムの開催を機に、学会内外から部会員を広く募集する。

【知識共有会】
 2018年10月から隔月での開催を目指して準備を進めている。1回あたりの時間は120分とし、前半60分は知識と事例の共有を目的とした講演、後半60分は講演をもとに自組織への導入を想定したディスカッションを実施する。

おわりに(部会参加方法など)
 部会員の登録方法、会費、問合せの窓口などはJSQCウェブサイト、およびメールニュースを通してアナウンスさせて頂く。
 未来を志向するJSQCの新たな取り組みにご期待を頂くと共に、会員各位の積極的な参画を大いに期待している。


私の提言
学会のダイバーシティについて

電気通信大学 金 路

 私は電気通信大学で主に信頼性・保全性に関する教育と研究に従事しています。電気通信大学ではダイバーシティへの取り組みとして、出産、育児、介護など職員の家庭環境の変遷に応じた働き方や研究活動の支援、また女性研究者や女子学生への支援を進めています。私自身もこの数年間、支援を受けており、ダイバーシティを身近なこととして意識しています。今回は日本品質管理学会のダイバーシティ、特に会員の多様性と、その先にあるグローバル化を取り上げます。
 品質はどの企業にも重要かつ全社で取り組むべきもの、そして品質管理は横断的な領域です。そのため日本品質管理学会はその生い立ちから多様性を内在しており、産業界から多様な業種の方々、そして官学からも多くの分野の方々が集まる団体として、会員の多様性は誇れるレベルと考えます。また女性、若手、一線でご活躍されている実務経験が豊富な方々など、多様な背景を持つ皆様のお名前やお姿を研究発表会、委員会などで拝顔しており、多様な方々が学会活動へ参画されていることを感じています。
 ひとつだけ、単なる思いつきで恐縮ですが、会議やシンポジウム、研究発表会などに、Web会議など柔軟な参加方法があると、時間や距離の制約がある方々にも、学会への多様な貢献をお願いできるのでは、と思いました。
 グローバル化も、かなり高いレベルにあります。アジア品質管理シンポジウムへの日本からの参加数は増加傾向で、骨棘を超えた品質技術の交流に貢献しています。英文誌Total Quality Scienceの刊行も順調です。論文誌編集委員会では、投稿要領の英語版も用意し、英語での論文投稿も受付けています。
 これまでの活動から私の眼には日本品質管理学会は、ダイバーシティに関してはかなり進んでいるように映ります。ダイバーシティ宣言もできるのではないでしょうか。そして次の段階に目を向けると、多様な会員相互のコラボレーションを今よりももっと活性化させた上での、グローバル社会、スマート社会への対応の邁進が視野に入ります。サービスへの取り組みはその一例かと思います。
 日本品質管理学会が、その強みを活かす多様な発展のシーズを多く内包していると信じて、私からの提言と致します。


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