■ソフトウェア部会
ソフトウェア部会は、日本のソフトウェア産業の競争力の確保を目的とし、ソフトウェアの品質に焦点を当てた活動を行っている。ただ、大きな目的を掲げてはいるものの、一言に品質と言ってもその範囲は大変広く、方向性も多岐にわたることから、非常にゆっくりとしたペースで活動している。
登録メンバは80名ほど、その中でもアクティブメンバは約20名。せっかく登録されているのに、まだお会いできていない方も大勢おり、この点については、興味を持っていただくため、また、部会会合に足を運んでいただくために、何をしなければならないかを真剣に考えなければならないと思っているところである。
ソフトウェア部会の活動の中心は、ほぼ毎月開催される約2時間の部会会合で、メンバ同士の交流とともにテーマに関する議論を行っている。出席者は毎回、15名程度であるが、産学両方から参加があり、その割合は4対1ほど。また、年齢の幅は30歳をゆうに超える状況で、いろいろな意見が飛び交い、議論は脱線しながらも、得るものも多い、楽しい会合となっている。
■これまでの部会活動
ソフトウェア部会のメンバは、ソフトウェアの開発経験の豊富な方々から、まだそれほどでもない方々まで幅広い。そのこともあり、これまでの経験をいかに若い世代に伝えるかということに焦点を当て、明文化されていない暗黙知を経験者から引き出し、それを形式知化することに力を注いできた。その結果、「形式知集」としてまとめたことはご存知のとおりである。
この成果物は、ソフトウェア開発で問題が起こった時に、その解決の糸口をこれまでの経験から見つけるための逆引き形式となっている。学会のウェブページからダウンロードできるので、是非、参考にしていただきたい。
■最近の部会活動
部会活動は、常にソフトウェアの品質を議論の中心に置きながら、ゆっくりではあるが目的に向かって一歩一歩、進んでいる。形式知集が完成した後は、これまで高い品質を保ってきた日本のソフトウェア開発に焦点を当てることで、これからのソフトウェア品質を議論することができないか、また、豊富な経験をお持ちの方々がこだわってきたものに焦点を当てることで高品質を考えることができないか、といろいろな角度から意見交換を進めてきた。
最近では、産学それぞれの方々が集まっていることもあり、品質の高いソフトウェア開発を行うための人材育成をテーマとして議論している。
紆余曲折を経て、現在、ソフトウェア開発の初期段階である要求定義に着目している。単なるテクニカルライティングの手法ではなく、要求仕様書という文書の性質を理解した上での文章表現と文章構造が必要ではないかと考え、その部分に焦点を当てている。今後、様々な角度から議論を深め、ある一つの形を示すことができればと思っている。
■部会会合でのできごと
先日の部会会合で、要求仕様の文章表現について議論している時に、どうも話がかみ合わないことがあった。日本語表現は難しいという話をしているくらいなので、十分注意して話を進めていたはずだったにもかかわらず、である。結局、仕様書の読み手を明確にせずに議論していたことが原因だったのだが、まさに、議論している表現の難しさを皆が経験した面白い瞬間であった。
■ソフトウェア部会へのお誘い
ソフトウェア部会の会合は、自由に話ができる、楽しい意見交換の場であると考えていただければと思う。メインテーマを中心にして話を進めてはいるが、日々の開発で困っていることを相談する場や情報発信の場であっても良いと考えている。また、メーリングリストやSNSを利用した情報交換や情報発信も進めつつある。これら一つ一つの活動が、日本のソフトウェア産業の底力になると信じている。
ぜひ、より多くの皆様にソフトウェア部会に参加していただき、楽しく議論していきたいと考えている。