品質管理学会が提案した「日常管理の指針」のJIS原案が、2016年3月19日に開催された日本工業標準調査会の適合性評価・管理システム規格専門員会で承認され、5月20日にJIS Q9026 「日常管理の指針」として公示されました。JSQC規格が初めてJIS化されたことになります。JIS Q9026「日常管理の指針」は、日常管理の基本的考え方、日常管理の進め方及び日常管理の組織的な推進の指針をまとめたもので、あらゆる組織に適用できる規格となっています。
「日常管理の指針」のJIS原案は、 2013年5月22日に制定したJSQC-Std 32-001 「日常管理の指針」をJISの規格様式に従い編集し直したものです。JIS Q9026は基本的にJSQC-Std 32-001と同じですが、推奨事項をより簡潔に示している、“総合的品質管理における日常管理の役割”や“日常管理の基本概念”などの解説を多く含む部分を付属書に移しているなどの点でJSQC- Std32-001と異なっています。
ねらい通りの製品・サービスを経済的に生み出すため、プロセスを定めそれに従って仕事をすることが一般化していますが、プロセスを定めてもそのとおり実施されないことによる問題が多発しています。日常管理は、定めたプロセスが期待通りの効果を発揮するための基本となる活動であり、組織経営の根幹をなす活動の一つです。標準委員会は、日常管理のより多くの組織への普及を目指し、JSQC-Std 32-001「日常管理の指針」の制定と同時に、同規格のJIS化に取り組んできました。JIS Q9026及びJSQC-Std 32-001の普及が進み、 多くの組織で日常管理が確実に実施され、より良い品質の製品・サービスに繋がることを期待しています。また、JIS Q9026「日常管理の指針」の制定がきっかけとなり、より多くの組織で質の高い品質活動の指針としてJSQC規格の活用が進めばと願っております。
JSQC規格は、品質管理学会が蓄積してきた知見に、企業が独自に獲得した知見を加えた現時点でのベストプラクティスを体系化した内容となっています。このため、規格制定には多くの方々のご協力をお願いしております。「日常管理の指針」の制定に関しても、JSQC規格原案作成、 規格審議及びJIS化原案作成には、産業界を代表する多くの方々に御協力いただきました。厚くお礼申し上げます。
標準委員会は、品質管理の普及を目的に、品質/質に関わる事項に関する標準化を推進し、その成果の一つとして日本品質管理学会規格JSQC-Stdを制定してきました。今般、初めてJSQC規格のJIS化を達成しましたが、引き続き標準化活動を強化してまいります。
これまでに制定したJSQC規格は、 JSQC-Std 00-001「品質管理用語」、 JSQC-Std 32-001「日常管理の指針」、 JSQC-Std 31-001「小集団改善活動の指針」、JSQC-Std 21-001「プロセス保証の指針」、JSQC-Std 89-001「公的統計調査のプロセス−指針と要求事項」、JSQC-Std 33-001「方針管理の指針」の6規格です。現在、「品質管理教育の指針」の原案作成に取り組んでいます。加えて、「新製品開発管理の指針」の原案作成を本年秋頃から開始できるよう、準備しているところです。
また、制定済みのJSQC規格のJIS化についても積極的に推進してまいります。昨年12月に制定したJSQC-Std 21-001「プロセス保証の指針」のJIS化の申請手続を終えたところです。そのほか、本年5月17日に制定したJSQC-Std 33-001「方針管理の指針」は、現行JIS Q9023「マネジメントシステムのパフォーマンス改善−方針によるマネジメントの指針」の改定規格案として、JIS化の提案を行う予定です。