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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 1999年5月 No.212

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トピックス「基準・認証制度見直しの考え方 −産業構造審議会基準認証部会−」
私の提言「TQM宣言からの技法開発「関係性分析」」

■ トピックス  基準・認証制度見直しの考え方

−産業構造審議会基準認証部会−

中央大学 宮村 鐵夫
はじめに
通商産業大臣の諮問機関である産業構造審議会では,基準認証部会を設置し,平成10年以降,基準・認証制度の在り方について検討を進め,本年1月通商産業大臣に答申を行っている. 答申にそって現通常国会に「通商産業省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律案」が提出されている.

平成9年の製品安全研究会座長当時から制度見直しに関係している経緯もあり,答申内容を報告させていただきたい.

基準・認証制度の見直しに対する社会的要請
(1)規制緩和と基準・認証制度見直し
経済構造改革推進計画フォローアップ(平成9年12月閣議決定)では,
  1. 政府の規制は必要最小限
  2. 技術進歩へ柔軟かつ適切に対応できる制度
  3. 国際整合性に配慮したシステム
にする必要があるとしている.また,規制緩和推進3か年計画(平成10年3月閣議決定)では,基準・認証制度について
  1. 自己確認,第三者認証への移行等による政府の直接的な規制の最小限化
  2. 認証・検査業務等の競争原理の導入
  3. 適切な場合における性能規定化
  4. 国際相互承認の推進 等
を基本に見直し,速やかに所要の処置を講じるとしている.
(2)安全にかかわる規制の見直し
上記方針を踏まえ答申では,製品安全や産業保安の安全レベル等の維持・向上を資することを前提に,
  1. 規制,手続きの合理化により事業者の負担軽減,高コスト構造の是正支援
  2. 民間能力の活用等による運用効率化
  3. 技術革新のインセンティブを高め,産業活動の活性化
  4. グローバルな活動に対する環境整備
の方向で制度を見直すとしている.
基準・認証制度の整理・類型化
(1)認証手続きの5つの類型
認証等の手続きを,
  • タイプ1:政府が実施主体となる認証
  • タイプ2:政府が指定機関(公益法人のみ)に権限委任し行う認証
  • タイプ3:政府が指定機関(公益法人に限定せず)に権限委任し行う認証
  • タイプ4:第三者機関による適合性評価
  • タイプ5:事業者自らの適合性評価
の5つに類型化し,欧米で取り入れられているタイプ4の認証手続き採用により競争原理の導入と質の高い検査サービスを提供できるとしている.
(2)安全基準の4つのタイプ
現行の安全基準は,抽象度に応じて以下の4つに類型化している.
  • タイプA:一般的な安全の要求を規定
  • タイプB:構造,耐熱性,絶縁性等について必要事項のみを規定
  • タイプC:性能が具体的な数値で要求されているが,実現するための材質や構造等の仕様には制限がない
  • タイプD:要求される性能水準を実現する材質や構造等の仕様を規定
現状技術基準は主にタイプB〜Dで,電気事業法における事業用電気工作物等産業保安の一部ではほぼすべての項目でタイプBの性能規定化がされている.
基準・認証制度の見直しに当たっての基本的な考え方及び今後の動向
(1)認証等の手続き(政府による直接的関与の必要最小限化)
  1. 影響が限定的であるか事業者の安全確保の能力が高く事故発生の蓋然性が低い場合には,タイプ5が適当.
  2. 潜在的危険の大きさ等によりタイプを導入することが適当.
  3. 事故等の影響がきわめて大きい場合等は政府認証維持も適当である.この場合でも,可能な限り指定代行機関に解放するタイプの導入を図ることが適当.
(2)検査・検定等の業務における民間能力の活用(第三者機関の活用)
国際的には適合性の評価を行う検査機関を認定するためのルール(ISO・IECガイド)が整備され,欧米では民間営利法人であっても第三者機関としての認定がなされており,すべての基準・認証制度で民間企業の参入を可能とすることが適当である.
(3)技術基準の性能規定化の促進
技術基準については,仕様規定となっているものについて可能な限り性能規定化を促進し,タイプBとすることが適当である.
(4)国際的な相互承認の推進
国際的な相互承認については,可能な限りすべての基準・認証制度について必要な制度改革を推し進める.
(5)事後措置の拡充等
事業者に対する報告徴収,立入検査,改善命令及び製品の回収命令等について,規定の拡充及び整備を行うとともに適切かつ機動的な発動を行うことが重要である.
おわりに

見直しの考え方は,通商産業省所管のみでなく,我が国すべての基準・認証制度においても適用し得るとしている.

■ 私の提言  TQM宣言からの技法開発「関係性分析」

NEC伝送事業本部 エグゼクティブエキスパート 金子 龍三
要約:TQM宣言が発表されて,多くの議論がされているが,現在の事業環境下で経営改革を進めるためには,これらの概念を実務に適用できる技法にする,「技法開発」が企業人としては必要であると考え検討している. ここでは関係性概念について簡単に検討の要旨を述べ提言とする.

現在の不況の背景には幾つかの原因があるが,個人も,企業も,官公庁も強いニーズを持っているわけではないことも含まれている. 直接の顧客向けの,特定の製品についての「質」を考えた経営管理では事業としては成功しない. さらに事業の成功「経営の質」という定義についても評価する人も,評価基準も変化している.

自社の「経営の質」としての中長期の繁栄を築くためには,顧客の中長期の繁栄が基礎であり,そのためには関係者の連鎖の概念に基づき,顧客の顧客の要求も検討することが事業成功の秘訣である. 顧客の顧客が不明であり,開拓することも必要であることも多い. 顧客連鎖全体の期待に合致する「質」を中長期に永続的に提供するためには,従業員や協力先との間の関係も中長期の関係を築く必要がある. その例が中長期のパートナー関係である.

このような関係を構築するためには,関係性の分析とそれに基づく関係管理が重要である. その内容としては,関係者の連鎖を含めたリストアップ,その価値観の分析,その環境条件の分析,その行動の予測と影響の分析,組織の事業方針・価値観から判断した関係者の限定(関係相手の設計),そしてその関係者との間での共存共栄(Win-Win)関係の構築と実行方法(関係の設計)などの手順が含まれる. これらのことからわかるように顧客満足度,人々の満足度,従業員満足度,ステークホルダーの満足度はこの関係性の分析,調査,設計,管理の下位概念である. このような中長期の繁栄の方法としてのパートナー関係については既に米国ではTQMの方法として確立している企業もある. 日本でもTQM宣言の具体化により早期に技法として確立する必要がある.


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