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学会誌「品質」
JSQCニューズ
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JSQCニューズ 1999年3月 No.211

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トピックス「PRTR(化学物質排出量等の届出)制度」
私の提言「JSQCのTQM」
我が社の最新技術「発光ダイオード」

■ トピックス  PRTR(化学物質排出量等の届出)制度

(社)日本化学工業協会 化学物質総合安全管理センター 大歳 幸男
はじめに
PRTR(Pollutant Release and Transfer Registers)とは「様々な排出源から排出または移動される潜在的に有害な汚染物質の登録」制度であり,96年2月にOECDの加盟各国はこの制度を導入するようにとの理事会勧告を受け,我が国も制度の導入について検討が開始された.環境庁は,地域を限定してパイロット調査を実施し,99年にその取り組み状況を報告することとなっている.

1992年の国連によるリオデジャネイロの地球サミットにおいて「アジェンダ21:持続可能な発展のための人類の行動計画」が採択され,その中の19章で「有害化学物質の環境上適切な管理」を実施することが決定された.これに対応しOECDは,すでにオランダや米国で実施されている環境中への有害物質の排出・移動量を報告し公表する制度をモデルにPRTRに関するガイドラインを作成し,加盟各国に実施を勧告した.

この制度の特徴は発ガン性,生殖毒性,慢性毒性などのように微量の化学物質の長期間にわたる影響への対応を目的としており,各種排出源から排出される有害物質の汚染状況を監視し,最終的には環境中への排出を低減させるものである.

PRTR制度の概要
PRTR制度は,事業者等が各種排出源からの大気,水,土壤への排出量および廃棄物として場外に移動する量を自ら把握・報告し,その結果を行政が公表するものである.公表された情報は行政や事業者による対策の立案,推進,公正な評価や化学物質の環境リスク削減対策のために役立てる.

調査対象排出源としては事業所に限らず,交通機関から排出される有害物質,農薬,家庭から排出される化学物質,燃焼炉から排出される非意図的排出物なども調査対象物質とすべきであるとしている.図1にPRTR制度の概略を示した.

算出方法および対象物質
排出量の算定には,物質収支,実測,化工計算,排出係数の利用など,どの方法を採用してもよく,一定の書式に従って記入の上提出することが義務付けられる.対象物質としては,発がん性,慢性毒性,生殖毒性などの長期毒性の観点から選ばれ,環境庁のパイロット調査では178物質が対象となった.また対象物質およびそれを含む物は,MSDS(製品安全データシート)の提供および成分開示が義務付けられる予定である.
業界による自主的取り組み及び法制化の動き
(社)日本化学工業協会は,PRTRをリスクマネージメントの一環として位置づけ,92年から自主的な取り組みを継続している.リスクマネージメントとは,化学物質による人および環境への影響を評価(ハザード評価)するとともに,環境中の濃度や排出量(暴露量)を算定することで現在のリスクを評価し,リスクの程度が大きいと判断した場合にはリスクを削減することである.また(社)経団連も97年度から43業界団体の参加を得て,自主的にPRTRを実施し,98年6月に全国合計値として公表した.

一方環境庁,通産省は,このような業界による自主的取り組みは評価しつつも透明性と公平性を確保するため,法制化が必要であるとした.現在合同で法案を検討しており,99年3月の通常国会で審議されることとなっている.予定では,2002年から実施されるものと考えられる.

リスク・コミュニケーション体制の確立
排出量が公表された場合,企業が最も憂慮していることは,一般市民が公表された数値に対して適切な理解をして預けるかということである.今まで日本では,リスクに関しての研究も少なく,安全か危険かに二分する考えしかなかった.しかし現実には,さまざまな危険のレベル(リスクレベル)があることを理解する必要がある.そのためには,一般市民とリスク・コミュニケーションを行える体制の整備が急務であり,以下の項目の検討が急務と考える.
  • リスクの考え方の啓発
  • 安全性情報の提供
  • リスク評価専門家の養成
  • リスク・コミュニケーター制度の制定

■ 私の提言  JSQCのTQM

東京情報大学 教授 岡本 眞一
日本品質管理学会には現在約2760名の会員がおりますが毎年200〜300名程度の入会と退会による移動があります. つまり,毎年全体の約1割程度の方が本会を去っているというのが現状です.

本会の構成員は主として大学関係者と企業で品質管理や品質経営に携わっている方々です. 大学関係者を中心にある割合の方々は自己の提案を発表する場として,また,ある割合の方々はQCやTQMについての情報収集の場として学会を利用しているものと思います. さらに,周囲との良好な人間関係の構築を主目的としている方々も少なくないと思います.

一般に自主的に参加する組織では,とくに積極的に活動している少数のメンバーとそれに付いてゆく多数の会員から構成されていることが多い. そして,この積極的な少数の考え方が強くなり過ぎると,あまり積極的ではない多くの会員が離反してゆくことになります. ある程度以上の会員数の増加を計るためには,このような多少は消極的ではあってもTQMに関心をもっている方々にとっても,魅力的な学会にしてゆくことが必要であると思います. このような方々に,ただ積極的に活動に参加せよと呼びかけるだけでは,なかなか振り向いてはくれないと思います. 多くの方々に学会賞の表彰を行う,学会誌の内容を充実し,わかり易くするなども一つの方策であると思います. 海外では,学会が積極的に資格制度の維持に関与している例も見られます.

このように,学会自体もTQMを積極的に実施して,額客(会員)のニーズとは何か,学会が会員に提供するサービスの“Quality”とは何か,を真剣に考えることも大切ではないかと思います.

 

■ わが社の最新技術  発光ダイオード

豊田合成(株) オプトE事業部 佐藤 純一
はじめに

当社は窒化ガリウム(GaN)系高輝度青色発光ダイオード(Light Emitting Diode ・ LED)の開発を1986年に始め,1995年10月から生産・販売している(商標:BLUE). その後,'97・5に高輝度緑色LED(商標:GREEN),'97・7に高輝度青緑色LED(商標:BLUISHE-GREEN)を品揃えしている.

LEDは電球に比べ,長寿命,低消費電力,小型軽量,さらに高速応答の特長があるが,従来は青色から緑色にかけての波長領域がなく用途が限定されていた. このGaN系LEDが商品化されたことで光の3原色(赤,緑,青)がLEDで揃い,フルカラー化が可能になった. そのため,屋外ディスプレイなど一気に用途が広がり,また信号等単色での用途増えはじめている(参考:'98・5に弊社が設置したフルカラーディスプレイを写真1に示す).

今回はこのGaN系高輝度LEDの概要と当社の製品を市場動向をまじえて紹介する.

GaN系高輝度LEDチップ
開発したLEDチップの断面構造の概略図を図1に示す. GaN系半導体はサファイヤ基板状にA1Nバッファー層をMOCVD法を用いて成膜した後,n型GaN層等を成長する. その後多重量子井戸層(MQW)を成長する. MQW層成長後,p型GaN層等を成長し,各種エッチング工程,電極形成工程を経てチップ分離を行い,LEDチップを完成させる.

当社ではこのLEDチップを各種デバイスおよびユニット等に組み立て販売している(表1).

各種デバイスおよびユニットとその動向
楕円型ランプ
本製品はディスプレイとして水平方向の視認性を確保するためレンズの縦配光を絞り,横配光を広げた楕円型のランプである. また,ディスプレイの表示内容に応じてパッケージ仕様を変えている. 例えば文字表示では幅広い角度まで一定の光度を維持するように,また映像表示では水平方向に対して光度が滑らかに低下し自然な画像が得られるように光学設計したものを品揃えしている.

砲弾型ランプ
LEDランプとして最も一般的な形状であり,信号,インジケータ,加飾・サインランプ等幅広い用途を想定している. 特に信号の場合LED化により従来の電球式に比べ経済性(低消費電力,長寿命によるランニングコストの節約)に優れている. 信号機は世界に約2千万基といわれ,今後非常に期待している分野である.

チップLED
携帯型エレクトロニクス機器の小型軽量化,消費電力低減などのニーズに応え表面実装型LEDをラインアップしている. 用途としては携帯型情報端末・携帯電話等液晶表示部のバックライトさらにファックスなど画像読み取り光源が考えられる. また今後はより小型化のニーズに応えるため1.6×0.8oのパッケージを商品化する予定である.

96フルカラーディスプレイユニット
LED式屋内ディスプレイはプロジェクターなどと競合する場合があるが,輝度やコントラストの点で有利になる64インチ以上のサイズを想定して本ユニットを開発している. 本製品では特に水平方向での赤緑青各色の色バランスが崩れないよう光学設計に工夫を施してある.
おわりに
GaN系高輝度LEDのマーケットはますます広がり多様化するものと考えられる. そのため当社ではその基本技術をベースに光学設計技術,信頼性技術を高め,LEDの更なる高輝度化等の品質向上や応用製品への展開を図っていく.


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