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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 1999年12月 No.217

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トピックス「IEC/TC56−Dependability−京都会議報告」

私の提言「TQMの普及を願って」

我が社の最新技術「アクティブドライビングアシスト(ADA)の開発」


■ トピックス  IEC/TC56−Dependability−京都会議報告

帝京科学大学理工学部 益田 昭彦

はじめに

第63回IEC総会が去る10月18日より29日まで京都市の国立京都国際会館で開催された.これはJISの50周年記念行事の一環として誘致したものという.IEC(International Electro-technical Commission;国際電気標準会議)は1908年に創設され,ISOよりも長い歴史を有する.電気・電子技術分野の国際標準化を目的としており,日本は1953年に参加したという.今回は25のTC(Technical Committee;専門委員会)と28のSC(Sub-Committee;分科委員会)が開催された.さらにそれぞれの委員会下部のWG(Working Group;作業部会)が併設された.53ヶ国から延べ1700人の代表とその関係者が参加登録していた.

会場の国際会館は閑静な森に囲まれた船を象ったような荘厳な建物で,諸外国と比べて決して見劣りのしない会議場が収容されている.いかにも京都的な雰囲気の中で今回は情報ネットワークが駆使され,会議情報は端末から常時見られる仕組みになっていた.図らずも日本の有する両極面をマッチさせており,主催者の企画は成功であったと感じられた.

TC56−Dependability
TC56はディペンダビリティ(信頼性・保全性)に関連する規格を制定することを目的としている.今回は14カ国63人の代表が登録しており,日本からは夏目 武国内委員会委員長(筑波技術短大)以下20名が参加した.特に元IEC会長の高木 昇博士の参加を得て我々の意気は上がった.TC56は会期前半の18日から22日まで開催された.会議冒頭の高木博士の歓迎挨拶では我が国における信頼性に関する工業規格への取組みとその貢献を紹介された.また閉会時のG. Alstead議長(UK)の挨拶では会議運営への支援や諸サービスについて賞賛を頂いた.その一端は国内参加者のボランタリーな気配りやもてなしにあったと思う.
はじTC56/WGめに
TC56には会議前に13のWGが設定されていたが,4つのWGへの集約方針が出ていて,京都会議から急遽新編成で運営することに決まった.このため旧WGで行われていた会場準備からの編成替えも多くの人の手で波乱もなく進行できた.

新しいWGは次の4つになった.

  • WG1:Dependability Terminology(ディペンダビリティ用語)
  • WG2:Dependability Techniques(ディペンダビリティ技術)
  • WG3:Dependability Management(ディペンダビリティ管理)
  • WG4:System Aspects of Depend-ability(ディペンダビリティのシステム局面)
それぞれのWGでは新設や改廃の必要な規格毎にプロジェクトチームを組んで少数精鋭で短期間に低コストで原案作りを行う体制になった.議長国およびWG幹事国が全て欧州勢であることにややアンバランスが感じられる.しかし,国内活動が委員のボランティア精神で行われている我が国の現状では,まず多くの専門家がプロジェクトチームに参加できるような環境整備が重要であろう.
むすび
TC56京都会議は21世紀への展望を踏まえた新組織編成が発進するという記念すべき時期を受け持った.そこで,21世紀へ向けての次の2つのトピックスを示して結ぶことにしたい.
  • ISO 9000:2000版の改訂に伴い,スリム化方針によってIEC60300・1 Dependability Program Managementが実質上ISO 9000から切り離されることになる.そのためISO 9000の改訂に合わせてIEC 60300・1とその関連規格の改訂素案が出されたが,内容には問題が多く,今後我が国は厳しく応対すべきであると思われる.
  • TC56の活動範囲はハードウエアの信頼性・保全性からソフトウエアを含むシステムのディペンダビリティへと拡張され,さらに安全性との接点としてリスク関係に拡がっている.しかしながら制定された規格の各国利用度は極めて低い.我が国も制定されたIEC規格のJIS化や啓蒙活動を強化すると共に,実際のビジネス活動との整合性チェックが必要と思われる.

■ 私の提言  TQMの普及を願って

(財)日本規格協会 教育研修部長 竹下正生
標準化を進めることの必要性は今更言うまでもないが,ISO 9000をはじめとするマネジメントシステム規格などの出現で標準化が注目を浴びている.

当会は標準化の普及推進団体であるが,設立当初から良い品質のものを合理的に作り出す技術である品質管理の普及にも力を注いできた.それは国の施策であるJISマーク表示認定制度の有効性を実現するためでもあった.幸いこの施策は大きな成果を上げ品質立国日本の実現に一翼を果たした.しかしながら,ここまでの品質はあくまでも製品品質のことである.標準化の対象にマネジメントシステムが含まれる時代においては,品質は単に製品だけでなく,技術の質,開発の質,管理の質更には経営の質までもが品質管理の対象であるとするのは自然の成り行きであろう.それは川下から川上へと品質管理の重点が移ってきたことの延長線上にあると思うからである.

対象が拡がり重点が移っているとはいえ従来品の価値がなくなったということではない.TQMの全体像や新分野に関する議論は活発であるが,既存技術を着実に実施するための議論も必要と思う.キリスト教の世界で意味のあるのは聖書そのもの以上に聖書の中の一節一節である.TQMもそれを構成する要素に意味があるといえよう.新技術開発と用途開発を粘り強く実行していかなければ時々刻々変わる企業それぞれの課題を適切に解決したいというニーズに応えていくことはできない.当会はTQMを普及する立場としてマーケットインを実践するためにも,企業ニーズに対応する形でTQMの普及推進を実践したいと考えている.

そのためには時代にあったTQMの要素技術(企業活動の種々の局面における「質」を適切に確保する方法論)の早急な開発と適用事例の作成が望まれる.当会ではこのような研究開発活動を支援することを目的として今年度から「外部研究委託」を実施しており,その成果を期待している.

TQMはけしてブームになるようなものではないし,TQMで儲けるといったものでもない.空気のように通常は意識しない存在であってもよいと思う.

■ わが社の最新技術  アクティブドライビングアシスト(ADA)の開発

富士重工業(株) スバル開発本部 内装設計部 紺野稔浩

はじめに

近年の情報通信に関する技術革新には驚異的なものがあり、この情報通信技術と自動車交通を連携させた、いわゆるITSに関する商品開発が活発化している。

当社ではこのITS時代に先駆けた商品として、ステレオ画像認識技術を駆使した運転支援システム「アクティブドライビングアシスト(ADA)」を商品化し、レガシィ・ランカスターに搭載した。

ステレオ画像認識

車が遭遇する様々な走行状況で、運転を支援するシステムを実現するには、単純に先行車までの距離や方向を求めるだけでなく、ガードレールや隣車線内車両の位置など複数の物体の検出、車線の曲がり具合や路面状況など道路環境の検出といった複雑な認識機能が必要になる。 当社ではこの目的に最も適している技術と考えられるステレオ画像認識について、長年に渡り研究開発を推進してきた。

ステレオ画像認識は、人間の両眼に相当する2台の高感度CCDカメラで構成されるステレオカメラを介して得られた大量の動画像データを、高速処理により比較・解析し、周囲状況を3次元的に認識する技術である。この技術は広角の視界領域をカバーできるので、高速道路だけでなく一般の郊外路でも使用でき、しかもレーダ方式の様に同様な他システムとの干渉が無いなど自動車への応用に適した特徴を有している。

機能の概要

ADAは、ステレオカメラで認識した前方道路環境情報、ナビゲーションシステムから得られる道路情報、ブレーキ制御により安定した車の動きを実現するビークルダイナミックスコントロール(VDC)などから得られる走行状態情報などを組み合わせ、進行方向の状況を総合的に判断し、次の4機能を提供する。

1. 車線逸脱警報
走行している車線を認識し、自車が車線を超えると予測された時に警報し、ドライバーに注意を促す。
2. 車間距離警報
走行レーン内の先行車を認識し、車間距離、相対速度などから決定される所定の車間距離内に先行車が入った時に警報し、ドライバーに注意を促す。
3. 車間距離制御クルーズコントロール
クルーズコントロールで走行中、同一走行レーン内に先行車がいない時は設定車速で定速走行し、自車より低速な先行車を捕捉した時は設定車速以下で適切な車間距離を保ち追従走行する。
この機能によりドライバーの運転操作を軽減することが可能となる。
4. カーブ警報/シフトダウン制御
自車と前方カーブまでの距離、カーブの曲がり具合、路面の滑り易さの推定値などから、カーブでの走行レーン逸脱が予測された時に警報し、条件によりシフトダウン制御を行なう。
この機能はナビゲーションシステムで経路が案内されている時に作動し、不案内な道路などでのカーブ進入速度過大に対し、ドライバーに注意を促し減速を補助することを目的としている。
システム構成

 

図1にADAのシステム構成を示す。

  1. 前方道路環境を認識するステレオカメラからの画像信号はイメージプロセッシングユニット(IPU)へ入力され、認識対象物の距離データなどに変換される。
  2. この距離データとナビゲーションシステムから出力される前方道路のデジタル地図データ及びVDCなどから得られる車の動きに関する情報が、ADA全体の機能を統括するプレビューコントロールユニット(PCU)に入力され、各警報・制御の要否判定が行なわれる。
  3. これらの判定に応じて、コンビネーションメータ内の警報灯及びブザー、スピーカなどでドライバーに警報が出される。またクルーズコントロールユニット(CCU)、トランスミッションコントロールユニット(TCU)などで走行制御が行われる。
おわりに

ADAはドライバーの認識・判断能力を支援するべく、前方道路情報を車両が本格的に取り入れたシステムであり、当社の安全性に対する基本思想である「トータル安全」をさらに進化・具現化する技術として位置づけている。今後、益々本格化するITS時代へ向け、更なる性能向上へ研究開発を推進したい。


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